異変に関しては大体原作通りなので、軽くカットして、フランドールスカーレットの動き、そしてこの小説独自の動きのみ、多く描写していく予定です。
フランドールは、認識不可の蝙蝠で偵察を続けることにした。
「彼女の日々の生活模様を見ていれば、大体彼女の性格を知ることもできるはずだ」
そう考えたのである。
だがしかし、とうの彼女といえば、縁側に腰をかけて咲かない西行妖を見てばかり。たまに動くのは使い?(それとも庭師?)が食事を用意したときぐらい。その使いと仕事について話してるそぶりは見せるものの、出かけることもなくお世辞にも活発とは言えない。
【なるほど……。これは予想以上にことが上手く運ぶかもしれない……。おそらく西行寺幽々子はあと一歩後押しすれば異変を起こす。咲かない西行妖を見続けている理由は考えられるに、主に二つ。一つはなぜ咲かないのか疑問に思ってるから。もう一つは咲いてる西行妖を見たいと思ってるから。昔の出生を踏まえると、きっと彼女は風情に細かい人間なのであろう。ならば、咲いてる桜を見たいと思うのも当然といえば当然。本当にあと一押しだ、ならば】
フランドールの分身である見えない蝙蝠は、その巻物を咥え、バレぬようにそっと部屋の中央にそれを置いた。もちろん、西行寺幽々子をずっと見つめてる、とある自分以外の視線にも気付かれぬように、だ。
そして西行寺幽々子は巻物に気付いた。
「これはなにかしら……? 妖夢〜妖夢〜?」
一方妖夢は剣の素振りをしており、完全集中モード。主の声は聞こえなかった。
「妖夢こないなぁ……どうしよう、とりあえず内容だけでも読んでみましょうか」
ちなみに、あえて西行寺幽々子の正体に関する巻物は運んでいない。西行妖が咲かない原因が書いてある巻物だけを用意した。
【ここで西行寺幽々子が自分の正体に気付き、消え去ってしまう……というのも構わないが、ずっと彼女を監視していると気付く。常に感じる視線……それも強力な妖力を持っている誰かの視線に。この妖怪はおそらく西行寺幽々子よりも手強い、それでいて、西行寺幽々子に対して手を出さずただ監視してるところを見ると、この妖怪は西行寺幽々子を見守っている……? 西行寺幽々子の味方だろう。ならば、西行寺幽々子をここで消し去るわけにはいかない。この視線がないところで消し去らないと、たとえ認識不可の分身でもバレてしまう気がするからだ。根拠はない、ただ、そう思わせてしまうぐらい、強い妖力だ。だから最初の計画通り、西行寺幽々子に異変を起こさせる。西行妖を咲かせる異変だ。ふふ……異変がもうすぐ始まる、楽しみだわ】
「これは西行妖について……? 西行妖の下には誰かの死体が埋まってるの……? そしてそれが原因で咲かない……? 咲けば埋まってる誰かの正体が分かるの……?」
こうして、フランドールの予想通り、西行寺幽々子は興味を持った。そして、異変決行を決意する。
「妖夢……! 来なさい」
先ほどと違い、重く響く言葉。すかさず妖夢が現れる。
「——遅れてすいません。何用でしょうか、幽々子様」
「異変を起こすわよ。春を集めるの」
「春、ですか?」
「ええ、春」
「春……了解しました! 魂魄妖夢、全身全霊で頑張らせてもらいます!」
「半身半霊でしょ?」
「あっ、そうでした」
妖夢はクスッと一瞬笑ったあと、強く顔を引き締め、縁側に立つ。
「では魂魄妖夢、春を集めさせていただきます! 幽々子様はここで待機しててください!」
「期待してるわよ〜」
「任せてください!」
そして時間軸は一週間後、つまりは最初に戻る。
レミリアの指示にて十六夜咲夜は動き出し、霧雨魔理沙と博麗霊夢も異変解決に動き出す。
フランドールスカーレットの掌の上で踊らされているとも知らず、彼らは異変解決へ向かうのであった。
——いや、二名ばかりは分かっていながら掌の上で踊ってるのかもしれない。