フランドールの秘密   作:絶望先生と東方と涼宮が好きな人

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ここでいきなり稗田阿求と上白沢慧音の話です。
もちろん、本編と関係はあります。


第5.5話 稗田阿求は憂鬱と雪に包まれながら筆を走らせる。

 ここは人里。

 春だというのに雪が降る始末に、人里の守護者、上白沢慧音は悩んでいた。

 

「うーん……いつになったらこの異変は解決するんだろうなあ阿求……」

「もぐもぐ……どぉうでしぉうね……」

「阿求。食べ終わってから話せ」

 

 そして隣で団子を食べているのは稗田家9代目当主、稗田阿求であった。

 

「どうでしょうね。博麗の巫女は動いたんでしょ?」

「まあそう聞いているが」

「なら大丈夫ですよ、あっという間に解決します。紅霧異変だってすぐに終わったじゃないですか」

「それはそうなんだが……あっそういえば阿求」

「はい、なんでしょう?」

「幻想郷縁起の方はどうだ?」

「ちゃんと。常に新しい情報を書き加えていってますし、役目はしっかり果たしてますからご安心を」

「阿求の仕事っぷりは把握しているからそこは心配していない」

「ならばどこを心配してるのです?」

「お前の体調だよ、無理してないだろうかと思って」

 

 心配そうな顔をしている上白沢慧音に対して、阿求はドヤ顔で答える。

 

「安心してください、まだ三徹です」

「なっ!? お前また無理してるじゃないか!?」

「安心してください、まだ三徹です」

「三徹は無理してる方だ! 半妖の私だって疲れてしまう!」

「ですけど。日々幻想郷の妖怪は増えてばかり……のんびりしてる暇もないんですよ」

「それは分かるが……。だがとはいえ、そんなに急ぐことはないだろう、少しずつ書いていけばいいじゃないか!」

 

 すると阿求は冷たい鋭い視線で静かに言う。

 

「——稗田家に時間はないのです。単純に時間が、ね」

 

 阿求の言葉の重さに上白沢慧音は自分の安易な発言を責める。

 

「あっ……! す、済まない……阿求……」

「謝る必要はありません。それに、私は稗田家の中でも最も長生きしてるんですよ?」

「?」

「分からない、という顔ですね。まあ今はまだ話す時ではありません。では、そろそろ私は幻想郷縁起の執筆に入らないといけないので……」

「待て、阿求!」

「はい? まだご用ですか?」

「私も一緒に連れてってくれないか? お前の執筆風景を眺めたい。同じ歴史を綴る者として、な?」

「私を心配して、ですか?」

「それもある」

「……私の執筆を止めないなら許します」

「止めはしないが、昼飯は用意しても構わないな? 見たところ、食べ物もちゃんと胃に入れてなさそうだ」

「ご名答。じゃあ付いてきてください」

 

 〜〜

 

 稗田家に到着する。

 そして阿求の執筆部屋に入る。

 

「巻物が散乱してるな……」

「書くのに集中してると、ついこうなっちゃうんです」

「まあ私も似たようなものだからな、何も言えん。台所はあっちか?」

「ええ」

「なら何か作ろう。味噌汁と御飯と焼き魚の定番でも良かろうか?」

「定番が至福です」

 

 あまり表情には出てないが、若干阿求が嬉しそうに見えた。

 

「喜んでいるようで何より。ではしばらく台所を借りるぞ」

 

 上白沢慧音が台所へ向かい、稗田阿求は机へ向かう。

 幻想郷縁起を書くためだ。

 

「さて、現在起きてる春雪異変……。相変わらず寒いしめんどくさい異変ですね……。とりあえず私は別の異変に関してまとめなければ」

 

 幻想郷縁起、それは妖怪についてまとめられた書である。

 異変を起こす妖怪も多くいるため、異変を知ることは妖怪を知ることにも繋がる。だから阿求は異変に関しても、ある程度文献にまとめている。

 

「なるほど。これは紅霧異変のやつか」

「って慧音さん!? 食事は!?」

「もうできた」

「えっ、そんな時間は経ってませんよ?」

「多分集中してて時間が早く感じたんじゃないか? 定食ワンセットできるぐらいの時間は経ってるぞ?」

「そうかもしれません……」

「ん? これは今の異変のやつか? まだ解決もしてないのに、阿求は先走るなぁ……」

「ちょっと見ないでくださいよ!?」

「執筆風景を見せてもらうと言ったじゃないか。それにどうせ人に見られるものだろ? ん? これってもう異変解決してる?」

「……っ!」

「ありゃ? こっちの異変に関しては聞いたこともないぞ? 守矢?」

「えっと、その」

「ん? こっちには妖怪の記録か。なるほど、ルーミアやチルノ……ってなんだ、この妖怪は! 私も見たことないぞ? えっと『ありとあらゆるものを破壊……」

「読むな!!」

 

 阿求に全部巻物を取り上げられてしまった上白沢慧音であった。

 

「まだ読んでる途中なのに」

「私は製作途中のものを読まれたくないんです! 特に同業者には!!」

「——なるほど。それは私もそうだな。悪いことをした、すまない」

「次、しなければいいですから。それよりも、せっかく慧音さんが作ってくれた定食はどちらに?」

「あそこに置いてある」

「ではいただきましょう。慧音さんはこれからどうします?」

「多く作りすぎたから私も食べる」

「ははっ……分かりました、一緒に食べましょう」

 

 阿求含めごく一部の人間にしか分からない憂鬱と、雪だけが、稗田阿求を包んでいた……。

 




夏のど真ん中なのに、小説では雪が降るからややこしい。
※この小説は八月中旬に投稿しています。
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