私は幼き頃からレンフィールド家に仕えている。
貧困が故に家族に奴隷として売られていた私を買い取ってくださったレンフィールド家には心の底から感謝している。
なんて、鼻歌交じりに考えながらお掃除をしていれば__________。
パリンッ
自分が手に持った花瓶を落としてしまった。
一気に身体中の血の気が引いたような気がする。
また怒られてしまう、と思っていた矢先に、
「またお前か!!!!!何回我が家の貴重品を壊せば気が済むのだ!!!」
この家の主、エステル・レンフィールドが怒鳴りながらこちらへ近付いてくる。
「全く、父上は何をお考えでこんな何も出来ない奴を買い取ったのか……」
サラサラとした金髪を整え、宝石の様に透き通った紫色の瞳を気だるそうに閉じれば、ため息をつきぶつぶつと何かを呟いているエステルに、
「申し訳ございません…、つい鼻歌交じりに作業をしていたら手元にまで気が回りませんでした。。。」
そう言い、深々と頭を下げるこのメイドはメルル。
このメイド、メルルは白髪に黄金色の瞳で少し変わった風貌をしている。そのせいもあってか奴隷商人に売られていたのだ。
「っ……!もうよい!!!部屋で反省していろ!!!」
少し坊っちゃまの顔が紅く染まっていたように見えたのは気の所為でしょう。
「かしこまりました、それでは失礼します。」
そう言えばメイド服のスカートをふわりと揺らしながら自室へと駆けていきながら、
「屋敷を走るな!!!!!!!!」
後ろからそう怒鳴られていた。
「全く……騒々しいメイドだ。」
やれやれと、呆れたような仕草をすれば自分も自室へと戻り。
自室へと戻ったメルルはベットの枕に顔を埋め、
「〜〜〜〜〜!!!!坊っちゃま可愛すぎるよ…、私があの方へ好意を寄せたとしても坊っちゃまとは身分が違いすぎます……、それに坊っちゃまも私にだけ強くあたりますし……はぁ…大変だなぁ…」
なんて呟けば昼のポカポカした日差しが差し込む部屋でうとうとして、ねむりについてしまった。
この後坊っちゃまに死ぬほど怒られてしまうだなんて思ってもなかったのです。
「だから、何度言えばお前はきちんと掃除ができるようになるんだ!!!それにくわえて仕事をほったらかしてお昼寝だと????呆れてものも言えんな。」
正座をさせられ、坊っちゃまからお説教されながら、頭の片隅で、もっと仕事が出来たのならここまで怒らせることも無く坊っちゃまを笑顔にさせれたのに。
なんて考えていれば段々と気分が滅入ってしまった。
それに気付いたのか、
「すまない、少し怒りすぎたようだ。夕食を運べ、お腹がすいた。」
そう言って食堂へと脚を運ばせる坊っちゃまはいつもより何故か楽しそうに見えたのだ。
「ついあいつを前にすると怒りすぎてしまうな、、、。けどあいつの困った顔がもっと見たいと思うのは僕があいつを気に入ってるからなのだろうか、それとも好きなのだろうか……。いや、この僕に限って好きだということは有り得ない。ただ面白いからからかいたいだけだろう。」
なんて独り言を呟いていたのはメルルには内緒です。