虹彩異色の妖怪少女   作:A.H

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前回に引き続きよろしくお願いします!
今回はハルの気持ちに注目です!
過去にどんなことがあって、ハルはなぜ恩返しをしたいのか
その考えの理由が明かされます!
では本編どうぞ!


第9話〜おあいこです!〜

私がこの世界に来て親切にしてもらったのはこれで二人目だ。

渋沢さん。旦那様が身内以外に初めて打ち解けあえた人でとても優しい人。初対面でもすぐに良い人だと信じれてしまう、心温かくする笑顔と気持ちを安らかにしてくれる喋り方。この二つが実に渋沢さんがどのような人柄なのかを教えてくれるのだ。この人にはこれっぽっちも悪いイメージが湧かない、人を疑う事をなかなか知らない旦那様だがこの人なら私も信用してしまう。しかし、そんな二人は先ほど喧嘩してしまったのだ。

「渋沢さん、あなたがこのお店に残ってまでやりたい事ってなんなんですか?」

「うーん…」

渋沢さんは口を重く閉じたまま喋ろうとしない

それほど他人に話せない事なのだろうか?

「どうしても話せませんか…?」

黙ったままコクリと渋沢さんは頷く。

「そうですか…」

これ以上問いかけることは失礼だと思い、私は一礼をして店を出た。

「旦那様を探さなきゃ」

渋沢さんの考えについてしっかり知っておきたいが、私としては主人を心配したい。

旦那様…どこだろう

さっきまで小傘自身が探される身だったのだが逆転してしまった。

旦那様も世話焼けるなぁ〜…ってわちきもか

小傘は勘を頼りに自分の主人を探す。

 

 

 

<<一方ハル>>

 

 

 

 

何やってんだろ俺…

あの人を助けたいと思ってたのに本人の考えに逆らってただ迷惑かけただけじゃないか…

「はぁ〜…」

ただ一人ですっかり暗くなった近所の公園のブランコに腰を掛けてハルは深いため息を吐く。

頭を両手で搔きむしりながら自分の無力さを痛感する。

ふと顔を上げて公園の遊具などを見渡す。

…なんか…久々に来たな…ここ

なんて言うんだっけ…あぁ、そうだ「桜里公園(さくらざとこうえん)」だ。

「桜里公園」は俺が小さい頃、よく遊んだ公園だ。渋沢さんと仲良くなった後、人に慣れていき順調に友達作りに成功していってここには友達を連れてよく通ったものだ。

あそこの滑り台の着地点に落とし穴作ったりして友達をよく引っ掛けてたり、ジャングルジムを使って鬼ごっこしたり…

今座ってるブランコだって、俺が下手して頭から落ちたんだよな

「ふふ、なんか懐かしいな」

様々なこの公園での思い出を浮かべてるとクスリと笑えてくる。

あの時仲良かったメンバー…みんな引っ越しちゃったし他の学校行っちまったんだよな。

俺の通ってる高校は新しい顔ぶればかりで、昔からの友達との再会などは無かった。そんな中、渋沢さんはいつも俺の側に居てくれたんだ。

暇な時が出来ればよく訪ねてきてくれた。

渋沢さんったら、運動は昔から出来ないって言うてたのに、俺が何も用事がない時があれば「キャッチボールやろ!」とよく誘ってきたものだ。

何度も何度も、時には買い物とか散歩とか、外食とかも…

良い人だよな…ホント…俺が寂しくないように色々してくれて

親が居なくなった後でもあの人がいたから寂しさも和らいだんだ。

だから、たまには恩返ししたくて稼いだバイト代を差し出そうとしたのだが、見事に断られてしまった。

渋沢さんはあの店に残って何をしたいのだろうか…

お金がダメと言うならその店に残ってまでしたい事の手伝いをしたいのだが、どう聞き出すか…

と思ってたその時

「あ!いた!」

聞き覚えのある声がしてその方向にハルは顔を向ける

「小傘…」

必死に探してくれていたのだろう、彼女は息を切らしている。

「も、もぉ、意外と近いところにいたんですね…結構先の方まで行っちゃいましたよ…はぁ…はぁ…」

どうやら、遠くまで探しに行ってしまってたらしい。

「ごめんな…迷惑かけた…」

「………」

怒るかな…

「これでおあいこですね。」

「へ?」

「だーかーらー、お互いに探させたんですからおあいこです。だから全然大丈夫ですよ。」

小傘は気持ちいい笑顔でそう言った。

ふふ、なんかこいつの笑顔見てると幸せな気持ちになるな

「あれ?なんか私おかしい事言いました?」

「ううん、ありがとうな小傘」

「いえいえ」

まったく…お前も良いやつだな

 

 

 

「うーん、そうか…小傘にも教えてくれなかったのか…」

「はい、あまり聞き込むのは失礼かと思ってそこまで立ち込む勇気は…」

さて、どうやったら渋沢さんは話してくれるだろうか…

とは言うもの、本人に聞き込み続けるのはストレスの原因にもなってしまうから無理には出来ない…

「あっ」

ふと何かを思いついたように小傘は声を出した。

「ん? どうした」

「わちきに良い考えがありますぞ」

また小傘のキャラ作り口調が

「おお、何だ?」

「ハルさんは渋沢さんに迷惑をかけずに渋沢さんの考えを知りたいんですよね?」

「そうだな」

「じゃあ、渋沢さんを見ていた子達に聞けば良いんですよ!」

「えぇ?……あ…そっかぁ…」

「どうですか?良い考えだと思うんですが」

確かに、この方法なら渋沢さんに迷惑かけずに情報をつかめるかもしれないし、渋沢さんが成し遂げたいことの手伝いも出来るかもしれない。

「よし、任せても良いか?」

「もちろんです!私にしか出来ない仕事ですからね!」

ほんとそれだ、これは小傘にしか出来ない事だ。

よし!頼むぜ…小傘!

 

こうして俺たちは「渋沢さんに恩返しするぞ大作戦」の準備段階に取り掛かったのだ。

 

 

 




今回はどうだったでしょうか?
これからハルと小傘は作戦に移るのですが、大体作戦内容は読者の皆様なら思いつきますよね笑
これからも彼等の頑張りを応援してください!(お前が話作るんだよ)
今回はここまでとなります、次回もよろしくお願いします!

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