最近、進路関連で遅れてしまって申し訳ございません…
時間の空き時間はこの作品に手がけていきますので今後もよろしくお願いします!
さて、前回衝撃的な発言を食らった小傘
どのように話が展開していくのかどうぞお楽しみください。
店員さんが俺の前に缶ビールを置く
「ハルくんは…もうお酒飲めたっけ? 」
「いやいや、俺まだ未成年ですよ!?」
相変わらずの認知症である。
「あれぇ?そうだっけな…そっかぁ、未成年かぁ…」
残念そうに渋沢さんは缶ビールをグイッと飲む
「てか、なんで焼き鳥屋なんですか?」
食事に誘ったのは俺なのだが、店を選んだのは渋沢さんだ。
「だっておじちゃん焼き鳥好きだもん。」
「え〜まぁ、俺も好きですけどねぇ?でもこういう時は…」
焼肉とかにしましょうよとか言おうと思ったが渋沢さんに恩返しをしたい気持ちがあるので本人の好きなものを食べて欲しい。
まぁいっかぁ〜と笑いながら俺はねぎまを一齧り
「あのなぁ、渋沢さん」
「んー? 」
俺はまた謝ろうかと思ったが、この楽しい雰囲気を壊すのも悪いと思い口に出すのはやめた。
「いや、なんでもねぇや…それより今日は俺の奢りだからさ、好きなもん食べてくれよな」
渋沢さんいつも一人で頑張ってるもんな、たまにはこういった恩返しをしたいのだ。
「ハルくん…」
渋沢さんは今にも泣きそうな目でニッコリと嬉しそうに笑っていた。」
「あれ?渋沢さんもしかして泣いてるの!?あれ〜?」
俺はチクチクと渋沢さんをいじり始める
「な、泣いてないやい!」
渋沢さんは慌てて腕で目をこすった。
ふふ…今日は良い日だな…食事誘ってよかったや
小傘はどうしてるかな…
<<一方小傘>>
「渋沢さんが死んじゃうって…なんで…」
あんなに元気なのに…
脳裏に渋沢さんの元気な様子が映る
「しぶさわさんはずっとまえからじぶんがもうすぐしんじゃうことしってたんだよ」
また違う傘が喋り出す。
「ずっと前から…?じゃあ今日は病院で何しに…確か、老人ホームってところを勧められたんじゃ…」
介護施設とでも言うのかな、そういったところに行くように勧められてたはず…でも…
「ううん、きょうでもないしろうじんほーむじゃなくてにゅういんをすすめられてたんだよ」
「え…え?」
全く噛み合わない…どういうこと…
「よくわかんないけどそんなこといってたよ、でもことわってた」
「ま、待って!今日は病院に行ってないの!?」
話がごちゃごちゃし過ぎてついていけてない自分がいる。
「きょうはどこいってたんだろうね…わかんないよ」
渋沢さんが嘘をついてたってこと…?あーでも忘れてただけなのかも…変に記憶が…
わからない…
「うーん…どうしよ…わかんなくなってきちゃった…旦那様の力になれないよ…」
「きのうはあめだったからね、ぼくはしぶさわさんのかさだからびょういんいくときにつれてってくれたんだ。」
渋沢さん、自分の傘を売り物の隣に置いてるのか…
そっか…それなら傘達がそういった情報を持っている理由がわかる…
「じゃ、じゃあ…渋沢さんは後どのくらい生きられるの?」
聞きたくない自分がいるが聞いてしまった。
「らいしゅうまでがげんかい…とかいってたよ」
来週…えっと…来週!?
「そ、そんなに…」
こうしちゃいられない!
「旦那様と渋沢さん探さなきゃ!」
<<一方ハル>>
「なぁ、渋沢さん」
「なんだい? 」
「どうしても、お店に残ってまでやり残したいことって言えないのかい?」
この事は小傘に任せたはずなのに聞いてしまった。
「はは、言えないなぁ…」
「そんなに…迷惑なのかな…」
ここまで信用されてないとちょっと寂しい
「傘屋さんまだ続けるんだよね…」
「まぁ、生きているうちはずっとさ…」
だんだんと会話が暗くなってくるのがわかる、何故だろうか
恩返しに食事に誘ったのに俺はまだ不満があるという訳か…
あーもう…やっぱ我慢出来ないな…俺
「渋沢さん…お願いだ…せめてその内容だけでも聞かせてくれ…」
悪い奴だな…俺も、内容聞いたらそれを手伝う気なのに、だけでもって言っちまった…。
「ハルくん…」
渋沢さんは困った表情をしている。
また困らせてしまったな…でも、聞きたい…
「そうだね…話すくらいなら」
渋沢さんはやっとそう言ってくれた。
「うん…で、なんなんだ? 」
「おじちゃんね…お店の傘ぜーんぶ売りたいんだよ…」
「そうなのか…? 」
「ほら、売れ残っちゃってさ…使ってくれる人もいなくて捨てられちゃうの…可哀想だろ…? 」
なるほど、渋沢さんらしい優しい考えだ。
「後何本くらいあるんだ? 傘」
「そうだねぇ…確か…うーん、23本だね」
認知症であるため、正確じゃなかったとしてもそこそこの数である。
「23本か、多いね。全部売り切れそう? 」
「売り切ってみせる。」
渋沢の目の色が変わった。この人は本気なんだ…
「おじちゃんの子供達みたいなものだからね…みんな旅立たせてあげなきゃ…」
とてつもなく堅い意志なのだろう、揺るがぬ信念を感じる。
「なぁ…売るの俺にも手伝わせてくれないか?」
「えぇ?」
「その方が効率良くなると思うよ?」
「ダメだ、これはおじちゃんのケジメでもある…ばあさんと約束したんだ。」
渋沢さんは重い表情で缶ビールを飲む
「おばさんと約束?」
「ああ、ばあさんはあの子達にいつも言ってくれてたんだ…必ず良い主人出会えるよって、そのばあさんの気持ちに応えてやりたいんだよ…おじちゃんは…」
渋沢さんにここまでの熱意があるとは…
温厚な人だと思っていたが、こう言ったところには男の意地というものを感じる。
「で、でも…手伝うくらい…」
「ダメなもんはダメだ」
渋沢さんは声を低くしてそう言う。
今までに聞いた事がなかった声だ。
「………」
俺はその威圧に黙り込んでしまった。
「…ごめん、そろそろおじちゃん帰るよ」
「あ、うん、お会計しとくね、奢りだから」
「うん…ありがとうね、ご馳走様」
そう言って渋沢さんは店を出た。
「はぁ…なんか上手くいかなかったなぁ…」
天井を見上げながら俺はため息をつく
「俺も帰るか…」
座席から立ち、俺は会計を済ませて店を出る。
失敗したなぁ…小傘の方は上手くいったかな
とぼとぼと帰り道その道中で
「あ、いた!」
この声は…小傘?
「あれ、なんでここにいる…ってまた俺探してたのか? 」
「あぁ、あの、あの…あのですね!」
小傘の口が上手く回ってない
「落ち着け、どうしたんだ。」
小傘はその場で深呼吸をした。
「渋沢さん…余命が僅かなようです…」
!?
「は…? 嘘だろ…」
「傘達がそう言ってました。そして、病院へ行ったのは今日じゃなくて昨日だそうです…しかも、お医者さんからはにゅういんするよう言われたそうで…」
「わけわかんねぇ…どう言う事なんだよ…」
頭の中がいっぱいっぱいになりそうだ。
渋沢さんの余命が僅か? 病院に行ったのは今日じゃなくて昨日? 医者に言われたのは老人ホームについてじゃなくて入院…?
くそ…!
「小傘!渋沢さんのところ行くぞ!」
「は、はい!」
焼き鳥屋から傘屋はかなり近い、もう帰ってるはずだ。
渋沢さん…もうすぐ死んじまうのかよ…
俺はまだあんたになんも返せてねぇ、さっきだって俺のせいで楽しい雰囲気作り切れなかった!ごめん…ごめんよ!渋沢さん…俺は、俺はまだ…
あんたに恩返しを…
焦りと感情の高ぶりで息がもたない
クソォ!
だが、足は止めずに走り続けた。
「はぁ…はぁ…」
小傘も一生懸命ついてきてくれている。
せめて話を…
見えた!傘屋!
「渋沢さん!」
走ら姿勢のまま俺は店に突っ込んだ。
「はぁ…はぁ…し、渋沢さん…?」
「…どこでしょう…はぁ…はぁ…」
渋沢さんが見当たらない
「どこだ…」
店に二階はない、すぐ見つかるはずだ。
しかし、どこを探してもいない…
「小傘!いたか!?」
「いません…」
早過ぎたか…?
あ、そうだ。
「小傘!傘達に聞いてくれないか!」
「わかりました!」
傘達なら何かわかるはずだ。
「みんな、渋沢さんどこに行ったか知らない?」
「おみせのなかにいるよ?」
「えぇ?」
「なんか…かおいろわるかったけど…」
「だ、旦那様!渋沢さんは中にいます!顔色が悪かったみたいです!」
まさか…
俺は視線を低くして探す。
嫌な予感は恐らく的中してしまうだろう…
「しぶ…さわ…さん?」
店のカウンター裏から何か見えた。
それが何かはもうわかってしまっている。
「お、おい…」
そこには
「どうして…クソ!」
仰向けに倒れた渋沢さんだった。
今回はいかがだったでしょうか?
二人の混乱に大きな悲劇が…
次回もご期待下さい!
なるべく遅れないように頑張ります!