学校生活の合間に書こうと思っていたのになかなか難しいですね…
これからは土日を使って書こうと思っています。色々遅れてしまうかもしれませんが、失踪はせぬよう頑張ります!
では本編をどうぞ!
傘の役割は切ないものだ。
雨に打たせて、ボロくなれば他のものにすぐに変え捨てられる
道具とは所詮そういうものだ。いつまでも持ち主の側にいれるようなものではない。だからこうやって彼女のような存在がある。
付喪神 それは長い年月使われた道具に霊や神が宿ったもの。
つまり彼女は忘れ傘の成れの果てである。
「ふふ、そうなんだ…楽しみだね」
彼女には傘の声が聞こえるらしい、人間や他の妖怪には分からないかもしれないが元々傘である彼女には傘の声が届く。
「あなたの色も素敵ね…」
こうやって同類だった仲間達と話すと気分が和むのだ。
彼女にとってそれは大昔の話
今では持ち主だった者の顔、名前さえも思い出せない。
妖怪にとって数百年なんてあっという間なのだが、あっという間とはいえ長い年月には変わらなく、記憶に残っていない。
今更思い出しても持ち主は人間、もうこの世にはいないだろうと彼女は思っている。
彼女は使われるのが好きだった。
傘としての結末は理解してたが、それでも持ち主に尽くせるのは幸せだったのだ。それの名残なのか、傘として使われなくても家に泊めてくれたという理由から「旦那様」などと言ってしまった。
「あなたはどんな人に買われたいの? 」
主人に忠誠を誓う
それは彼女にとって素晴らしい事であると自負している。
「小傘!!」
彼女は突然名前を呼ばれて驚いた。
「旦那様…」
そう、そこにいたのは彼女の今の主人だった。
何故ここが分かったのだろうと小傘は思った。
「ふぅ…やはりここだったか…あの婆さん良いヒントくれたぜ…」
これから怒られるのだろうかと小傘は少しビクビクしている。
先程、逃げ出してしまったのだから当然…
「大丈夫か?」
「え…あ、はい…ごめんなさい」
心配してくれていたのだ。
彼女は嬉しかったのか、モジモジしている。
「で、でも…どうしてここが? 」
「小傘の気持ちを考えればここかなって…傘屋さん」
そう、彼女は傘屋さんに来て傘達とお喋りをしていたのだ。
「そうでしたか…」
「なんの話してたんだ?」
「え?」
「さっき笑顔で傘とお話ししてただろ? 」
「えっとですね…」
「へぇ〜傘にも色々感情あるんだなぁ」
20分ほど話していただろうか
「ふふ、そうなんですよ〜」
彼女は傘との会話を人に話すなんて初めてだった。
「あ、そういえば…ここの傘屋さんってお店の人どうしてるんだろう…全然見かけないんですが…」
店内をよく見るが人陰がない
「うーん、外出するなら書き置きくらいしててもいいよな…」
傘とずっとお喋りするのに夢中だったので全然気づいていなかった。
「旦那様は、ここのお店の人ご存知なんですか?」
「うん、昔からよく行ってるよ。渋沢さんっていうんだけど優しい人だよ、よく可愛がられた。」
「優しい人ですかぁ…この子達も安心出来ますね、良かったです。」
彼女はホッと胸を撫でる
「うーん…」
ハルは何か考えている
「どうしたんですか? 」
小傘は心配して声をかける
「小傘」
「はい? 」
突然名前を呼ばれたので驚いてしまった。
「これからも色々あるかもしれないが…お前にはずっと付き添ってやる、だからお前も負けずに成長していくんだ。」
いきなりそのようなことを言われたので動揺してしまったが、少し考えたら理解したようだ。
彼は小傘のコンプレックスの内容に深く触れないような言い方で励ましてくれているのだと。傘と彼女は一心同体、手放すことは出来ない。
なら、自分が強くならなければならないと、そう理解した。
「旦那様…」
「その旦那様ってのなんか恥ずかしいな…」
前々から呼ばれる度に口角が緩みかけるのが見えてたがやはり恥ずかしいようだ。
「だ、ダメだったでしょうか…? 」
「い、いや、小傘の好きなように呼んで良いよ」
何でもかんでも抑えては彼女の成長の妨げになる、彼女には好きなことは出来るだけやらせてやりたいのだ。
「ありがとうございます…」
ハルは小傘の感謝の礼に向けて微笑みながら頷く
「にしても、渋沢さんどこ行ったんだろ…」
ハルは店を出て周りをよく見た。
店を放ったらかしにしてたら泥棒にやられるかもしれないのに。と心配している様子でもある。
「仕方ない、少し探しに行くか…小傘はここで…」
小傘にここで待つように言おうとしたが彼女の目には何か決心したようなものを感じた。
「だ、旦那様…言いましたよね、私が成長しなきゃいけないって…」
緊張しているのか少し震えている。
「わちきも行きます!いつまでも成長出来ないままなんて嫌なんですからね!ここから挽回してやりますよ!」
ハルはニッコリと微笑み
「よし、よく言った!それでこそ日本の妖怪だな!」
と小傘の成長の第一歩に喜んでいるようだ。
渋沢さんという人物はハルが小さい頃から可愛がってもらっているご老人である。渋沢さんは子供が好きであり、傘を買ってくれたおまけに飴をくれるサービス提供してくれる。
「どこだろうな…」
「旦那様、渋沢さんってどんな格好をしているんですか?」
「そうだなぁ…青い線のボーダー服に黒の長ズボン…あと眼鏡、そうだいつもサンダル履いてるよ。」
渋沢さんは基本その格好をしているため後ろ姿でもすぐわかるものである。
「ぼーだーって…しましま模様って事ですか? 」
小傘にそう言われてハルは彼女の方を見た。
「そうそう、あれ? 知ってるんだ」
「あ〜なんとなくですけど、あの人かなぁって、ぼーだーって服のイメージがわかんなかったんですけど青い線だし、長ズボンでサンダルで…」
え?っとハルは小傘の指差した方を見る
そこには彼等が探していた渋沢さんという人物がいた。
「渋沢さん!」
渋沢であろうその人物はハルの声に反応して振り返る
「お、おぉ…ハルくんじゃないか」
その人物は渋沢さん本人で間違いなかったそうだ。
「渋沢さん、お店放ったらかしにして何してるんですかー、泥棒入っちゃいますよー?」
「え? あーあー、うへへ、忘れてたぁ〜」
そういえば〜みたいに渋沢さんは思い出したようだ。
「もぉー、一緒にお店行きましょ? 」
ハルは少し怒り気味だが渋沢さんが見つかって嬉しそうである。
「んー? そこの嬢ちゃんは誰だい? 」
「あ、私小傘って言います。こんにちは!」
小傘はぺこりと頭を下げる。
「可愛いお嬢ちゃんやね〜ハルくんや、もしかして彼女さんかい?」
渋沢さんはニヤニヤしながらハルの肩に恥を当ててくる。
「ば、馬鹿!そんなんじゃないっすよ!渋沢さん!こ、小傘は…そのぉーなんていうんでしょうか…」
ハルは顔を赤くしながら慌ててなんて言おうか考えている。
「お、俺の親戚の子です。」
なんとまぁ、ベタな言い訳である。
「ほほぉ、そうかいそうかい〜」
「あ、あのぉ!? 信じてませんよね!? 」
「いんにゃ〜別に〜?」
ケタケタと笑う渋沢さんに振り回されるハル、その光景に小傘は笑っていた。
「ところで小傘ちゃん」
渋沢さんは小傘の方を向く
「はい? 」
「その傘…」
ゲッ!とハルは慌て出す。
「あ、えっと…」
小傘も先程覚悟を決めたのだがまた何か言われるのかと焦り出す。
「渋沢さん!えっとですね!」ハルが話の話題を無理矢理変えようとしたのだが。
「可愛いね」
「ほへ?」
渋沢さんの意外な回答に二人は同じ声を発した。
「か、可愛い?」
「うん、可愛い可愛い、そのお化けみたいなデザイン好きだなぁ〜なんか懐かしいよ。」
渋沢さんはそう言ってまた歩き出した。
「…………」
小傘はしばらくぽけーっと立ち尽くしていたが
「小傘」
「…!はい!」
とハルの声でハッとなる
「…良かったな、褒められたぜお前」
ハルは嬉しそうにニコリと笑いながら小傘の背中をポンポンと叩く
「ふふふ…そうですね!」
小傘は嬉し笑いが止まらないようだ。
そんな彼等を照らす夕日はとても綺麗だった。
どうでしたでしょうか?
今回は成長の第一段階となるお話になりました。
まだ完全にコンプレックスを克服したわけではないですが、彼女には強い味方が出来て嬉しかったようですね。(作者談)
渋沢さんとの会話はこの後も色々続きますので彼がどのようにこの先も関わっていくのか楽しみにしていてください!!
では今回はここで!