佐久間大学?え、学校ですか?   作:佐久間大学

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某FateのMADを見ていたら降りてきたので書きあげました
一応道筋はできたので、このまま書き通せるかが問題ですね、ハイ











奮闘

 片や叙事詩に語られる神代の英雄と片や史実に語られる忠誠の侍。

 考えるまでも無く、その戦闘規模には大きな差があった。

 

 爆発。大きな戦塵が空高くまで舞い上がり、その存在を大きく知らしめる。だが、それは次の瞬間には一瞬の膨張を挟んで切り刻まれていた。

 

「…………!」

 

 刀を右手に宙へと舞い上がったアサシンは、吹き付けてくる風の中で目を見開いていた。

 未だに大地に残る戦塵は、風に吹かれて消える―――――前に赤熱した光が溢れ、業火が弾ける事によって大きく吹き飛んでいく。

 迫る、赤い魔力によって形成された幾本もの槍。

 その穂先一つですら大地を容易く砕く様な代物を、複数だ。

 

「―――――なるほど、凄まじい」

 

 しかしアサシンの表情には、焦りなど一つもない。

 最初の一つに狙いを定めて、彼は刀を前面に横に寝かせた状態で構えていた。

 接触。同時に大きな火花が散った。

 何とアサシンは、その“不壊”という特性を使って、刀を盾に魔力の槍を伝って落ちていくではないか。ガリガリと火花が散ろうとも本人にはダメージが無い。

 数本の槍を潜り抜け、彼は頭から地面へと落ちていく。

 柄を握る右腕に力が宿り、刀身の峰を掴んだ左手の指先は血管が浮かび上がるほどに力を込めてその時を待っている。

 

 アサシンの落ちる先。そこに待ち受けるのは、黄金の槍を携えたランサー。

 彼を天高くブッ飛ばした張本人でもあるし、一部を除いた面でアサシンの上を行く世界最高峰のサーヴァントの一人でもある。

 恐るべきは魔力放出。それだけでも宝具と何らそん色のない破壊力を秘めているのだから化物染みている。

 そんな相手と正面切って、アサシンは戦うのだ。

 

「―――――シッ!」

 

 落下の勢いとデコピンの要領を加えた神速の斬撃。

 火花と共に甲高い金属音が戦場に鳴り響く。

 ランサーの槍は、その全てが金属となっている。穂先も柄も一体型であり、少なくとも通常の槍で行える穂先を斬り落とすという対処法は不可能。そもそも宝具の時点でまず破壊など考えるだけで無駄ではあるのだが。

 

「フッ…………!」

 

 一瞬だけ強く刀を押し込み、その反動でアサシンは鍔迫り合いから離脱していた。

 やはり、魔力放出や宝具の強力さなどを加味すれば、そもそも彼がランサーを相手どる時点で間違っていると言えた。

 だがしかし、“黒”の陣営でランサーを抑える可能性があったのは、ランサー、アーチャー、そしてアサシンの三騎のみ。キャスターは接近戦向きではなく、ライダーも武勇に秀でるわけではない。バーサーカーは魔力に関して優れていても他のステータスが追い付かない。

 

 十を超えるような銀の線が空よりランサーへと食らいついてくる。

 その尽くは、金と紅蓮によって撃ち落とされているのだがそれでもアサシンは刃を振るい続ける。

 彼はスキルによって、そこが高度数万メートルであろうと、深海であろうとも十全に刀を振るう事が可能。空中であろうともその体捌きによって変幻自在の攻めを成立させていた。

 だが、それでもランサーとの戦局は拮抗していると言える。

 

「強い…………」

 

 数十にも及ぶ打ち合いの末、アサシンは大きく弾かれると地面を滑り着地していた。

 その体には傷はないが、ひらひらと揺れる羽織はその限りではない。一部には解れがあり、業火によって若干の焦げが見て取れた。

 対するランサーはと言うと、無傷。その身を護る黄金の鎧には何度となく刃が届いていたのだが、その効果によって手傷は全て十分の一以下に抑えられ、その上回復魔術によって即座に傷の再生が行われているのだ。

 千日手。しかしその実態は、長引けば長引くほどにアサシンが不利になっていく。

 

 では両者の主観はと言うと、正直攻めきれないというのが正しい。

 アサシンは言わずもがな、ランサーもまた魔力供給という点で不安を抱えているからだ。

 トップサーヴァントであり、世界屈指の大英雄。そんな彼のコストもまた甚大。少なくとも、宝具の開放などしてしまえばマスターの方が先に潰れかねない。

 要するにこの状況、今の両者にどうにかする術がないという事。

 

 故にこの場を壊すのは、第三者以外にあり得ない。

 

「「!」」

 

 睨み合っていたランサーとアサシンは、揃ってある方向へと目を向けた。

 両者ともに究極の一と言っても差し支えない程の達人であり、それゆえに目を逸らすどころか瞬き一つですらも致命的な隙になりかねないにも関わらず、二人はその方向を見たのだ。

 それは、戦場の中心付近。赤雷や極光、稲妻が走っていた地点。

 

「怪物…………」

 

 アサシンが小さく呟く。

 それは最早人の形などしていない。それどころか生物と形容する事すらも憚られるような異形。

 そして―――――

 

 

 

 

 

 

 大聖杯の喪失。それは、質で劣る“黒”の陣営にとって手痛い等という話では収まらない打撃となっていた。

 それぞれの陣営で見れば、“黒”はセイバー、並びにバーサーカーを失い、“赤”はバーサーカーのみ。元より、質という点で劣り、その上数の上でも上回られたこの状況。

 劣勢どころか、負け戦と称してもおかしくは無いだろう。

 だが、それでもサーヴァントは艱難辛苦を乗り越えて、苦渋だろうと飲み干してマスターの命を熟し尚且つ踏破していかなければならない。

 

「ここに居ましたか、アサシン」

「アーチャー殿……何とも、厳しい戦となりましたな」

「そう、ですね…………よもや、あれほどの術士が居るなど想定外でしたから」

「“赤”のキャスター…………あの空中要塞の持ち主ではありませぬか?」

「マスター達もそう考えているようです。とはいえ、私がここに来たのは貴方を呼びに来たからですよ」

「大聖杯の奪取、といったところでしょうな。小生としても異存ありませぬ」

 

 “赤”のバーサーカーが放った一撃によって半壊したミレニア城塞。

 瓦礫を蹴り分けていたアサシンは、迎えに来たアーチャーと共に彼らの王の下へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 英霊の戦いである聖杯戦争において、知名度補正というのは大きい。

 例えば、世界的な大英雄であるヘラクレスは、その知名度により大抵の地において相当な力を発揮することが出来る。

 逆に、クー・フーリンは欧州において知名度の高さがある物の、たとえば日本などではそれほどではない。幾つかの能力には制限が掛けられ、場合によっては宝具の使用にも制限が課せられる場合がある。

 

「「…………」」

 

 火花が舞い踊り、甲高い金属音が間断無く響き続ける。

 空中庭園に乗り込んできた“黒”の陣営を相手に“赤”の陣営もまた己の武威を遺憾なく発揮していた。

 だが、

 

「フッ……!」

 

 場所が悪いと言わざるを得ない。

 この空中庭園は、宝具だ。一サーヴァントの()()()であり、()()でもある。

 大英雄になればなるほどに、知名度補正というバフが掛かる。しかしそれは言い換えれば、知名度補正が無ければバフが無くなるという事。

 この庭園で戦う全サーヴァントが、知名度補正0という状態だ。下で戦っていた時と比べて大なり小なりの影響を受けるというもの。

 一人を除いて。

 

 “赤”のランサーは、今現在進行形で武器を交える眼前の敵に称賛を内心で向けていた。

 彼の相手は、当然と言うべきか“黒”のアサシン。その技量には一切の陰りが無く、知名度補正に関しての影響を元から受けていなかったことは明らか。

 ただ、アサシン一人が普通に動けてもその他がそうとは限らない。

 元からネジの外れている“黒”のライダーや。自己分析に優れ、最善を尽くす“黒”のアーチャーやキャスターは善戦している。

 しかし、“黒”のランサーは別であった。

 彼は、ルーマニアにおいては大英雄であろうとも、その他の地域では別。そもそも根っからの戦士ではないのだ。

 今も、地上では五分以上で押していた“赤”のアーチャーに押し切られかねない状況。

 

(敗れる、か…………)

 

 矢によって砕かれる杭を見ながら、ランサーは冷静に己の先を見据えていた。

 自身の力量を知るからこそ、諦めも付くというもの。

 だが、これは武人の死合ではない。

 

「まだ終わっておりません、領主(ロード)

 

 まるで幽霊の様に現れたのは、ダーニックだった。

 この場の目が彼へと集中していく。

 

「貴方が宝具を開帳していただけるのならば、ね」

「…………ダーニック、貴様。余に今、何と申した?」

「何度でも申しましょう。貴方が有する最強の宝具を開帳すべき、と申しているのです」

 

 ダーニックが言葉を連ねた直後、奔流とも言うべき殺気がランサーより放出され始める。

 

「ふざけるなッ!」

 

 殺意と憤怒を混じらせて、唾を飛ばしてランサーは吠える。

 

「余は断固としてあの宝具は使わぬ!たとえこの場で朽ち果てようとも、受け入れよう!あのような醜悪極まりない姿を晒すぐらいならばな!」

領主(ロード)。最早そのような事を言っているような時間はとうに過ぎたのです。過去の亡霊でしかない貴方と違い、我々は明日を紡ぐ義務がある。この戦いを敗北で終えるわけにはいかないのですよ」

 

 言って、ダーニックは片手を掲げ令呪に魔力を通していく。

 

「貴様ァッ!」

告げる(セット)。宝具【鮮血(レジェンド)(・オブ・)伝承(ドラキュリア)】を発動せよ」

 

 ダーニックの腕より、令呪が一角消えた。瞬間、ランサーの体は変化を見せ始める。

 黒い靄が全身より吹き出し、魔力が高ぶる。理性の色が瞳より消え失せて、最早君主然としていた面影などは見出せないだろう。

 

「第二の令呪を持って命ずる。聖杯を得るまで生き続けよ」

 

 無情にも響く二つ目の声。そして消える令呪。

 その瞬間、ランサーは残る理性を総動員して、ダーニックへと襲い掛かっていた。

 鋭利に伸びた爪による貫手は、容易く彼の肉体を抉り、貫き、穿ち抜く。しかし、ダーニックは笑みを絶やしてはいなかった。

 それどころか、最後の令呪が輝きを増していくではないか。

 

「第三の令呪を持って命ずる!我が存在をその魂へと刻み付けろ!」

 

 元より、彼は魂の専門家。多大なリスクを有する魔術を妄執をもって成してきた彼の術式は、令呪の後押しを受けてランサーの霊基へと混ざり刻まれ、変質を促していく。

 

 そこに居るのは、最早ランサーでも、ダーニックでもない。

 妄執の化物(吸血鬼)がそこに居るだけであった。

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