「結界の理論は分かりましたか?
つまり、反比例のグラフのように展開範囲、防御能力が移動するのではなく、展開範囲が広がることで世界からの抵抗が増して脆くなっているので、防御能力が下がる訳です
この対策としては〜」
結局、この授業はほとんど聞き流した
次の授業、体育
と言っても軍式である
着替えてグラウンド集合と言われた際に女子も迷わず脱いでいた辺り驚愕だったが
あまり見ないことにした
あまりであって、全く見ないわけではないのが実に男子高校生だが
何か悪いか?
グラウンドに全員で到着したあと、
無茶苦茶走らされた、間違いなくイジメだ
これ間違いない
さぁて、走り終わった息も絶え絶えの俺たちにくだされたのは……
「あら何勝手に休んでんだオラ!」
飴は?
鞭ばっかりじゃ馬は懐かんぞ?
なんて茶化す間も無く動けなくなるまで走らされたのだった………もう帰りたい
「………で、体力テストを終えた、と」
「づがれだぁ〜」
「はいはい、そんな声出さない、
はいこれ、強制活性剤よ」
「……体力削らない?」
「大丈夫よ、別に体力を消費して潜在能力を解放する錠剤じゃないわ」
「…ならいいや」
薬をもらい、飲んで、
「よし、なんかと引き換えに活力を絞り出してる感じしかしないけどまだ頑張れる!」
そのあとはいつも通り食事、睡眠
翌朝登校を繰り返して
昨日と変わらない明日、を繰り返し
二年……軍に仮配属される日だ
一応だけど、俺はもう
元の世界に帰るのを諦めた
永琳に異世界から来たと明かしたところ
単一時間軸上なら、いずれ俺のいた場所に戻る可能性もあるらしいが、そこに至ったところで
最早俺とは関係のなくなっている他人でしかない友人と、以前のような関係を築き直せるとは思えない
それに、ドーパントのメモリは強大すぎる、これは日常側の世界に存在してはならない物だ
「だから、俺はこのメモリを全部回収する」
二年間の生活も無駄にはなっていない
肉体はひ弱な高校生から、鍛え上げられ…ているとは思えないけど、絞り込みも出来ている
素の身体能力でもバク宙くらいはできる
メモリもいくつか発見された
「現在の所持メモリは
A『anti matter』B『beast』C『crystal』 D『dark』F『fusion』H『heat』j『joker』N『Nacca』M『mirror』P『penetrate』S『scull』『slush』U『Utopia』Y『YUNKEL』Z『zone』」
内、
………正直、カラスがユートピアを咥えているのを見たときはぞっとした
そう、適合条件の厳しいゴールドメモリは圧倒的な力を持つ代わりに限られた適合者しか使えない
普通なら起動、ドーパント化くらいは適合率が低くても出来るが、ゴールドは適合者以外はメモリの側に弾かれてしまう
まあ、適合者が見つからなくてもおかしくはない
とはいえ、ユートピアドーパントは絶望的な相手だ、精神攻撃耐性がないと勝てない
サイクロンとアクセルのメモリの代替として、一応スカルメモリで戦うことも可能かもしれないが、中級に過ぎないスカルメモリは単体では押し負ける可能性が高いのだ
ジョーカーは出力上限値が上がるシステムを用いて翔太郎の適合率の高さを活かし、限界以上の力を引き出していた
サイクロンは精神干渉無効のフィリップが発見した風吸収能力を用いて消費したエネルギーをリチャージできた
アクセルもエンジンメモリを使えば
いくらでも闘志を加速できたし、変身者の照井自身も精神攻撃耐性を有していた
スカルとて、本来ならユートピアの精神攻撃など意にも介さぬ精神的強靭性を持つだろう鳴海荘吉が変身していたが、今の変身者は俺、メモリを使えば精神耐性は付くかもしれないが、身体、精神共に心許ない
最低限、ドーパントでメモリ二本使用かつ開幕マキシマムで奇襲、これくらいできないと死ぬ
欲を言えば複数のドーパントで袋叩きにしたいところだ
ベルトがないからライダーと言えないあたりがちょっと問題だけどな
「そろそろ時間じゃない?」
「あぁ、行ってくるよ、永琳」
「私はどうなんですかっ?」
「ハヤテもな、」
ぴょんぴょんしていたハヤテが頭をこっちに向けて擦り寄ってきた、撫でろの合図だ
「……よしよし、またな」
「…兎は寂しいと死んじゃいます」
「それ、最近否定された説だぞ」
「………私は寂しいと死んじゃいます!」
「それ堂々というかよ…おっと、行ってくるよ」
「「行ってらっしゃい」」
美女二人からの見送りとは気分がいいものだ
「んじゃ行こうか……馨!」
「……えっ………」
すぐ近くを歩いていた大男、
荒川馨を捕まえる
「なんだよテンションひっくいなぁ」「逆にお前テンション高過ぎか?配属だぞ少しは緊張くらいしろよ…」
「今更緊張なんてしてられねぇよ、
お前こそ落ち着け」
軽い掛け合いだが、二年来の友人ということもあってすぐに調子を取り戻したようだ
「オッシ!いける!」
「よし!…って、どうせ同じ小隊は決まってんだろ」
「たしかに………俺、お前、
それに隊長で終わりか」
成績上から順なんていう制度のせいだけど、同じメンバーで固まりやすいんだよなぁ
「ほら、残りの二人も来たぞ」
行ってるうちに合流した小隊の残り二人
つまるところ、このパーティは
俺と馨で前衛を塞ぎ、
後詰め二人が射撃、というフォーメーションを得意とする
「ねぇねえっ!聞いて聞いてっ!
ミノリってば今日部屋にいた虫にビビって寝起きダッシュしてそのままここ来てんだよ〜!」
「いわないでぇっ!」
こっちにむけて、囁くというにはあまりに大きい声で話しかけてくる咏薇、それにすがりついて黙らせようとする美埜理
「…逆にそれを平然と野郎にバラせるお前の性格が怖い」「同意」
「あぅぅあぅあぅ〜」
赤面しっぱなしの美埜理を
馨が庇って咏薇から引き離す
「咏薇は俺が話し相手になってやる」
取り敢えず俺が間に入って
その隙に馨が落ち着かせにかかる
「…大丈夫か?落ち着けるか?」
「………はぃいっ…」
涙目じゃないか
「じゃあマル秘情報!おっぱいおっきい美埜理ちゃん!実は最近また成長して今やFです!」
「「ぶっっ!」」
「もうやだよぉ〜」
「今日のブラはっむぐむぐむぐ〜っ!」
「お前はもう黙れ…」
これ以上美埜理の尊厳を破壊する前に口をふさぐ
「急ぐぞ」
「おう!」「はいっ!」「むぐ!」
三人を率いて、走る
霊力を使えば飛べるらしいが、俺達はまだ飛べないので、脚力強化と慣性制御で地上を走る
そして、
「08:26…ずいぶんギリギリな到着だな」
ギリギリ間に合ったのだった
「すんませんしたー!」
「すみませんでしたー!」
「さっせったー!」
「むぐむぐむー!」
一瞬ギョッとした第1小隊、
鎧砥甲隊長は、それでも、うむ!
と大仰に頷いた
「早く来るのはいいが、ベストコンディションのためには十分な睡眠が不可欠だ!諸君はよくわかっていると見える」
そして、俺の方を見て
「少年か!よく来た、改めて自己紹介しよう
第1小隊隊長の、鎧砥甲だ
諸君のデータは把握している
早速編成と陣形の確認に当たるぞ」
「「「「了解!」」」」