「いつものことだけど、永琳」
「はぁ〜、、これでも私お仕事忙しいのよ?」
「疲れが顔に出ていない、疲れていると[疲れた]とはっきりいうタイプの永琳がその系統の発言をしていない、つまりまだいける」
「…それがものを頼む立場かしら?」
「頼む」
「うふふっ、まぁいいわ
次のメモリはなに?」
「リバイブメモリだ、ドーパント化した時に辞書に登録済み」
「はーい、じゃあメモリのコードお願い」
いつものように渡されたキーボードでリバイブメモリの[封じられた記憶]を書き写し、記していく
擬似的な複製品メモリを仮想モデルに形成して、永琳へ渡す
「これでいいかな」
「度合いはあなたにしか分からないでしょう?」
そりゃ確かにそうだ
『メモリの所有者+完全なる毒素耐性』
これが俺のチート、
つまりガイアメモリの
だというのにメモリがT2仕様なせいか既にほとんどが適合者と出会ってしまっているようで、ほとんど俺の元にやってこない
ケツァル、テラー、アビス、デス、ヘル、クレイドール、スミロドンなどのゴールドも失われていると考えると悲観してしまう
インビジブル、フォートレス、インパクト、ゼロ、まだまだ危険度の高いメモリは多いのだから
早く回収オア破壊しないと
「いや、この世界寿命ないから問題ないのか?」
ここ二年、永琳の容姿が全く変わっていないからと疑問に思って、何か特別なアンチエイジングでもしているのかと聞いてみたことがあるが、その時に
この世界の人間に老化が存在しないことがわかったのだ
いや便利ですわ
「はいできた、取り敢えず要望通りに
速度型のクローと威力型のカッターに変形できるようにしておいたわよ?」
「おっしゃありがとう!
コレでメモリの性能を活かせる!」
笑いながら新武装
[リバイブレイカー]を受け取り
「お礼はなにが貰えるのかしら?」
硬直した
「………考えて…なかった…」
「あら、ダメじゃない
ちゃんと考えてないと」
ニコニコ笑いながら言うかそれ…!
甘やかな声とともに俺に擦り寄る永琳
「ねぇ、私どうしても欲しいものがあってね」
「…何だ?」
「好きだよ、って言って?」
「それがどう」「あなたの言葉が欲しいの」
耳元でゆっくりと、甘やかな声で囁かれる
「はいはい、どうせなんかに使うんだろ?」
俺は努めて色香を無視して
「好きだよ…これで満足?」
「もっとカッコよく、愛が足りないわ」
「…欲張るなぁ、『好きだよ』」
「もう一回、録音忘れてたわ」
「ダメじゃねぇか!
はぁ、『好きだよ』」
いそいそと取り出された小型のボイスレコーダーに向かって事務的に声を吹き込み
「ん、ありがとう…今夜は快眠出来そう」
「そう、そりゃよかった」
実験に使う金銭の供与とかいわれたらどうしようかと思ったが、
俺自身も特に何かあるわけでも
無い条件でよかった
金銭が苦しいならハヤテはどうなんだ
って、おもっただろ?
残念だけどアイツは[奴隷兼ペット]が職業なので基本無給
いや俺は折を見てある程度の金銭を渡してはいる、労働基準法に則る訳では無いが
ここの世界での普通の生活はできる程度の額だ
なのに全然使わないんだが
「じゃあ俺は行くよ」
「あら?日課のお散歩かしら?」
「あぁ、そうだよ」
メモリを探すためのな
メモリと所有者は惹かれ合う
俺は定期的に外出してそこらじゅうを歩き回り、落ちているメモリがないかを確認したりしている
「最初はたまには拾えたんだが
そろそろメモリも所有者を見つけちゃったのかなぁ」
都市の外に撒かれたメモリを回収しないと終わらなそうだし、ガイアメモリを偶発的に使用して事故が起こる可能性だってあり得るのだから
俺も頑張らないとなあ
「…そこのあなた」
「ん?」
背後から突然声をかけられた俺は
振り向いて応える
「すこし、匿ってくださらないかしら?」
「…そりゃ穏やかならぬ雰囲気だね
了解、家に来なさい」
「助かるわ」
うつむきがちだった少女が
ようやく顔をあげて
「私は蓬莱山輝夜、カグヤと呼びなさい」
「了解、カグヤちゃんねOK」
日本一番有名かもしれない名前の姫きたぞ、富士山の名前の由来やぞおい
やっぱり日本古代系リスペクトな世界なのかね
「それじゃあこっちだ
移動するぞ…飛べる?」
「大丈夫よ、私も
「じゃあ行こう-おおっ!」
ジャンプしたカグヤちゃんはそのまま滞空して
地上50センチ辺りで水平移動
俺は霊力推進で走る
数分と経たずに家の近くまで辿り付き
「ただいま、この子匿ってあげよう」
二言目が突飛すぎるかな?
「失礼します」
上品に廊下へ上がるカグヤ
「おかえりなさいませ、ご主人様
いらっしゃいませお客様」
ハヤテの方も動じていない…だと
「場所によりますけれど、
どこから匿うのでしょうか」
微笑みながら首をかしげるハヤテに
少女はぼそりと呟く
「…わたしの家、蓬莱山よ」
「あら、蓬莱山…それはまた
随分な名家ですこと、隠し通せるかしら」
のらりくらりとした韜晦で匿うかどうかの明言を避けるハヤテ
「…俺は匿うよ、蓬莱山ってのが
どんな家かは知らないけど、無名の俺なら『突然匿ってと言われて流された』で説明もつくだろう」
さぁて、軍の連中にも隠さなきゃなぁ
「良い返事をくれたのは貴方が初めてだわ、みんな家柄を怖がってしまうから
お礼に、これあげる」
少女から手渡されたのは…Eのメモリ
『eternal』
「私は永遠と須臾を操る程度の能力の持ち主、危なくなったら私だけなら逃れることも出来るの
貴方達は悪くない、って証言くらいはしてあげる」
おそらくは、幾度も脱走を試みて
失敗し続けてきたのだろう少女は
もうすっかりおなじみになってしまった
責任逃れを口にして
「そうか、了解…とでもいうとでも思ったか?」
始めて、この段階で裏切られた
「そもそも俺はやったことの責任くらい自分で取る、自分の裁量でできないことはしない、その判断がつくのが自立した大人だ」
カグヤへとを手を差し伸べて
「俺がお前を匿う、良いね?」
「…アッハイ」
「暑いラブロマンスしてる所悪いですが、ご主人様は[私の]ご主人様なので横から出てきた童女にはあげません
…あれ?」
急に空気が崩壊した
感情の読めるハヤテはその違和感に気づいてセリフが中途終了し、
「ご主人様!もう近くに追手が来ております、姫さまは御避難を、こちらです」
「えぇ」
「り!」
簡潔な返事とともに
誘導に従って奥へと隠れるカグヤと
表側で待機して、さも食事と睡眠の間の休憩時間とでも言わんばかりに座敷に座る俺
そこに
「たのもう!」
どんどんと扉を叩く音、
この家の扉ノッカー付きなのに
「おうとも!」
取り敢えず返事をしてから出る
「私は蓬莱山の家に仕える者だ、
蓬莱山家の至宝、輝夜姫がこちらに」
「…来たかどうか、か?」
「話が早くて助かる」
「単刀直入に言おう、来ていない
そもそも家庭内の問題では?」
「それで話がすまないから言っているのだ、蓬莱山の家は時間を司る『永遠』の能力、『須臾』の能力を持って生まれる宗家の御子を当主とするしきたりがあるが
そのどちらも併せ持つ姫は次期当主としての御役目をお嫌いになっておられる」
「それが家庭内の問題ではないか
それを解決するのにはまた長い時間が掛かりそうだ」
「その通りではあるが…あぁ、失礼する!」
男は隣の家に走っていった
あれはしらみつぶしに当たっているのか?
お疲れ様だな全く