幻想の記憶使い   作:魚介(改)貧弱卿

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16話

「第一小隊現着した!」

 

「第七小隊現着」

「第三小隊も現着しました!」

 

三つの小隊が集合したことを確認し

臨時で協力して戦線を展開する

 

「隊長三人で前に出る、ほかは援護と連携、防衛線を展開しろ」

《了解!》

 

 

見たところ低級の異形型妖怪の集まりのようだが、警戒は重要だ

一応周囲警戒、後方防衛のために

出来ることをする

 

というわけで、

「馨、一応メモリを出しておけ

俺も…使う」

 

強く息をつき、スカルマグナムを召喚

スカルメモリをマキシマム待機状態にして

「………」

 

飛び出してきた獣型妖怪に、

リバイヴクローのマキシマムドライブ

インシレネートクローが叩き込まれ

 

「「「グギャァァア!」」」

消滅、消滅、消滅!

 

数体纏めて飛びかかってきた妖怪を

炎を帯びた爪が消しとばした

「おおぉっ!すげぇな!」

 

リバイブクローを撫でながら感想を述懐している馨に、伏兵が襲い掛かり

 

撃ち砕く銃弾(スカルパニッシャー)

連射された銃弾が一発一殺、

的確にコアを撃ち砕き、消滅に追い込む

 

妖怪は実体が希薄な分、

形象の固定化のために核を持ち、それを破壊できれば一瞬で撃破できる

 

「……終わったな、案外あっさりと」

「終わりましたね」

 

三人が集まって来る…

そして

 

「ぐあっ!」

突然第七小隊の一人が倒れた

 

「奇襲警戒!特殊型の異能力持ちだ!」

《了解!》

 

叫ぶような声とともに

全員が即座に警戒態勢に入る

 

しかし

「がぁぁあっ!」

 

「ぐぁあっ!」

 

次々に味方は倒れて行く

 

だが、布石はある

「…………っ!」

 

吟薇に向かった攻撃が躱された

「感知完了!3時方向!40メートル!」

「了解!」

 

広域霊力散布を用いて隠れていた対象をあぶり出したのだ

「突撃するぞ!」

馨が加速して…第三戦闘速度で突撃

瞬時に飛び蹴りをカマす

 

「首飛ばし晒せ!」

「ガバァッ!」

 

すっ飛んだ馨が木の陰にいたらしい妖怪の首を飛ばし

すかさず周囲に結界が展開される

 

「…守護するもの、癒し手の声は此処に届く、弓と剣を捨てて清めよ、暗く、穢らわしき死を遠ざけよ」

 

朗々と声が響く

治癒術を得意とする美埜理の結界術

広範囲治療術式(code:area heal)

 

展開時間が致命的に長く、発動中は集中力を治療に割くために無防備になるが

回復効果も範囲も極めて高い優秀な術だ

 

「………これで、術式完了です」

 

倒されてはいたが、さすがAクラスの精鋭、致命傷になったものはいなかったらしい

「……体調が帰ってきたら説教されるぞ…」

 

俺たちが軽く話しながら暗い未来を想像していると

 

「なんでだよ!」

 

怒鳴り声が響く

 

「なんで俺たちの躱せなかった攻撃に!美埜理が反応できんだよ!おかしいだろ!」

「よ、妖怪を買収して、襲わせたんだろ!」

 

第三小隊の土岡と菱魚だ

卑屈なバカとして有名だったが…ついに実力差さえ把握できなくなったか

 

「俺たちを襲わせて!こ、殺す気だったんだ!この卑怯者!」

 

 

その不快な声に、

第一、第七小隊から殺意が湧き上がる

「…お前ら……」

 

「もうダメだろコレ…」

 

「よせよ、同じ小隊員として恥ずかしい」

「うぅるさい!平民風情が!僕たちと同じ班にいられるだけありがたいと思え!」

 

第三小隊唯一の良心

珪木(カツラギ)が止めにかかるが

耳に入っていない

 

ダメだこりゃ…第三小隊はボンボン二人に良心一人の構成だが、聞く話によると

その良心も妹の病のために土岡と菱魚の親から金を借りているのだという

 

詳しくは知らないし当人同士の問題には介入しないのがマナーだから

俺は首を突っ込みはしない

 

「隊長と合流しよう、馨、美埜理、矢柄」

《了解》

 

俺たちは第三、第七小隊に警戒を任せ

隊長達の元へと急いだ


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