幻想の記憶使い   作:魚介(改)貧弱卿

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17話

隊長と合流するために走った俺達は

 

衝撃的な光景を前に絶句した

隊員全員で束になっても敵わない隊長が

 

隊長格三人が既に倒されているのだ

 

「あなたは食べてもいい人間?」

 

戦場に不釣り合いなほどに優しい声で

ゆっくりと言葉を紡ぎながら

こちらへ向かって微笑む女性…

 

いや、人型妖怪(シェイプ:ヒューマノイド)…そして、この容姿、この口調、間違いない

 

宵闇の妖怪、EX:ルーミアだ

 

「貴様!どうやって隊長を!」

「ダメだ下がれっ!」

 

詰め寄ろうとした馨を、強引に掴んで引っ張る

 

その瞬間、閃光が走った

「っつ!」

「あっっぶねぇえ!」

指先一つ、あと僅かにでも踏み込んでいれば首を刈られて死んでいた

 

『scull』「変身!」

『dash』

『mirror』

マキシマムドライブを起動、

スカルマグナムにダッシュメモリ

ミラーシールドにミラーメモリ

 

メモリ三本使用の全力全開

今現在最強の威力の攻撃である

 

「アーマーピアース+リフレクト リフレイン」

加速する弾丸が無限反射でルーミアを襲い

 

『revive』

リバイブクローにリバイブメモリが装填される

 

同時に発生する赤いエフェクト

丸ノコ型に変形したリバイブクローを握った馨が雄叫びをあげ

 

「パワードスタッバー!」

 

全力で丸ノコを振り切る

その瞬間、空間が切断され、

連鎖的に避けた空間は切れ目を広げて行く

 

しかし

 

「ふっ!」

 

黒い球体が急速に展開され

空間のひび割れを捕食し、弾丸は消滅した

 

「クソッ!」

「全員!隊長担いで逃げろおおっ!」

 

俺はスカルメモリの痛覚鈍化と骨格強化を活かした格闘を挑み、ルーミアはそれを受ける

「死になさいな」 「残念ながら」

死ぬわけにはいかない

 

メモリを交換

『penetrate』メモリを

スカルマグナムに装填して、マキシマム

技名宣告より早く撃ち抜いて

 

「ぐ……」

 

動きの止まったルーミアを尻目に

全力で逃げ出した

 

 

「…都市の大結界まで逃げ込めた…」

あのあと、全員で逃げて来たのだが

第三、第七小隊の隊員も、なんとか

全員引っ張り込むことに成功していた

 

「あれほどの力を持った妖怪、しかも人型で、高い知能がある…しかも、隊長三人を撃破?なんて報告すりゃいいんだ?」

「妖怪相手におめおめと逃げ帰って来た愚か者扱いされるのは避けられないだろうね、

 

命あっての物種だけど」

 

「みんな大丈夫?生きてるー?」

「なんとかな…」

「隊長も大丈夫です!」

 

「なら…よし!」

 

全員生存という奇跡をかみしめつつ

報告に走る

 

「行かなきゃならない!みんな走って!

この情報を伝えるんだ!隊長格を三人まとめて下す大妖怪が現れたって!」

 

絶望的な事態を、早く伝えなくては

残りのメモリの使用も解禁する必要がある

 

ゴールド二本の同時使用はまだ体が追いつかないが、それでもやる必要があるかもしれない

 

「…やらなくては…」

 

俺達は体調を医院に運ぶ事を七班に任せ、三班に周囲の警戒を依頼して

報告のために軍本部へと向かった

 

 

 

翌日

 

「永琳、マズイことになった」

 

俺は、報告を終え、警備隊(全員が隊長格、先代の防衛軍)に都市防衛を委任して解散した後

 

永琳に相談しに来ていた

 

「把握してるわ…こっちにも情報が流れて来たもの…ただ、最近の情勢を鑑みて

軍上層部はエクソダスプロジェクトを立ち上げたわ、これが成功すれば

妖怪とは無縁の世界に行くことができる」

 

大脱出計画(エクソダスプロジェクト)?なんだそれ?」

 

耳慣れない計画名だが…

新規立ち上げなら当然か

 

「貴方は知らないでしょうけど、最近、地上の穢れの密度が上がって来ているの

もともと寿命や老化の概念のなかった私たちに、それが生まれるほどにね」

 

 

「…老化の概念…ねぇ」

 

「別に、すぐに死ぬわけじゃないけどね…それでも、『寿命』というのは厄介でね

徐々に能力が劣化していき

そして、ついに回避し得ない永遠の眠りを叩きつけて来るのよ」

 

実際に俺にとっては既知のものだが

数年間ここにいた俺としては

老化のない世界というのは違和感が強い

 

なにせ、成長もしないのだから

死を否定するということは

その対側面である生をもまた、否定するということ

 

どちらも切り捨てた先にあるのは閉塞だけだ、故にこの都市は閉塞した

…しかし状況は変わった

 

生が溢れ、死は湧き出した

時間の止まった閉塞から、でなければならない時が来たのだ

 

「それから逃れる移動か、わかった…で、そのプロジェクトはどのくらいかかるんだ?」

 

「…まだ、計画自体打ち合わせ状態だから、何とも言えないけれど

上層部も危機感があるらしいから

10年はかからないんじゃないかしら?」

「遅すぎるんだよなぁ…」

 

「いつもながらせっかちね」

部屋の奥から顔を覗かせたのは

 

輝夜だ

 

「だれでも遅いとは感じるだろう

ただでさえ老化という枷があるというのに、それを考えていないのか

それとも10年くらいなら問題ないと侮っているのか?」

 

「きっと、そんなことはどうだっていいのよ、大義名分があるから逃げようという

計画を練っているのよ?逃げる責任をだれに押し付けようか、という話し合いでもしてるんじゃないかしら?」

 

いつもの澄まし顔でとんでもないことを言い出す輝夜と、

 

「輝夜さん!ダメですよ?

仮にもお偉いがたなのですから!」

 

慌ててそれを抑えるハヤテ

「…いや、どうせ誰にも聞かれやしないんだ、問題ない…それより、警備隊の

皆さんにも、一応情報をより詳しく伝える必要があるな…」

 

さすがにあの妖怪(ルーミア)の情報を集めるというのは無理があるが、近しいメモリ

『dark』からそれを取り出すことは可能だろう

 

となると…ゴールドメモリを

集める必要があるな

 

「ペネトレイト、アンチマター、フュージョン、ユートピア、ナスカの5本しかないメモリ達、ダークが使えたとしても有能な対抗策とは言い難い

……最悪、俺がダークを使うか」

 

相手と同じメモリなら

100%の力を引き出せる俺の方が有利

……俺の方が強い

 

「よし、まずはメモリの能力を把握するか…」

 

俺はダークメモリをゾーンの異空間から取り出し、いそいそと起動するのだった

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