ミラー、すなわち鏡とは銀を塗布したガラス板である、銀を使うゆえ高価だが、光の反射率が極めて高い
ミラードーパントはその性質を継いで
光に対する誘導、反射性能を持つ
また、物理攻撃にも高い耐性を持ち
テラーフィールドでも溶けないという侵食耐性も兼ね備える
銀は痛み難いし、ガラスは腐らないから耐薬品、耐腐食性を表現しているのだろう
(今必要なのは)
「フッ!」
(物理特性ではなくドーパントとしての異能、鏡を出現させる力!)
最低でもひとつくらいは存在する
メモリから供給される過剰なエフェクト
バイアスといっても良い誇大化だ
例えば古代系メモリであるナスカは
飛翔や高速化など、様々な力を操るが
それは結局、地上絵の
『こうあればよい』というイメージに過ぎない
もちろんこのミラーメモリも空中に鏡を出現させる能力は明らかに物理を無視しているため、その『メモリによる異能』に分類される
そして、この鏡は
すなわち、光反射率100%の完全平滑面
それは、少女が放った光の矢を完全に反射して、少女自身の持つ弓を貫いた
「っ!!」
愕然とした顔で切られた弦を見遣る少女
正直言って絶望的だよなぁこれ、
少女の身からすれば自分がどれだけ苦労したか、なんてのが頭を巡っているのだろう
(対テラー極めてるメモリだなこれ)
作中能力から見るにケツァルコアトルスとかよりテラー戦に向いてる
直接接触さえされなければあの溶けるやつは喰らわないし、ビーム弾は反射で無効化する、テラーフィールドの恐慌効果を受けない
テラーメタの究極と言えるだろう
「くぅっ!」
考えている内に、迷いを振り切ったらしく、少女が涙を浮かべながら突撃してきたんだが、どうしようかな?
(コンシャスメモリとかあれば良いんだが
環境とか言葉とか思考とかのフィルターを無視して直接心で分かり合えるからなぁ、?ニュー▪️イプ?)
まぁ、意識メモリなんてのは戦闘力皆無のメモリだろうけど、、
「セヤッ!」
ミラーメモリで鏡を作り出し
少女にぶつける
が、その瞬間、尋常ではない速度で
少女が横にズレた
「なにっ!」
「甘いわ!」
(クソっ、この外装硬くて動き辛い!)
そう、ミラーは関節が球体状であり
あまり細かく、素早く動かせない
格闘戦には向かない…しかし
「鏡像よ、、写し取れ!」
全身が輝く、そして、その光が収まった後に
少女とそっくりの姿になっていた
「完全鏡面のミラー、それは鏡面作成のみならず、鏡像すら完全だ」
(能力多彩すぎやしませんか?)
とりあえず格闘戦のできる肉体は手に入れた、ミラーの能力も消えていないので、実質弱点を克服して有利になっただけだ
「私の、姿…」
呆然とつぶやいた少女に一言、
「君、服の趣味、悪くない?」
中心から十字線の、左右と上下で互い違いの組み合わせ、
ちょうど折り紙の手裏剣を赤と青で折った様な色合いだ、
(目立つなこれ
流れる銀髪とそれに埋もれない顔立ちが優れているだけに無駄に気になるのだが…)
「余計なお世話よ!」
「マジか心読まれたわ」
初めて扱う体だが、結構動く
あとなんかフワフワする感じがある
(女体化ってちょっとやってみたいとは思ったけど、やっぱ興味本位でやるものじゃないや、動き辛い)
関節がどうとかの問題ではなく
重心がどうとか、目線がどうとかのもっと繊細な問題だが、それ故に解決法はない
少女が俺の前に駆け寄り、左裏拳薙ぎ
地面を踏みしめ、回し蹴り!
(カメラ!カメラ低位置から回して!ちゃんと撮ってサービスシーン!)
魅せてるような動きでナチュラルに晒してくる少女の動きに目を凝らし
「掛かった!」
少女の投擲したスタングレネードが閃光を撒き散らす!
「え?ぐかっ!」
直撃した光が視神経を…焼かない
きつく目を閉じていたらしい少女に向けて
フラッシュを反射してやる
(忘れたのか?この身はミラードーパント
鏡だぞ?光攻撃など効くものか
いやインフィニティとかは別よ?
アレは次元が違うから)
「きゃあああっ!」
目を開いた直後に反射された光を浴びてショックを食らったのか、少女は気絶してしまった…
(おやおやかわいそうに、、まぁ
せっかく死なずに済んだんだ
目が覚めるまで待って見るか)
折角可愛いんだから、ここで死なせるのももったいない、、え?可愛い女の子こそ爆殺するのが良い?
それどこのザンボット3?
(ガンツ展開には飽き飽きしたんだよ)
二時間ほど後
「……、ぅん、あっ、、う…」
(正直その声狙ってるようにしか聴こえないんだけど?誘ってんの?)
どうも目が覚めたようだ
「おはよう、気分は?」「…最悪よ」
「そりゃよかった、君の名前は?」「貴方に語る理由はないわ」「君の名前は?」「だから貴方に」「君の名前は?」「なんど言わせ」「君の名前は?」
このループは一時間ほど続き、結局少女が折れて八意永琳という名前を答えてくれた
八意永琳、やごころ?
ヤゴコロと言われると、ヤゴコロオモイカネを思い出すなぁ、知恵の神とされるが、同時に迷いの神とも呼ばれる
思い兼ねる、即ち思索がうまくいかないとディスられてる神である、ちなみにこれは誤解
正解は思いを兼ねる、つまり複数の事を考えるという意味
「今、貴方がなぜ私を殺そうとしないのか、それがわからない」
「簡単だ、殺す気がない」
「では、その殺す気があれば殺すのね?」「殺意があればな?そうそうないと思うが」
事実、メモリを起動しないと遠距離では負ける可能性もあるが、近距離ではそもそも推し勝てる相手に殺意を抱く必要はない、
「そう、それと 貴方は人間?それとも妖怪?」
「人間だけど?」
(少なくとも種族は人間なはずだが)
「そう、なら良いわ
貴方、私の護衛になりなさい」
「………は?」
「だから、私の護衛として雇ってあげるって言ってるのよ」
異世界少女言葉ってこんなにエキセントリックなの?なに?この世界の風習なの?
「貴方、私より強いでしょ?それに私を襲っていた妖怪を倒してくれたし」
「アレか、、」
(ビーストドーパント、アイツさえ居なければ!
りせーっと!とか出来ない?)
流石に無理だった
「貴方が私の護衛になってくれるなら任務達成報酬に100万円出すわ、更に戦闘一件につき20万の追加よ」
平和に生きてきた高校生は護衛任務の報酬相場なんて知らないんだが…
百二十万か、大きいわ
「うけて、くれないの?」
涙目になった永琳、保存案件!メモリにスクショ機能実装はよ!
「はぁ、、受けるよ、んでどこ行くの?」
「行き先自体は判ってるわ、向こうにある都市なんだけど…問題は都市で流行ってる病気の特効薬になる薬草を見つけないといけないの」
聞けば少女、永琳は薬師であるらしい
なぜ医師ではなく薬師かと問えば
彼女は外科的手段ではなく、投薬で治療を行うらしい、故に薬師なのだとか
「薬草を探すんだな?、だから森の方にいたのか…、あぁ、良い、独り言だ….さて、永琳薬草の匂いはわかるか?」
「え?匂い?」「そうだ、フィトンチッドがどう、アレロパシーがどうというアレ」
永琳は一瞬表情を強張らせたが、その後、服のどこかから薬品用の瓶?を取り出し
「これ、私が都市から出るときに持ってきた採集ビンよ、コレにならまだ匂いが残ってると思うわ」
と俺に渡してくれた
ガラス瓶を開け、
「すまん永琳、ちょっと怖いだろうけど我慢してくれ」
『beast』
「変身」
ビーストドーパントへ変身する
そのまま強化された嗅覚で薬草の匂いを確認して覚える、
「ウォォオン!、、」
遠吠えを行うと、周りに大量の狼が出現した
「リージョンウルフズ!この匂いを探せ!」
ちなみに、コレは単なる威嚇で
(山だからある程度は予測してたけど、こんな数いたんだね?)
そのまましばらく探し回り、
やがて匂いの強い場所を見つけた
「コレか、その薬草は」
ビーストドーパントの姿のままだが、
永琳にゆっくりと話しかける
「ええ、コレよ、、ありがとう」
流石に薬草摘みには手を出せないので、狼を散らす作業に入る、流石にもう用済みだ!と殺せる程外道ではないので、送り返して、、その後ビーストを解除した
「ふぅ、、五十人分はできるかしら
栽培品を全部使い切ってしまっていてね、ちょっと困ったのよ、お陰で天然モノを取りに来るハメになったわ」
「それで足りるのか?」
「ええ、細胞培養なら間に合うわ」
(は??弓矢持って格闘戦する女が?妖怪がどうとか言ってんのに?細胞培養?)
突然すぎる科学にショックを受けた俺に視線が突き刺さる
「どこか不思議な点でもあった?」
「いや、培養品なら一株で充分なんじゃないかと思ってな」
「え、、あぁ、単に培養するだけじゃないからよ、薬効成分を濃縮しないと使えないから、母数が必要なの」
「なるほどな、単なる止血や咳止めとは違うってことか」
「そんなところね」
それ以降はさしたる脅威もなく
彼女の言うところの『都市』に着くことができた