MALE DOLLS   作:ガンアーク弐式

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芸能事務所解放作戦、M16A4サイドです


Two day ago~②

アイドル人形や事務員達が囚われている芸能事務所だと思われる3階建てのビルの周囲にはバイザーやヘルメットを装着し、レーザーサブマシンガンを装備した人形……制御権を乗っ取られた鉄血製戦術人形、リッパー5体が警戒している様子を俺とG36Cさんは近くの建物の影から見ていた。

 

「見た感じ俺達に気づいていなそうですね」

「違いますわ……二階の方を見て」

 

G36Cさんが首を振り、事務所の2階の方を指差した。俺が二階の方を見ると単眼型バイザーを装着し、狙撃用レーザーライフルを構えた人形……イェーガー2体が狙撃銃を構えているのが見えた

 

「今飛び出したら、間違いなく私達は撃たれますわ」

「狙撃で足止めした所で、リッパ―やヴェスピドの追撃が来る<M16A4さん、G36Cさん聞こえますか?>」

 

俺が二階のイェーガーに気づいたのと同時に俺の電脳に今回の作戦小隊……排除隊の隊長を務める漢陽さんからの通信が届いた

 

「こちら、M16A4聞こえますよ」

「G36C、正常通信モジュールは正常に稼働中ですわ」

<愛ちゃんはダミーちゃん達と共に狙撃位置に着きました。そちらはどうですか?>

「こちらは潜伏地点をイェーガー2体が警戒しています……そちらで狙撃できますか?」

<はい、こちらからも十分見えていますので遠慮なく突っ込んで迷惑なお客様を退治してください>

「りょ、了解しました……左翼側はどうですか?」

 

任務中にも関わらず痛い発言をする漢陽さんに調子が狂わせつつも俺達と反対方向に隠れているガリルさんとG01前線基地唯一のMG型戦術人形かつ外見年齢最年長のDP28さんの様子が気になり、電脳通信を送るとすぐに返事が返ってきた

 

<M16、うちらもいつでもいけるで>

<坊や、お姉さんの心配をしてくれるの? やさしいのね>

「DP28さん、茶化さないでください」

 

DP28さんは猫撫で声に顔をしかめた。

稼働年数や外見で彼女からすれば子供に見えるかもしれないが……ことあるごとに頭を撫でようとしたり、身体を押し付けようとするのは止めてほしい。いくら俺の製造年数が1年超えていないとはいえ、人格は子供のソレではないのだから。

 

<ごめんなさいね……そろそろ救出隊と指揮官(おじ様)の準備が終わる頃でしょうね>

DP28さんが笑いながらそういうと俺達の電脳に電脳通信で二人の通信を受信したのに気づいた。

通信のアカントを見ると一人は今回救出隊の隊長を務めるSMG型人形の79式さん、もう一人は指揮官だった

 

<こちら79式、救出隊は予定配置ポイントに配置完了、いつでも突入できます>

『こちらアラマキ、所定位置についた……巡回中のリッパ―は周辺に存在しない』

 

指揮官と79さんが作戦の準備完了したことを伝えると今度は指揮官代理から通信が作戦に参加している人形達と指揮官に伝令が伝わった

 

『こちらHQ、これより排除隊は漢陽の狙撃と同時に、DP28の機銃掃射及びM16A4の榴弾で敵を一掃及び敵をおびき出すと同時に敵を排除しろ』

<<<<<了解!!>>>>>

『排除隊との突撃から数分後、救助達は裏口から突入し、事務所二階の食堂に監禁されている事務員とアイドル人形達を救出しろ』

<79式以下救助隊総員、了解しました>

『同時にアラマキ指揮官は西側非常階段から二階に進入し、警備室を制圧し……制御権を奪われた鉄血人形達の指揮端末を無力化を頼みます』

<了解、排除隊も鉄血人形達のおびき寄せを頼むぞ>

 

指揮官代理が各々に指示を出すと俺はM16A4を構える。今回の任務は、陽動兼敵を一網打尽にするために、銃剣の代わりにM203グレネードランチャーをM16A4に装着している。

先日の編成拡大で2体に増えたばかりの俺のダミーも同様にグレネードランチャーを装着させ、すでに榴弾を装填した状態で出入り口周辺の達に標準を合わせてる。

 隣のG36Cさんもすぐに突撃できるようにダミーと共に突撃の構えを取っているのを確認すると同時に電脳に指揮官代理の号令が下った

 

『作戦開始!!排除隊、陽動攻撃を開始!!!』

 

<ベテランの力をお見せしますよ>

<さぁ、軽い運動を始めるわよ!!>

「ワッショイ!!!」

 

指揮官代理の号令と同時に漢陽さんと彼女のダミーによる狙撃でイェーガー達の頭が弾けるのと同時にはダミー達と共にグレネードをリッパ―達にめがけて発射した。

俺とダミーが放ったグレネードはリッパ―達の手前に着弾と同時に爆発し、爆風に飲み込まれた半数の鉄血人形がバラバラに吹き飛ばされ、残り半分のリッパ―もDP28さんの追撃の機銃掃射により容赦なく、機械部品や人工血液をまき散らす。

 

敵もやられてばかりではなく、事務所の入り口か事務所内に潜んでいたリッパ―やアサルトライフルを持ち、ヘルメットをかぶった鉄血人形――ヴェスピド達が手にした銃器からレーザーを放ち、二階からは残りのイェーガー達が狙撃用レーザーライフルでリッパ―達の援護射撃を行う。

俺達も事務所の敷地内の塀や事務所の物だと思う破損した車等に身を隠しつつ、漢陽さんの狙撃とDP28さんと彼女のダミー3体達による機銃掃射で増援のリッパ―達が人工血液と金属部品をまき散らす。

 

 人間なら即死する銃撃を耐える鉄血人形はいままで戦ってきたテロリストや鉄血製の機械兵器よりも手ごわく、銃弾とレーザーが敷地内を飛び交う銃撃戦が始まった。

だが、俺は今までの敵よりも強い鉄血人形を相手に、恐怖は感じなかった……正確には、恐怖よりも対抗心の方が優っていた。工場を焼き討ちされた時とは違う……工員達の手で俺だけが輸送用ドローンに載せられて工場から逃げ出したあの時の俺じゃないという認識が俺を奮い立たせる

 

とはいえ、過激派アイドルファンや暴徒対策として配備された鉄血人形だけあって、数も錬度もそこらへんのや機械兵器より強い上に敵の数が事前の情報よりも多い鉄血人形達により俺達排除隊はドンドン追い込まれていった

 

『ガリル、左翼からリッパ―四体が接近してくるぞ!!』

「敵の数を数え間違えた本部のアホ共を殴ってやりたいわ!!」

「ガリル、今に言っても意味はありませんわ」

 

ガリルさんは怒声を放ちながら彼女に銃を向けるヴェスピドを撃ち殺すと同時にG36Cさんはガリルさんを戒めつつも自身の周囲に不可視の力場の盾――フォースシールドを展開して、ガリルさん達を守りながら、フルオート射撃で返り討ちにする。

だが、味方の被害をものともせずに事務所の出入り口から現れたヴェスピド達がレーザーを乱射しながら、DP28さんに迫ってくる

 

「坊や、援護をお願い!」

「分かりました、ダミー2彼女を援護をしてくれ!!!」

 

M16A4ダミー2がM203に装填されたグレネードで敵を一掃した瞬間、新手のイェーガー4体が出入り口から現れた。

新手のイェーガー達はすぐに射撃体勢を取るとイェーガーの一体がM16ダミー2の頭を撃ち抜き、残りのイェーガー達は漢陽さんの狙撃ポイントに向かって、数発レーザーを同時に撃ち込んだ。それを見て、俺は接近してくるリッパ―を蜂の巣にしながら漢陽さんに通信を繋いだ

 

「M16A4ダミー2が機能停止、漢陽さん大丈夫ですか!?」

<愛ちゃんはダミー共に無事ですが、イェーガーさん達を退出を優先しないといけないので皆さまの掩護は少々お待ちください!!>

 

通信でそういうと漢陽さんのカウンタースナイプで増援に現れたイェーガー達の頭部を同時に撃ちぬかれて、人工血液をまき散らした。あのレーザーを回避しながら、すぐに反撃するとは……G01前線基地の最古参かつ唯一の5LINK編成は伊達ではない

 

だが、敵の数は俺達よりも多い上に練度も高い上に漢陽さん以外のダミーに被害が出始めているし、はっきり言って撤退するべきだ。

けど、ここで撤退すれば内部に突入している74式さん達と指揮官が事務所内部の敵と表側の敵と挟み撃ちにされる……最悪場合、俺達排除隊の誰かが一回休みする(破壊される)ことも覚悟しなきゃいけない

 

他の皆も同じ不安を抱いていたのか、DP28さんが俺達のチャンネルに繋げた状態で指揮官に通信を繋げる

 

<指揮官代理(お姉様)、74式ちゃん達はどうなっているの?>

『救出隊は内部の敵と交戦中だ!! 20体近くの鉄血人形達に阻まれて近づけ……なに!?』

「指揮官ど……え?」

 

それまで猛攻撃を仕掛けてきた鉄血人形達が突然、文字通り糸が切れた人形のように攻撃を止め、カカシのようにその場に棒立ちになった。

 

俺達は突然の自体に困惑した。鉄血人形達に何が起きたのか……その答えは俺達の電脳に受信した通信ですぐに分かった

 

『HQ、こちらアラマキ……警備室を制圧及び室内の指揮端末で、制御下の鉄血人形を停止させた。排除隊及び救助隊の状況を報告してくれ』


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