MALE DOLLS   作:ガンアーク弐式

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また……分割ですorz
アラマキサイドの視点かつ今回は三人称です


Two day ago~③

 M16A4達が事務所の出入り口付近で銃撃戦を繰り広げていた頃、アラマキはサイレンサーを装着したMP7を構えながら廊下の曲がり角に潜んで様子を伺っていた

 

「芸能事務所の連中が鯖を読んでいたか……予想よりも鉄血人形達が多いな」

 

アラマキが呟きながら廊下の角から覗き見ると拾いにリヴェスピド10体と長方形型ボディと単眼カメラが特徴的な小型四脚機械兵器のダイナゲート10体が廊下に廊下に足を踏み入れた者を即刻射殺せんとばかりに各々が装備している銃器を構えて、周囲を警戒していた。その廊下の奥には警備室と書かれた扉があり、その周囲をさらにリッパ―5体が近づけまいとに立ちふさがっていた。

 

「さて、いくら下級人形だけとはいえこの数を一人でやるのはきついの。途中で鉄血と交戦したせいで、MP7の弾も装填している分で打ち止めじゃしな」

 

アラマキは小さく呟くと装着していたヘルメットに内蔵されている通信装置をONにし、同じように事務所内に突入した救助隊の隊長を務める戦術人形、79式の電脳にチャンネルを合わせた

 

「79式、きこえるか!?」

<指揮官さん、聞こえます……そちらの状況は?>

『事務所の連中が過少申告をしていたようでな……敵が多すぎて、弾切れ寸前じゃよ。そちらはどうだ?』

<こちらの似たような状況です。敵の数が事前情報よりも多いために監禁場所に接近すら困難です>

「それはまずいな……他の隊員達はダミー共に被害の程度は?」

<総員メインには目立った損傷はありませんが、P38とスコーピオンはダミーをすべて喪失、Gsh-18とMk23、そして私はダミー残り1体。弾薬もを付きそうです>

「事前通り、サクラの指示に従え……ケリを付けるぞ」

 

アラマキは通信装置を切ると一回深く息を吐き、腰のポーチから手榴弾を一つ取り出した。

 

「できれば、事務所を荒らしたくないが………仕方がないな!」

 

身に纏っている強化スーツの筋力補助装置の出力を最大にすると同時に手榴弾の安全ピンを抜き取ると廊下の鉄血人形に向かって投げ込んだ。

 

アラマキが手榴弾を投げ込むと同時に手榴弾に気づいた鉄血人形達が退避しようとするが、間に合わずには爆風と爆炎に飲み込まれた。

 

ドカーン!!!!!

 

そして、爆風が消えると廊下には手榴弾の爆発に巻き込まれた鉄血人形達の残骸が散乱しており、廊下で動いていたのは内部骨格を露出させ、人工血液で赤く染まったヴェスピド1体と爆風に範囲外にいた無傷のリッパ―5体だけとなった。

アラマキは、爆風が消えると同時に廊下へ飛び出すと辛うじて動いていたヴェスピドやリッパ―達に向かってMP7を乱射しつつ、左手で腰に下げた斧を抜き払い警備室に駆け寄る。

 

アラマキのMP7から放たれた4.7×30mm専用弾によって、機能停止寸前のヴェスピドは蜂の巣にされたが、リッパ―達は被弾しつつもレーザーサブマシンガンで反撃をしようとアラマキに銃口を向けるが……

 

「遅いぞ、鉄屑共!!」

「!?」

 

だが、強化スーツによって身体能力を上がったアラマキにとってはリッパ―が止まっているように見えていた。

そして、リッパ―が放ったレーザーを紙一重で避け、弾切れになったMP7を手放すと同時にリッパ―達に肉薄しつつ、両手で斧を構え直すとリッパ―達の首を同時に刎ね飛ばした。

 

電脳を格納した頭部を失ったリッパ―達は断面から噴水のように人工血液を吹き出させて、その場に倒れて動かなくなると同時に、廊下の床に五つのリッパ―の頭部が床に転がった

 

アラマキは動かなくなったリッパ―に目をくれずに、警備室のドアを蹴破って警備室に投入した。

 警備室は殺風景な部屋で大型の液晶画面が印象的な端末と事務所内の設置されたカメラを映像を受信するモニターと設置されていた。そして、端末の側には胸部から血を流した男性の遺体が床に転がっていた

 

アラマキは遺体には目もくれずに、端末に駆け寄ると端末の液晶画面にはこのような文章が表示されていた

 

『緊急人員保護プロトコル実行中……地下格納室に待機中の鉄血兵起動率50%』

 

「なるほど、何者かが警護プロトコルを書き換えたというのか……ならば話は簡単じゃ」

 

アラマキはそう言って、端末の液晶の右側に備え付けられてい赤いボタン――緊急停止スイッチを押した。

すると端末の液晶が真っ赤に染まると同時に表示が『緊急停止信号発信……全鉄血製戦術人形をシャットダウンを確認しました』に切り替わった。

 

液晶の表示が変わった瞬間、モニターに映し出されていた鉄血人形達が一斉に機能を停止したのを見て、アラマキはほっと胸をなで下ろした

 

「これで任務完了だな……一応、電源は切っておいた方がいいじゃろう」

 

アラマキはそう言って、端末に伸びるコードの位置を確認すると手にした斧でコードを切断した。

すると端末の液晶とモニターの表示が消え、室内の光源は天井のライトだけとなった。

 

端末の停止を確認したアラマキは、サクラが指揮を取る指令室と部下の戦術人形達の電脳に対してオープン通信で現状を報告した

 

「HQ、こちらアラマキ……警備室を制圧した。室内の指揮端末を操作し、制御下の鉄血人形を停止させた。排除隊及び救助隊の状況を報告してくれ」

<こちら救助隊の74式、敵の無力化と同時に監禁されていた人形と事務員達の解放に成功……人形、事務員共に怪我はありません>

<ご主人様、排除隊の愛ちゃんです。こちらはダミーの損失及び小隊員に負傷者こそ出ましたが……全員無事です>

「そうか、総員ご苦労だったな……警備室を調べた後でそちらと合流する。サクラ、居住区の自衛団に安全が確保されたと連絡しろ」

『了解、自衛団に鉄血人形を静止した事を連絡後、排除隊で動ける者は警戒を続けさせるという事でいいんだな?』

「後の指示は任せる……通信を切るぞ」

 

アラマキは通信を切ると警備室に転がっている男性の死体を興味深く観察した。死体の腹部の傷は胸部をレーザー銃で撃ち抜かれた者とだとアラマキはすぐに分かった。

 

(この男がこの騒動の首謀者か?しかし、死んでいるという事は鉄血人形に敵と誤認されたか?)

 

アラマキは名も顔も知らぬ息絶えた男の屍を不気味だと感じつつもこれ以上死体から得られる情報はないと判断したアラマキは74式が率いる救助隊がいる食堂へ向かう。

 

その途中で戦闘で投げ捨てたMP7の回収しつつ、アラマキは一人呟いた

 

「1930年から戦い続けるしかなかった人生じゃったが……自分の墓穴を掘る場所を見つける余裕ができるな……」

 

 

後に、グリフィンの調査で芸能事務所のオーナーが鉄血工造と共に秘密裡に鉄血製戦術人形の横流しを行っていた事が発覚するのだが……老兵最後の任務には直接の関係はない事であった

 




今話でアラマキ指揮官の強さを完全に表現できたとは思えませんが……その片鱗を感じ取ってくれたなら本望です

次話は2日前編のエピローグです
そして、任務から翌日……一人の老兵がG01前線基地から姿を消す

感想をお待ちしています

それと今回の作戦での小隊編成のメンバーは以下の通りです

排除隊
M16A4
ガリル
漢陽(隊長)
G38C
DP28

救出隊
Mk23
GSh-18
79式(隊長)
P38
スコーピオン

警備室制圧隊
アラマキ(人間)

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