MALE DOLLS   作:ガンアーク弐式

19 / 33
蝶事件編最終話です
そして、今年最初の投稿です~今年もよろしくおねがいします

命の灯火は簡単に消せない……生き延びようとする意志がある限り


DAY~ Lifelight~

G01地区第3居住区北部の裏路地を銀髪の戦術人形が住人や傭兵達の死体や鉄血兵達の残骸を後目に走り抜けていた。銃声や悲鳴があちらこちらが映画のbgmのように鳴り響いていたが、彼女は目もくれずとある人形達を探していた

 

「第3居住区に待機しているはずのAR小隊との連絡が途絶えたので、調査に行ってこいと言いましたが……一体何が起こっているの!?」

 

青いベストとキュロットスカートを身に付け、腰に刀を差し、両手に拳銃を構えた銀髪の人形――P228は居住区の惨状に目を飛び出さんとばかりに驚いていた。これほどの大惨事となっていたのは、彼女にとっては想定外であった

 

元々IOP社に属する開発チーム【TVRチーム】初の新規設計の戦術人形として、ロールアウトしたばかりのP228は、G01地区のある野外訓練所でデータ収集を兼ねた実戦訓練を行っていた。

しかし、第3居住区で待機中のAR小隊との連絡が取れなくなった事にIOP本社は危機感を出した。

彼女達は通常の戦術人形よりも遥かに重要な存在であり、その特異性からバックアップがとれない人形であったからだ

そして、これを好機とみたTVRチームは、彼女のデモンストレーションを兼ねて彼女を自身のダミー二体と共に第3居住区への調査任務へ向かわせたのだ。

 

 

(この様子だと居住区を警護していたPMCが保有している鉄血すべてが敵になったのでしょう……いくらなんでも私には荷が重すぎますよ)

 

P228は、居住区で起きている事が自分の手に負えないと思いつつもAR小隊を見つけようと路地裏を駆け抜けていると自身とは反対方向から三人の人形が近づいてくる事に気づいた。

P228はその三人が自身が探していたAR小隊である事に気づいた。それと同時に彼女達が手にしたライフルの銃口が自分に向けている事にも気づいた

 

「あの人形達は、AR小隊……みょん!?」

「待って、あの子は鉄血じゃないわ!」

 

銃口を向けられた事に怯むP228に、AR小隊の先頭に立っていた黒髪の戦術人形……M4A1が他の二人を静止させる。M4の静止を受け、他の二人の戦術人形――SOPとAR-15がそれぞれの銃を下ろす

それを見たP228は自分が敵は無いと信じてもらってほっとするもすぐにM4達に自分が彼女達の救援に来たのだと伝えようと口を開いた

 

「私はTVRチーム所属の戦術人形のP228です。グリフィン本社の依頼で連絡が途絶えた第3居住区へ調査に参りましたが、ここで一体何が?」

「見てのとおり、ここを警護していたPMCの鉄血兵達が暴走しているわ……おそらく、例の未確認鉄血ハイエンドの仕業と見ていいわね」

「それよりもお兄ちゃんが!!」

 

P228の質問に、AR-15が答えるといても経っていられないSOPが二人をせかすように叫ぶ。それを聞いたP228が首を傾げて、SOPに問いかけた

 

「お兄ちゃん……もしかして、誰かを助けに行こうとしていたのですか!?」

「そうだよ、お兄ちゃんを早く助けに行かないと!!」

「SOPⅡのいうお兄ちゃんが誰かは、分かりませんが……SOPⅡの知り合いの戦術人形が南部の裏路地の方に取り残されているようなんです」

 

必至な表情で訴えるSOPⅡを見ながら、M4が事情を説明するとP228は事情を理解した。

そして、頷くとこう答えた

 

「分かりました。私の義体に搭載された探査モジュールを使って居住区周辺をサーチしてみます」

 

P228は目を閉じ、自身の電脳と義体に搭載された探査モジュールをの出力を全開して、周囲に戦術人形の反応を探った。

すると居住区をひしめく鉄血人形の反応に混ざって南部の裏路地を北上するIOP社戦術人形らしき信号をP228は察知した。それと同時にその信号がグリフィンG01基地所属のM16A4の物である事に気づいた

 

「見つけました。ここから2km南の裏路地を北上していますが、近くに鉄血ハイエンドも信号もあります。急いで回収していないと!」

「わかったわ、M4は指揮モジュールを搭載はしているけど、探査機能にかんしては通常のAR型戦術人形に毛が生えた程度のスペックだから、誘導をお願いするわ」

「AR-15……とにかく誘導をお願いしますね」

 

AR-15の半ば皮肉ともとれる言葉にM4は若干反応しつつも気を取り直して、誘導をP228に頼むと彼女はうなずき、一目散にM16A4の信号がある場所までAR小隊を誘導し始めた

 

 

 

 

P228達がM16A4の信号があった場所に到着して目に映ったのは、地面に倒れたM16A4と彼を踏みつけ、両手で構えた大剣を彼を突き刺そうとするエクスキューシュナーだった。それを見たはSOPⅡが目を見開くと同時に悲鳴を上げた

 

「お兄ちゃん!!!」

「すぐに助けないと!!」

 

P288はとっさに両手に構えた自身の愛銃を牽制に数発、エクスキューシュナーに数発発砲しながら、接近を試みた。銃声に気づいたエクスキューシュナーは、すぐにM16A4から離れると同時に大剣で自分に命中するであろう銃弾のみを切り払う。

そして、P228はさらに数発弾丸をエクスキューシュナーに向けて発砲すると同時に、M16A4を庇うように彼の前に立つとチラッと床に伏せている彼を見た。

M16A4は、身に付けている作業着はボロボロで、生体外装も剥がれ落ちて内部フレームが露出させているも救援にきたP228を凝視しているのを見て、彼がまだ生きている事に安心した

 

そして、エクスキューシュナーも機能停止寸前のM16A4よりも乱入したP228に興味が映っていた

 

「よかった。まだ、機能停止(死んで)していない」

「新手か……M16A4(コイツ)よりもやり「P228退いて!!!」」

 

エクスキューシュナーの言葉をSOPの声が遮ると同時に物陰から飛び出したSOPとM4A1が一斉に手にした愛銃の引き金を引き、銃弾を浴びせる。エクスキューシュナーは大剣で銃弾を切り払いながら、笑みを浮かべながら叫んだ

 

「せっかくのそこの銀髪の人形とヤるつもりだったのに、乱入とは……面白い事をするじゃないか」

「よくもお兄ちゃんを!! その両目をえぐり取ってやる!!」

「SOPⅡ、突出しちゃ……!?AR-15!

 

憎悪に顔を歪ますSOPⅡをお仕留めようとするM4は、エクスキューシュナーの背後からSOPⅡに銃口を向ける鉄血人形の存在に気づき、AR-15に指示を出した。

AR-15も隠れている鉄血人形の存在に気づき、鉄血人形が潜んでいる場所に銃口を向け、引き金を引いた

 

だが、AR-15が放った弾丸は潜んでいた鉄血人形に当たず、壁にいくつか穴をあけるだけだった。

 

「確実に命中する位置で撃ったのに、なんてすばしっこいの!?」

「あらら、これはちょっと予想外ね……噂のAR小隊まで現れるなんて」

 

それと同時に物陰から黒いシャツとジャンバースカートを着た鉄血ハイエンド――ネームレスが飛び出し、笑みを浮かべながら手にしたレーザーライフルから数発のレーザーをM4達に浴びせる

M4達はネームレスが放ったレーザーを避けるもそれを見たネームレスは興味深くAR小隊とP228達を一瞥すると口を開いた

 

「へぇ~暗部を退職する前に聞いた以上の実力ね」

「へぇ、じゃないぞ、ネームレスのババア。いままでどこに行っていたんだ?」

「アイゼンの輸送機のシステムをいじって鉄血本社へ向かうようにね。……それとエージェントから「鉄血本社に合流せよの命令」が下ったわ」

「もう少しヤリたかったんだが、エージェントの命令じゃ仕方がないか」

 

エクスキューシュナーが肩をすくめるとネームレスはジャンバースカートの中から複数の白煙手榴弾を落とすと彼女達の周囲が白煙に包まれ、AR小隊とP228達の視界がほとんど遮られた上に白煙手榴弾の中に含まれている対人形用催涙ガスによって彼女達せき込んでいた

 

「くそ、どこにいったの年増ババア!!!」

「みょ~ん、喉が痛いです!!」

「くそ……対人形用鎮圧兵器。やはり、ペルシカさんの言う通り、鉄血工造の仕業……ゴホゴホ」

 

そして、彼女達が白煙手榴弾――正確には、対人形鎮圧用催涙ガスに苦しめられている間に、ネームレス達はその場を離れた。

IOP社製戦術人形よりも生体部品の割合が低い鉄血人形、特にハイエンドモデル達はその構造上催涙ガスに強く、二人共視界の悪さ以外に支障がなく、白煙が霧散する頃には二人のハイエンド達は姿を消していた

それを見て、M4はP228達に向かって口を開いた

 

「敵は撤退……私達もすぐにこの居住区から撤退しましょう。P228さん、鉄血兵達はこの辺りにいませんか?」

「いないようです……どうやら、G01地区前線基地から救援部隊が駆けつけたようで、鉄血兵達はその部隊と交戦中です」

 

P228の言葉を聞いたAR-15が頷くとM4に向かって口を開いた

 

「だったら、今がチャンスね……M4、彼を背負って……酔ったM16の冗談じゃなったのね

「お兄ちゃん……すぐにペルシカに直してもらうからね」

「分かったわ、AR-15……彼がM16姉さんが言っていた私達の弟

 

AR-15の言葉に頷くとM4は自身の電脳にいろんな感情が渦巻いているのを感じながら、M16A4を背負うとP228は、彼女が乗ってきたヘリのランディングポイントまで案内し始める

 

 

―――――――――――――――――

 

M16A4を背負ったM4達が輸送ヘリのランディングポイントまで移動を開始した頃、住民達が自分達の家を捨て、生きる伸びるために居住区の外へ出ようとゲートに殺到する中で、中性的な顔立ちをしたストロベリーブロントの髪の人形――リーは自分の無力さにくやしさを感じていた

 

 

「親方達も皆殺しされた盗賊達に、暴走した鉄血兵にも可愛いだけの僕は逃げることしかできない……あ」

 

その時、リーは一体の人形の姿が彼の電脳に浮かび上がった。

青い作業着の上に防弾ベストを身に付け、手に銃剣付きのM16を持った防塵マスクで顔を隠した自分と同じ男性型人形の姿を

 

(そうだ……あの人も戦術人形になれるなら僕も……よし!!)

 

リーは自身の電脳の中である決意――グリフィンへの志願し、戦術人形の改修を腹に決めると先ほどまでの弱弱しい目が力強い物に変わると同時に居住区のゲートへ歩き始めた




彼は生き延びたが、少しだけ休ませる必要がある

次話は第1章最終話……後日編です
鉄血に敗れて大破したその後が語る予定です


ソレと余談ですが、DAY編のサブタイトルはすべてゲームのbgmやOP曲のタイトルが由来です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。