二度あることは三度あるとはよくいったモノで……俺が病室に戻ると見知らぬ人形がウィスキーで晩酌をしていた。そもそも病室は飲酒禁止だったはずだよな
その人形は三つ編みに結ったオレンジ色のメッシュが入った黒髪と右目に付けた眼帯が印象的であると同時に、目の前の人形に近親感を感じていた。
敢えていうなら、俺の同型機と出会ったような……俺以外の同型機は存在しないし、準同型にしても瞳の色が俺と同じ銀色のはず……
(誰だ……あの人形は?)
「お、帰ってきたか!! 入れ違いになったみたいだから、ここで一杯しながらまっていたよ」
「え……俺に会いに来たのですか?」
「そうだよ……ペルシカから弟の身体が直ったという聞いて、会いにきたんだ」
「弟……俺の事ですか?」
目の前の人形は手にしたグラスをテーブルに置くと俺の顔を見ながら頷いた
「そう…私はM16A1、同じ戦術コアを内蔵したあんたの姉さ」
「M16A1……同じM16自動小銃……俺の姉ちゃん!?」
目の前の人形……M16A1姉ちゃんの爆弾発言に俺は唖然とした……というか、M16A1姉ちゃんと俺の戦術コアが同じってどういう事!?
俺の反応を予測していたのか、M16A1姉ちゃんは笑い題した
「そうさ、M16A4じゃ長ったらしいな、A4と呼んでいいか?」
「いいですよ……じゃあ、自分も姉ちゃんの事をA1姉ちゃんとよんでもいいですか」
「いいぜ、A4。蝶事件の時は妹……SOPⅡが世話になったな」
M16A1……いや、A1姉ちゃんがそういうと病室に置かれていたグラスの一つを手に取るとウィスキーを注いで俺に差し出した
A1姉ちゃんの好意は嬉しいが、直ったとはいえ……病室で飲酒する気になれなかった
「どうした、飲まないのか?」
「病室で入院中の俺がお酒を飲むのはちょっと……」
「いいじゃないか……初めて会った姉弟同士酒で親睦を深めようぜ」
「ですから……俺は」
半ば強引に酒を薦めるA1姉ちゃんに困惑していると病室のドアが開くと同時に目が覚めてから何度も耳にした訛りがきつい女性の声が病室に響いた
「M16A1、病室内での飲酒は禁止だホー」
俺とA1姉ちゃんが後ろを振り向くとユキダルマをモチーフにしたキャラクターのマスクを被った白衣の女性が調整用の工具類が入ったケースを手に提げて、その場に立っていた。
彼女の名は、ジュリエット・フローライト――パラちゃん達が所属しているIOP社内の開発チームの一つ、TVRチームの主任を務めている人形技師で、俺の修理を担当している人だ
元々布製のマスクと独特の訛で喋る為にとっつきにくいが、人形技師としての腕は確かだ。まぁ、俺の修理には猫耳オバサンも関わっていたが、お互い嫌悪感全開にしながら俺の修理していたのでその点はちょっとふあんだったが
「ジル、ちょっとぐらいいいじゃないか」
「よくないホー! とにかく、彼を早く戦線に復帰できる調整を終わらせなきゃいけないホー!!」
「そういうな「見つけましたよ」」
A1姉ちゃんの言葉を遮るようにどこか聞き覚えのある声が病室の外から聞こえてきたかと思いきや、緑色のメッシュが入った黒髪のセミロングの人形が入ってくるやA1姉ちゃんに詰め寄った。
そして、彼女が第3居住区でエクスキューシュナーに殺されかけていた俺をSOPちゃんやP228さんと共に助けに来てくれた人形の一人だった
「M16姉さん、ここにいたのですね……帰りますよ」
「M4ちょっとぐらいいいじゃないか……おっと、A4。こいつは私達AR小隊の隊長で妹のM4A1だ」
「え~と、M16A4です。あの時は助けてくれてありがとうございます……M4姉ちゃんと呼んでいいのですか?」
俺の質問にM4と呼ばれた人形いや、M4姉ちゃんのちょっと戸惑いつつも頷いた
「いいですよ。あなたのことは……A4と呼んでいい?」
「あ、構いませんよ。俺もA1姉ちゃんも同じM16ですから」
「ホー……ちょっといいかホー?」
俺がそう言った瞬間、ジル主任が不機嫌そうな口調で俺達の会話に割り込んできた。俺達は彼女の方を見るとマスク越しでも不機嫌なのがすぐに分かった
「調整作業の邪魔だホー! 関係者以外は出ていくホー!」
「すいませんジルさん……姉さん行きますよ」
「分かったよ……A4、機会があったら一緒に飲もうぜ」
M4姉ちゃんがそういうとA1姉ちゃんは渋々とい言った表情で、グラスに入っていた酒を飲み干すとM4姉ちゃんに引きつられるように病室からでていた
それを見たジル主任は、一件して機嫌よさそうに工具箱を開いて、工具類を取り出した
「さて、邪魔もいなくなったし……戦闘行動を取っても支障が無いように最終調整を始めるホー」
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カスミ指揮官との再会やA1姉ちゃんやM4ちゃんが病室に訪れた日から数日後、俺はグリフィンの輸送ヘリで新設されたS07地区前線へ向かっていた。
当初は俺一人だけで向かうのかと思っていたが……
「どうしたんだホー?」
「いえ、なんでもありません」
俺の隣に座っていたジル主任が首を傾げる……相変わらず、キャラクターをマスクを被っている性で表情は分からないが機嫌がよさそうなのは確かだ
「そう言えば、ジル主任もなぜS07地区前線基地へ?」
「簡単に言うなら、人形開発や改造用パーツの開発研究ができる環境が整ったラボがS07地区にできたホー。そこで新型の人形を研究するんだホー、部下の研究員達も一足先に研究所に向かっているホー」
「IOP社じゃできないんですか?」
「あの猫耳年増がいるところで研究に打ち込めないホー……90wishの残党なんか信用できないホー」
(90wish……どこかで聞いたことがある名だな)
ジル主任は不機嫌そうにつぶやくのを見て、彼女が猫耳オバサンが嫌っているのがよく分かった。
ジル主任と猫耳オバサンとあの間に何があったのか知りたいが……ここで聞いても話してくれないのは想像できたので、別の質問をぶつけてみた
「え……と、ジル主任のチームって主にどんな研究開発をしているのですか?」
「戦術人形用のフレームやチューンパーツやASST用制御プログラム等々戦術人形開発の可能性を広げる基礎研究をしているホー」
「戦術人形の可能性……ですか」
「そうだホー……」
ジル主任が言葉を言いかけた時、ヘリパイロットの声が彼女の言葉を遮った
「フローライト主任、M16A4、そろそろS07地区前線基地のヘリポートに着陸するから降りる準備をしてくれ」
「あ、はい!」
「ようやくついたかホー!」
俺と主任はヘリパイロットの呼びかけに返事を返すと一度窓越しに外の風景に目をやる
そこには、一見すると障壁に囲われた数件の背の低い倉庫や兵舎らしきビルが見えた。基地としては簡素すぎるが、もし地下施設を改築した施設なら主要機能は地下にあるのだろう
「ここがS07地区前線基地……俺の新しい所属先でカスミ指揮官達が待っている場所」
今回、初登場のユキダルマ主任こと、ジル・フローライトが被っているマスクは、アトラスの看板悪魔のあのキャラをイメージしてください
そして、彼女が所属するTVRチームは一頃で言うなら、戦術人形用オプションパーツやチューンパーツ等を研究開発している部署です(原作ゲームでいう所の開発の項目全般を担当している部署と思ってください
MP5FやパラことAUGパラ、P228は彼らが開発したオプションパーツやプラグラムをテストするために作られた戦術人形達です(正確には、P228はTVRチーム製パーツを設計段階から組み込んだ人形です
さて、次話からはM16A4が番外編時空でも本拠地となるS07地区前線基地を舞台して動き回ります