私はグリフィンに入隊するための志願書にサインしていた
第二メメントス街地上部の一角のある裏路地にあるジャンクショップの主人は目の前に集団に言葉が出なかった
彼の目の前には、黒いフード付きコートを着た女性とその周囲を白装束で姿を隠した数人の集団がそれぞれ手にした拳銃やサブマシンガンを店主に向けていた
彼らの顔は白い布等で隠されていたが、体格から全員三人であるととすぐには分かった
「
「止めてくれ、金なら出す!! だから……」
黒いフード付きコートを着た女は手に持ったリボルバーを店主である初老の男性に突きつけると見下すように男の言葉を遮った
「
「「「「「はい、お使い様」」」」
黒い女性の言葉に白の男達の内数人は、銃を手に外に出た。
店内に残った男達は店内の棚等に置かれている鉄血工造製のエンブレムが描かれた黒い電子錠付きのコンテナを手に取り、黒の女の元へ持ってくる。女はそれを一瞥すると首を横に振った。
白の男達は持って生きたコンテナが女が求めている者ではないと投げ捨てると別のコンテナを探し、女の元へと持ってくる
その繰り返しが続くこと数分後、
「それも違う……ただのジャンクパーツ用廃品コンテナ。もういい……」
彼女がお目当ての品が見つけられない男達を軽蔑の目で一瞥すると店主に視線を戻して、威圧感を込めながら彼女達が求めているモノの場所を問いただした
「親父、鉄血工造の電子錠付きコンテナがここにあるはずだ。上面に「P5-20160915-S34」の刻印が押された輸送コンテナだ……知っているだろう?」
「確かに、あんたの言うコンテナはここにある。が……ロックを解除する事が出来なかった代物じゃぞ」
「そんなことはどうでもいいどこにある?」
「カウンターの右奥の棚の一番下に置いてあるお前は鉄血の……アガ!?」
店主の言葉が気に喰わないのか、黒の女は手にしたリボルバーの銃口を店主の頭に押し付けると怒気を込めて言った
「
「わかった……コンテナは渡す!!」
店主は恐怖に震えながら、棚から鉄血工造のエンブレムが描かれた一つの黒いコンテナを取り出すと女の前に差し出した。そのコンテナの上部には「P5-20160915-S34」の刻印が押されて、女はそれを指でなぞっていた
「ふん……確かにあのババアが言っていたのと同じシリアルナンバーのこ「そこのガキ、動く……グアワァァ!!」」
男の叫びが店の外から響いたのと同時に、銃声がすぐ近くで響いた。さらに、銃声と共に外で見張りをしていた白の男達の一人がドアを突き破り、店内に転がり込んだ。
店内にいた全員が男が転がり込んできた方向を見ると店の外で見張りをしていた白い男達が地面に倒れている中で二人の戦術人形が立っていた
人形の一人は、赤いフード付きケープを羽織った銀色の瞳と肩まで切りそろえた黒髪の少女の姿をした人形。手には分隊支援火器M27IARの狙撃仕様のM38SDMRを構えていた
もう一人は茶色のセーラー服を着たストロベリーブロントの童顔かつ中性的な人形。彼女(?)の手には、ドットサイトとフェアグリップ付きのSCAR-Lが握られ、その銃口は店内に向けていた
「動かないで、武器を捨てください」
「今なら、痛い目を見ずに投降できるよ」
「ヒィ!?」
白の男達は二体の人形が彼らに銃口を向けている姿に怯むが黒の女は特に怯える事なく、二体の人形を見ながら舌打ちをする
「ちっ、グリフィンか……やれ」
「「「はい、仰せのママに」」」
白の男達は女に命じられるままに、白の男達は拳銃やサブマシンガン手に二人の人形に飛びかかる
二体の戦術人形達は男達の射撃技術の低さも手伝って、容易に銃弾を簡単に避ける事が出来た
そして、彼らの銃弾をかわすのと同時に、それぞれの得物であるライフルで白の男の手足を撃ち抜いて無力化していった
そして、わずか僅か数分で白の男達がうめき声を上げながら地面に倒れるのを見て、黒の女が軽蔑のまなざしで男の見ていた
「ふん、努力は認めてやるよ。口だけヤロウが」
「動かないで……強盗さん、手に持ったコンテナを床に置いて」
「はいはい……置けばいいんだろう?」
「SDMR、コイツ何か企んでいるよ!!」
セーラ服を着た戦術人形がSDMRと呼ぶ赤いフードの人形に警告するのと同時に、黒の女はコートの袖から球形状の物を床に落とした
その瞬間、球形の物から白煙が噴き出し、人形達の視界を覆い隠してしまった
「しまった。煙幕弾!?」
「惜しかったな。赤ずきんとセーラ服のガキ……コンテナは頂いていくぞ!!」
「MK16、逃がしちゃだめだよ!!」
「だめ、煙で全く見えないよ!? 煙幕にチャフが混ざっているのか、索敵モジュールも使えないよ」
女の不敵な笑い声が遠ざかっている事に気づいたSDMRは彼女がMK16と呼ぶセーラ服の人形に追跡するように言うもMK16も白煙で何も見えなかった
そして、数分で周囲を覆っていた白煙が消えるとそこには恐怖に震えるジャンク屋の店主と倒れている白い男達しかいなかった
ふとSDMRは震えている店主を
「逃げられた……オジサン大丈夫?」
「あぁ……ワシはな。君達はグリフィンの戦術人形か?」
「はい……僕達は「何があったんだ!?」
「あ、MK16さんとSDMRさん……ここにいたんですね!? 探したんですよ!!」
MK16の言葉を途中で遮る青年の声に二人は振り向くとそこには、銃声を聞いて現場に駆け付けたM16A4とAUGパラ、MP5がそれぞれの銃器を手にジャンクショップに向かって駆け寄る姿だった
それを見たSDMRは、衝撃の表情を浮かべて彼らの姿を凝視していた。正確には彼女と同じ銀色の瞳を持つM16A4の姿を
そして、SMDRとMK16の姿を見たM16A4も驚きの余りにこう叫んだ
「リー、それに……コウ!? 君がここにいるの? それに……なんで戦術人形に転換しているの!?」
「ツクモお兄ちゃん!? どうして……それに手に持っているのって、M16A4じゃない!?」
お互いの姿に驚愕する二人に他の戦術人形達は動揺を隠せず、MK16――リーは二人に向かって動揺しつつも質問をぶつけた
「M16A4とSDMRは知り合いなの?」
「知り合いも何もコウは……同じ工場で作られた
M16A4は動揺を隠しつつMK16に呟くと目を開いてSDMRの姿を見た
はい、番外編時空で先行登場していたリーことMK16、コウことM38SDMRが本編時空に本格参戦です!
そして、今回の話はM38SDMRのモデルであるキャラが主人公の3Dアニメの冒頭シーンのオマージュですが……分かるでしょうか?
可愛いだけで守られるだけのお人形である自分を変えたかった
僕は女装は好きだけど、男としての意地とプライドもある
だから、戦う男の象徴である兵士――戦術人形になる事を決めたんだ