そして、前回名前のみ登場したモノが本格参戦です
俺達BB小隊とワカさんを乗せた装甲車を含んだ輸送隊の車列が補給拠点の車両庫兼物資の荷卸し場に到着した
装甲車から俺達降りると車両庫内を照らす白色ライトの光が少しまぶしく感じた
おれのすぐ後ろに立っているワカが辺りを一望すると「なるほど……」とワカさんが小さく呟くのが聞こえた
「どうやら、予想通り基地の予備電力源は無事に作動しているようだな……」
「はい、見た感じ基地の機能に問題はなさそうですね」
ワカさんの言葉に頷くとP228さんが思い出したようにこう切り出した
「これで任務完了という事でいいのしょうか?」
「そうはいかないようね……街の停電を無視して帰る訳にもいかないよね?」
MP5Fさんの言葉に俺達は一斉に頷いた
なぜだか分からないが、この停電は単なる設備の故障とは思えなかったからだ
パラちゃんもそこが気になったのか、ワカさんに停電について聞き始めた
「そうだよ……ワカさん、停電が復旧するめどは立っているの?」
「この停電がついさっき起きたが、街の技術チームがトラブルに巻き込まれない限り問題ないはずだ」
「だったら、いいんですが……」
「ワカさん、それにS07前線基地のBB小隊の皆さん、輸送任務お疲れ様」
ワカさんの言葉にどこか不吉な物を感じ、言葉をこぼすと後ろからに若い女性の声が聞こえ振り返ると一人の女性と一体の人形が立っていた
そこには、グリフィンの制服に袖を通した短く整えられた艶やかな黒髪が印象的な日系人女性で笑みを浮かべていた
一方の人形は藍色のジャンバースカートと鈴付きの花の髪留めが印象的な明るそうな人形で、ワカさんの方をみると書類を手に俺達の方へ近づいてきた
「ワカさん、途中で何か問題がなかったですか?」
「特に無かったな……そうだ、BB小隊の皆に紹介しよう」
ワカさんは茶髪の人形から書類を受け取ると振り返って、女性と人形を俺達に紹介し始めた
「グリフィンの制服を着ている女性はここ、S07情報支援基地の指揮官を務めているマリサ=タケミだ」
「こんにちは皆さん、私がここの指揮官を務めているマリサ=タケミよ、隣にいるのがコト小隊の隊長を務めているSG550」
「コト小隊の隊長のSG550だよ」
「BB小隊長のM14です、後ろにいるのが……」
タケミ指揮官とSG550と名乗った茶髪の人形が名乗った後、M14さんが俺達の事を紹介した
M14さんが紹介し終えるとSG550さんは彼女は目を輝かせながら俺に視線を向けた
「やっぱり、S地区のグリフィン前線基地に男性型戦術人形がいるという噂は本当だったんだ……よく見ると美形さんだ」
「まぁ、よろしく……」
「SG550、彼が困っているわよ。それにSG551が嫉妬するぞ」
SG550の好奇心にあふれた視線から目を逸らすとタケミ指揮官が彼女を静止させる
タケミ指揮官の言葉で彼女は我に帰った彼女は顔を赤くした
「ごめんなさい……男性型戦術人形を初めてみたのは」
「気にしなくてもいいじゃない、M16A4が美形なのは本当なんだし!!」
「うん、パラもそう思うよ」
「そうそう、M16A4はもっと自信を持ったがいいよ」
(みんな、正直恥ずかしいですよ)
MP5Fさんが笑いながら俺の肩を叩かれ、笑うM14さん達に俺はちょっとだけ恥ずかしさを感じているとP228さんが思い出したように後方のトラックに指差した
彼女は指差した方向には、トラックに同乗していた作業員達が指示を今かと待っていたのが見えた
「タケミ指揮官、運んできた物資をどうしようしょうか?」
「そうね……ワカさん、作業用ユニットで物資コンテナを下ろしてくれない?」
「分かった、すぐにやろう。BB小隊のみんなもちょっと手伝ってくれ」
「分かったわ、皆もいいわよね?」
M14さんの問いかけに俺達がうなずくとワカが自分の作業用ユニットを載せている装甲車に向かっていた
そして、俺達もワカさんを手伝うためにトラックに近づこうとした瞬間、背後から大きな物音が耳に入り、俺は振り返った瞬間、俺は言葉を失った
そこには、開いた鉄製の扉からずんぐりとした人形がズカズカと荷卸し場へ入ってきた
その人形卵型の胴体に半球型の頭部に二つの円形のセンサーと胴体に対して短く太めな手足がそれぞれ白黒に塗り分けられている
一件するとクマ……いや、パンダを連想させるシルエットをしていた……在野の技師の手製だろうか?
突如能われたパンダ型の人形は明らかに怒ったような表情を浮かべて、俺達――正確にはワカさんを睨み付けていた
「ワカ、無駄話してないで、僕の荷物を渡してよ」
「何事……え!?」
「パンダの着ぐるみ?」
「というか、その声……どこかで聞き覚えがあるような?」
突然現れたパンダ(?)の聞き覚えのある声に首をかしげるとワカさんが顔をしかめてこう言った
「モノ、お前は待つことを知らないのか?」
「こっちはフレンドとの待ち合わせ時間が迫っているんだよ。、待ってられないよ!!」
「モノさん、すぐに荷物を下ろすからちょっと待ってよ」
「無理だよ、ゲームのクランとの待ち合わせまで時間が無いんだ……そこの青服どけ!!!」
「イタ!!」
「M16A4、大丈夫……て、もトラックの荷物を勝手に開けちゃだめだよ!!」
ワカさんとSG550さんの言葉を一蹴すると俺をモノと呼ばれたパンダは俺を押しのけて、トラックに駆け寄った。見た目からしてある程度予想できたが、力は強く……出力だけなら軍事用人形を互角といったどころか?
そして、突き飛ばされた俺が立ち上がるとM14さんがかけよると手を差し伸べた
俺は彼女の手を掴むと立ち上がった……
そして、パンダは周囲の作業員を押しのけてトラックの荷台の荷物を物色し始めるパンダとそれを止めようとするSG550のやり取りを目にして声に心当たりがあった事を思い出した
「あ、さっきの通信に応じたモノっては、あのパンダか」
「そうだ、あそこで物色している
「ちょっと、やる気にムラが多い子なんだよね……やる時はやるけどね」
「タケミ指揮官……ヤツはたんなる怠け者だ」
(彼女って、案外天然だったりするのか?)
イラつくワカをなだめるタケミ指揮官を目にして俺がそんな推測を建てていると先ほどかモノを取り押さえようとするSG550の悲鳴がさらに響き渡った
振り返るとコンテナの蓋を開けようとするモノとそれを止めようとするSG550が組み合ってた
「モノさん、駄目だよ!! 順番は……きゃああ!?」
「SG550、大丈夫!?」
「君大丈夫って……パンダさん、酷いですよ!?」
「モノさん、最低です」
「僕は急いでいるんだよ。ゲームクランの姫、ディーマちゃんが待って……あった!!!」
よ」
モノに突き飛ばされたSG550さんを突き飛ばしたのを見たMP5Fとパラちゃんが彼女の元へ駆け寄り、P228さんがモノに怒り、俺もモノに無言ながらも冷たい視線を浴びせた……腹黒パンダめ
当のモノはわれ関せずとばかりにコンテナをの蓋をこじ開けるとお目当てのモノを見つけたのか茶色の包みをコンテナから取り出した
そして、「待っていてね~ディーマちゃん!!!」と嬉しそうな声を上げようと荷卸し場の出入り口へ駆け寄ろうとした瞬間、車両庫内に設けられたスピーカーから警報が鳴り響いた
「緊急警報だと!?」
「え……こんな時に限って!!!」
「何事!?」
その場にいた全員が警報に意識が集中した瞬間、さらにスピーカーから女性――人形らしき人物の悲鳴が響き割った
《こちら副官のM686、エンジニアスタッフと同行していたT86達から鉄血から救難信号を受信したわ。
その放送に俺達はこの周囲で起こった停電がただの故障で起きたモノではないとすぐに察し、モノも絶望を隠さずに小包を持ったまま、その場に立ち尽くしていた
それを見たワカさんはそっとモノの背中を右の翼で軽く叩きながら諭すようにこう言った
「モノ、どうやら……
「うん……分かったよ」
そして、それを聞いたタケミ指揮官は先ほどまでの穏やかな笑顔から一変して、真剣な表情で俺達に視線を向けた
「聞いたよね? みんな、司令部に行くよ……BB小隊のみんなも来て頂戴」
彼女の言葉に俺達は無言でうなずき、彼女達と共にS07情報支援基地の司令部へ向かう事になった
やはり……嫌な予感は当たる。
今回本格的に登場したパンダ(?)型自律人形のモノですが……元ネタは分かる人は分かるアイツです
さて、次話は休載していた間にディビジョンをプレイした経験を元に執筆した戦闘パートにです