MALE DOLLS   作:ガンアーク弐式

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ひさしぶりの戦闘シーンを書きましたが結構難しい
特にドルフロは集団戦が中心になりやすいので頭を使いますね


Two months ago~②

G01地区某所に存在する廃墟群に存在する元は商店であったであろう少し大きめの廃墟の中で俺達は今回の作戦についての最終確認をしていた。

 

「今回の目標は、廃墟区画の廃工場で行われている密輸品の裏取引現場に乱入し、関係者を拘束もしくは殺害することよ」

 

今回の任務で編成された小隊で隊長に任命されたM14さんが廃墟の床に投影された闇業者が潜伏している廃工場のホログラム……実際は人形同士の通信を利用したデータに目を移す。

標的がいる場所は倉庫だった廃墟を修繕したような建物で、周囲を20人くらいの武装兵士を表した人型が建物の周囲を囲んでいた

 

「本部の司令によるとこの廃工場で密輸業者達がテロリスト達との取引を行うそうよ」

「つ……つまり、取引に乱入しろと言う事ですか?」

 

M14の説明に、俺の隣で腰まで長い金髪を一本結びにしたカーキ色の軍服を着た気弱な戦術人形……M3さんが恐る恐る手を上げながら口を開いた。彼女はちょっと臆病な所があるが、やる時はやる人形だと聞いている

 それを見た眼帯を付けた金髪ツインテールの人形……スコーピオンさんがM3さんの肩を軽く押した

 

「M3、怖いの?」

「こ、怖くなんてありませんよ!」

「それにしては、泣きそうな目をしているんじゃん」

 

 必至に反論するM3さんに対して、スコーピオンさんは軽く受け流すのを見てF02前線基地での彼女達とは違って生き生きしているように見えた。あの基地では人形達は全員があまり笑っていなかった……副官(Mk48)をのぞいては

 

(たしか、俺が異動になった直後にあの指揮官が逮捕されたんだよな……一体誰が)

 

俺がそんな事を考えているとM14さんが二人の間に割って入った

 

「二人共いい加減にしないと指揮官代理(サクラさん)が怒りますよ」

「あ……ゴメン」

「そ、そうですね。ブリーフィングを続けましょう」

 

彼女の言葉にM3さんとスコーピオンが謝るとM14さんが説明を続ける。もし、止めなかったらあの人の怒号が飛んでいただろう……指揮官代理は今も俺達の様子を見ているのに沈黙を保っているのが余計に恐怖を感じる

 

ふと隣で薄茶色の髪を三つ編みにして、茶色の帽子をかぶった人形……FNCさんが廃倉庫の見取り図の注意深く見ていた……チョコをかじりながら

 

「FNCさん、なにか気になる事でもあるんですか?」

「うん、密輸業者さんが売り物の武器……バズーカでも持ってきたら私達でも危なくない?」

 

FNCさんの疑問にM14さんがこの質問が来る事を予測していたのか、すぐに答えた

 

「その可能性は確かにあるわ。だからこそ、指揮官代理の作戦よ」

 

M14さんがそう言うと廃工場の見取り図に青い点が11個現れた。入口側に5個、裏口の搬入口に6個が建物を挟み込むように配置されている。この点は俺達と戦術人形としての特徴であるダミーリンクで遠隔操作するダミーを表している。早い話が友軍だ

 

「FNCさんとスコーピオンさんが出入り口から突入して密輸業者達を確保もしくは殺害。同時に皆とM3さん、M16さんは裏口から突入して密輸品を押収もしくは、破壊してください」

「外の警備兵は、全員やっつけてもいいだよね?」

「はい、勝利のためよ。遠慮は無用よ」

 

 FNCさんの質問にM14さんが頷くと視界がホログラムの見取り図からの現実の廃墟に戻った。そして、全員がそれぞれの半身である愛銃やサイドアームの最終確認を始める。

 

俺も自身の愛銃のM16A4に銃剣を取り付け、腰に下げたP220のチェックをする……俺の初陣がすぐそこまで迫っている

 

 

―――――――

 

 

 

作戦の最終確認から1時間後、例の廃倉庫が見える廃ビルの影に俺とM3さん、M14さんが息をひそめて様子を伺っていた。裏口らしき扉の周囲をサブマシンガンで武装した男達(ヒャッハー)が辺りを警戒していた

 俺達が突入の機会をうかがっていると電脳に通信が人形言語で受信された。このコードはG01前線基地……そろそろ作戦開始か

 

『総員の初期配置を確認した……作戦小隊、点呼せよ』

「小隊長M14、ダミー3体とも問題ないわ」

「え、M3、ダミー2体ともに問題ありません」

<スコーピオン、ダミー2体ともにいつでも行けるよ>

<FNC、わたしもダミー3体も問題ありませ~ん>

「M16A4、ダミー1体共にいつでもいけます」

 

電脳越しに聞こえる指揮官代行の点呼に、全員が電脳通信で応答する。それを聞いて、指揮官代行が言葉を続けた

 

『よし、取引の相手のテロリスト達は本部の戦術人形小隊が始末するらしい。思う存分暴れろ』

<ですが、密輸品の破壊は証拠の隠滅に繋がるのでは?>

『すでに裏取引についての証拠はそろっているので焼け残りから見つかればいいとのことだ……本部の引きこもり共め!!

「ひぃ!?」

 

指揮官代行がドスを効かせて吐き捨てるのを聞いて、M3さんが怯え、彼女のダミー達もつられるように肩を震わせている。

それを見て、M14さんが話題を任務に戻そうとするが、彼女も動揺していたせいで、通信と口と同時にでていた

 

<「しっ指揮官代理、そろそろ作戦開始時間ですよ」>

『そうだったな、総員戦闘準備。秒読みを始めるぞ』

 

M14さんの指摘され、気持ちを落ち着けたのか普段の冷静だが強い意思がこもった口調で俺達に合図を出すとこの場にいる全員の表情が俺が知っているソレとは別物になった。容赦なく人を殺せる人形の目をしていた

 

 隣の俺のダミーも自分が鏡で見るのとは別物の冷たい目……戦術人形としてのそれになっていた。たぶん、俺もダミーと同じような目をしているはずだ

 俺は自然と出撃時から首にかけている防塵用マスクに手を触れる。自分が民間人形ツクモだった事を忘れないように

 

『5』

 

隣のM3さんが自身の銃を構える

俺は防塵用マスクを装着……ダミーも本体(俺)と合わせるよう防塵用マスクをつける

 

『4』

 

俺の後ろでM14さんが裏口から一番遠くにいる見張りに狙いつける

肩にかけていたM16A4を構え直し、安全装置からフルオートに切り替える

 

『3』

 

俺は裏口に一番近い見張りに狙いをつける。

見張りの武装兵達は俺達にまったく気づいていなかった

 

『2』

 

俺や皆のダミー達が同じようにそれぞれの銃や武器を見張り達に構える

 

『1』

 

やっと見張りの一人が俺達の気配を察知したのか……俺達の方に近づこうとするがもう遅い

 

『0、作戦(ミッション)開始!!』

 

指揮官代理の号令と共俺達は一斉に引き金を引きながら、廃倉庫に向かって走り出した

 

「ぐあああぁ!?」

「ぐぎゃああ!?」

「中の連中に……ぐぇ!?」

 

見張り達は反撃をする暇もなく次々と銃弾に倒れていき、あっという間に地面や壁を赤く染め上げ、武装兵達を物言わぬ死体に変えてしまった。

廃倉庫の反対側ではFNCさんとスコーピオンさんの手榴弾によるものか爆発音が聞こえてくる……その時、電脳にスコーピオンの通信が入った

 

<こちらスコーピオン、表の見張りは全部倒したから倉庫内部内部に突入するよ>

『了解した……内部には武装兵がまだ半分近く残っている気を付けろ』

<了解、FNC行くよ!!>

「スコーピオンからの通信を聞いたね、私達も突入するよ」

 

スコーピオンから通信が切れるとM14が裏口を指差すとM3さんのダミー達を先頭にして、廃倉庫へ突入する。もちろん、M3さんとM14さんのダミーを1体ずつを後方警戒と増援への備えのために出入り口に残している

 

俺達が廃工場へ突入すると底は元々生産された製品を出荷するための倉庫であろう区画で、奥に密輸品が入っていると思われる大きなコンテナが数個が積み上げられている

 コンテナと正反対の扉から中折れ式ショットガンで武装した男達と薄汚れた作業服を着た密輸業者達らしき男性をが出てきた

 

「殺人人形共がこっちにも来たぞ!!!」

「ぶっ壊せ!!!」

「早くコンテナからデカイ銃を持ってこい!!」

 

 俺達を見た武装兵達や密輸業者はショットガンや拳銃を乱射するも揺しているせいでほとんど当たらない。

 それでも乱射された銃弾を避けるために、俺達はすぐの物陰の影に身を隠ざるえなかった。その隙を付いて、密輸業者の一人がコンテナに駆け寄ろうとする。

 コンテナの中に

 

「M14さん、コンテナに駆け寄る奴は俺が取り押さえますのでショットガンを持った奴ら武装兵をお願いします」

「分かった、M3はM16さんの援護をお願い」

「は、はい。ダミー1は一緒に彼を援護して!」

 

 M14さんが指示を出すと同時にダミーと同時に武装兵達のショットガンを狙い撃って、叩き落とす。すぐに武装兵達はそれぞれ落としたショットガンを拾うか腰の拳銃を抜こうとするが、M14さんと俺のダミーがすかさず、銃撃を浴びさせに全員が真っ赤に染まった死体に変えてしまった

 

同時にM3さんはダミーの一体と共にコンテナに駆け寄る密輸業者の進路を妨害するように男の少し前方に向かって、乱射すると同時に俺はダミーと共に彼に飛びかかった。

 

 密輸業者は後方から飛んできた弾丸に避けようと足を止めよう瞬間、俺は俺は彼を取り押さえ、地面に押し倒した。それと同時に武装兵に向かって牽制射撃をしていた俺のダミーが彼に銃剣を突きつける

 

「動かないでください……これ以上動くと頭が潰れますよ」

「男性型の戦術人形……なんてバカ力だ!?」

「男性型で悪いですか……後、素直に降伏すれば命は取りませんよ」

 

密輸業者は俺を人間だと思い込んでいたのか……驚愕の表情を浮かべて俺を見た。

彼は必至に抵抗しようとするも俺の通常よりも高い馬力による怪力と突きつけられた銃剣で抵抗するのを諦めたのか、大人しくなった

 

「分かったよ……死ぬのは御免だからな」

 

密輸業者はそう言うと銃声や怒号などで騒がしかった工場内が静かになった。ダミーに男を拘束させると周囲を見渡すとM14さんとM3さん、それに彼女達のダミー以外は物言わぬ死体と化していた。

 俺達と目の前の密輸業者しか生者がいない事を確認した瞬間、指揮官代理から電脳に通信が入った

 

『表側のスコーピオン達も密業者達を殺害もしくは、確保したそうだ』

「じゃあ、私達の勝利ですね!!」

「やった、これで特別ボーナスがでれば文句ありません!」

 

指揮官代理の報告にM14さんとM3さんが目を輝かせながら言うと指揮官代理は諭すように言葉を続ける

 

『敵が雑魚とすらいえない弱小勢力に過ぎないという事を忘れるなよ。まぁ……証拠品である密輸品のコンテナをすべて無事で確保できたのは手柄だぞ』

(指揮官代理もうれしいんだな」)

 

指揮官代理の言葉に俺はふと笑みが零れたがすぐに気を引き締めた。まだ、任務は終わっていないのだ。俺はダミーが拘束している密輸業者に視線を向ける

 

「指揮官代理、これから捕縛した密輸業者を連行します」

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、俺の初任務は圧倒的な勝利で幕を閉じた。

 後の現場調査と密輸業者達の自白で、コンテナに積まれていたのは鉄血重工製の人間用重火器類と鉄血製機械兵器の消耗品や予備パーツらしい。密輸品の仕入れ先はとある小規模PMCからテロリストに横流しされた物で、例の密輸業者達はその仲介人の立場だったらしい

 その後、そのPMCは正規軍の治安維部隊の摘発を受けるが俺には関係ない話だ

 

<■が■■■■まであと2カ月>




ちなみに、M16A4のレベルは大体10くらいの編成拡大が解禁されたばかりを想定しています……他の子達と比べると実力は天と地の差があります

怪力に関してはG01前線基地の戦術人形の中ではトップクラスですが、現状ではそれを生かし切れていません

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