今回、日本鯖未実装の人形が登場します
俺の初任務から約一か月半が経って、時折現れる
そして、指揮官は引退のための手続きのために本部と連絡を取り合っているのをよく見るようになった……どうも年で前線勤務を続けるのには体がついていけないのが龍らしい
で、今日は
尚、俺と共に呼ばれたのは、初陣の時と同じメンバーだったM14さんとM3さん、今回は猫耳型の髪留めと猫尻尾と赤と緑のオッドアイが特徴のMK23とおっとりとした目つきと腰まで伸ばした銀髪に載せたベレー帽が特徴のGrG36Cさんだ。
指令室にはサクラさんと指揮官、副官の漢陽さんがすでにブリーフィングの準備を済ませていたので、俺達が指令室に到着すると同時に今回の任務についてのブリーフィングが始まった。
「G01地区の東部に建設されたばかりのIOPの修理工場に襲撃予告が届いた」
「確か、中規模の前線基地に所属する数と同じ戦術人形を同時に修理できる規模と設備が整った最新の自動工場でしたね」
「その分、修理費は割高だがな……この見取り図を見てくれ」
俺の質問にサクラさんが頷くと指令室のモニターの修理工場の見取り図らしき図面が表示され、俺達はそれに注目したが……結構大規模な工場だ。
「本部から我々G01地区前線基地の戦術人形部隊は、グリフィン本部の人形部隊と共同で工場の護衛するように司令を受けた」
「
HK23さんは首を傾げて、司令官代理に質問した。仮にも大企業のI.O.P社の施設を襲撃するのはよほどのバカか大きな後ろ盾があるかのどちらかだ。
「本部は人類人権団体の過激派だと予測しているが……」
「指揮官代理は違うと思うのですか?」
指揮官代理が本部の見解に腑に落ちない事に気付いたのか、G36Cが質問すると彼女は薄ら笑み浮かべた。
「まぁ誰でもいいさ……「人形の病院である修理工場を襲ったらどうなるか」をその身で味わせるだけの話だ」
彼女の言葉に俺を含めた戦術人形達が顔を青くした。指揮官代理は今回の任務に不満があるのが明白だった。
それを見て、指揮官が口を開いた
「サクラの意見はともかく、現地でグリフィン本部の人形部隊を合流し、修理工場の警備当たってくれ」
指揮官が一息つくと俺の方を見た。彼が何を言いたいのか、すぐに分かった……俺が男性型であるゆえにグリフィン本部の戦術人形達から奇異な目で見られる事を心配しているのだ
「M16A4、今回君は肩身が狭い思いをするかもしれないがいずれ経験する事だ……こらえろよ」
「嫌と言うほど経験しましたから……大丈夫ですよ」
俺はなんとか笑みを浮かべて答えるが、声が震えしてしまた。F02前線基地での出来事は今でも思い出したくない。
もし、異動が1日でも遅れていたら、自殺していたかもしれない……あそこでの境遇は俺の選択を完全に否定されたも同然だったからだ
その時、俺以外の戦術人形達が一斉に声を上げた
「M16が最初にここに来た時は驚いたけど、今は私達の仲間です」
「グランファ、彼の事をバカにする子がいたら私が彼の凄さを教えてあげるんだから」
「この基地の戦術人形全員があなたの理解者ですよ」
「それに怪力と瞬発力であなたに勝てる戦術人形なんてそう、簡単には見つからないわ」
彼女達の言葉を聞いて、俺は自然と涙を零れ落ちた。僕の選択は間違いではなかったとこ心から思えた
「ありがとう……みんな」
まぁ、最後のM14さんが言う怪力云々は、余計な一言だが……それでも俺の事を受け入れている故の褒め言葉と受け取ろう
―――――――――
「あれが例の修理工場か……ずいぶんと大きいな」
修理工場の敷地内に設置されているヘリポートから見えるIOPの修理工場の建屋は前線基地で見た見取り図通りの大きくて、りっぱな施設だ。その外見は俺が製造され、今はもう存在しない製造工場に似ていた。
僕が
「私達の前線基地の修理施設よりも立派じゃない?」
「確かに、修理専門ということを差し引いても私達の基地の物よりもいい物を使っていそうよね?」
「最新鋭の修理設備が完備されているらしいですよ……基地の設備が古すぎるだけかもしれませんが」
「この任務が終わったら、修理設備の改善を指揮官にお願いしましょう!!」
小隊の皆が立派な修理工場に驚き、それぞれ声を上げている……最後辺りは指揮官へのおねだりになっている気がするが
このまま、雑談を続ける訳にいかないので俺は小隊の皆に向かって声を出した
「皆さん、このまま突っ立てる訳に行きませんし、工場に先行している本部の人形部隊と合流しましょう」
「確か、本部の戦術人形小隊は工場の中で待機しているとグランファは言っていたわね」
「じゃ、じゃあ早く行きましょう」
Mk23さんが工場を指差すと工場の向かって歩き始め、俺達もその後を付いていこうとした時、右側の壁の方から視線を感じた。視線を感じた方を見ると壁の影の方に光る何か……銃を持った人影が見えた。すでに、テロリストが工場内に侵入していたのか!?
俺はすぐに背負っていた半身のM16A4を構えて、セレクターをセミオートに切り替えて、視線を感じた方が銃口を向けて叫んだ!!!
「みなさん、右の壁の影に不審な人物がいます!!!」
「まさか、テロリストがすでに!?」
「武器を捨てて出てきなさい!!」
俺の叫びに小隊の皆も自身の銃を視線を感じた方向へ向けると視線の主らしき人物……いや、一体の自律人形が顔を引きつらせながら物陰から姿を現した。木製のクリップでサイドテールにした藍色の長髪と赤い目が特徴の白衣を着た女性型で、右手に拳銃に持っていたが俺達に銃口を向けていると分かるや否や地面に置くと両手を上げた
「あたしの名はキイ。この修理工場で薬剤調合の仕事をしている職員だ……だから、銃を降ろしてくれないか?」
「じゃあ、その拳銃はなんですか?」
「サバゲーで使うモデルガンだよ」
「はい?」
「まあぁ、さっきまで裏の空き倉庫で同僚の人形達とサバゲーをやっていたからな……気になるのなら、胸の職員証のIDを確認してもみていいよ」
キイと名乗った人形は、そう言って右胸に安全ピンでつけた職員証を指差した。俺が職員証のIDを確認すると確かに、ここの職員として登録された民間人形だという事が分かったが……こんな非常時にサバゲーするか、普通?
彼女がここの職員だと分かると俺達は銃を下ろしたが目の前の彼女の行動に全員が唖然としていた。
「この人、危機感という物がないのでしょうか?」
G36Cさんが呟くのを聞いて俺達は頷いた。例の襲撃予告が出ているのに、職員達は呑気にサバゲーをしているのだから……こんな調子で大丈夫かIOP?
俺がIOPに対していろんな意味で不安を感じたその時、俺の背後から声が聞こえた
「あなた達がG01地区前線地区の戦術人形部隊ですね?」
俺達が後ろを振り返るとそこには頭に付けた(?)ウサギのぬいぐるみと星の柄の赤いスカートとリボン、そして彼女の身長と同じぐらいのライフルが印象的な幼女型戦術人形が俺達を見上げていた。
「私はグリフィン本部から派遣された戦術人形小隊の隊長を務めるM99です。小隊長さんはどなたですか?」
M99と名乗った小さな戦術人形の質問に、M14さんが手を上げた
「G01地区前線基地からやってきた派遣小隊長のM14よ。よろしくね、M99ちゃん」
「はい……それと一言いいでしょうか?」
M99ちゃんは俺の方を向き、指を差した
「あなた、そのマスクを外して顔を見せなさい。共同相手に対して失礼じゃありませんか!?」
「ですが……このマスクは」
俺はM99ちゃんの指摘に困惑した。
今まで任務の際は防塵用マスクを覆面代わりに身に付けていた。
なぜなら、マスクをつけていれば男だという事を隠せなくても俺個人としての顔は隠せるのと民間人形だった頃を忘れないようにするためだ。特に前者は不用意に顔を見せれば、仲間達が俺の事で不利益を被るのが嫌だからだ
俺のせいで皆が笑い者にされるのは正直耐えられない
俺の様子を見て、M14さんが助け船を出してくれた
「M16A4さんは自分の顔を見られるのが嫌がるのよ。それこそ私達以外に顔を見られたら、我を忘れて大暴れするくらいなのよ」
「……そうなんですか?」
「そうなんです……自分は他人に自分の顔を見られるのが凄く嫌なんです」
M99は俺をじっと見るが……一息つくとこう言った
「分かりました……皆さん、私達の仲間の元へ案内しますのでついてきてください」
そう言って、彼女は頭に付けたリボンを揺らしながら、工場の方へ歩いていくと俺達も後を付いていく
キイは……ほっといてもいいか
――――――――
M16A4達がM99についていった後、その場に残されたキイは首を傾げた。彼女の思考の対象はM16A4であった
「防塵マスクのお兄さんも戦術人形だったのか……けど、銅色の髪に銀眼の男性型人形って何処かで見たような気があるな」
キイは自身の電脳をフル活用して、M16A4の事を思い出そうとしていた
(確か……IOPの社内誌で見た事あるんだよな……素顔を見れれば思い出せそうなんだけどね……よし)
キイは足元に転がっていたモデルガンのK5を拾うと修理工場の方へ向かった。M16A4の正体を探るために、自らの好奇心を満たすために
「確か……彼らはグリフィンの本部の戦術人形部隊と合流するなら、あそこにいくはずだ。ふふ、ひさしぶりに知識欲が沸き上がってくるよ」
今回登場したキイは前書きでも書いた通り、とある戦術人形です。(自分のお気に入りの子です
ヒントは彼女の名前をローマ字にしてみてください
そして、彼女の髪留めが木製のクリップである事を考えてみたらすぐに分かると思います
彼女のサバゲー好きは、公式設定です……後、近いうちに声も実装されるようですね
一体いつになったら、彼女は日本鯖に実装されるのでしょうか
※9月18日、キイの口調を若干変更しました