顔合わせの翌日、私は生徒会の仕事があるのでいつも通りの時間に学校に向かいました。
春らしい陽気を感じつつ登校するのはいいものですね。
そんな風に思っている内に学校に着きました。
紗夜「__おはようございます。」
燐子「あ......おはようございます。」
有咲「おはようございます。」
生徒会室に行くともう、白金さんと市ヶ谷さんがいました。
有咲「紗夜先輩、足を痛めたんじゃないですか?大丈夫なんですか?」
紗夜「大丈夫ですよ。」
燐子「今日は校内の見回りは......私達でしますので......氷川さんは、安静にしててください。」
紗夜「え?でも__」
有咲「いいと思います。いつも紗夜先輩は働き過ぎですし。」
紗夜「いえ、そんなことは。」
燐子「とにかく......氷川さんは今日は安静に......です......!」
紗夜「うっ......わ、わかりました。」
私は珍しく出た白金さんの圧でそう答えることしかできませんでした。
日ごろ怒らない人ほどああいうときの圧が強いのだと言う事を実感しました。
燐子「__それでは......行ってきます。」
有咲「紗夜先輩は安静にしていてくださいね。」
紗夜「はい。」
しばらくすると、白金さんと市ヶ谷さんは生徒会室を出て仕事に向かいました。
私は生徒会室に一人になりました。
紗夜(皆さんが仕事をしてる中、一人でここにいるのは罪悪感がありますね。......少しくらい見回りに行ってもいいでしょうか?)
私はそう思い生徒会室を出ました。
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紗夜「__あら、あれは?」
少し歩いて下駄箱近くに行くと、八舞君を見かけました。
紗夜(少し、挨拶しておきましょうか。)
そう思い、私が近づく途中、こんな声が聞こえてきました。
涼「...つまりあれだろ?その、氷川さんって人はこうなるのを分かっていたんだろ?」
紗夜「(私の事?なんででしょうか......って、そういう事ですか。)」
私はおおよその流れを察しました。
私は八舞君たちの方に行きました。
紗夜「__えぇ、その通りです。」
栄斗「なんで......こうなったんでしょう?」
紗夜「理由?言わなくても分かるでしょう?」
栄斗「やっぱり、あれっすか?」
紗夜「えぇ、間違いないです。」
彼は疲れた顔をしています。
相当嫌なのでしょう。
栄斗「なんであれで、こんなことになるんですか?」
紗夜「あぁ、それは__」
ファンクラブ達「そこからは私たちが説明します!」
栄斗「!?」
どこで準備していたのでしょうか、女子の集団が突然、飛び出してきました。
栄斗「え?どなたですか?」
ファンクラブ1「私たちはあなたのファンクラブです!」
栄斗「は?ファンクラブ?なんで?」
ファンクラブ1「それは__」
それから彼女たちはファンクラブが出来た経緯を八舞君に説明しました。
私も結成までの経緯は初めてききました。驚きですね。
ですが、それよりも。
栄斗「」
彼の絶句している様子が印象的でした。
本当に信じられないと言う顔です。
紗夜「......私も結成までの経緯は初めて聞きました。」
イヴ「ですね......でも、流石、エイトさんです!」
涼「良かったじゃないかー!栄斗ー!羨ましいぜ!」
栄斗「よくねぇぇぇ!!!」
紗夜(まぁ、そうですよね。)
私からすれば八舞君の反応は納得のものです。
おおよそ彼は所謂、モテたいとかそう言う感情はないでしょう、そんな彼にはファンクラブは邪魔でしかないのですから。
ファンクラブ2「あ、あの......?」
栄斗「はい?」
ファンクラブ2「ファンクラブ、だめですか......?」
栄斗「え?」
ファンクラブ3「え?ダメ、なの......?」
これは所謂、泣き脅しというものですね。
彼もそのことは理解しているでしょう、ですが......
栄斗「」
彼には効果抜群みたいです。
嫌がってると言っても、私を助けてくれるほど心優しいわけですから、まぁ。
栄斗「......せ、節度を守ってもらえるなら。」
ファンクラブ1「ほんとに!?やったー!」
紗夜「(まぁ、そうなりますよね。)」
約束されたような結末ですね。
私はチョロいと思いましたが、八舞君の優しい性格を見た気がしました。
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あの後、私は結局、白金さんたちに見つかり圧をかけられましたが、普通に見回りをすることになりました。
紗夜「__あれはなんでしょうか?」
1年生のフロアに来ると、すごい人だかりを見つけました。
クラスを見てみるとE組でした。
紗夜「(......何となく、わかりました。)」
少し、教室の中を覗いてみると、案の定、八舞君がいました。
遠くからでも分かるほど、彼は哀愁を漂わせています。
紗夜「(流石にあのままにしておくのは可哀そうですね。どうしましょうか?)」
少し考え、私はある案を思いつきました。
紗夜「__そこの生徒たち!一つの教室の前で留まらないでください!」
私は生徒会の権限を使って、ファンクラブの校則を作るという作戦を立てました。
紗夜「そして!八舞君のファンクラブについては時期に校則としてルールが設けられることになりました!」
私がそう言うと、教室内の八舞君は目を丸くしていました。
なので、私は教室にはいりました。
紗夜「__それでいいですね?八舞君?」
栄斗「はい......」
哀愁を漂わせている彼に私は同情しました。
紗夜「(私が助けてあげないと、絶対に......って、なんでこんなことを?)」
この時、私は彼を助けてあげたい、哀愁を漂わせた顔をみたくない、という気持ちに戸惑いを感じました。
私はこの気持ちの正体を全く分かっていませんでした。
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