恋愛のブシドー   作:火の車

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栄斗「最近、思うんだけどな。」
イヴ「はい?」
栄斗「俺、ここの主人公なのに最近出番ないんだ。」
イヴ「ま、まぁ、今はサヨさんのお話ですから!」
栄斗「まぁ、そうなんだけどさ。」
イヴ(エイトさんが珍しく拗ねています!可愛いです!)
栄斗「まぁ、その分イヴと時間を過ごそうか。」
イヴ「はい!そうですね!」
栄斗「何はともあれ、本編、開始だ。」
イヴ「ブシドー!」


否定と崩壊の言葉

 朝、私はいつも通り学校に来ました。

 

燐子「おはようございます......氷川さん。」

紗夜「おはようございます。白金さん。」

 

 席に着くと、いつも通り白金さんとバンドの話をしたりしてました。

 ですが、

 

紗夜「白鷺さん?」

千聖「......紗夜ちゃん。おはよう。」

紗夜「どうなさいました?」

千聖「なんでもないのよ。行くところがあるから失礼するわね。」

 

 そう言うと、白鷺さんは教室を出て行きました。

 どう考えても普通じゃない、そう思った私は白鷺さんの後を追いました。

__________________

 

紗夜(怒ってる?しかも、表情に出ていませんが、かなり剣幕です。一体何が?)

 

 私はそんな事を考えながら白鷺さんを追いかけました。

 いつもの彼女らしくない雰囲気には背筋が凍るような気がしました。

 

 彼女を追ってたどり着いたのは、屋上でした。

 なぜ屋上に、そう思いましたが。

 私は知っています、彼がこの時間に必ず屋上にいると。

 

紗夜「......でも、そんなわけ。」

 

 白鷺さんと付き合ってる、そう言う不安が出てきました。

 私は嫌な汗が溢れてきましたが、覗いてみる事にしました。

 

千聖「__ふざけないで......!」

 

紗夜「!?」

 

 私の目には白鷺さんは八舞君の胸倉を掴んでるのが見えました。

 白鷺さんは怒りに満ちた表情で殺意すら感じます。

 八舞君は胸倉を掴んでる白鷺さんを見ています。

 その目からは生気を感じられずまるで、死んでるようです。

 

千聖「イヴちゃんは私たちの仲間なの、関係ないわけないわ...!」

栄斗「......わかりました。お話しします。」

 

紗夜(一体、何を......?)

 

栄斗「......若宮が料理を俺に教わるために家に来ていた時、俺の家に親が来たんです。」

千聖「親が来た......?」

栄斗「俺は親と別居しています。それで、その時に俺は若宮を隠して対応しました。その時、親は俺にこう言いました、絶縁しろ、と。」

千聖「絶縁?なんで?」

栄斗「それは、昔、俺が同じ学校にいた父親の得意先の息子がいじめをしててそれを殴ったからですよ。それから、俺は絶縁が約束されていたんです。」

千聖「ひどい親ね。」

 

紗夜「え......?八舞君が絶縁......?」

 

 全ては聞こえませんでした、ですが、絶縁という単語ははっきり聞こえました。

 なんで、彼がそんな事に?

 私には全く、理解できません。

 一体、なんで、彼は違う、彼は優しくてそんな親に捨てられるような人じゃ......

 

紗夜(なんで、なんで......?)

 

 私は何度も誰かもわからなず問いかけ続けました。

 でも、その返事は返ってくることはありません。

 

千聖「__だったら、いきなさい!八舞栄斗!」

栄斗「__!!」

 

 八舞君が屋上から飛び出していきました。

 

紗夜「八舞君!」

 

 私はなんでか、彼を追いかけました。

 どこに行くかもわからないのに、これから授業が始まるのに。

 でも、今はそんな事どうでもよくてただただ、これを追いかけないといけない、そう直感しました。

__________________

 

 彼はとんでもない速さで住宅街を走っています。

 人間とは思えません、でも、なぜかぎりぎりで見失わずに済んでいます。

 

紗夜(どこに、どこに行くと言うんですか......!八舞君!)

 

 私がそう思いながら追いかけてると、八舞君はとある家の前で立ち止まりました。

 そして、鍵が開いているのか入って行きました。

 

紗夜「ここは......若宮?」

 

 表札には若宮と書かれています。

 つまり、ここは......

 

紗夜(若宮さんの家......)

 

 私は少しだけ、入ってみました。

__________________

 

紗夜(ここで、一体何を?)

 

栄斗『......俺が弱かったんだ、すまなかった。だから、そんなに苦しそうな顔をしないでくれ......!』

紗夜「!」

 

 上の階からそんな声が聞こえてきました。

 

イヴ『本当は栄斗さんと友達でいたいです...!』

 

紗夜「......」

 

 私はその声を聞いて、静かに若宮さんの家を出ました。

__________________

 

紗夜(おかしい。)

 

 私は帰り道、違和感を感じていました。

 若宮さんの友達でいたいという言葉。

 私は自分にそれを当てはめて違和感を感じます。

 

紗夜(......私は彼と......)

 

 友達、でいいのでしょうか。

 でも、違和感を感じます。

 彼の友達である事は喜ばしいはずなのに、そのはずなのに!

 なんで、こんなことを思うのですか!

 

紗夜(駄目、これ以上は。戻れなくなる。)

 

 そう思っても、止まれない。

 あふれた感情はもう、止まらず、言葉となって溢れてくる。

 

紗夜(私は彼と......)

 

 まるで、嵐の荒野を歩いてるよう。

 焦燥感、進むことを世界から拒絶させているような。

 でも、この言葉を言えば、全て晴れました。

 これは、今までの彼との関係をすべて否定し壊してしまう、そんな言葉でした。

 

紗夜「......私は彼と、友達でいたくない。」

 

 この言葉の指す意味はまだ、分かりません。

 でも、ただ、今までを完全に何かに投げ売ったのは間違いありません。

 でも、私は若宮さんの言葉から心底、こう思ったのです。




燐子「あの......氷川さん?」
紗夜「はい?」
燐子「今回の話を見て......思ったことがあるのですが......」
紗夜「?」
燐子「氷川さん......病んでませんでしたか......?」
紗夜「え!?いえ、そんな事はないですよ?」
燐子「でも......かなり、心に闇があった気が......」
紗夜「ないです!」
燐子「そう、ですか......?」
紗夜「はい。私は病んでないです。」
燐子「は、はい......」
紗夜「それでは、次回に続きます。」

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