恋愛のブシドー   作:火の車

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12話になります!


第12話

昼休みの弦巻のライブに参加させる宣言から少し時間が経ち、今は、放課後だ。

 

「__さぁ栄斗!行くわよ!」

「え?何処に?」

「私の家よ!」

 

 そう言われ、俺は弦巻の家に半ば連行気味に連れていかれた。

_____________________________

 

「でっか!!!」

 

 弦巻の家はただただでかかった。

 

「...ここで、どんな生活を送ってんだ?」

「何をしているの?行くわよ!みんな待ってるわ!」

 

 俺は家の敷地に入った。

 

「内装もやっばい。 

 てか、執事とかメイドさんとかもいたし、漫画かよ。」

 

 そんなことを考えていると...

 

「さぁ!ここよ!」

「あ、はい。」

 

 弦巻が扉を開けた。

 

「あ!こころん!」

「やぁ、こころ!」

「待たせたわね!」

 

 ハロハピのメンバーらしい二人が近づいてきた。

 

「あれ?八舞君?」

「え?」

 

 青髪の人が話しかけてきた。

 

「えっと、あなたは?」

「あ!え、えっと、松原花音です。」

「よろしくお願いします。

 で、なぜ俺の事を?」

「千聖ちゃんがよく話してるんだよ~」

「...千聖って、白鷺さん!?」

 

 あの人、友達いたのか。あんな怖いのに。

 

「...えっと、ハロハピはこれで全員ですか?」

「いや?あと一人いるよ?」

 

 と、言うと。

 

「__遅れてごめん~。」

 

 あれ?この声は奥沢さん?__

 

「って、熊!?」

 

 入ってきたのは、熊の着ぐるみだった。

 

「え?熊?熊なんで!?」

「あー、私だよ八舞君。」

「...え?奥沢さん?」

「...うん、そうだよ。」

「...なぜ、熊の着ぐるみを?」

「色々あるんだよ色々。」

 

 着ぐるみで見えないが。

 遠い目をしてる気がする。

 

「やっぱり、苦労してるんだな。」

「...うん。」

 

 そうして時は流れ...

 

「と、言うわけで!今回協力してもらう、

 八舞栄斗よ!」

「八舞栄斗です。」

 

 と、自己紹介をした。

 

「あ!栄斗君だ!」

「ん?」

 

 そういえば、この子どっかで...

 

「君と同じクラスの北沢はぐみだよ!」

「あぁ、どうりで。」

「__次は私だね。」

 

 紫の髪で長身の人が話だした。

 

「私は瀬田薫だ。」

「よろしくお願いします、瀬田さん。」

「私の事は薫と呼んでくれたまえ。」

「はい、薫さん。(よかった、この人もまともそう__)」

「あぁ!花咲川の人気者との出会い...儚い...!」

「(じゃないです、はい。)」

「君の事は、千聖からよく聞いてるよ。」

「え!?(また、白鷺さん!?)」

 

 なんなんだ、今日の白鷺さんプッシュは?

 なんてことを考えてると...

 

「さぁ!最後はミッシェルね!」

「え?(奥沢じゃねぇの?)」

「こんにちは~みんな大好きミッシェルだよ~。」

「あ、あぁ...よろしく。」

 

 ミッシェルって奥沢だろ!?

 

「...なぁ、弦巻、ミッシェルの中の人って__」

「何を言ってるの?ミッシェルに中の人なんていないわ!」

 

 ...あっ(察し)

 

「...ほんとに、大変なんだな。」

「...大丈夫、もう慣れた。」

 

 ...嫌な慣れだな。

 

「自己紹介は済んだわね!

 じゃあ、今回のライブの説明をするわ!」

 

 弦巻が話題を出した。

 

「今回のライブはうちの学校の体育館でやるわよ!」

「...え?それって、つまり__」

「学校のみんなの前でやるわよ!」

「やっぱりかぁぁぁ!!」

「どうしたんだい?栄斗?」

「実は__」

 

 俺は薫さんに事情を話した。

 

「__ということなんです。」

「...」

 

 薫さんは黙っている...

 

「だから__」

「素晴らしいじゃないか!」

「え?」

「君にファンクラブがあるように私にもファンクラブがあるんだ!

 そんな二人が共演すれば、子猫ちゃんたちは幸福の渦に巻き込まれるだろう!」

「すごいよ薫君!」

「流石ね!薫!」

 

 北沢と弦巻が満足そうな反応をしている。

 てか、子猫ちゃんって...

 

「...なぁ奥沢?」

「...なに?」

「いつも、こんな調子なのか?」

「...うん。」

「た、大変そうだね、八舞君。」

「松原さん...」

 

 奥沢と松原さんは絶対に労わろう...

 

「...で、俺は何をするんだ?」

 

 このままでは、話が一向に進まないため、

 弦巻に尋ねてみた。

 

「栄斗には私と一緒に歌ってもらうわ!」

「は?」

 

 弦巻は何て言った?

 

「え?なんて?」

「歌ってもらうわ!」

 

 聞き間違いじゃないらしい。

 

「...俺は歌えんぞ。」

「大丈夫よ!」

「いや、無理だぞ。」

「大丈夫よ!」

 

 あ、聞いてないんですね。

 と、俺はあきらめた。

 

「__まぁ、歌うのはいい。

 日程は?」

「一週間後よ!」

 

 は?おい、まて、一週間後って...

 

「中間テストじゃねぇか!」

「そうだったかしら?でも、大丈夫よ!」

「やっぱり忘れてたんだ...こころちゃん...」

「大丈夫だよ!かのちゃん先輩!」

「そうさ花音。」

 

 うん、あの三人は完全にまともじゃないな。

 

「...大丈夫?八舞君。」

「...どうにかする。」

 

 これは...やばいな...

_______________________________

 

 俺の地獄の一週間が始まった。

 朝は四時に起きてテスト勉強をし、

 放課後はハロハピの練習を三時間ほどして、

 家に帰ってから、時間がないのでコンビニ総菜を食べ、

 八時から二時までテスト勉強をした。

 

「あ、あぁー、死ぬ...」

「だ、だいじょうぶですか!?栄斗さん!?」

「イヴか...」

 

 イヴは心配そうに見ている。

 

「あぁ、まだ大丈夫だ。」

「すいません...私のせいで...」

「...イヴのせいじゃない。最終的に引き受けたのは俺だ。

 それよりも、イヴは見に来るか?」

「はい!」

「そうか、なら楽しみにしててくれ。

 イヴを笑顔にして見せるから。」

「はい!栄斗さん!」

 

 これは、イヴのためにも頑張らねぇと。

________________________________

 

 そして...テストが始まった。

 

「とりあえず、詰めるだけは詰めた、

 テストは大丈夫だ...」

 

 テストはいつも通りできた...

 あとは...

 ライブを成功させるだけだ!!

________________________________

 

__テストが終わり、ライブ当日になった。

 ライブには花咲川どころか、羽丘の生徒まで来てる。

 薫さん効果やべえ。

 

「やぁ、栄斗。調子はどうだい?」

「薫さん...まぁ、歌うだけなら大丈夫ですよ。」

「そうか!期待してるよ!」

「...あまりされても困るんですが。」

 

 俺は苦笑いしながら答えた。

 

「さぁ!そろそろ行くわよ!」

 

 弦巻が声をかけた。

 

「栄斗は少し待ってって!」

「あぁ、打ち合わせ通りな。」

 

 えぇ!と言って、弦巻たちは舞台に上がっていった。

__________________________________

 

__『みんな!今日はよく来てくれたわ!』

 

 弦巻がそういうと大きな歓声が上がった。

 

『今日はスペシャルなゲストが来てるわ!

 でも、もう少し時間がかかるみたいだから、 

 最初は私たちだけでいくわ!』

 

 じゃあ__と続けて弦巻は...

 

『一曲目!えがおのオーケストラっ!』

 

 そうして、演奏が始まった。

 会場はすごい盛り上がりだ。

 

__と、思っているうちに一曲目が終わった。

そして...

 

『じゃあ、今回のゲストを呼ぶわ!

 出番よ!栄斗!』

 

 俺は弦巻に呼ばれ、舞台に上がった。

 すると...

 

「「「「「きゃーーー!!!」」」」」

 

 花咲川の女子生徒から黄色い声援がとんできた。

 

『今回は、弦巻に呼ばれ、ライブに出ることになった!

 短い時間だが楽しんでくれ!』

 

 そうして俺は、弦巻たちと演奏をした。

 会場にいたイヴもこっちに手を振っていたり楽しそうだ。

 

___『今日はありがとう!』

 

 そうしてライブが終わった。

 会場はまだ盛り上がっている。

 

___「栄斗!今日はありがとうね!」

「あぁ。」

 

 弦巻は満足そうだ。

 

「花咲川のみんなも、羽丘のみんなも、 

 全員が笑顔だったわ!!」

「あぁ、そうだな...」

 

 ライブは予想上に盛り上がった。

 あれなら頑張った甲斐もあったというものだ。

 

「これから打ち上げをするけど、栄斗は来るかしら?」

 

 と、弦巻に聞かれたが...

 

「悪いが遠慮する。

 少し寝たいからな。」

「そう?残念ね...

 じゃあ、またお礼するわ!」

「気にするな。

 そろそろ帰るよ。」

「あら?みんなに声はかけないの?」

「悪いがよろしく言っててくれ。」

「えぇ!わかったわ!」

 

 そう言って、俺は楽屋を出た。

_______________________________

 

___「栄斗さーん!」

「イヴ?帰ったんじゃないのか?」

「いえ!栄斗さんが来るのを待っていたんです!」

 

 どうやら待っていた様だった。

 

「今日のライブはどうだった?」

「はい!とっても楽しかったです!

 それに...」

「?」

「歌ってる栄斗さんはとってもかっこよかったです。///」

「そ、そうか。それはよかった。」

 

 という話をしていると...

 

「栄斗。」

「っ!?な、なんで?」

 

 そこにいたのは、つい最近絶縁したはずの 

 親父だった。

 

「...今更、なんのようだ...?」

「栄斗、私が悪かった、復縁しよう。」

「なに!?」

 

 親父の口から出たのは、俺にとっては信じられない言葉だった。

 




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