昼休みの弦巻のライブに参加させる宣言から少し時間が経ち、今は、放課後だ。
「__さぁ栄斗!行くわよ!」
「え?何処に?」
「私の家よ!」
そう言われ、俺は弦巻の家に半ば連行気味に連れていかれた。
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「でっか!!!」
弦巻の家はただただでかかった。
「...ここで、どんな生活を送ってんだ?」
「何をしているの?行くわよ!みんな待ってるわ!」
俺は家の敷地に入った。
「内装もやっばい。
てか、執事とかメイドさんとかもいたし、漫画かよ。」
そんなことを考えていると...
「さぁ!ここよ!」
「あ、はい。」
弦巻が扉を開けた。
「あ!こころん!」
「やぁ、こころ!」
「待たせたわね!」
ハロハピのメンバーらしい二人が近づいてきた。
「あれ?八舞君?」
「え?」
青髪の人が話しかけてきた。
「えっと、あなたは?」
「あ!え、えっと、松原花音です。」
「よろしくお願いします。
で、なぜ俺の事を?」
「千聖ちゃんがよく話してるんだよ~」
「...千聖って、白鷺さん!?」
あの人、友達いたのか。あんな怖いのに。
「...えっと、ハロハピはこれで全員ですか?」
「いや?あと一人いるよ?」
と、言うと。
「__遅れてごめん~。」
あれ?この声は奥沢さん?__
「って、熊!?」
入ってきたのは、熊の着ぐるみだった。
「え?熊?熊なんで!?」
「あー、私だよ八舞君。」
「...え?奥沢さん?」
「...うん、そうだよ。」
「...なぜ、熊の着ぐるみを?」
「色々あるんだよ色々。」
着ぐるみで見えないが。
遠い目をしてる気がする。
「やっぱり、苦労してるんだな。」
「...うん。」
そうして時は流れ...
「と、言うわけで!今回協力してもらう、
八舞栄斗よ!」
「八舞栄斗です。」
と、自己紹介をした。
「あ!栄斗君だ!」
「ん?」
そういえば、この子どっかで...
「君と同じクラスの北沢はぐみだよ!」
「あぁ、どうりで。」
「__次は私だね。」
紫の髪で長身の人が話だした。
「私は瀬田薫だ。」
「よろしくお願いします、瀬田さん。」
「私の事は薫と呼んでくれたまえ。」
「はい、薫さん。(よかった、この人もまともそう__)」
「あぁ!花咲川の人気者との出会い...儚い...!」
「(じゃないです、はい。)」
「君の事は、千聖からよく聞いてるよ。」
「え!?(また、白鷺さん!?)」
なんなんだ、今日の白鷺さんプッシュは?
なんてことを考えてると...
「さぁ!最後はミッシェルね!」
「え?(奥沢じゃねぇの?)」
「こんにちは~みんな大好きミッシェルだよ~。」
「あ、あぁ...よろしく。」
ミッシェルって奥沢だろ!?
「...なぁ、弦巻、ミッシェルの中の人って__」
「何を言ってるの?ミッシェルに中の人なんていないわ!」
...あっ(察し)
「...ほんとに、大変なんだな。」
「...大丈夫、もう慣れた。」
...嫌な慣れだな。
「自己紹介は済んだわね!
じゃあ、今回のライブの説明をするわ!」
弦巻が話題を出した。
「今回のライブはうちの学校の体育館でやるわよ!」
「...え?それって、つまり__」
「学校のみんなの前でやるわよ!」
「やっぱりかぁぁぁ!!」
「どうしたんだい?栄斗?」
「実は__」
俺は薫さんに事情を話した。
「__ということなんです。」
「...」
薫さんは黙っている...
「だから__」
「素晴らしいじゃないか!」
「え?」
「君にファンクラブがあるように私にもファンクラブがあるんだ!
そんな二人が共演すれば、子猫ちゃんたちは幸福の渦に巻き込まれるだろう!」
「すごいよ薫君!」
「流石ね!薫!」
北沢と弦巻が満足そうな反応をしている。
てか、子猫ちゃんって...
「...なぁ奥沢?」
「...なに?」
「いつも、こんな調子なのか?」
「...うん。」
「た、大変そうだね、八舞君。」
「松原さん...」
奥沢と松原さんは絶対に労わろう...
「...で、俺は何をするんだ?」
このままでは、話が一向に進まないため、
弦巻に尋ねてみた。
「栄斗には私と一緒に歌ってもらうわ!」
「は?」
弦巻は何て言った?
「え?なんて?」
「歌ってもらうわ!」
聞き間違いじゃないらしい。
「...俺は歌えんぞ。」
「大丈夫よ!」
「いや、無理だぞ。」
「大丈夫よ!」
あ、聞いてないんですね。
と、俺はあきらめた。
「__まぁ、歌うのはいい。
日程は?」
「一週間後よ!」
は?おい、まて、一週間後って...
「中間テストじゃねぇか!」
「そうだったかしら?でも、大丈夫よ!」
「やっぱり忘れてたんだ...こころちゃん...」
「大丈夫だよ!かのちゃん先輩!」
「そうさ花音。」
うん、あの三人は完全にまともじゃないな。
「...大丈夫?八舞君。」
「...どうにかする。」
これは...やばいな...
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俺の地獄の一週間が始まった。
朝は四時に起きてテスト勉強をし、
放課後はハロハピの練習を三時間ほどして、
家に帰ってから、時間がないのでコンビニ総菜を食べ、
八時から二時までテスト勉強をした。
「あ、あぁー、死ぬ...」
「だ、だいじょうぶですか!?栄斗さん!?」
「イヴか...」
イヴは心配そうに見ている。
「あぁ、まだ大丈夫だ。」
「すいません...私のせいで...」
「...イヴのせいじゃない。最終的に引き受けたのは俺だ。
それよりも、イヴは見に来るか?」
「はい!」
「そうか、なら楽しみにしててくれ。
イヴを笑顔にして見せるから。」
「はい!栄斗さん!」
これは、イヴのためにも頑張らねぇと。
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そして...テストが始まった。
「とりあえず、詰めるだけは詰めた、
テストは大丈夫だ...」
テストはいつも通りできた...
あとは...
ライブを成功させるだけだ!!
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__テストが終わり、ライブ当日になった。
ライブには花咲川どころか、羽丘の生徒まで来てる。
薫さん効果やべえ。
「やぁ、栄斗。調子はどうだい?」
「薫さん...まぁ、歌うだけなら大丈夫ですよ。」
「そうか!期待してるよ!」
「...あまりされても困るんですが。」
俺は苦笑いしながら答えた。
「さぁ!そろそろ行くわよ!」
弦巻が声をかけた。
「栄斗は少し待ってって!」
「あぁ、打ち合わせ通りな。」
えぇ!と言って、弦巻たちは舞台に上がっていった。
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__『みんな!今日はよく来てくれたわ!』
弦巻がそういうと大きな歓声が上がった。
『今日はスペシャルなゲストが来てるわ!
でも、もう少し時間がかかるみたいだから、
最初は私たちだけでいくわ!』
じゃあ__と続けて弦巻は...
『一曲目!えがおのオーケストラっ!』
そうして、演奏が始まった。
会場はすごい盛り上がりだ。
__と、思っているうちに一曲目が終わった。
そして...
『じゃあ、今回のゲストを呼ぶわ!
出番よ!栄斗!』
俺は弦巻に呼ばれ、舞台に上がった。
すると...
「「「「「きゃーーー!!!」」」」」
花咲川の女子生徒から黄色い声援がとんできた。
『今回は、弦巻に呼ばれ、ライブに出ることになった!
短い時間だが楽しんでくれ!』
そうして俺は、弦巻たちと演奏をした。
会場にいたイヴもこっちに手を振っていたり楽しそうだ。
___『今日はありがとう!』
そうしてライブが終わった。
会場はまだ盛り上がっている。
___「栄斗!今日はありがとうね!」
「あぁ。」
弦巻は満足そうだ。
「花咲川のみんなも、羽丘のみんなも、
全員が笑顔だったわ!!」
「あぁ、そうだな...」
ライブは予想上に盛り上がった。
あれなら頑張った甲斐もあったというものだ。
「これから打ち上げをするけど、栄斗は来るかしら?」
と、弦巻に聞かれたが...
「悪いが遠慮する。
少し寝たいからな。」
「そう?残念ね...
じゃあ、またお礼するわ!」
「気にするな。
そろそろ帰るよ。」
「あら?みんなに声はかけないの?」
「悪いがよろしく言っててくれ。」
「えぇ!わかったわ!」
そう言って、俺は楽屋を出た。
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___「栄斗さーん!」
「イヴ?帰ったんじゃないのか?」
「いえ!栄斗さんが来るのを待っていたんです!」
どうやら待っていた様だった。
「今日のライブはどうだった?」
「はい!とっても楽しかったです!
それに...」
「?」
「歌ってる栄斗さんはとってもかっこよかったです。///」
「そ、そうか。それはよかった。」
という話をしていると...
「栄斗。」
「っ!?な、なんで?」
そこにいたのは、つい最近絶縁したはずの
親父だった。
「...今更、なんのようだ...?」
「栄斗、私が悪かった、復縁しよう。」
「なに!?」
親父の口から出たのは、俺にとっては信じられない言葉だった。
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