RASの追加は嬉しいです。
もう一つは、ましろが可愛い。
戸山咲、襲来
夏休みも終わり、季節は秋になった。
明日香「__あ、八舞先輩。」
栄斗「明日香か。」
明日香「おはようございます。」
栄斗「あぁ。」
3日前、俺は明日香と和解した。
最高の友人、それが今の俺と明日香の関係だ。
栄斗「元気そうで何よりだ、明日香。」
明日香「はい。あれから調子も良くなりました。」
栄斗「そうか。」
胸をなでおろすって、こういう事なんだろうな。
多分、もう明日香は安心だ。
そんな雰囲気がする。
それから俺と明日香は途中まで一緒に学校に行くことにした。
__________________
栄斗「......?」
少し歩いてるうちに、変な気配がした。
明日香「八舞先輩?」
栄斗「......明日香、ちょっとこっちに来てくれ。」
明日香「え?はい。」
明日香は俺に近づいてきた。
気配は段々と近づいて来てる。
栄斗(距離は大体15ⅿか。明らかにこっちに敵意を向けてる。)
やつは少しずつ、距離を詰めてきてる。
明日香「どうしました?」
栄斗「避けろ!明日香!!」
明日香「え?__」
__ズドン!!!
俺は明日香を抱えて、攻撃を避けた。
俺たちが、いや、俺がいた場所には木刀が突き刺さっていた。
栄斗(15ⅿを一瞬で詰めただと?なんて速さだ。)
?「......よく避けたね。完全に仕留められるタイミングだったんだけど。」
木刀を振るった人物はそう言ってきた。
栄斗「あんたは誰だ。こんな早朝から穏やかじゃないな。」
明日香「え?咲?」
咲「......おはよ、明日香。」
明日香の知り合いか?
それなら、取り合えず明日香に危険は行かないか。
明日香「何してるの?」
咲「......そこの男を仕留める。そのためにずっと観察してた。」
栄斗「俺を仕留める、ね。」
確かにすごい気配だ。
もしかしたら、西園と同等、それ以上の強さ。
話しながらでも、こっちに向けた殺意と隙のない構え。
栄斗「剣道か。しかも、かなりの熟練度だ。」
咲「へぇ、分かるんだ。」
今にも攻撃を仕掛けてきそうだ。
この距離で避けられるか?
栄斗「俺を仕留めるって。俺はあんたに何かしたか?」
咲「......何かしたか?」
栄斗「__!」
目の前を木刀が通過した。
空気が切り裂かれる音、当たったらただ事じゃない。
しかも、この踏み込みのスピード。
常人なら瞬間移動に見えるぞ。
咲「明日香を泣かせておいて、よくもそんな事を......!」
栄斗「っ......」
明日香「ちょ、咲、違うの!あれは!」
咲「私はお前を潰す。絶対に、何があっても。」
栄斗「......」
反論の余地がない。
俺が明日香を泣かせたのは紛れもない事実だ。
明日香と和解したことで許されたなんて俺は全く思っていない。
咲「......お前が終われば、次は斎藤雅。母子家庭の男が香澄を幸せにできるはずない、潰す。」
栄斗「なに?」
咲「何?素直に潰される気になった?」
栄斗「今、なんて言った?」
咲「だから、母子家庭の男が香澄を幸せにできるわけないって言ったの。」
栄斗「......雅を馬鹿にしてんじゃねぇぞ。」
幸せにできない?雅が?
こいつは何を言ってる?お前は雅の何を見た?戸山の何を見た?
咲「何言ってるの?当然の事を言っただけなんだけど?」
栄斗「......人の幸せの定義をお前の勝手な価値観で決めるなよ。」
咲「決めてないよ。でも、普通に考えてあんな不良といたら香澄の幸せが失われちゃうでしょ?」
栄斗「あんな不良?道端で初対面の相手に木刀を振り回す常識知らずが何をほざいてる。」
咲「はぁ。こんな事普段するわけないでしょ?もういいから、斎藤雅共々さっさと潰されてよ。」
正直、俺だけなら許せた。
だけど、雅はあいつの侮辱は許容しない。
栄斗「......あんまり調子に乗ってると、あんた、殺すぞ。」
咲「__!(なんて、殺気。これは、流石にやばい。)」
戸山咲が構えた。
もういい、ここで戦いが始まろうが倒す。
明日香「やめて!二人とも!」
栄斗「悪い、明日香。俺はこいつを許すわけにはいかない。」
咲「は?許せないのは私の方なんだけど。」
踏み込んで来たら、一瞬で決着をつける。
2回見た動き、簡単に対応してやる。
栄斗、咲「......」
空気が、張り詰めていく。
一瞬で仕留める。
咲「行くよ......!」
栄斗「終わらせる......!」
?「__そこの二人!やめなさい!!」
栄斗、咲「っ!」
__俺とあいつは攻撃を止めた。
俺の手刀、あいつの木刀は両方とも首元で寸止めだ。
タイミングはほぼ同時だった。
咲「......邪魔しないでよ。翼。」
翼「邪魔じゃないです!道の真ん中で何をしているのですか!」
栄斗「あの人は、氷川さん?」
いや、違う。
似てるけど、気配が違う。
翼「いつも通り家に行ったら、もう出たと言われて来てみれば。」
翼、そう呼ばれた人物は俺たちの方を見た。
翼「朝から道で喧嘩なんてやめてください!」
咲「......ふん。」
あいつは木刀を引いた。
それを見て俺も手を引いた。
咲「......もう少しで仕留められたのに。」
栄斗「ほざくなよ。素手の分、俺の方が早かったんだぞ。」
咲「は?」
翼「だからやめなさい!」
__ごつん!!!
ゲンコツが落ちた。
すごい音したな。
咲「......痛い。」
翼「やめないからです。」
咲「......八舞栄斗。」
栄斗「......なんだ。」
咲「この後、剣道場。そこで仕留める。」
栄斗「いいだろう。お前の木刀もろとも、心もへし折ってやる。」
咲「......ふん。」
そう言うとあいつはどこかに走って行った。
栄斗「......くそっ。」
明日香「や、八舞先輩?」
栄斗「悪い、明日香。」
俺はそう言って、学校の方に歩いて行った。
明日香「先輩!......行っちゃった。」
翼「一体、何がどうしたんですか?」
明日香「咲が、お姉ちゃんの彼氏の人を馬鹿にして、それで怒ったんだと思います......」
翼「なるほど。それは、咲が悪いですね。」
明日香「大丈夫でしょうか......」
翼「......さぁ、どうでしょうか。」
__________________
剣道場に来た。
俺は建物の中に入った。
イヴ「__あれ?エイトさん?」
栄斗「......若宮か。」
イヴ「どうしたんですか?剣道場に来て?」
栄斗「少し、用があってな。」
咲「__やっと来たんだ。」
剣道場の奥にいた。
咲「逃げたのかと思ったよ。」
栄斗「ふん。逃げる必要がどこにある?勝てる相手なんかに。」
俺は剣道場の中に入った。
イヴ「ど、どうしたんですか!?」
栄斗「気にしなくていい。」
咲「そうだよ、イヴ。」
戸山咲はこっちに近づいてきた。
咲「さぁ、勝負を始めよっか。使いたいなら木刀使ってもいいけど。」
栄斗「いらん。これ以上差を広げても意味がない。」
咲「......あっそ。」
俺とやつは剣道場の真ん中に行った。
そして、そこでにらみ合った。
剣道部員「ちょ、なにこれ!?」
イヴ「エイトさんとサキさんが勝負すると......」
剣道部員「えぇ!?あの男子、大丈夫なの!?」
イヴ(エイトさんがすごいのは分かっています。でも、サキさんが相手じゃ......)
咲「__勝利条件は相手に負けを認めさせること。」
栄斗「いいだろう。」
咲「それじゃあ」
俺と奴は構えた。
咲「いくよ!」
奴が切り込んできた。
さっきより数段速い。
栄斗「ふんっ。」
咲「まだまだ......!」
攻撃が途切れない。
物凄い速さで何回もフェイントを入れて確実に急所を狙ってきてる。
でも
栄斗「__もう、手遅れだ。」
咲「っ!」
俺はやつを突き飛ばした。
咲(あの速さで対応された?しかも、手遅れ?)
栄斗「もう、お前の攻撃は俺に届くことはない。」
咲「ありえない。まぐれで触れたくらいで調子に乗らないで!」
また真っ直ぐ、切り込んできた。
木刀は確実に俺の首を狙ってきてる。
......もう、通用しないのに。
咲「え......?」
バキバキバキ!!!
木刀は俺に届く直前に折れた。
咲「な、なんで......?」
栄斗「ゾーンって知ってるか?」
咲「!」
栄斗「完全に集中した状態で、その状態なったものは考えられないようなパフォーマンスを発揮するとか。」
咲「それに、何の関係が......?」
栄斗「俺のゾーンに入るか入らないかは自由。つまり、いつでも入れる。」
咲「なっ......!」
この状態になれば、奴の動きもなんでも止まって見える。
いくつフェイントを入れようが、どんなにスピードを上げてようが、関係ない。
何を頑張っても、何を工夫しても無駄だ。
栄斗「さて、俺のターンだ。」
咲「!」
栄斗「完膚なきまでに叩きのめしてやるよ。雅への侮辱の分な。」
俺は拳を握った。
栄斗「痛みを持って償え!!!」
咲「っ......!」
”咲”
負けた。
私は剣道しかできないから、木刀を折られた時点で負け。
でも、八舞栄斗の怒りはもう治まらない。
私はもう、目を閉じて耐えるだけ。
そう思って、私は目を閉じた。
咲(......あれ?)
おかしい。
まだ、何も痛みが来てない。
もう、10発以上撃ち込まれてても不思議じゃないのに。
私は閉じてた目をゆっくり開いた。
咲「!」
目を開けると、目の前には新しい原稿用紙があった。
栄斗「なーんてな。よく考えれば、俺に女を殴る趣味はなかった。」
咲「え......?」
栄斗「ま、泣いてしゃがみこんだし、俺の勝ちでいいだろ。」
八舞栄斗は笑みを浮かべながら私を見てる。
まるで、叱られて泣いてる子供をあやすみたいに。
栄斗「ちなみにこれは反省文な。道端で木刀振り回したから。期限は放課後まで。」
咲「な、なんで。」
栄斗「ん?」
咲「あんなに、怒ってたのに。なんで、こんな事......」
栄斗「聞いてなかったのか?俺に女を殴る趣味はないんだよ。あと、俺はそこまで怒ってない。いや、雅の事は本気だったけど、明日香の事は俺が悪いし、お相子だ。」
八舞栄斗は出口の方に歩いて行った。
もう、私に攻撃の意思がない事を分かってるんだ。
咲「......負けたよ。八舞栄斗。」
栄斗「最初から勝ってたよ、俺。」
咲「そう。」
栄斗「あっ。」
何かお思い出したように、八舞栄斗は振り向いた。
栄斗「俺は何も手を出さないけど。」
咲「?」
栄斗「後ろの、翼さんは俺は知らないからな。」
咲「え?」
私は後ろを振り向いた。
翼「派手に暴れましたね、咲。」
咲「」
翼「ゲンコツ、と言いたいところですが、今回は彼に免じてなしにしてあげましょう。」
咲「え?」
翼「その代わりに。」
翼はカバンから原稿用紙を出した。
翼「追加の反省文。しっかり提出するんですよ?」
咲「」
翼「返事は?」
咲「......はい。」
__________________
栄斗「__完全勝利。でも、可哀想に。」
あの人なりに戸山と明日香の事を考えた結果の行動だろう。
少し周りが見えなくなっただけだ。
そんなに悪意のある人物に見えなかったし、俺の負の感情のセンサー的なのにも引っかかってないし。
そう思ったら、あの人、可哀そうだな。
雅「よぉ、八舞。」
栄斗「おっ、雅。」
俺が教室に行くと、雅がいた。
雅「なんか剣道場の方で騒ぎがあったみたいだが、どうしたんだ?」
栄斗「さぁ?剣道部が盛り上がったんじゃないか?」
雅「そうか。って、あ。」
栄斗「うん?」
雅は何かを思い出したような声を出すと、カバンから何かを取り出した。
雅「なんか、市ヶ谷が氷川先輩からってこれを。」
栄斗「なんだこれ?」
雅「反省文だとよ。」
栄斗「」
雅「あとこれ。」
雅の持ってる手紙には、氷川さんの字でこう書かれていた。
紗夜『戸山咲さんは年上なので、口の利き方には一応、気をつけましょう。』
......マジかよ。
あの人、年上だったのかよ。
雅「まぁ、何があったか分からんが。頑張れ。」
栄斗「......引き分けだな。戸山咲、さん。」
俺は机に顔を伏せた。