第14話
あの事件から少し経ち、6月になった。
そして、俺は今、羽沢珈琲店にいる。
「栄斗さん!今日はなに握りやしょうか!」
「...イヴ、ここは喫茶店だ。」
イヴは相変わらずだ。
むしろ、退院してから元気が有り余ってるみたいだ。
「あ!いらっしゃーい!八舞君!」
「よう、羽沢。」
「今日は何にする?」
「今日もブレンドコーヒーとケーキを頼む。」
「はい!かしこまりました!」
羽沢は注文を通しに下がった。
「...むぅ~!なんで私に注文を言ってくれないんですか!」
「イヴはまず、この店が何の店か理解しよう。」
「う、は、はい...」
俺はこの店をたいそう気に入って、
ここ最近は常連と化した。
「ところで栄斗さん!」
「ん?どうしたイヴ?」
イヴが気を取り直したみたいで、
テンション高めに話しかけてきた。
「もう少しで体育祭ですよ!」
「え?そうだっけ?」
「聞いてなかったんですか?」
「あぁ。」
俺は基本、話を聞いてない。
「で、体育祭がどうしたんだ?」
「とっても楽しみですね!」
「...俺はそうでもないな。」
「なんでですか!?」
「...体育祭は苦手なんだ。
てか、なんでイヴは楽しみなんだ?」
俺は異様にテンションが高いので聞いてみた。
「花咲川の体育祭は楽しいですし!それに...」
「それに?」
「栄斗さんと初めて一緒にする体育祭なんです!
楽しみじゃないわけないです!」
「...そうか。」
まったく、恥ずかしいことをサラッと...
「...栄斗さんは楽しみじゃないですか?」
「...いや、今楽しみになった。」
「ふふ、そうですか!」
そんな会話をいてると...
「あのー、ブレンドコーヒーとケーキです。」
羽沢が注文したものを持ってきた。
「あぁ、ありがとう。」
「つぐみさん!お疲れ様です!」
羽沢はいごごちが悪そうだ。
「どうした?羽沢?」
「いや、二人って付き合ってるのかなって?」
「つぐみさん!///」
「いや、俺とイヴじゃ釣り合わんだろ。
イヴに失礼だ。」
そういうと俺は...
「痛い!痛い!イヴ!」
「むぅ~~!!」
イヴに二の腕をつねられている。
なんで?
「ごめん!何かわからんけど!」
「あはは。」
羽沢が苦笑いしてる。
「栄斗さんはオトメゴコロを分かってません!」
「乙女心?」
「そうです!」
イヴは機嫌が悪そうだ。
「...わからん。」
「八舞君...」
まぁ、なんやかんや食べ終わったので、
お会計をした。
「イヴ?バイトはもう上がりか?」
「はい!もう終わりです!」
「なら、俺の家に飯食いに来るか?」
「ほんとですか!?行きたいです!」
「じゃあ、少し待ってるよ。」
「はい!準備してきます!」
そう言ってイヴはバックヤードに下がった。
「...ほんとに付き合ってないんだよね?」
「?あぁ。」
羽沢の顔が引きつってるな。
「どうした?羽沢?」
「いやー、八舞君ってイヴちゃんとずっと一緒にいるイメージがあって。」
「...イヴが心配なんだ。」
「...やっぱりあの事?」
「...あぁ。」
あの事件以来、俺とイヴはずっと一緒にいる。
イヴは心配ないとは言ってるが。
何があるかわからいの出で、だいたい俺が付き添っている。
「...もう二度とイヴをあんな危険な目に合わせない。」
俺はイヴには言ってないが、そう誓っている。
「...あまり無理はしちゃダメだよ?」
「わかってる。」
そんな話をしてると、イヴが戻ってきた。
「お待たせしました!」
「おう、じゃあ行くか。」
「はい!」
「じゃあな羽沢。また来るよ。」
「つぐみさん!お疲れ様です!」
「うん!またね!」
そう言って店を出た。
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「今日は何を食べたい?」
「うーん...和食が食べたいです!」
「和食か~じゃあ、味噌汁と今の時期だと...鮎の塩焼きか?」
「肉じゃがも食べたいです!」
「じゃあ、肉じゃが追加で...
あとは...即席ぬか漬けとかするかな...」
「!!?」
「?どうした?」
「...栄斗さん、ぬか漬けはダメです。」
「え、なんで__」
「だめです!」
「あ、はい。」
イヴが食い気味にダメだというのでぬか漬けはやめた。
「じゃあ、酢の物にするか。」
「はい!」
俺たちの夕飯が決まった。
「あれ?イヴちゃんと八舞君?」
突然、不自然な格好をした人に話しかけられた。
「...丸山さん?」
「そうだよ!」
「なんですか、その恰好?」
「ふふんっ!芸能人だからね!」
「はい、そうっすか。」
これは、変装だったのか...
「...そういえば、イヴは変装とかしないのか?」
「うーん、私はしても気づかれてしまうので、
しなくなりましたね?」
「うぐっ!!!」
丸山さんがダメージ受けてる、もしかして...
「...丸山さん、気付かれたいんじゃ?」
「!?そ、ソンナコトナイヨ~」
図星なんですね...
「丸山さん...サイン貰えますか?」
「やめて!?この流れだと気を使ってるのわかっちゃうから!」
丸山さんは叫んでいた、が、気付かれることはなかった。
___「で、二人は何してるの?」
「イヴと夕飯の買い物ですよ。」
「そうです!栄斗さんのお家でご馳走になるんです!」
「...二人は夫婦なの?」
「彩さん!?///」
丸山さんが意味の分からないことを言ってるが、
さっきの件もあって、俺は反応しなかった。
「まぁ、そろそろ行こうイヴ。」
「はい!さようなら!彩さん!」
「う、うん。気を付けてね?」
「はい!」
そうして俺たちは丸山さんと別れた。
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俺たちは物を済ませ家についた。
「おじゃましーす!」
「あぁ、どうぞ。」
イヴは家に入った。
「さて、夕飯の用意するか。」
俺はそう言って俺は台所に行った。
「何かお手伝いしましょうか?」
「そうだな...じゃあ、ジャガイモを切っててくれるか?」
「はい!」
そう言ってイヴはジャガイモを切り出した。
「...俺も将来、結婚とかしたら、奥さんとこんな風に台所に立ってるんかな。」
「え!?///...いたっ!」
イヴが自分の指を切ってしまった。
「イヴ!大丈夫か!?」
「は、はい...///」
「手当てするから、手出せ。」
俺はイヴを手当てした。
「__どうしたんだ?指を切るなんて。」
「だって、栄斗さんが...」
「俺?」
「...結婚とかいってましたから...///」
イヴの顔は真っ赤だ。
「?よくわからんが、準備してくるな?」
「あ、栄斗さん!...むぅ~!」
俺は夕飯の用意を終わらせた。
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「じゃあ、食べようか。」
「はい!」
「「いただきます!」」
俺たちは夕飯を食べ始めた。
「やっぱり、栄斗さんのご飯は美味しいですね!」
「そうか、よかった。」
イヴはいつも美味しそうに食べてくれる。
作ってて、これほどうれしいことはない。
それから俺たちは今日あったことや、今後の事を話しながら夕飯を食べた。
__「そろそろ、帰らないとですね...」
「ん?あぁ、そうだな。送ってくよ。」
俺たちは家を出た。
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六月になって夜も少しずつ暑くなってきた。
「この時期は夜でも熱いな。」
「はい、そうですね1」
と、言いつつイヴは元気だ。
「...イヴは毎日楽しいか?」
「?はい!毎日新しいことばかりで楽しいです!」
「そうか...」
「どうしたんですか?」
「いや...なんでもないよ。」
俺たちはイヴの家まで歩いた。
「つきました!」
「そうだな。」
楽しい時間はすぐに過ぎるな。
「じゃあ、明日な。」
「はい!栄斗さん!」
そう言って俺は家にむかった。
(イヴの幸せは、俺が守る。)
俺は星の光る夜空に何度目かわからない、
誓いを立てた。
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