今回はイヴちゃんの誕生日回と少しの...まぁ、はい、あれです。
体育祭の翌日の今日は振り替え休日だ。
だが、俺の心象はそんなに穏やかじゃない。
「やばい、イヴの誕生日が明日だと!?」
俺は頭を悩ませていた。
あまりに時間が足りなすぎる。
「そうだ!」
俺は思いついた。
「パスパレのみんなを呼んでパーティーをしよう!」
そうして俺はイヴ以外のパスパレメンバーに連絡をした。
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パスパレメンバーは集まれるみたいだ。
あとはイヴだ。
俺はイヴに電話をかけた。
『はい!もしもし!』
「あぁ、イヴか?」
『はい!何のご用ですか?』
「明日、俺の家で夕飯食べないか?」
『え!?いいんですか?』
「あぁ。」
『ぜひ行きたいです!』
「じゃあ、いつも通り買い物しような。」
『はい!』
そういって、電話を切った。
「よし、後はプレゼントだけだ。」
俺はショッピングモールに向かった。
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__「さて、イヴへのプレゼントをどうするか...」
「あれ?栄君?」
「?」
振り向くとそこには氷川姉妹がいた。
「どうも、こんにちは。」
「えぇ。
八舞君はなぜここに?」
「わかった!イヴちゃんの誕生日プレセントでしょう!」
「はい、まぁ。」
日菜さんは察しがいいな。
「でも、難しい顔をしていましたね?」
「はい...いいものが思いつかなくて。」
「じゃあ、手伝ってあげるよ!」
と、日菜さんが言い出した。
「え?いいんですか?せっかく二人で来てたのに?」
「構いませんよ。」
「...じゃあ、お願いします。」
「「うん!(えぇ)」」
__それから、俺たちはいろんな店に行ったが、
納得のいくものは見つからなかった。
「...決まらねぇ。」
「うん、るんって来るのがないね...」
「えぇ、そうね。」
イヴは何をあげても喜ぶと思うが、そうじゃない。
俺はイヴに色んなもの貰った。その恩に少しでも__
そう考えていると、俺の目に一つの店が入ってきた。
「?どうしました、八舞君?」
「すいません、あの店に行ってきます。」
「あ!私も行きたい!」
そうして俺たちはアクセサリーショップに入った。
「...これは。」
「どうしました?」
「これ、綺麗だと思って。」
「うん!それ!るんっ♪ってくるよ!」
「そうですよね。」
「そちらを気に入られましたか?」
店員の人が話しかけてきた。
「はい、とても綺麗だなと。」
「誰かへのプレゼントでしょうか?」
「はい...ですけど、なぜ分かったんですか?」
「この職が長いので見たらだいたいわかるんですよ。」
「なるほど。」
これが年期ってやつか。
「ちなみにその石の名前は『スフェーン』
石言葉は___です。」
「...これにしよう。」
「それはいいんですが、お金は大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。(生活費を切り崩せば、これくらい。)」
「...そうですか。」
「いいね栄君!男らしいね!」
「...イヴのためです。」
そう言って俺はそれを購入した。
「プレゼントが決まってよかったです。
ありがとうございました。」
「問題ありません。」
「全然、大丈夫だよ!」
氷川姉妹は笑顔で答えてくれた。
「そういえば栄君?」
「はい?」
「明日の誕生日会、お姉ちゃんも行っていい?」
「ちょっと日菜!そんなの迷惑でしょ!」
「構いませんよ?」
「え?いいんですか?」
「はい、今日はお世話になったのでぜひ来てください。」
「...じゃあ、私もお邪魔します。」
「はい。」
そう言って俺たちは別れた。
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明日はイヴの好物を作りたいな。
白鷺さんに聞こう。
「もしもし、白鷺さんですか?」
『えぇ。何の用かしら?』
「イヴの好物を聞きたくて。」
『イヴちゃんの好物?確か、ジンジャークッキーよ。」
「ありがとうございます。」
『あぁ、それと、ぬか漬けは__』
「厳禁...ですよね?」
『分かってるならいいわ、それじゃあ、また明日』
「はい。」
そう言って電話が切れた。
「ジンジャークッキーか...
初めて作るが、出来るだろ。」
レシピを調べたが意外と簡単だった。
「よし!やるか!」
俺は明日の準備を始めた。
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___イヴの誕生日当日だ。
幸いだったのは今日が土曜日で休みが続いたことだ。
「よし!作ってくぞ!」
俺は料理を作り始めた...
ピンポーン
「ん?誰だ?」
俺は玄関に行った。
「はーい、どちら様でしょう?」
「おはよ!栄君!」
「おはようございます。八舞君。」
氷川姉妹が来た。
「どうしたんですか?パーティーまでは時間がありますが?」
「少しでもお手伝いしようと日菜が。」
「え!?」
手伝いに来てくれたのか。
それより...
「日菜さんって、気を遣えたんだ...」
「何か言った?栄君?」
「い、いや!何でもないです。」
「そう?」
日菜さんは首をかしげてる。
「...手伝いは助かります。
ありがとうございます。」
「いえ、一人に押し付けるのも悪いですし。」
よし!これならスムーズに進められる!
「じゃあ、お二人には飾りなどをお願いしてもいいですか?」
「はい。」
「うん!まかせて!」
俺たちは準備を始めた。
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準備は思いのほか早く終わった。
「二人が来てくれて助かりました。」
「いえ、役に立ててよかったです。」
「そうだよ!」
「あ、待っててください、お茶でも出すんで。」
「お構いなく。」
「そういう訳にもいかないんで。」
そんな話をしてると。
ピンポーン
「はーい!
...すこし出てきます。」
「えぇ。」
「うん!」
そう言って、出てみると。
パスパレメンバーが来てた。
「皆さん、お早いですね。」
「えぇ、なんだか落ち着かなくて。」
「そうなんだ!だから早く行こうってなって!」
「来たわけっす!」
「なるほど。
あ、どうぞ上がってください、お茶でも出すんで。」
「ありがとう。」
そう言って、上がった。
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__「あれ?紗夜ちゃんと日菜ちゃん、来てたの?」
「えぇ、すこしお手伝いに。」
「え~!私たちもくればよかった...」
「「そうね(っすね)。」」
「別にいいっすよ。
もとは一人でやる気だったんで。」
「...あなたは、そういうところは変わらないのね。」
「?なにがっすか?」
「私たちは友達なのよ?こういう時は頼りなさい。」
「そうっすよ!頼ってほしいっす!」
「うん!」
みんなが頷いている。
「...ありがとうございます。」
照れくさいな...でも、悪くないな。
「...そろそろ、イヴを迎えに行ってきます。」
俺は家を出て、イヴの家に向かった。
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イヴの家についた。
ピンポーン
『はーい!!』
イヴはいるみたいだ。
「どちらさまで__
栄斗さん!」
「よう、イヴ。準備はできてるか?」
「はい!」
「じゃあ、行くか。」
「はい!」
そうして俺たちは家に向かった。
「あれ?お買い物はいいんですか?」
「ん?あぁ、大丈夫だぞ。」
「そうですか!」
イヴは楽しそうだ。
「...そんなに楽しみか?」
「はい!栄斗さんのご飯は美味しいですから!」
「...そうか。」
イヴ、驚くだろうな。
俺は白鷺さんにメッセージを送った。
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__「着きました!」
「あぁ、そうだな。」
俺たちは家に入った。てか、靴隠したんだな。
そしてリビングに入ると___
「「「「「「イヴちゃん!お誕生日おめでとう!!!」」」」」」
「え?な、なんで?」
イヴは驚いているようだ。
「今日はイヴの誕生日だからな、
みんなを呼んでパーティーを企画してみた。」
イヴは固まっている。
「...どうだ?イヴ?」
「とっても、とっても、うれしいです!」
イヴは笑っていた、喜んだようでよかった。
「みなさん!ありがとうございます!!」
そうして、パーティーが始まった。
「さぁ、イヴ、食べてくれ。
イヴが気に入ってたのも作ってあるぞ。」
「はい!栄斗さん!」
イヴはみんなの輪に入っていった。
「イヴちゃ~ん!誕生日おめでと~!」
「ありがとうございます!」
楽しそうだ。よかった。
「栄斗さんも食べましょう!」
イヴがこっちを見てる。
「あぁ。」
俺はみんなのほうに行った。
「これ美味しいっすね!」
「栄斗さんの料理はどれも美味しいんです!」
「...なんで、イヴが誇らしげなんだ。」
楽しいなこういうのも。
「...あなたの心は救われたようですね。」
氷川さんが言ってきた。
「...はい、これも皆のおかげです。」
「ふふっ、そうですか。」
「はい。」
料理が粗方なくなってきたな。
「じゃあ、デザートにしましょうか。」
「「待ってました!」」
丸山さんと日菜さんがそういった。
俺はケーキを切り分けた。
「はい、皆さんどうぞ。」
「へぇ、切るの上手なのね。」
「...普通ですよ。」
みんながケーキを食べ始める。
「あ、もう一つデザートありますよ。」
俺は用意をしていたジンジャークッキーを出した。
「栄斗さん!これはまさか__」
「あぁ、ジンジャークッキーだ。」
「やっぱりですか!すごいです!栄斗さん!」
「...まぁ、食べてみてくれ。」
「はい!」
イヴはジンジャークッキーを一枚食べた。
「すっごく美味しいです!」
「よかった。」
イヴは気に入ったようだ。
「八舞君って女子力高いよね~!」
「あ、それ!私も思う~!」
「ジブンもっす!」
「...女性としては悔しくもありますけどね。」
「そうね。」
みんないろいろ言ってる。
「...紅茶淹れますが、いる人は?」
みんなが手を挙げた。
「...じゃあ、淹れてきます。」
紅茶を淹れてきた。
「はい、どうぞ。」
そして、配っていった。
「あら?この紅茶...」
「どうしました?」
「美味しいわ。」
白鷺さんは驚いたように言う。
「私のマネージャーにほしいわ。」
「ははは、断っておきます。」
「あら、残念ね。」
白鷺さんもテンションが高いようだ。
「そろそろ、プレゼント渡そうよ!」
と、丸山さんが言った。
「まぁ、いい頃合いですね。」
そして、各々プレゼントを取り出した。
「じゃあ、私から!
はい!文房具セット!」
丸山さんは文房具セット。
「ありがとうございます!大切に使います!」
「じゃあ、次はジブンっすね!
自分からは時代劇のDVDっす!」
「ありがとうございます!麻弥さん!」
大和さんは時代劇のDVD。
「私からは遊園地の招待券よ。
好きな人でも誘って行きなさい♪」
「ち、千聖さん!?///
あ、ありがとうございます...」
白鷺さんは遊園地の招待券か、
てか、何て言ったんだ?
「じゃあ、次は私たちから。」
「私たちからはお城の置物だよ!」
「わぁ!ありがとうございます!お部屋に飾ります!」
氷川姉妹からは城の置物か、てか、クオリティたけぇ。
次は...
「...俺か。」
「よっ!おおとり!」
「八舞君は何を送るのかしら?」
「ジブン、気になりますっ!」
「ハードル上げるのやめません?」
「...大丈夫です、八舞君。」
「氷川さん...」
「そうだよ!あんなに悩んだんだから!」
「日菜さん...」
「じゃあ__」
俺は一呼吸置き。
「俺からはこれだ。」
俺が出したのは、ネックレスだ。
「え!?いいんですか!?」
「構わない。」
イヴは驚いたが、喜んでくれた。
「...イヴ。」
「はい!」
「その石の石言葉は『永久不変』なんだ、
だから、その、これからも、一緒にいてくれ。」
俺は目をそらして言った。
「...」
「イヴ?」
イヴは泣いていた。
「!?どうした、イヴ!?」
「私、嬉しいんです!
でも、涙が出ちゃうんです...!」
どうやら、うれし泣きみたいだ。
俺はそっとイヴを抱きしめた。
「...これからも、一緒にいてくれるか?」
「__はい!これからも、ずっと一緒にいます!」
「___あのー、私たちがいるの忘れてない?」
丸山さんが声をかけてきた。
「!?///」
イヴの顔が赤くなってる。
「...普通に頭から抜けてた。」
「うぅ...///」
みんな苦笑いしてるし。
「...これは、イヴちゃんを問い詰めないとね!」
また、丸山さんが言った。
「え!?あ、彩さん!?」
「...そうね、彩ちゃんの言う通りだわ♪」
「ジブンも気になります!」
「私も私も!」
パスパレメンバーがイヴに詰め寄ってる。
「...まぁ、ほどほどに。」
「え、栄斗さん!!」
「悪い、それは止められん。」
「そ、そんな~!」
俺は少しベランダに出た。
____________________________
「ふぅ、みんなが楽しそうでよかった。」
「__そうですね。」
「氷川さん。」
一人でつぶやいてると氷川さんが来た。
「氷川さんは混ざらないんですか?」
「...私はああいうのは苦手なんです。」
「...それっぽいっすね。」
しばし、無言になる。
「__若宮さんと仲がよろしいんですね。」
「まぁ、大切であることは間違いないです。」
「...若宮さんは幸せ者ですね。」
「そうでしょうか?」
「えぇ、思ってくれる人がいるのは幸せですよ。」
「まぁ、そうですね。」
また、無言になる。
「八舞君は覚えてますか?初めて会った日の事を。」
「...えぇ。」
「あの時、私は自分の無力を呪いました。
そんな時に八舞君は励ましてくれましたね。」
「...氷川さんは正しいことをしてたんだ、
自分を呪うことなんてなかったんですよ。」
「それでも、私は嬉しかったんです、
私は風紀委員でもやりすぎと言われてますから。」
氷川さんはこっちを見ている。
「どうしたんですか?氷川さ__」
「私はあなたの事が好きです。」
「__え?」
氷川さんの口から信じられない言葉が出た。
「え?な、なんで?」
「...わかりません。私も気づいたのは最近なんですから。」
氷川さんは俺をまっすぐ見ている。
「私と付き合ってくれますか?」
氷川さんはそう言う。
「...少し待ってください。」
俺はそう答える事しかできなかった。
「...あなたなら、そう言うと思いました。
私はいつまでも待ちます。」
そう言って氷川さんは戻っていった。
「(答えは決まっているんだ、でも、これを即答することなんて、俺にはできない。)」
俺は空を見て...
「俺はどうすればいいんだ...」
誰も答えてくれない問いを呟くのだった。
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