恋愛のブシドー   作:火の車

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17話です!

今回はイヴちゃんの誕生日回と少しの...まぁ、はい、あれです。



第17話

 体育祭の翌日の今日は振り替え休日だ。

 だが、俺の心象はそんなに穏やかじゃない。

 

「やばい、イヴの誕生日が明日だと!?」

 

 俺は頭を悩ませていた。

 あまりに時間が足りなすぎる。

 

「そうだ!」

 

 俺は思いついた。

 

「パスパレのみんなを呼んでパーティーをしよう!」

 

 そうして俺はイヴ以外のパスパレメンバーに連絡をした。

____________________________

 

 パスパレメンバーは集まれるみたいだ。

 あとはイヴだ。

 俺はイヴに電話をかけた。

 

『はい!もしもし!』

「あぁ、イヴか?」

『はい!何のご用ですか?』

「明日、俺の家で夕飯食べないか?」

『え!?いいんですか?』

「あぁ。」

『ぜひ行きたいです!』

「じゃあ、いつも通り買い物しような。」

『はい!』

 

 そういって、電話を切った。

 

「よし、後はプレゼントだけだ。」

 

 俺はショッピングモールに向かった。

____________________________

 

__「さて、イヴへのプレゼントをどうするか...」

「あれ?栄君?」

「?」

 

 振り向くとそこには氷川姉妹がいた。

 

「どうも、こんにちは。」

「えぇ。

 八舞君はなぜここに?」

「わかった!イヴちゃんの誕生日プレセントでしょう!」

「はい、まぁ。」

 

 日菜さんは察しがいいな。

 

「でも、難しい顔をしていましたね?」

「はい...いいものが思いつかなくて。」

「じゃあ、手伝ってあげるよ!」

 

 と、日菜さんが言い出した。

 

「え?いいんですか?せっかく二人で来てたのに?」

「構いませんよ。」

「...じゃあ、お願いします。」

「「うん!(えぇ)」」

 

 __それから、俺たちはいろんな店に行ったが、

 納得のいくものは見つからなかった。

 

「...決まらねぇ。」

「うん、るんって来るのがないね...」

「えぇ、そうね。」

 

 イヴは何をあげても喜ぶと思うが、そうじゃない。

 俺はイヴに色んなもの貰った。その恩に少しでも__

 そう考えていると、俺の目に一つの店が入ってきた。

 

「?どうしました、八舞君?」

「すいません、あの店に行ってきます。」

「あ!私も行きたい!」

 

 そうして俺たちはアクセサリーショップに入った。

 

「...これは。」

「どうしました?」

「これ、綺麗だと思って。」

「うん!それ!るんっ♪ってくるよ!」

「そうですよね。」

「そちらを気に入られましたか?」

 

 店員の人が話しかけてきた。

 

「はい、とても綺麗だなと。」

「誰かへのプレゼントでしょうか?」

「はい...ですけど、なぜ分かったんですか?」

「この職が長いので見たらだいたいわかるんですよ。」

「なるほど。」

 

 これが年期ってやつか。

 

「ちなみにその石の名前は『スフェーン』

 石言葉は___です。」

「...これにしよう。」

「それはいいんですが、お金は大丈夫なんですか?」

「大丈夫です。(生活費を切り崩せば、これくらい。)」

「...そうですか。」

「いいね栄君!男らしいね!」

「...イヴのためです。」

 

 そう言って俺はそれを購入した。

 

「プレゼントが決まってよかったです。

 ありがとうございました。」

「問題ありません。」

「全然、大丈夫だよ!」

 

 氷川姉妹は笑顔で答えてくれた。

 

「そういえば栄君?」

「はい?」

「明日の誕生日会、お姉ちゃんも行っていい?」

「ちょっと日菜!そんなの迷惑でしょ!」

「構いませんよ?」

「え?いいんですか?」

「はい、今日はお世話になったのでぜひ来てください。」

「...じゃあ、私もお邪魔します。」

「はい。」

 

 そう言って俺たちは別れた。

____________________________

 

 明日はイヴの好物を作りたいな。

 白鷺さんに聞こう。

 

「もしもし、白鷺さんですか?」

『えぇ。何の用かしら?』

「イヴの好物を聞きたくて。」

『イヴちゃんの好物?確か、ジンジャークッキーよ。」

「ありがとうございます。」

『あぁ、それと、ぬか漬けは__』

「厳禁...ですよね?」

『分かってるならいいわ、それじゃあ、また明日』

「はい。」

 

 そう言って電話が切れた。

 

「ジンジャークッキーか...

 初めて作るが、出来るだろ。」

 

 レシピを調べたが意外と簡単だった。

 

「よし!やるか!」

 

 俺は明日の準備を始めた。

____________________________

 

___イヴの誕生日当日だ。

 幸いだったのは今日が土曜日で休みが続いたことだ。

 

「よし!作ってくぞ!」

 

 俺は料理を作り始めた...

 

 ピンポーン

 

「ん?誰だ?」

 

 俺は玄関に行った。

 

「はーい、どちら様でしょう?」

「おはよ!栄君!」

「おはようございます。八舞君。」

 

 氷川姉妹が来た。

 

「どうしたんですか?パーティーまでは時間がありますが?」

「少しでもお手伝いしようと日菜が。」

「え!?」

 

 手伝いに来てくれたのか。

 それより...

 

「日菜さんって、気を遣えたんだ...」

「何か言った?栄君?」

「い、いや!何でもないです。」

「そう?」

 

 日菜さんは首をかしげてる。

 

「...手伝いは助かります。

 ありがとうございます。」

「いえ、一人に押し付けるのも悪いですし。」

 

 よし!これならスムーズに進められる!

 

「じゃあ、お二人には飾りなどをお願いしてもいいですか?」

「はい。」

「うん!まかせて!」

 

 俺たちは準備を始めた。

___________________________________

 

 準備は思いのほか早く終わった。

 

「二人が来てくれて助かりました。」

「いえ、役に立ててよかったです。」

「そうだよ!」

「あ、待っててください、お茶でも出すんで。」

「お構いなく。」

「そういう訳にもいかないんで。」

 

 そんな話をしてると。

 

 ピンポーン

 

「はーい!

 ...すこし出てきます。」

「えぇ。」

「うん!」

 

 そう言って、出てみると。

 パスパレメンバーが来てた。

 

「皆さん、お早いですね。」

「えぇ、なんだか落ち着かなくて。」

「そうなんだ!だから早く行こうってなって!」

「来たわけっす!」

「なるほど。 

 あ、どうぞ上がってください、お茶でも出すんで。」

「ありがとう。」

 

 そう言って、上がった。

____________________________

 

__「あれ?紗夜ちゃんと日菜ちゃん、来てたの?」

「えぇ、すこしお手伝いに。」

「え~!私たちもくればよかった...」

「「そうね(っすね)。」」

「別にいいっすよ。

 もとは一人でやる気だったんで。」

「...あなたは、そういうところは変わらないのね。」

「?なにがっすか?」

「私たちは友達なのよ?こういう時は頼りなさい。」

「そうっすよ!頼ってほしいっす!」

「うん!」

 

 みんなが頷いている。

 

「...ありがとうございます。」

 

 照れくさいな...でも、悪くないな。

 

「...そろそろ、イヴを迎えに行ってきます。」

 

 俺は家を出て、イヴの家に向かった。

_____________________________

 

 イヴの家についた。

 

 ピンポーン

 

『はーい!!』

 

 イヴはいるみたいだ。

 

「どちらさまで__

 栄斗さん!」

「よう、イヴ。準備はできてるか?」

「はい!」

「じゃあ、行くか。」

「はい!」

 

 そうして俺たちは家に向かった。

 

「あれ?お買い物はいいんですか?」

「ん?あぁ、大丈夫だぞ。」

「そうですか!」

 

 イヴは楽しそうだ。

 

「...そんなに楽しみか?」

「はい!栄斗さんのご飯は美味しいですから!」

「...そうか。」

 

 イヴ、驚くだろうな。

 俺は白鷺さんにメッセージを送った。

____________________________

 

__「着きました!」

「あぁ、そうだな。」

 

 俺たちは家に入った。てか、靴隠したんだな。

 そしてリビングに入ると___

 

「「「「「「イヴちゃん!お誕生日おめでとう!!!」」」」」」

「え?な、なんで?」

 

 イヴは驚いているようだ。

 

「今日はイヴの誕生日だからな、

 みんなを呼んでパーティーを企画してみた。」

 

 イヴは固まっている。

 

「...どうだ?イヴ?」

「とっても、とっても、うれしいです!」

 

 イヴは笑っていた、喜んだようでよかった。

 

「みなさん!ありがとうございます!!」

 

 そうして、パーティーが始まった。

 

「さぁ、イヴ、食べてくれ。

 イヴが気に入ってたのも作ってあるぞ。」

「はい!栄斗さん!」

 

 イヴはみんなの輪に入っていった。

 

「イヴちゃ~ん!誕生日おめでと~!」

「ありがとうございます!」

 

 楽しそうだ。よかった。

 

「栄斗さんも食べましょう!」

 

 イヴがこっちを見てる。

 

「あぁ。」

 

 俺はみんなのほうに行った。

 

「これ美味しいっすね!」

「栄斗さんの料理はどれも美味しいんです!」

「...なんで、イヴが誇らしげなんだ。」

 

 楽しいなこういうのも。

 

「...あなたの心は救われたようですね。」

 

 氷川さんが言ってきた。

 

「...はい、これも皆のおかげです。」

「ふふっ、そうですか。」

「はい。」

 

 料理が粗方なくなってきたな。

 

「じゃあ、デザートにしましょうか。」

「「待ってました!」」

 

 丸山さんと日菜さんがそういった。

 俺はケーキを切り分けた。

 

「はい、皆さんどうぞ。」

「へぇ、切るの上手なのね。」

「...普通ですよ。」

 

 みんながケーキを食べ始める。

 

「あ、もう一つデザートありますよ。」

 

 俺は用意をしていたジンジャークッキーを出した。

 

「栄斗さん!これはまさか__」

「あぁ、ジンジャークッキーだ。」

「やっぱりですか!すごいです!栄斗さん!」

「...まぁ、食べてみてくれ。」

「はい!」

 

 イヴはジンジャークッキーを一枚食べた。

 

「すっごく美味しいです!」

「よかった。」

 

 イヴは気に入ったようだ。

 

「八舞君って女子力高いよね~!」

「あ、それ!私も思う~!」

「ジブンもっす!」

「...女性としては悔しくもありますけどね。」

「そうね。」

 

 みんないろいろ言ってる。

 

「...紅茶淹れますが、いる人は?」

 

 みんなが手を挙げた。

 

「...じゃあ、淹れてきます。」

 

 紅茶を淹れてきた。

 

「はい、どうぞ。」

 

 そして、配っていった。

 

「あら?この紅茶...」

「どうしました?」

「美味しいわ。」

 

 白鷺さんは驚いたように言う。

 

「私のマネージャーにほしいわ。」

「ははは、断っておきます。」

「あら、残念ね。」

 

 白鷺さんもテンションが高いようだ。

 

「そろそろ、プレゼント渡そうよ!」

 

 と、丸山さんが言った。

 

「まぁ、いい頃合いですね。」

 

 そして、各々プレゼントを取り出した。

 

「じゃあ、私から!

 はい!文房具セット!」

 

 丸山さんは文房具セット。

 

「ありがとうございます!大切に使います!」

「じゃあ、次はジブンっすね!

 自分からは時代劇のDVDっす!」

「ありがとうございます!麻弥さん!」

 

 大和さんは時代劇のDVD。

 

「私からは遊園地の招待券よ。

 好きな人でも誘って行きなさい♪」

「ち、千聖さん!?///

 あ、ありがとうございます...」

 

 白鷺さんは遊園地の招待券か、

 てか、何て言ったんだ?

 

「じゃあ、次は私たちから。」

「私たちからはお城の置物だよ!」

「わぁ!ありがとうございます!お部屋に飾ります!」

 

 氷川姉妹からは城の置物か、てか、クオリティたけぇ。

 次は...

 

「...俺か。」

「よっ!おおとり!」

「八舞君は何を送るのかしら?」

「ジブン、気になりますっ!」

「ハードル上げるのやめません?」

「...大丈夫です、八舞君。」

「氷川さん...」

「そうだよ!あんなに悩んだんだから!」

「日菜さん...」

「じゃあ__」

 

 俺は一呼吸置き。

 

「俺からはこれだ。」

 

 俺が出したのは、ネックレスだ。

 

「え!?いいんですか!?」

「構わない。」

 

 イヴは驚いたが、喜んでくれた。

 

「...イヴ。」

「はい!」

「その石の石言葉は『永久不変』なんだ、

 だから、その、これからも、一緒にいてくれ。」

 

 俺は目をそらして言った。

 

「...」

「イヴ?」

 

 イヴは泣いていた。

 

「!?どうした、イヴ!?」

「私、嬉しいんです!

 でも、涙が出ちゃうんです...!」

 

 どうやら、うれし泣きみたいだ。

 俺はそっとイヴを抱きしめた。

 

「...これからも、一緒にいてくれるか?」

「__はい!これからも、ずっと一緒にいます!」

「___あのー、私たちがいるの忘れてない?」

 

 丸山さんが声をかけてきた。

 

「!?///」

 

 イヴの顔が赤くなってる。

 

「...普通に頭から抜けてた。」

「うぅ...///」

 

 みんな苦笑いしてるし。

 

「...これは、イヴちゃんを問い詰めないとね!」

 

 また、丸山さんが言った。

 

「え!?あ、彩さん!?」

「...そうね、彩ちゃんの言う通りだわ♪」

「ジブンも気になります!」

「私も私も!」

 

 パスパレメンバーがイヴに詰め寄ってる。

 

「...まぁ、ほどほどに。」

「え、栄斗さん!!」

「悪い、それは止められん。」

「そ、そんな~!」

 

 俺は少しベランダに出た。

____________________________

 

「ふぅ、みんなが楽しそうでよかった。」

「__そうですね。」

「氷川さん。」

 

 一人でつぶやいてると氷川さんが来た。

 

「氷川さんは混ざらないんですか?」

「...私はああいうのは苦手なんです。」

「...それっぽいっすね。」

 

 しばし、無言になる。

 

「__若宮さんと仲がよろしいんですね。」

「まぁ、大切であることは間違いないです。」

「...若宮さんは幸せ者ですね。」

「そうでしょうか?」

「えぇ、思ってくれる人がいるのは幸せですよ。」

「まぁ、そうですね。」

 

 また、無言になる。

 

「八舞君は覚えてますか?初めて会った日の事を。」

「...えぇ。」

「あの時、私は自分の無力を呪いました。

 そんな時に八舞君は励ましてくれましたね。」

「...氷川さんは正しいことをしてたんだ、

 自分を呪うことなんてなかったんですよ。」

「それでも、私は嬉しかったんです、

 私は風紀委員でもやりすぎと言われてますから。」

 

 氷川さんはこっちを見ている。

 

「どうしたんですか?氷川さ__」

 「私はあなたの事が好きです。」

「__え?」

 

 氷川さんの口から信じられない言葉が出た。

 

「え?な、なんで?」

「...わかりません。私も気づいたのは最近なんですから。」

 

 氷川さんは俺をまっすぐ見ている。

 

「私と付き合ってくれますか?」

 

 氷川さんはそう言う。

 

「...少し待ってください。」

 

 俺はそう答える事しかできなかった。

 

「...あなたなら、そう言うと思いました。

 私はいつまでも待ちます。」

 

 そう言って氷川さんは戻っていった。

 

「(答えは決まっているんだ、でも、これを即答することなんて、俺にはできない。)」

 

 俺は空を見て...

 

「俺はどうすればいいんだ...」

 

 誰も答えてくれない問いを呟くのだった。

 

 

 

 




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