恋愛のブシドー   作:火の車

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18話です!


第18話

 イヴの誕生日の日に氷川さんに告白され、一晩が過ぎ、今は日曜日の昼だ。

 

「何がどうなってんだ...」

 

 俺は理解出来ていなかった。

 

「夢......な訳ないよな。」

 

 答えなんか、もう決まってる。

 でも...

 

「......少し、外に出よう。」

 

 俺は外に出ることにした。

____________________________

 

 外は6月らしい暑さだった。

 俺は近くの公園に向かった。

 

「ふぅ、ここなら涼しいな。」

 

 俺は影がかかってるベンチに腰掛けた。

 

「(俺には覚悟がない。告白を断った後、氷川さんが離れていくのではないのかと、友達をなくしてしまうことへの......)」

 

 俺はそう考えていた。

 

「......俺は弱いな。」

「___あら?八舞君?」

「白鷺さん。こんにちは。」

「えぇ、こんにちは。」

 

 白鷺さんは近づいてきた。

 

「こんなところで何をしているのかしら?」

「......別に、何もしてないです。」

「嘘ね。何もなければ、人はそんな苦しい顔をしないわ。」

「っ!......やっぱりわかりますか。」

 

 白鷺さんは相変わらず鋭い。

 

「話してみなさい。聞くだけ聞いてあげるわ。」

「......これは、人に話すことではないんですが。」

「友達でしょう?秘密くらい喋りなさい。」

 

 威圧感のある笑顔で言う。

 

「わかりました。実は__」

 

 俺は昨日の事を話した。

 

「......まさか、そんなことが。だから、昨日の最後のほうは上の空だったのね。」

「......俺には覚悟ないんです。」

「覚悟?」

「はい。せっかくできた友達を失ってしまう、俺はそれが怖いんです。」

 

 白鷺さんはどこかを見ている。

 

「白鷺さん?」

「......あなたは馬鹿なのかしら?」

「え?」

「紗夜ちゃんはフラれたくらいで離れていくような子じゃないわ。」

 

 そもそも、と続けて。

 

「紗夜ちゃんだって覚悟があって、あなたに告白したのよ。あなたとの関係が崩れることを覚悟してたと思う。」

「!!」

「だったら、あなたは、相応の覚悟を持って紗夜ちゃんに返事をするべきよね?」

 

 そうだ、白鷺さんの言うことは最もだ。

 氷川さんだって覚悟してたに決まってる。

 なのに俺は...!!!

 

「......ありがとうございました。白鷺さん。」

「やることは決まったようね。」

「はい。この恩はいつか返します。」

「そう?なら、美味しい紅茶でも淹れてもらおうかしら。」

「了解しました。」

 

 そう言って、俺は公園を出た。

____________________________

 

「(やることは決まった。後は......)」

「俺の覚悟を見せるだけだ!」

 

 俺はそう決意した。

____________________________

 

 一日が過ぎ、月曜日だ。

 俺は学校に登校した。

 

『今日、放課後に屋上に来てください』

 

 俺は氷川さんにメッセージを送った。

 

『了解しました。』

 

 そう、返ってきた。

 

「(やることは決まってる。後は俺の覚悟だ。)」

「......さん......栄斗さん?」

「ん?あぁ、イヴか。」

「どうしたんですか?難しい顔してましたよ?」

「あぁ、少し考え事をな。てか、それ、付けてくれてるのか。」

「はい!一番のお気に入りです!」

「そうか、よかったよ。」

 

 俺も、もう一つの覚悟を決めるときかな。

 

 今日の授業などは一瞬で過ぎた。

____________________________

 

 放課後だ。

 

「栄斗さん!一緒に帰りませんか?」

「悪い、今日は行かないといけないところがあるんだ。」

「そうなんですか?残念です......」

「ごめんな。じゃあ、俺は行くよ。」

 

 俺は屋上に向かった。

____________________________

 

「お早いですね、氷川さん。」

「えぇ、好きな人を待たせるのは忍びないですから。」

「......そうですか。」

 

 氷川さんはパっと見はいつも通りだ。

 

「今日はあの時の返事と思っていいんでしょうか?」

「はい。間違いありません。」

「そうですか......」

 

 空間を静寂が支配する。

 

「......それでは教えてください。あなたの気持ちを。」

「はい......」

 

 俺は少し空気を吸って。

 

「__俺は氷川さんと付き合うことは出来ません。」

「......やっぱりですか。こうなることは何となくわかっていました。」

「氷川さん......」

 

 氷川さんは悲しそうな顔をしている。

 

「もう、私はあなたの近くにはいられませんね。」

「__そんな事はあり得ません。」

「え、な、なんで?私はあなたにフラれて__」

「フッったとしても。氷川さんは大切な友達です!」

「!!」

「俺には覚悟がなかった。断れば氷川さんが離れてしまうのではないのかと。でも、それは、間違いだった。」

「......」

 

 氷川さんは静かに聞いている。

 

「どんなことがあっても、氷川さんは大切な友達だ。だから、離れる必要なんかないんです。」

「......あなたは優しいですね。」

「そんなことは、ないです。」

「ありがとうございました。」

「......いえ。」

 

 沈黙が流れ...

 

「でも、残念ですね。あなたみたいな人には、滅多に出会えないでしょうに。」

「買い被りです。氷川さんにはもっと素敵な人が現れます。」

「どうでしょうね。」

「俺は少なくとも、そう願ってますよ。」

「そうですか。」

 

 氷川さんは微笑んでいる。

 

「あなたは若宮さんが好きなんですよね?」

「な、なんでそのことを?」

「......ばれていないと思っていたんですか?」

「はい......」

 

 バレバレだったのか......

 

「あなたも若宮さんに告白するんですか?」

「......まぁ、その予定です。」

「そうですか!なら、頑張りなさい!」

「氷川さん......」

 

 笑顔が歪んできてる。

 

「もう、いきなさい。」

「氷川さんは?」

「私はもう少し、風にあたっていきます。」

「......そうですか。」

 

 では、と俺は屋上を出た。

____________________________

 

 ”紗夜side”

 

「結局、フラれてしまいましたね...」

「お姉ちゃん......」

「あら?日菜?来ていたの?」

「うん......」

 

 紗夜は夕日を眺めている。

 

「やはり、私じゃダメだったわ。」

 

 紗夜は今にも泣きだしそうだ。

 

「お姉ちゃん!」

 

 日菜は紗夜を抱きしめた。

 

「......放して、苦しいわ。」

「嫌だよ、お姉ちゃん。悲しいときは泣いてもいいんだよ。」

 

 日菜の言葉に紗夜の感情は爆発した。

 

「最初から分かっていたんです!八舞君が若宮さんを好きなことは...」

「うん。」

「でも、諦められなかったんです!私を励ましてくれて、認めてくれた彼を!」

「うん。」

 

 日菜は紗夜の言葉を叫びを聞き続けた。

 

「(栄君......お姉ちゃんをふったんだからね。イヴちゃんと幸せにならないと許さないから。)」

「日菜、ごめんなさい...」

「全然大丈夫だよ!」

「仕事があって来たんでしょう?行きなさい。」

「はーい!」

 

 紗夜も吹っ切れて、いつも通りになった。

 日菜は屋上を出た。

 

「お幸せに......八舞君。」

 

 紗夜は夕日にそう願った。

_____________________________

 

 ”日菜side”

 

 お姉ちゃんがフラれた。

 

「もう、逃げないんだよね?栄君。」

 

 確信はない、だが、日菜は感じていた。

 

「(きっと、栄君の心は動き出してる。)」

 

 日菜は笑って

 

「るんっ♪ってしてきた!」

 

 日菜は一人で笑っていた。

_____________________________

 

 俺は一人、帰路についていた。

 

「(氷川さんは傷ついてた。俺にはあの傷を癒すことなんてできない。)」

「日菜さんにも『逃げたら許さない』って言われたしな。」

 

 俺は夕日を見て。

 

「(俺も覚悟を決めないとな。もう、逃げちゃいけない。氷川さんのためにも。)」

 

 俺は深呼吸をした。

 

「(俺はイヴに告白する。)}

 

 俺は輝く夕日に誓いを立てるのだった。




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