イヴの誕生日の日に氷川さんに告白され、一晩が過ぎ、今は日曜日の昼だ。
「何がどうなってんだ...」
俺は理解出来ていなかった。
「夢......な訳ないよな。」
答えなんか、もう決まってる。
でも...
「......少し、外に出よう。」
俺は外に出ることにした。
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外は6月らしい暑さだった。
俺は近くの公園に向かった。
「ふぅ、ここなら涼しいな。」
俺は影がかかってるベンチに腰掛けた。
「(俺には覚悟がない。告白を断った後、氷川さんが離れていくのではないのかと、友達をなくしてしまうことへの......)」
俺はそう考えていた。
「......俺は弱いな。」
「___あら?八舞君?」
「白鷺さん。こんにちは。」
「えぇ、こんにちは。」
白鷺さんは近づいてきた。
「こんなところで何をしているのかしら?」
「......別に、何もしてないです。」
「嘘ね。何もなければ、人はそんな苦しい顔をしないわ。」
「っ!......やっぱりわかりますか。」
白鷺さんは相変わらず鋭い。
「話してみなさい。聞くだけ聞いてあげるわ。」
「......これは、人に話すことではないんですが。」
「友達でしょう?秘密くらい喋りなさい。」
威圧感のある笑顔で言う。
「わかりました。実は__」
俺は昨日の事を話した。
「......まさか、そんなことが。だから、昨日の最後のほうは上の空だったのね。」
「......俺には覚悟ないんです。」
「覚悟?」
「はい。せっかくできた友達を失ってしまう、俺はそれが怖いんです。」
白鷺さんはどこかを見ている。
「白鷺さん?」
「......あなたは馬鹿なのかしら?」
「え?」
「紗夜ちゃんはフラれたくらいで離れていくような子じゃないわ。」
そもそも、と続けて。
「紗夜ちゃんだって覚悟があって、あなたに告白したのよ。あなたとの関係が崩れることを覚悟してたと思う。」
「!!」
「だったら、あなたは、相応の覚悟を持って紗夜ちゃんに返事をするべきよね?」
そうだ、白鷺さんの言うことは最もだ。
氷川さんだって覚悟してたに決まってる。
なのに俺は...!!!
「......ありがとうございました。白鷺さん。」
「やることは決まったようね。」
「はい。この恩はいつか返します。」
「そう?なら、美味しい紅茶でも淹れてもらおうかしら。」
「了解しました。」
そう言って、俺は公園を出た。
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「(やることは決まった。後は......)」
「俺の覚悟を見せるだけだ!」
俺はそう決意した。
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一日が過ぎ、月曜日だ。
俺は学校に登校した。
『今日、放課後に屋上に来てください』
俺は氷川さんにメッセージを送った。
『了解しました。』
そう、返ってきた。
「(やることは決まってる。後は俺の覚悟だ。)」
「......さん......栄斗さん?」
「ん?あぁ、イヴか。」
「どうしたんですか?難しい顔してましたよ?」
「あぁ、少し考え事をな。てか、それ、付けてくれてるのか。」
「はい!一番のお気に入りです!」
「そうか、よかったよ。」
俺も、もう一つの覚悟を決めるときかな。
今日の授業などは一瞬で過ぎた。
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放課後だ。
「栄斗さん!一緒に帰りませんか?」
「悪い、今日は行かないといけないところがあるんだ。」
「そうなんですか?残念です......」
「ごめんな。じゃあ、俺は行くよ。」
俺は屋上に向かった。
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「お早いですね、氷川さん。」
「えぇ、好きな人を待たせるのは忍びないですから。」
「......そうですか。」
氷川さんはパっと見はいつも通りだ。
「今日はあの時の返事と思っていいんでしょうか?」
「はい。間違いありません。」
「そうですか......」
空間を静寂が支配する。
「......それでは教えてください。あなたの気持ちを。」
「はい......」
俺は少し空気を吸って。
「__俺は氷川さんと付き合うことは出来ません。」
「......やっぱりですか。こうなることは何となくわかっていました。」
「氷川さん......」
氷川さんは悲しそうな顔をしている。
「もう、私はあなたの近くにはいられませんね。」
「__そんな事はあり得ません。」
「え、な、なんで?私はあなたにフラれて__」
「フッったとしても。氷川さんは大切な友達です!」
「!!」
「俺には覚悟がなかった。断れば氷川さんが離れてしまうのではないのかと。でも、それは、間違いだった。」
「......」
氷川さんは静かに聞いている。
「どんなことがあっても、氷川さんは大切な友達だ。だから、離れる必要なんかないんです。」
「......あなたは優しいですね。」
「そんなことは、ないです。」
「ありがとうございました。」
「......いえ。」
沈黙が流れ...
「でも、残念ですね。あなたみたいな人には、滅多に出会えないでしょうに。」
「買い被りです。氷川さんにはもっと素敵な人が現れます。」
「どうでしょうね。」
「俺は少なくとも、そう願ってますよ。」
「そうですか。」
氷川さんは微笑んでいる。
「あなたは若宮さんが好きなんですよね?」
「な、なんでそのことを?」
「......ばれていないと思っていたんですか?」
「はい......」
バレバレだったのか......
「あなたも若宮さんに告白するんですか?」
「......まぁ、その予定です。」
「そうですか!なら、頑張りなさい!」
「氷川さん......」
笑顔が歪んできてる。
「もう、いきなさい。」
「氷川さんは?」
「私はもう少し、風にあたっていきます。」
「......そうですか。」
では、と俺は屋上を出た。
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”紗夜side”
「結局、フラれてしまいましたね...」
「お姉ちゃん......」
「あら?日菜?来ていたの?」
「うん......」
紗夜は夕日を眺めている。
「やはり、私じゃダメだったわ。」
紗夜は今にも泣きだしそうだ。
「お姉ちゃん!」
日菜は紗夜を抱きしめた。
「......放して、苦しいわ。」
「嫌だよ、お姉ちゃん。悲しいときは泣いてもいいんだよ。」
日菜の言葉に紗夜の感情は爆発した。
「最初から分かっていたんです!八舞君が若宮さんを好きなことは...」
「うん。」
「でも、諦められなかったんです!私を励ましてくれて、認めてくれた彼を!」
「うん。」
日菜は紗夜の言葉を叫びを聞き続けた。
「(栄君......お姉ちゃんをふったんだからね。イヴちゃんと幸せにならないと許さないから。)」
「日菜、ごめんなさい...」
「全然大丈夫だよ!」
「仕事があって来たんでしょう?行きなさい。」
「はーい!」
紗夜も吹っ切れて、いつも通りになった。
日菜は屋上を出た。
「お幸せに......八舞君。」
紗夜は夕日にそう願った。
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”日菜side”
お姉ちゃんがフラれた。
「もう、逃げないんだよね?栄君。」
確信はない、だが、日菜は感じていた。
「(きっと、栄君の心は動き出してる。)」
日菜は笑って
「るんっ♪ってしてきた!」
日菜は一人で笑っていた。
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俺は一人、帰路についていた。
「(氷川さんは傷ついてた。俺にはあの傷を癒すことなんてできない。)」
「日菜さんにも『逃げたら許さない』って言われたしな。」
俺は夕日を見て。
「(俺も覚悟を決めないとな。もう、逃げちゃいけない。氷川さんのためにも。)」
俺は深呼吸をした。
「(俺はイヴに告白する。)}
俺は輝く夕日に誓いを立てるのだった。
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