恋愛のブシドー   作:火の車

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21話です!
今回はお泊り回です!


第21話

「イヴ。」

「はい!」

「俺はイヴに意地悪をしたいんじゃない。」

「はい!」

「イヴが色んなことをがんばってるのも知ってる。」

「はい!ありがとうございます!」

「でもな...テストからは逃げられないんだ。」

 

 俺は朝の学校でイヴにそんなことを言っていた。

 

「はい...」

「というわけで、俺はイヴを助けよう。」

「どういう事ですか?」

「パスパレの皆さんにご協力いただいて、勉強合宿をする。」

「え?何処でですか?」

「俺の家だ。」

「えぇ!?いいんですか?」

「あぁ、問題ない。」

「__まぁ、そういう事よ、イヴちゃん。」

「千聖さん!」

「どうも、白鷺さん。」

「えぇ、八舞君。」

「今回はご協力感謝します。」

「気にしなくていいわ、私たちもいるんだもの、問題の子が...」

「え?」

「彩ちゃんよ...」

「あ...(察し)」

「正直、勉強の場の提供には感謝してるのよ...」

「お互いに、大変ですね...」

「えぇ...」

 

 出会って初めて、白鷺さんの気持ちがわかった気がした。

 

「というわけで、イヴ、勉強合宿やるぞ。」

「はい!」

 

 そうして、勉強合宿の開催が決定された。

_____________________________

 

 放課後になった。

 

「じゃあ、一旦、イヴの家に行くぞ。」

「はい!ですが、なんでですか?」

「生活必需品とか、着替えとか必要だろ?」

「そういえばそうですね!」

「...そういえばって、どうやって合宿する気だったんだ。」

 

 俺たちはイヴの家に向かった。

_____________________________

 

「じゃあ、少し待っていてください!」

「あぁ、ゆっくりでいいぞ。」

 

 イヴは家に入っていった。

 

「えーと、客用の布団はなぜかあるし。食材も問題ない。シャンプーとかは白鷺さんが大和さんを矯正するって持ってくるらしいし...」

 

 俺は自分の家の状況を頭の中で確認していた。

 

「よし、問題ないな。」

「おまたせしました!」

 

 頭を整理し終わったと同時にイヴが出てきた。

 

「...荷物、多くない?」

「はい!何が起こるかわからないので!備えあれば憂いなしです!」

「キャンプにでも行くのか?」

 

 イヴの荷物は多かったが、必要なものは持ってきてるみたいだし、良しとした。

 

「じゃあ、行くか。」

「はい!」

 

 俺たちは家に歩き出した。

 

「今日から栄斗さんの料理が毎日食べられますね!」

「...メインは勉強だぞ?まぁ、作るけど。」

「とても、楽しみです!」

「そうか。」

_____________________________

 

 マンションについた。

 

「お~い!栄く~ん!」

「あれ?日菜さん?早いですね?」

「ジブン達もいますよ!」

「こんにちは!八舞君!」

「遅いわよ。」

「お待たせしてすいません。」

「ごめんなさい...」

「別にいいわよ?早く入りましょ♪」

 

 そうして俺たちは、俺の部屋に入った。

_____________________________

 

「__というわけで、これから、勉強合宿が始まるわけですが...」

 

 俺は一息置いて。

 

「皆さん、仕事は大丈夫なんですか?」

「それなら大丈夫よ。私がみんなの休みを取ってきたから♪」

「え...!?」

 

 丸山さんが反応した。

 

「...逃げようとしてたでしょ、丸山さん?」

「そ、そんなことないよ!」

「...まぁ、いいです。今回は皆さんの得点向上を目指します。なので、イヴには俺と日菜さんが、丸山さんには白鷺さんと大和さんについてもらいます。」

「えぇ!?」

 

 丸山さんが驚いている。

 

「どうしたのかしら?彩ちゃん?」

「い、いや!なんでもないです...」

 

 丸山さんは白鷺さんの圧に屈したようだ。

 

「じゃあ、今から勉強を始めてもらいます。俺は夕飯の用意をするので。」

「「「「「はーい!」」」」」

 

 そうして勉強会が始まった。

 

「__彩ちゃん?また間違えてるわよ?お仕置きが必要かしら?」

「は、はいぃぃ!ごめんなさい!」

「あ、そこも違うっすよ?」

「彩ちゃん...?」

「ひぃぃぃ!!!」

 

 なんて言うか...地獄だな。

 

「日菜さん...ここはどうすればいいんですか?」

「えっと、ここをバーン!ってして!ここをバビューン!ってするんだよ!」

「え?は、はい!」

 

 あ、俺が教えないと駄目な奴か...

 

 ピンポーン

 

「ん?誰だ?」

 

 俺は扉を開けると...

 

「こんにちは、八舞君。」

「あれ?氷川さん?」

 

 そこには氷川さんがいた。

 

「さっき、日菜に呼ばれまして、参加しないかと。」

「それは大丈夫ですが...荷物は?」

「用意してきました。」

「ならどうぞ、上がって行ってください。」

「はい、お邪魔しますね。」

 

 そうして、氷川さんの参加が決定した。

 

「__あ!お姉ちゃん!来てくれたんだ!」

「えぇ、日菜も心配だったもの。」

「あ!紗夜さん!こんにちは!」

「えぇ、こんにちは若宮さん。」

「こんにちは紗夜ちゃん。」

「こんにちはっす!氷川さん!」

「こ、こんにちは...紗夜ちゃん...」

「えぇ、白鷺さん、大和さんと...丸山さん?こんにちは。」

 

 丸山さん、なんか、見た目変わってね?

 

「__氷川さんには日菜さんと一緒にイヴについててもらえないでしょうか?」

「はい、わかりました。」

 

 そうして、氷川さんはイヴについてくれた。

 流石だ、教え方がうまいな。

 

「よし!夕飯、用意するか!」

 

 俺は夕飯の用意を始めた。

_____________________________

 

「みなさーん!夕飯の用意ができました!」

「わーい!ご飯です!」

「お腹すいた~!」

「そうね、日菜。」

「ベストタイミングっす!」

「そうね...彩ちゃん?ご飯よ?」

「は~い...」

「大丈夫ですか?丸山さん?」

「う~ん、大丈夫だよ~、ご飯楽しみだな~。」

「は、はい、たくさん食べてください。」

 

 やばい、めっちゃ虚ろな目してるぞ?

 何したんだ、白鷺さん。

 

「まぁ、召し上がってください!俺は風呂の用意してるので。」

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

 みんな食べ始めた。

 

「やっぱり、栄斗さんの料理は最高です!」

「うん、おいしい...おいしいよ...!」

「栄養バランスも完璧っす!」

「えぇ、八舞君は優秀ね♪」

「これ美味し~!ね!お姉ちゃん?」

「えぇ、八舞君には敵いませんね。」

 

 みんな気に入ってくれてるみたいだ。

 てか、丸山さんに関しては涙目だし。

 

「__みなさん、風呂の用意ができましたよ。」

 

 みんなが食べ終わったのを見計らって、そう言った。

 

「誰から入りますか?」

「はい!は~い!私から入りたい!」

「こら!日菜!少しは遠慮なさい!」

「別にいいですよ?日菜さんから入っても。」

「やった~!じゃあ、行ってくるね!...あ、栄君!」

「なんですか?」

「覗いちゃダメだよ?」

「覗かないっすよ...」

「へぇ~イヴちゃんも?」

「...覗かないですよ?」

「ちょっと考えなかった?」

「え、栄斗さん!///」

「日菜さん、さっさと入ってきてください。」

「はーい!」

 

 そうして、日菜さんは風呂に行った。

 

「はぁ、まったく日菜さんは...って、なんでみんな距離取ってるんですか?」

「だって、ねぇ?」

「そうっすよね...」

 

 みんな端っこに固まってるし...

 

「みんな、どうしたんですか?」

「八舞君だから気にしなかったけれど、ここって、男の子の家なのよね?」

「まぁ、そういう事になりますね。」

 

 と、白鷺さん、氷川さんが言ってる。

 

「八舞君?」

「はい?」

 

 白鷺さんが話しかけてきた。

 

「襲わないわよね?」

「しないっすよ!!!」

 

 何を聞いてくるんだ。

 

「...てか、そこで疑われるのか?軽くショックなんですけど...」

 

 俺は虚空を見て。

 

「ネットカフェ、行こうかな。」

 

 割と本気でそう思った。

_____________________________

 

「__はぁ~!さっぱりした~!ってみんな、何してるの?」

「実は__」

 

 ここまであったことを説明した。

 

「__うんうん、つまり、みんなに避けられて拗ねちゃったってこと?」

「まぁ、そういう事っすね。」

「栄斗さーん!出てきてくださーい!」

 

 返事はない。

 

「これは重症ね...」

「悪いことしちゃったかな...」

「申し訳ないっす。」

「__別にいいっすよ...」

 

 栄斗が部屋から出てきた。

 

「冷静に考えれば、そう思うのは当然ですし、落ち込むことでもないですよね。」

 

 俺は悟り的なものを開いていた。

 

「え、栄斗さんが、悲しそうです...!えいっ!」

「うおっ!な、なんだ!」

「ごめんなさい...栄斗さん。少し恥ずかしくなってしまって...」

「いや、俺が悪いから気にするな。」

「もう、仲間はずれにはしないです!」

「そうか、ありがとう。」

「そ、それと...///」

「ん?」

「気になるなら、覗きに来てもいいですよ...?///」

「な!?イ、イブ!それはダメだ!自分を大切にしてください!」

 

 驚きすぎて敬語になったよ!

 

「__あのー、解決...ってことでいいのかな?」

 

 丸山さんが声をかけてきた。

 

「イヴちゃん...不純はダメよ?」

「///」

 

 イヴの顔は真っ赤だ。

 

「...まぁ、皆さんは風呂に入ってきてください。」

「「「「はーい。」」」」

_____________________________

 

 俺は最後にシャワーを浴びた後、ベランダにいた。

 

「__楽しいな、こういうのも。」

「それはよかったです。」

 

 氷川さんが来た。

 

「こうして話すのは、二度目ですね。」

「はい、あの時は若宮さんの誕生日会でしたね。」

 

 俺はあの時の事を思い出していた。

 

「...八舞君は幸せそうでしたね。」

「はい...昔の俺じゃ考えられないですね。」

「そうですか、私もうれしいです。」

 

 沈黙が流れる。

 

「すいません、氷川さん。」

「なにがですか?」

「...俺は、氷川さんを傷つけてしまいました。日菜さんは気にするなと言っていましたが、やはり、引っかかってしまいます。」

「...確かに私は、八舞君にフラれて傷ついたんだと思います。」

「...すいません。」

 

 罪悪感が募る。

 

「ですが、私は告白したことを後悔なんてしていません。」

「氷川さん...」

「少なくとも、私の行動が今の八舞君の幸せに繋がったんです。私はそれで幸せです。何より...」

「氷川さん?」

「...今の八舞君の笑顔は、私じゃ成立させられません。」

「それは...」

「気を使わなくてもいいです。事実ですもの。」

 

 氷川さんは景色を見てる。

 

「...正直、少し悔しくもありました。私じゃ、あなたを今のように幸せにできません。」

「...」

「ですが、あなた達を見て、そんな感情はなくなりました。今は八舞君が幸せなら、それでいいです。」

「氷川さん...」

「なので、これからは、八舞君の一番の友人を目指します!」

「え?」

「なので、私の事は名前で呼んでください!」

「は、はい。ですが、急ですね、紗夜さん、一番の友人なんて。」

「まぁ、そうですね...でも私は...」

 

 紗夜さんはこっちに寄ってきて...

 

「紗夜さん?」

「私はなんでも、頂点を目指してますから!」

 

 紗夜さんは飛び切りの笑顔でそう言った。

_____________________________

 

「あ!栄斗さん!おかえりなさい!」

「あぁ、って、ベランダにいただけだけどな。」

 

 イヴはリビングで待っていた。

 

「そろそろ、寝ますか?」

 

 時刻はもうすぐ0時だ、勉強は健康も大事だ。

 

「布団、用意してきます。」

 

 俺は布団を敷いた。

 

「俺は部屋で寝てますので、困ったことがあったら言ってください。」

「「「「「「はーい!」」」」」」

 

 俺は部屋に戻った。

_____________________________

 

「はぁ、一日目なのに色々あったな。」

 

 俺は今日の事を思い出した。

 

「紗夜さんも吹っ切れてたみたいだ...ほんとによかった。」

 

 紗夜さんは次に向かってる。もう、大丈夫だ。

 コンコン

 誰か来た。

 

「はーい、どうしましたー?」

「栄斗さん...?」

「ん?イヴ?どうした?」

 

 俺はドアを開けた。

 

「あ、あの、栄斗さん...///」

「な、なんだ?」

 

 イヴは恥ずかしそうだ。

 

「あ、あの...一緒に寝ませんか?///」

「何!?」

「ダメ...ですか?」

「構わんが、ベッドだから、狭いかもしれないぞ?」

「だ、大丈夫です!///」

 

 そう言うので、一緒に寝ることにした。

 

「__暖かいです♪」

「...そうか。」

 

 俺は今、イヴの抱き枕状態だ。

 

「今日は楽しかったです!」

「それはよかった。」

「お勉強は大変でしたが、みなさんとご飯を食べたり、お話したり...」

「そうだな、俺も楽しかったよ。」

 

 沈黙が流れる。

 

「しばらくは、ずっと楽しいかもな。」

「はい!」

 

 話をしているうちにイヴは眠った。

 

「すぅー...すぅー...」

「可愛い寝顔だ。」

 

 うん、可愛い、最高。

 

「...俺も寝るか。」

 

 俺は扉の向こうにいるみんなに気付くことなく眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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