夏祭りから少し経ち、俺たちは夏休みに入ろうとしていた。
「__というわけで!イヴちゃんの要望でパスパレと八舞君で海に行くわよ!」
白鷺さんがそう言った。
「珍しく、テンション高いですね。」
「そうかしら?去年、皆で行ったのが楽しかったからかしらね!」
「なるほど。」
納得した。白鷺さんはなんやかんやパスパレの事、大好きだからな。
「海はいいんですけど、プランはどうしますか?」
と、大和さんが言った。
「その事なのだけれど、事務所の方が紹介してくれた旅館に行こうと思うわ。」
「へぇ~どんなとこなの?」
日菜さんが聞いた。
「ここよ。」
「ふむふむ...うん!るんっ♪ってくるね!」
「どれどれ?...すごそう!」
日菜さんと丸山さんは気に入ったようだ。
「泊りで行くんですか?」
「えぇ、そうなるわね。」
「俺は大丈夫なんですけど、皆さんはお仕事などは?」
「それなら大丈夫よ。夏どころか秋の終わりくらいまでの撮りだめはしてるもの。」
「それ、一般人に言っていいんですか?」
「八舞君は大丈夫でしょ?」
「まぁ、そうですね。」
テレビ番組を見る目が変わりそうだ。
「というわけで、決定でいいわね?」
「一ついいでしょうか?」
「旅館のお金などはいつ集めますか?」
「あら?大丈夫よ?」
「え?」
「SNSでの宣伝をする代わりに事務所がお金を出してくれるから♪」
「一応聞きますけど、部屋数は...?」
「心配ないわ、二部屋頼んでおいたから♪」
「...用意周到ですね。」
「すこーし、事務所の方とお話ししたけどね♪」
「...」
目が笑ってないぞ...
これ以上の言及は危険だ。
「...そういう事なら、俺は大丈夫です。」
「みんなはどうかしら?」
「私は大丈夫です!」
「わたしもいいよ~!」
「ジブンも大丈夫っす!」
「私も大丈夫~!」
こうして、夏休みの予定が一つ決まった。
「じゃあ、後は水着ね。」
「今から買いに行きます?」
「いいね!」
「るんっ♪ってきた!」
「行きましょう!」
「...じゃあ、俺はこの辺で。」
「栄君も一緒に行こうよ~!」
「え??」
日菜さんがそんなことを言い出した。
「...皆さんで行けば__」
「栄斗さん!」
「ん?」
「約束、忘れてしまいましたか...?」
「あ、」
夏祭りの時にしてたんだった...!
「...仕方ない、約束は破れないな。」
「じゃあ!行きましょう、栄斗さん!」
俺も水着を買うのに同行することになった。
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俺は今、ショッピングモールの女性用の水着売り場にいる。
視線が痛い。
「ねぇねぇ!」
「はい、何ですか日菜さん?」
「これどう?似合う?」
「...なんで、俺に聞くんすか?」
「男の子の意見が欲しくて~」
「ニアウトオモイマスヨ~」
「...なんか、適当じゃない?」
「気のせいっすよ~いやだな~」
「まぁいいや!これにしよ!」
日菜さんは決定したようだ。
「...はぁ、どうしてこうなったんだ。」
「あら?せっかく、女の子に囲まれてるのに不服そうね?」
「白鷺さん...」
「あなたぐらいの男子なら泣いて喜ぶと思うのだけれど?」
「...俺はそういうのじゃないって分かってるでしょ?」
「まぁ、そうね。でも、少しくらい楽しそうにしたらどうかしら?イヴちゃんが不安がるわよ?」
「それもそうっすね。善処します。」
「そうすることね。」
「...ですが、白鷺さん?」
「なにかしら?」
「水着、それにするんすか?」
白鷺さんは全身紫外線から守ります的なスーツ型の水着だった。
「...丸山さんとかに却下されそうっすね。」
「...さっき、されたわ。」
「まぁ、俺でも女子高生が着るにはどうかと思いますからね。」
「日焼け、したくないもの。」
「いい日焼け止め、知ってますよ?」
「あら?本当?」
「はい、俺は毎日使ってます。」
「そういえば、八舞君はかなり白いわね。」
「よかったら、お使いになりますか?」
「一応自分でも持っていくけれど、試させてもらうわ。」
「了解です。」
そんな話をしていると...
「栄斗さん!」
「イヴ、どうした?」
イヴがこっちに来た。
「イヴちゃんへの反応が尋常じゃないわね...」
「気のせいです。で、どうした?」
「水着の相談にきました!これなんて、どうでしょう?」
イヴが見せてきたのは普通の水着より、布面積が少し?狭めの水着だった...
「Oh...」
「イヴちゃん...」
空気が凍ってる。
「お二人ともどうしたんですか?」
「なぁ、イヴ、なんでその水着を選んだんだ...?」
「これですか?彩さんが勧めてくれました!」
「丸山さん!!」
俺は丸山さんのもとに行った。
「栄斗さんはどうしたんでしょう?」
「...戦に行ったのよ。」
「な!これは、私も助太刀しなくては!」
「イヴちゃんは私と水着を選びなおしましょうか!」
イヴと白鷺さんは水着を選びなおしに行った。
「__丸山さん!!」
「え!?ど、どうしたの?」
「イヴが丸山さんにとてもいい水着を薦めてもらったようで。」
「ギクっ!!!」
「あ、あの、八舞君、あれはちょっとした悪戯というか...」
「へぇ。」
「だ、だから、その、口元だけ笑ってて、目だけは笑っていない表情を収めていただけないでしょうか...?」
「理由は、なんですか?」
「八舞君が喜ぶと__」
「本音は?」
「あの水着を持って行った時の八舞君のリアクションが気になりました!!ごめんなさい!!」
「...俺は許してあげましょう。」
「え?ほんとに?」
「えぇ、でも、俺で終わってたらよかったですね...」
「それはどういう__」
「彩ちゃん?」
そこには、水着を選びなおし終えた白鷺さんがいた。
「ち、千聖ちゃん!?」
「少し、お話ししましょうか。」
「い、いや!さっきの八舞君と同じ顔してるよ!?た、助けて!八舞君!」
「俺が言うのもあれなんですけど...頑張ってください。」
「行くわよ?彩ちゃん?」
「いやぁぁぁ!!!」
丸山さんは連行されていった。
「栄斗さん!」
「どうした?」
「水着を選びなおしてきました!」
「そうかそうか。」
「これで、どうでしょう?」
今度の水着はさっきのと打って変わって可愛い系のものだった。
「いいな、海で見られるのが楽しみだ。」
「そ、そうですか///...じゃあ!これにします!」
そう言ってイヴは会計に行った。
「ふぅ、まったく丸山さんは...」
「大変そうでしたね、八舞さん。」
「大和さん。えぇ、一瞬、心臓が止まりかけましたよ。」
「あはは、そういえば、彩さんは?」
「...察した方がよろしいかと。」
「あ...(察し)」
大和さんは察したようだった。
「...生きて、返ってこれるんでしょうか...?」
「さぁ...?あ、そういえば、大和さんは水着決まったんですか?」
「はい!決まりましたよ!」
大和さんは普通の一般的なものだった。
「...パスパレで一番アイドルしてるんじゃないですか?」
「そ、そんなことないっすよ。」
「イヴから、大和さんの話をよく聞きます。」
「どんなことっすか?」
「大和さんは気遣いができて、機材にも詳しくて、とてもブシドーらしいです。」
「あはは、最後以外は嬉しいっすね。」
「...これからも、イヴの事、よろしくお願いします。」
「こちらこそっす!」
話しているうちにみんなが戻ってきた。
「お会計、してきました!」
「おかえり、イヴ。」
「彩ちゃんとのお話が少し長くなってしまったわ。」
「うぅ、千聖ちゃん、怖い...」
「あはは~!今の彩ちゃんの顔おっもしろ~い!」
丸山さん、かばう気はないけど、ちょっと同情した。
「まぁ、そろそろ、帰りましょう。」
俺たちは帰ることにした。
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俺はイヴ以外と別れた。
「今日も楽しかったです!」
「よかったな。」
イヴはとても楽しそうだ。
「海に行くのが楽しみです!」
「そうだな。俺は行くのは初めてだ。」
「そうなんですか?じゃあ!最高の思い出にしないと、ですね!」
イヴは何やら張り切っている。
「あ、家につきました!」
「じゃあ、また、当日にな。」
「はい!さようなら!栄斗さん!」
「あぁ。」
そう言って、俺は帰路についた。
「楽しみだな...」
俺はそう呟いた。
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