文化祭の準備が本格的に始まった。
俺は日菜さんの手伝いに来ていた。
「__書類の量、すごいですね。」
「そう?私は余裕だよ!」
「流石ですね。まぁ、取り掛かりましょう。」
「そうだね!」
俺たちは仕事を始めた。
「__ねぇ、栄君?」
「はい?なんでしょう?」
仕事をしばらくしてると、日菜さんが話しかけてきた。
「千聖ちゃんに告白されたって本当?」
「...どこからそのことを?」
「なんとなくだけど?」
「っ!...カマかけましたね?」
「まぁまぁ!...で、やっぱりフッちゃったの?」
「...はい。」
「まぁ、そうだよね~。栄君にはイヴちゃんがいるもんね!」
「...人を傷つけるのは、これきりにしたいです。」
「...」
俺がそう言うと、日菜さんは黙った。
「日菜さん?」
「あ、ごめんごめん!なんでもないよ!」
何もないようだ。
「まぁ、さっさと仕事片付けましょう。」
「うん!そうだね!」
俺たちは仕事にまた取り掛かった。
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「__はぁ、疲れた。」
書類仕事が片付きクラスの手伝いに来た。
「あ!栄斗さん!」
「よう、イヴ__って、イヴ!?」
イヴはメイド服を着ていた。
「...なんで、イヴが着てる?」
「いやー、イヴちゃんも人気だから!」
委員長がそう言った。
「私も栄斗さんと接客できますよ!」
「...ダメだ。」
俺はそう言った。
「なんでですか!?」
「変な客が来たらイヴが怖い目に合うからだ。」
「大丈夫です!」
「ダメだ。俺が常に付いておけるわけじゃないんだぞ?」
イヴに引く様子はない。
「あー。栄斗?」
「あ?なんだ、真波?」
「若宮ちゃんを信用しようぜ?な?」
「信用はしてる、心配なだけだ。」
「まったく...」
真波は頭を抱えている。
「栄斗さん。」
「どうした?」
「私はそんなにダメ...ですか?」
イヴが悲しそうな顔でそう言ってきた。
「っ!!(俺がイヴを傷つけるなんてあっていいわけない!)」
「栄斗さん...?」
「...仕方ない。接客、しようか。」
「いいんですか?」
「あぁ。」
イヴは喜んでる。
「どういう、心境の変化?」
「...俺がイヴを悲しませることは許されない。」
「なるほどね。」
「だが__」
「ん?」
「イヴに手を出す奴がいたら、そいつはすぐに消す。」
「えぇ...」
そうして、イヴの接客の参加が決定してしまった。
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「__どうして、こうなった?」
俺は今、執事服を着ている。
「いいね!似合うよ!八舞君!」
委員長がそう言ってる。
「...動きずらい。」
「我慢して!」
「これじゃ、イヴに手を出した奴をすぐに消せないんだが?」
「いや!しちゃダメだからな!?」
真波がそう言った。
「何?イヴへのセクハラを容認しろっていうのか?ありえない、容認しろというなら俺はこんなのしないぞ。」
「大丈夫だって!俺も監視はしとくからさ!」
「...確認され次第、俺に報告しろ。」
「ちなみに、報告があった場合は?」
「そのゴミを即ぶっ殺...退店させる。」
「いや!隠せてないよ!?もうちょっと平和にしような?」
「...善処しよう。」
俺はそう答えた。
「栄斗さん栄斗さん!」
「どうしたイヴ?」
「接客を教えてもらいました!見てくれませんか?」
「あぁ、いいぞ。」
「じゃあ__」
イヴは一歩下がって...
「おかえりなさいませ!ご主人様!」
満面の笑顔でそう言った。
「...」
「どうでしたか?」
栄斗は動かない。
「おーい、栄斗ー?」
「__真波よ。」
「ん?どうした?」
「...イヴ、可愛過ぎね?」
「キャラがブレてるぞ?」
「はっ!危ない危ない。」
一瞬、意識飛んでた。
「栄斗さん?」
「あぁ、すごい可愛かったぞ。」
「そうですか!よかったです!」
「あぁ。」
「それと__」
「ん?」
「さっきのは、栄斗さんだけへのスペシャルバージョン、ですよ?///」
「!?そ、そうか。ありがとな。」
「は、はい///」
イヴは着替えに行った。
「真波よ。」
「どうした?...何となく読めるけど。」
「イヴって天使だったんだな。」
「涙出てるぞ?」
「...大丈夫だ。うれし涙だ。」
そこから、準備は進んでいった。
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少し経ち、俺は日菜さんのもとに来ていた。
「書類はこれで最後ですね?」
「うん!手伝ってくれてありがと!」
俺たちは書類整理を終えた。
「いやー、大変でしたねー」
「そうだねー。これには私もるんっ♪って来ないよ。」
「そうですよねー」
「そういえば、栄君って私の表現が分かるの?」
「え?今更ですか?」
日菜さんはそんな事を言ってきた。
「まぁ、わかりますよ。」
「...やっぱり。」
「どうしたんですか?」
日菜さんは真面目な顔をしている。
「私ね、よく天才って言われるんだ。」
「知ってますよ?」
「そのせいで、お姉ちゃんと険悪になったり、周りの人に受け入れてもらえなかったの。」
「それは初めて知りました。」
俺は少し驚いた。
「誰も、私と同じ世界にいる人はいなかったんだ。」
「世の天才は、みんなそうですよ。」
「そうかもね。でも、見つけた。」
「?」
「栄君は気付いてないと思うけど、栄君は私と同じ世界にいる。」
「どういうことですか?」
日菜さんは俺に近づいてきて、こう言った。
「私のものにならない?栄君?」
「え...?」
俺は混乱した。
そして、俺の波乱に満ちた文化祭が始まる...
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