恋愛のブシドー   作:火の車

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紗夜ルート11話です!


第11話

「よし、終わった。」

 

 俺は夏休みの宿題を片付けた。

 俺は宿題などは早めにする方だ。

 

「さて、宿題が終わったのはいいが、何をしよう?」

 

 俺はやることを考えていた。

 

「部屋は...片付いてる。食料も十分。」

 

 やることがない。

 そう思っていると、電話がかかってきた。

 

「はい、もしもし。」

『もしもし~八舞君~?リサだよ~!』

「どうしたんですか?」

『今日さ、お祭りがあるんだけど、皆で行かない?』

「祭りですか?構いませんよ、暇ですし。」

『やった!時間になったら迎えに行くから準備しててね!』

「はい。分かりました。」

 

 そうして、電話が切れた。

 

「予定が出来たな。」

 

 俺は祭りの用意をした。

_________________________

 

 ピンポーン

 

「あ、来たか。」

 

 俺は玄関を出た。

 

「はーい。」

 

 皆は浴衣だった。

 

「やっほ~!八舞君!」

「こんばんわ、リサさん。」

「こんばんは、八舞君?」

「準備は出来てますか?」

「こんばんは、友希那さん、紗夜さん。」

「八舞さん!どうですか!似合いますか?」

「似合ってるぞ。燐子さんもお似合いです。」

「あ、ありがとう...ございます。」

 

 皆よく似合ってるな。美人だから絵になる。

 

「ねぇ、八舞君~?」

「なんですか?」

「私たちには何も言ってくれないの~?」

 

 と、リサさんが言った。

 後ろで友希那さんと紗夜さんもチラチラ見てる。

 

「似合ってますよ?すごい綺麗と思います。」

「そっか!よかったよかった!ね、友希那、!紗夜!」

「そ、そうね...///」

「そうですね...///」

 

 ご満足いただけたようだ。

 

「__じゃ!早速、行こっか!」

「そうですね。」

 

 俺たちは祭りに向かった。

_________________________

 

「__すっごーい!早く行こ!りんりん!」

「ま、待って...あこちゃん...!」

「友希那!あっちにりんご飴あるよ!行こ!」

「ちょっと!引っ張らないで...!」

 

 紗夜さん以外の四人はそれぞれの行きたい所に行った。

 

「...俺たちも行きましょうか。」

「...そうですね。」

 

 俺たちも歩き出した。

 

「__何かしたいことはありますか?」

「そうですね...あ、あれがしたいです。」

 

 紗夜さんが指を指したのは射的だった。

 

「射的ですか?紗夜さん出来るんですか?」

「いえ、初めてです。」

「え?」

「今まで、あまりお祭りに来なかったので。」

「そういう事ですか。まぁ、行きましょうか。」

 

 俺たちは射的に行った。

 

「__お願いします。」

「はいよ!これが弾だよ!」

「ありがとうございます。」

 

 紗夜さんは銃を構えた。

 

「...このあたりでしょうか?」

 

 紗夜さんが撃った球は景品に当たらなかった。

 

「な!?」

「打つ瞬間にブレてるんですよ。」

「なるほど...今度こそ!」

 

 また、当たらなかった。

 

「なんでですか!」

「...紗夜さん、失礼します。」

「え?__ひゃ!///」

 

 俺は後ろから紗夜さんと一緒に銃を握った。

 

「集中してくださいね?」

「は、はい///」

「銃口は景品の少し上の方へ、あとはこの角度のまま__」

 

 そこから放った銃弾は景品にあたった。

 

「ざっと、こんな感じでしょう。」

「...私と何が違ったんでしょう?」

「紗夜さんは景品の真ん中を狙い過ぎです。弾は下に落ちていくんですから。」

「そういうことですか。」

「兄ちゃんやるな...少し、チャレンジしてみないか?」

「チャレンジ?」

「おうよ!これだ!」

 

 おっちゃんが出したのは犬のぬいぐるみだった。

 

「これを落とせたら成功だ!」

「(これ、絶対落としずらいだろ、流石に__)」

「...可愛い...!」

「」

 

 紗夜さんがそう言ったのが聞こえてしまった。

 

「...やりましょう。」

「お!いいねぇ!何発で行く?」

「そうですね...5で充分でしょう。」

 

 俺はお金を渡した。

 

「ほんとに足りるのか?」

「...どうせ、一発で落ちないのが分かってるので。」

 

 俺はチャレンジを開始した。

 

「(まず、景品自体を下げていかないとな。)」

 

 俺は二発で景品を下げた。

 位置的には台のギリギリくらいだ。

 

「も、もう少しですよ!八舞君!」

「...三発で足りましたね。」

 

 俺は景品を落とした。

 

「いやー!参ったよ!あれを落とされるなんてな!」

「どうせ、おもり付きだったんでしょう?分かってれば簡単ですよ。」

「これが景品だ!持っていきな!」

「どうも。」

 

 俺たちは射的の屋台を離れた。

 

「__はい、どうぞ、紗夜さん。」

 

 俺は犬のぬいぐるみを差し出した。

 

「え?それは八舞君がとった物ですよ?」

「俺は持ってても仕方ないので、貰ってください。可愛いんでしょ?」

「な!?き、聞こえていたのですか?」

「まぁ、そうですね。聞こえたからしましたし。」

「...そ、そういう事なら、いただきます///」

「はい、どうぞ。」

 

 俺はぬいぐるみを手渡した。

 

「ふふっ、可愛い♪」

 

 そう聞こえたが、俺は聞かなかったことにした。

 

「...何か食べませんか?」

「そうですね。」

 

 俺は周りを見ていると、一つの屋台が目に入った。

 

「あそこにしましょう。」

「え?どこですか?」

「行けば分かります。」

 

 俺たちは屋台に向かった。

 

「__ここです。」

 

 俺たちが来たのはフライドポテトの屋台だ。

 

「ポテト...!」

「これにしましょうか。」

「え、えぇ。そうですね!」

 

 俺はポテトを購入した。

 

「はい、どうぞ。紗夜さん。」

「私の分、払います。」

「いいですよ、このくらい。」

「でも__」

「貰っててください、ね?」

「...分かりました。」

 

 紗夜さんは不服そうだったがポテトは嬉しそうだった。

 

「お~い!二人とも~!」

「あ、リサさん、友希那さん。どこに行ってたんですか?」

「友希那と色んなところ行ってたんだ~!」

「...つかれたわ。」

 

 楽しそうなリサさんとは対照的に友希那さんは疲れた表情だ。

 

「あ!みなさ~ん!」

 

 あこと燐子さんとも合流した。

 

「二人はどこに行ってたんですか?」

「私たちは...あこちゃんが...」

「いっぱいくじ引きしてきました!」

「くじ引き?」

「はい!欲しいゲームがあって!」

「...それ、当たんないだろ。」

「...はい、残念です...」

 

 くじ引きって、絶対詐欺だろ。

 

「__そういえばさ!この後、花火があるみたいだよ!」

「花火ですか。いいですね。」

「でも、見る場所がないんだよね~」

「ありますよ、いい場所。」

「え?!どこどこ?」

「ついてきてください。」

 

 俺たちはある場所に向かった。

_________________________

 

 俺たちが来たのは高台だ。

 

「ここは?」

「俺がここに来てから、よく来てた場所です。夜景も見えて、いい場所なんです。」

「へぇ~!でも、全然、人、いないね?」

「少し、距離がありますからね。」

 

 そうしてるうちに、花火が始まった。

 

「わ~!すっご~い!」

「そうだね...あこちゃん...!」

「あはは~聞こえないよ~りんりん!」

 

 二人は楽しそうだ。

 

「...綺麗だわ。」

「そうですね、湊さん。」

「二人も楽しんでるようでよかったよ☆」

「...これが、花火か。」

 

 俺は感動した。

 今まで見たことがなかったからだ。

 

「...ほんとに、綺麗だ...」

「また見たい?八舞君?」

「はい。でも__」

「ん~?」

「次も見るなら、ロゼリアの皆とがいいです。この感動は皆とだから味わえるものだと思いますし。」

「八舞君...」

「そんなの簡単よ。」

「友希那さん?」

「そうですね。簡単です。」

 

 友希那さんと紗夜さんがそう言った。

 

「どう言うことですか?」

「来年でも何年後でも、ロゼリアがある限り花火は見に来れるわ。」

「そのための条件は__」

「この先も皆でずっといる!だよ!八舞君!」

「あこも皆で花火見たいです!」

「私も...です!」

 

 皆はそう言った。

 

「皆でずっと一緒に、か。」

「どうしたの?八舞君?」

「...いいな、と思っただけです。最高の条件ですね。」

「そうでしょ!」

「この花火が始まりです。」

「?」

 

 皆が首を傾げた。

 

「花火を見に来るたびに、ロゼリアが頂点に近づいていければ、この景色はもっと綺麗になる。」

「なら、あなたはいつか、世界で一番きれいな景色を見れるわ。」

「そうですね。」

「だよね~!」

「そうですよね!」

「私たちは...ロゼリア...ですから!」

「そう、私たちはロゼリア。頂点に狂い咲くバンドよ。」

 

 友希那さんは俺の方をみて。

 

「八舞君。ロゼリアに、私たちに全てをかける覚悟はあるかしら?」

 

 そう聞いてきた。

 皆も俺の方を見ている。

 

「......ありますよ。懸けますよ、俺のすべて。」

「いい覚悟だわ。」

「世界で一番きれいな景色、楽しみにしてます。」

「そんなに時間はかけないわ。すぐに見せてあげるわ。」

 

 友希那さんは笑顔でそう言った。

 皆も笑顔だ。

 俺はこの笑顔を守っていきたい。

 そして、いつか、頂点にたどり着いて、もっと笑顔になってほしい。

 俺はそのために全てをかける。そう誓った。

 

 これが、俺の人生初めての祭りの出来事だった。

 

 

 

 

 




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