「よし、終わった。」
俺は夏休みの宿題を片付けた。
俺は宿題などは早めにする方だ。
「さて、宿題が終わったのはいいが、何をしよう?」
俺はやることを考えていた。
「部屋は...片付いてる。食料も十分。」
やることがない。
そう思っていると、電話がかかってきた。
「はい、もしもし。」
『もしもし~八舞君~?リサだよ~!』
「どうしたんですか?」
『今日さ、お祭りがあるんだけど、皆で行かない?』
「祭りですか?構いませんよ、暇ですし。」
『やった!時間になったら迎えに行くから準備しててね!』
「はい。分かりました。」
そうして、電話が切れた。
「予定が出来たな。」
俺は祭りの用意をした。
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ピンポーン
「あ、来たか。」
俺は玄関を出た。
「はーい。」
皆は浴衣だった。
「やっほ~!八舞君!」
「こんばんわ、リサさん。」
「こんばんは、八舞君?」
「準備は出来てますか?」
「こんばんは、友希那さん、紗夜さん。」
「八舞さん!どうですか!似合いますか?」
「似合ってるぞ。燐子さんもお似合いです。」
「あ、ありがとう...ございます。」
皆よく似合ってるな。美人だから絵になる。
「ねぇ、八舞君~?」
「なんですか?」
「私たちには何も言ってくれないの~?」
と、リサさんが言った。
後ろで友希那さんと紗夜さんもチラチラ見てる。
「似合ってますよ?すごい綺麗と思います。」
「そっか!よかったよかった!ね、友希那、!紗夜!」
「そ、そうね...///」
「そうですね...///」
ご満足いただけたようだ。
「__じゃ!早速、行こっか!」
「そうですね。」
俺たちは祭りに向かった。
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「__すっごーい!早く行こ!りんりん!」
「ま、待って...あこちゃん...!」
「友希那!あっちにりんご飴あるよ!行こ!」
「ちょっと!引っ張らないで...!」
紗夜さん以外の四人はそれぞれの行きたい所に行った。
「...俺たちも行きましょうか。」
「...そうですね。」
俺たちも歩き出した。
「__何かしたいことはありますか?」
「そうですね...あ、あれがしたいです。」
紗夜さんが指を指したのは射的だった。
「射的ですか?紗夜さん出来るんですか?」
「いえ、初めてです。」
「え?」
「今まで、あまりお祭りに来なかったので。」
「そういう事ですか。まぁ、行きましょうか。」
俺たちは射的に行った。
「__お願いします。」
「はいよ!これが弾だよ!」
「ありがとうございます。」
紗夜さんは銃を構えた。
「...このあたりでしょうか?」
紗夜さんが撃った球は景品に当たらなかった。
「な!?」
「打つ瞬間にブレてるんですよ。」
「なるほど...今度こそ!」
また、当たらなかった。
「なんでですか!」
「...紗夜さん、失礼します。」
「え?__ひゃ!///」
俺は後ろから紗夜さんと一緒に銃を握った。
「集中してくださいね?」
「は、はい///」
「銃口は景品の少し上の方へ、あとはこの角度のまま__」
そこから放った銃弾は景品にあたった。
「ざっと、こんな感じでしょう。」
「...私と何が違ったんでしょう?」
「紗夜さんは景品の真ん中を狙い過ぎです。弾は下に落ちていくんですから。」
「そういうことですか。」
「兄ちゃんやるな...少し、チャレンジしてみないか?」
「チャレンジ?」
「おうよ!これだ!」
おっちゃんが出したのは犬のぬいぐるみだった。
「これを落とせたら成功だ!」
「(これ、絶対落としずらいだろ、流石に__)」
「...可愛い...!」
「」
紗夜さんがそう言ったのが聞こえてしまった。
「...やりましょう。」
「お!いいねぇ!何発で行く?」
「そうですね...5で充分でしょう。」
俺はお金を渡した。
「ほんとに足りるのか?」
「...どうせ、一発で落ちないのが分かってるので。」
俺はチャレンジを開始した。
「(まず、景品自体を下げていかないとな。)」
俺は二発で景品を下げた。
位置的には台のギリギリくらいだ。
「も、もう少しですよ!八舞君!」
「...三発で足りましたね。」
俺は景品を落とした。
「いやー!参ったよ!あれを落とされるなんてな!」
「どうせ、おもり付きだったんでしょう?分かってれば簡単ですよ。」
「これが景品だ!持っていきな!」
「どうも。」
俺たちは射的の屋台を離れた。
「__はい、どうぞ、紗夜さん。」
俺は犬のぬいぐるみを差し出した。
「え?それは八舞君がとった物ですよ?」
「俺は持ってても仕方ないので、貰ってください。可愛いんでしょ?」
「な!?き、聞こえていたのですか?」
「まぁ、そうですね。聞こえたからしましたし。」
「...そ、そういう事なら、いただきます///」
「はい、どうぞ。」
俺はぬいぐるみを手渡した。
「ふふっ、可愛い♪」
そう聞こえたが、俺は聞かなかったことにした。
「...何か食べませんか?」
「そうですね。」
俺は周りを見ていると、一つの屋台が目に入った。
「あそこにしましょう。」
「え?どこですか?」
「行けば分かります。」
俺たちは屋台に向かった。
「__ここです。」
俺たちが来たのはフライドポテトの屋台だ。
「ポテト...!」
「これにしましょうか。」
「え、えぇ。そうですね!」
俺はポテトを購入した。
「はい、どうぞ。紗夜さん。」
「私の分、払います。」
「いいですよ、このくらい。」
「でも__」
「貰っててください、ね?」
「...分かりました。」
紗夜さんは不服そうだったがポテトは嬉しそうだった。
「お~い!二人とも~!」
「あ、リサさん、友希那さん。どこに行ってたんですか?」
「友希那と色んなところ行ってたんだ~!」
「...つかれたわ。」
楽しそうなリサさんとは対照的に友希那さんは疲れた表情だ。
「あ!みなさ~ん!」
あこと燐子さんとも合流した。
「二人はどこに行ってたんですか?」
「私たちは...あこちゃんが...」
「いっぱいくじ引きしてきました!」
「くじ引き?」
「はい!欲しいゲームがあって!」
「...それ、当たんないだろ。」
「...はい、残念です...」
くじ引きって、絶対詐欺だろ。
「__そういえばさ!この後、花火があるみたいだよ!」
「花火ですか。いいですね。」
「でも、見る場所がないんだよね~」
「ありますよ、いい場所。」
「え?!どこどこ?」
「ついてきてください。」
俺たちはある場所に向かった。
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俺たちが来たのは高台だ。
「ここは?」
「俺がここに来てから、よく来てた場所です。夜景も見えて、いい場所なんです。」
「へぇ~!でも、全然、人、いないね?」
「少し、距離がありますからね。」
そうしてるうちに、花火が始まった。
「わ~!すっご~い!」
「そうだね...あこちゃん...!」
「あはは~聞こえないよ~りんりん!」
二人は楽しそうだ。
「...綺麗だわ。」
「そうですね、湊さん。」
「二人も楽しんでるようでよかったよ☆」
「...これが、花火か。」
俺は感動した。
今まで見たことがなかったからだ。
「...ほんとに、綺麗だ...」
「また見たい?八舞君?」
「はい。でも__」
「ん~?」
「次も見るなら、ロゼリアの皆とがいいです。この感動は皆とだから味わえるものだと思いますし。」
「八舞君...」
「そんなの簡単よ。」
「友希那さん?」
「そうですね。簡単です。」
友希那さんと紗夜さんがそう言った。
「どう言うことですか?」
「来年でも何年後でも、ロゼリアがある限り花火は見に来れるわ。」
「そのための条件は__」
「この先も皆でずっといる!だよ!八舞君!」
「あこも皆で花火見たいです!」
「私も...です!」
皆はそう言った。
「皆でずっと一緒に、か。」
「どうしたの?八舞君?」
「...いいな、と思っただけです。最高の条件ですね。」
「そうでしょ!」
「この花火が始まりです。」
「?」
皆が首を傾げた。
「花火を見に来るたびに、ロゼリアが頂点に近づいていければ、この景色はもっと綺麗になる。」
「なら、あなたはいつか、世界で一番きれいな景色を見れるわ。」
「そうですね。」
「だよね~!」
「そうですよね!」
「私たちは...ロゼリア...ですから!」
「そう、私たちはロゼリア。頂点に狂い咲くバンドよ。」
友希那さんは俺の方をみて。
「八舞君。ロゼリアに、私たちに全てをかける覚悟はあるかしら?」
そう聞いてきた。
皆も俺の方を見ている。
「......ありますよ。懸けますよ、俺のすべて。」
「いい覚悟だわ。」
「世界で一番きれいな景色、楽しみにしてます。」
「そんなに時間はかけないわ。すぐに見せてあげるわ。」
友希那さんは笑顔でそう言った。
皆も笑顔だ。
俺はこの笑顔を守っていきたい。
そして、いつか、頂点にたどり着いて、もっと笑顔になってほしい。
俺はそのために全てをかける。そう誓った。
これが、俺の人生初めての祭りの出来事だった。
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