3日経った。
俺への風当たりは相変わらずで、真波はまだ入院中だ。
俺は今、屋上にいる。
「__まったく、毎日毎日、飽きない奴らだな。」
俺は半ば呆れていた。
「__やっぱり、ここにいたわね。」
「...白鷺さん?」
「おはよう、八舞君。」
「おはようございます。どうしたんですか?こんなところに来て。」
「あなたの噂の件について聞きたいのよ。」
「あー、俺が女生徒に暴力を振るっていたってやつですか?」
「そうよ。」
「何が聞きたいんでしょう?何処を殴ったかですか?」
俺は半笑いで言った。
「...あなたの噂は全部嘘ね。」
「なんで、そう思うんですか?」
「あなたの噂には矛盾点が多いもの。
特に被害者本人が殴られた場所を覚えてないなんてありえないわ。」
「まぁ、そうですね。」
「少し調べてみたのよ、あなたの現状について。」
「へぇ、お一人でご苦労様です。」
「一人じゃないわよ?」
「え?」
「__こんにちわ、八舞栄斗さん。」
水色の髪の人が入ってきた。
「あなたは?」
「私は氷川紗夜です。生徒会兼風紀委員です。」
「そんな人が俺に何の用が?」
「あなたの事を白鷺さんに聞いてから私も調べてみました。」
「はい。」
「その結果、あなたの無実を証明できる材料が集まりました。」
「...すごいですね。」
「そうですか?簡単でしたが。」
「ですが、それを公表することはやめておいてください。」
「「なんで?!」」
氷川さんどころか白鷺さんまで驚いてる。
「(それを公表したら西園の被害が行く、なんて言えないよな。)」
俺は少し考えて
「...今、あのクラスは俺と言う共通の敵がいることによって上手く機能してるんです。わざわざ、それを崩してやることもないですから。」
こう言った。
「...それは、正しく機能してると言えるのかしら?」
「そうです、そんなのは間違ってます。」
「間違ってないですよ。上手くいけば全部正解の世の中ですから。」
俺は屋上を去った。
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”千聖&紗夜side”
「...彼はおかしいのですか?」
「分からないわ。」
二人は頭を抱えた。
「普通、イジメなんてやめてほしいはずなのに、それを拒否なんて...」
「私には理解できません。」
二人は無言になった。
「...紗夜ちゃんは彼の目を見たかしら?」
「目、ですか?」
「えぇ。彼の目には光がないわ。」
「光?」
「人間と言うものに失望しきってるわ。だからイジメも...」
「割り切れている、ですか?」
「...そんなに優しくないわ。」
「え?」
「紗夜ちゃんは蚊にかまれた事はあるかしら?」
「えぇ、まぁ、ありますが?」
「彼にとっては、イジメなんてそんなものよ。恐らくだけれど。」
「まさか、そんなわけ__」
「あるわ。彼の言葉を思い出してみて。」
「......上手く機能する、まさか!」
「そうよ、彼にとってはイジメられるのは蚊に血を与えてる感覚、つまり、ほぼ何も感じてないわ。」
「...見方によっては、見下している、とも取れますが?」
「...間違ってないかもしれないわね。」
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俺は教室に戻って来るなり机で伏せていた。
「(...眠い。学校はどうして眠くなるんだ...)」
俺がそんな事を考えていると...
誰かが走ってきた。
「おい!くそ根暗野郎!!」
机が蹴り飛ばされた。
「...机、蹴り飛ばし過ぎだぞ。机がかわいそうだ。」
「そんな事はどうでもいいんだよ!!」
「...それで、何の用だ?」
「テストの順位だ!」
「順位?...あぁ、前のか。それがどうした?」
「なんでお前が一位なんだよ!!」
「え?俺一位なのか。」
「こいつ!ふざけやがって...!」
「見てないんだから仕方ないだろ。てか、俺は上の順位をとっても文句を言われるのか?」
「当り前だ!犯罪者より下なんて、皆嫌に決まってる!!なぁ!皆!!」
そう言うと、周りの奴らが「そうだ!」とか「当然だよな!」とか、色々言ってきた。
「...はぁ。」
「...なんだよ、そのため息。」
「俺より下が嫌なら、努力すればいいだろ。」
「なんでそんな事__」
「このままじゃお前、自分がどんなに努力しても頭じゃ俺に敵わないとクラス全員を貶すことになるぞ?」
「な...!」
場の空気が凍り付いた。
「俺より下が嫌なら、頑張れ。俺はたぶん満点だっただろうけど。」
俺は机を直そうとした
「調子乗んな!!」
そいつは椅子で俺を殴ってきた。
「偶々、満点で一位だったかって調子に乗んなよ!お前なんて誰も__」
「__おい。」
「あ?」
俺はそいつに詰め寄った。
「...お前、さっきのはもしかしたら人を殺すぞ...!」
「あぁ?!」
「犯罪者を殺しても犯罪者になるんだぞ。お前程度の力じゃ俺は死なんが、他だったらどうする?」
「__馬鹿にするな!!__っ!」
俺はそいつにしりもちをつかせた。
そして、俺はこう言った。
「__お前、人を殺す感触を知ってるのか...?」
「ひっ!!!」
そいつは離れていった。
「...全く。血が出たじゃないか。」
俺は保健室に手当てをしに行った。
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放課後になった。
俺はすぐに家に帰ろうとした。
「__八舞君?!」
後ろから白鷺さんの驚いた声が聞こえた。
「あ、どうも。」
「どうもじゃないわ!この怪我はどうしたの?!」
「...さぁ?」
「__とぼけても無駄ですよ?」
「氷川さん...?」
「紗夜ちゃん?」
「先ほど、八舞君が椅子で頭を殴られてるのを見た、と証言した生徒がいました。」
氷川さんが出てきてそう言った。
「これは問題行為です。八舞君へのイジメは公表します。」
「そんなことは__」
「__みーつけた♪」
「西園...!」
「誰かしら?」
「あ!どうも~西園カナで~す♪白鷺先輩と氷川先輩♪」
「!?」
「なんで私たちの名前を...?」
「やだな~有名人だからですよ__」
「嘘だな。どうせ、俺の事調べてたからだろ。」
「...分かっちゃうか~」
「どういう事かしら...?」
「分かりません...」
二人は困惑してるみたいだ。
「それよりも、八舞かわいそ~!」
「...心にもないことを言うな。」
「本心だよ~。だって、あんなゴミにけがをさせられるなんて~。」
「ゴ、ゴミ...?」
「随分、口が悪いですね。」
西園は何を考えてるか分からない顔をしている。
「...二人とも、気を付けてください。」
「「え?」」
「こいつは危険です。こいつの邪魔をすれば恐らく殺されるでしょう。」
「何話してるの~?」
「お前の事だ。」
「わ~!うれし~!このまま私のものになってもいいんだよ?」
「もの?!」
「ど、どういうことですか?!」
「私は、八舞を自分のものにしたいし~__殺したいだけ。」
「「??!!」」
「見ての通り、狂ってるんですよ。」
二人は無言になった。
そして、西園はこう言った。
「そう言えば、八舞また一位だったね~♪」
「...そうだな。」
「そのご褒美って言ったらなんだけど~...イジメは公表してもいいよ!」
「何?!」
「私も飽きて来たし~。何より、八舞を傷つけたゴミ、許せない。」
「...そう言うと思った。」
「ど、どういう事かしら?」
「...すぐに分かります。」
西園は話し出した
「八舞を傷つけていいのも、殺していいのも私だけ。他のゴミが手を出すなんて許せない...!あいつが八舞を殺してたら、私があのゴミを処分してたよ。」
「...と言う事です。」
「狂ってるわ...」
「正気ではありませんね。」
「ひど~い!これは私から八舞への愛なんですよ~?
...じゃあ!今日は帰りますね♪
あと、公表の件はお願いしますね♪」
徹底的に、と言い残し西園は姿を消した。
「...」
「あれは、なんなの...?」
「わ、わかりません...」
「多重人格者って、知ってますか?」
俺はそう聞いた
「え、えぇ。」
「はい。言葉だけなら。」
「あいつはそれです。もっとも人格は昔に死んでますが。」
「どういう、ことかしら?」
「あいつの元の名前は西園マナ。カナって名前はあいつの双子の姉の名前です。」
「え?どういう事かしら...?」
「理解できません。」
「...仕方ない。あいつを見られてしまったので話しましょう。過去の話を。」
俺は二人に過去を明かすことにした。
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