俺がA組に移動してから少し経ち、五月に入った。
「__おっはよー!八舞君!」
「よう、八舞。」
「おはよう、戸山、市ヶ谷。」
俺はクラスではこの二人と交友を深めていた。
「ねぇねぇ!有咲~!」
「ダメだ。」
「まだ何も言ってないよ~!」
「...どうせ、今日の宿題を写させてって言うんだろ?戸山?」
「ギクッ!」
図星みたいだ。
「そこを何とか~!」
「ダメだ!」
「じゃあ、八舞君!」
「...はぁ。いいぞ、写させてやっても。」
「え?ほんと?!」
「おい!八舞!」
「ただし、だ。」
「「?」」
「お前は人の宿題を写すことに慣れて自立できなくなって、明日香たちに迷惑をかけることになるんだろうな。」
「うぐっ...!」
「どうする?」
「じ、自分で頑張ります...!」
「か、香澄...!」
「私、やるよ!有咲!」
「あぁ!頑張れよ!」
__しばらくして...
「やっぱり無理だーーー!!!」
「...やっぱりか。」
「分かってたよ、でも、さっきの私の感動を返せ。」
戸山の集中力は案の定切れた。
「まぁ、半分はやったから、及第点だろ。」
「...そうだな。」
「ほれ、戸山。」
「ほえ?」
「俺の宿題だ。半分は出来たから次は七割はしろよ。」
「!...うん!ありがとう、八舞君!」
戸山は宿題を写し始めた。
「少し、甘くないか?」
「そうか?」
「あぁ。」
「あのな、市ヶ谷。人は簡単には変わらないんだ。
だから、褒めて少しずつでも伸ばせばいい。」
そう、人は簡単には変わらない。
「そんなもんか?」
「あぁ。」
そうして、朝の時間が過ぎていった。
________________________
昼休みだ。
「__そういえば、斎藤ってよく休んでるな。」
「そういえば、なんでだろうね?」
「あいつは生徒会でも危険人物扱いされてるからな。」
「え?なんでだ?」
「確か、喧嘩で何人も病院送りにしたとか、
遅刻の理由はヤバい取引かもとか。」
「そんな悪いやつには見えなかったがな。」
「だよね~!」
「あ、そういえば。」
「ん?どうした?」
「俺、バイト探してるんだけど、良いとこないかなって。」
「八舞君、バイトするの?」
「あぁ。生活費が足りなくなってな。」
俺は考え込んだ。
「__あるわよ、良いバイト。」
「白鷺さん?」
「白鷺先輩!こんにちわ!」
「こ、ここ、こんにちわ!」
「こんにちわ、三人とも。
それで、バイトの話なのだけれど。」
「いいバイトがあるんですか?」
「えぇ。あるわよ。とっておきのバイトが。
興味があるならこの住所に来てちょうだい。」
白鷺さんに紙を渡された。
「伺います。」
「えぇ。」
「そういえば、何の用でここに?」
「あ、そうだったわ。有咲ちゃん、紗夜ちゃんが呼んでたわよ?」
「え?...あ!」
市ヶ谷は何かを思い出したようだ。
「昼休みに生徒会の仕事があるんだった~!!」
市ヶ谷は走って行った。
「それじゃ、用も済んだし私も戻るわ。
待ってるわよ、八舞君。」
「はい。(ん?待ってる?)」
「さようなら!白鷺先輩!」
俺は疑問を残したまま、残りの学校の時間を過ごした。
________________________
放課後だ。
俺は白鷺さんに渡された紙に書いてあった住所に来た。
「__ここ、か?」
俺が来たのは芸能事務所だった。
「え?なんで?」
「あれ?八舞君?」
「あなたは、丸山さん?」
「うん!そうだよ!...どうしたのかな?こんなところで?」
「俺は白鷺さんにバイトの紹介でこの紙を貰いまして。」
「え?バイト?」
「__あら、来たわね、八舞君。」
「あ、白鷺さん。」
「準備は出来てるわ、入ってちょうだい。」
「?はい。」
俺は事務所に入った。
________________________
「__それで、俺は何のために呼ばれたんでしょう?」
「バイトの紹介よ?」
「どういうことなの?千聖ちゃん?」
「すぐに分かるわ...ここよ、入って。」
俺たちは部屋に入った。
「__来たわよ。皆。」
「あ!チサトさん、アヤさん!こんにちわ!」
「やっほ~!」
「こんにちわっす!二人とも!」
そこには、若宮と、氷川さんに似た人、眼鏡をかけた人がいた。
「あれ?そっちの子はだぁれ?」
「あ!エイトさん!」
「...え?どういう状況ですか?」
「説明するわ。」
そう言って白鷺さんは書類を渡してきた。
「えっと......はい?!」
「そういう事よ。」
「どういうことですか?」
「見ての通り、私たちのマネージャーのバイトよ?」
「それは分かってるんですが、なんで俺を?」
「...今まで碌な人が来なかったのよ。」
「あ~、そう言えばそうだったね~」
「るんってこなかったよね~」
「そういう訳で、あなたにお願いしたいのよ。
時給は破格よ?」
「いや、バイトをするのはいいんですが。面接などは?」
「問題ないわ。事務所には私がお話ししてきたわ。」
「...それは、言葉で、でしょうか?」
「さぁ、どうかしらね?」
俺の背中に悪寒が走った。
これ以上の言及は危険だ。
「...分かりました。します、バイト。」
「そう言ってくれると思ってたわ!」
「やったー!マネージャー決定ー!」
「るん♪ってくるね!」
「よろしくお願いします!エイトさん!」
「よろしくっす!」
「はい。よろしくお願いします。」
こうして、バイトが決まった。
時給はほんとに破格だった。
________________________
バイトをすることが決まった後、白鷺さんに帰ってもいいと言われたので帰ってる。
「あれ?斎藤?」
商店街を歩いてると斎藤を見かけた。
俺は後をつけてみた。
「__はぁ。」
「よう、斎藤。」
「!!...お前は、八舞、だったか。」
「覚えてたのか。」
「...隣だからな、耳に入ってきただけだ。」
「そうか?...それよりも何してたんだ?」
「なんで言わないといけない?」
「まぁ、どうせ、バイト帰り、だろ?」
「!!」
「カバンから見えてるぞ。」
斎藤はカバンを隠した。
「...なぜ、俺に近づく。」
「?」
斎藤が急にそんな事を聞いてきた。
「俺は学校じゃ危険人物だ、道であっても話しかけてくるどころか道を開ける奴がほとんどだ、でも、お前は話しかけてきた。なんでだ?」
「数週間、お前の隣の席にいて分かったんだが、お前はそこまで悪いやつじゃない。」
「ほう?なぜそう言える?」
「俺には人の負の感情が見えるからな。」
「...馬鹿馬鹿しいな。」
「そうか?じゃあ、馬鹿馬鹿しいついでに、お前、悩んでるだろ?」
「っ!!」
「言ったろ?負の感情が分かるって。」
斎藤は驚いている。
「話してみろよ、斎藤。」
「...仕方ねぇ、場所変えるぞ。」
「分かった。」
俺たちは公園のベンチに移動した。
「__それで、何があったんだ?」
「...俺の家は母子家庭だ。親父は俺が中三の時に死んだ。」
「...」
「親父が死んだ後、母さんが働きに出た。俺たちは四人兄弟、母さんは朝から晩まで働き詰めだった。」
「だった...?」
「あぁ、母さんは病気になった。」
「!」
「だから、俺は学校をやめて働くと言ったんだ、でも...」
「お母さんに止められた、か?」
「...その通りだ。俺に楽しい思い出を作ってほしいってな。だが、そうもいかない下の奴らももうすぐ小学生だ貯金があるとは言え、学費を稼がねぇと。」
「だから、お前はいつも遅刻したり休んだりしてたのか。」
「そういう事だ。」
斎藤は遊んでる子供を見ている。
「...子供は自由じゃないといけねえ。下の奴らにも余計な気を使わせたくないんだ。」
「だったら、手伝ってやるよ。」
「は?」
「食費くらい払ってやるぞ?俺も食わしてもらうが。お母さん、いないんだろ?」
「だが__」
「いいっての。お前がバイトの間、下の子たちの面倒も見てやるよ。」
斎藤は戸惑ってるみたいだ。
「根本的な解決にはならないが、お前の苦労は減るだろ?だから、手伝ってやるよ。」
斎藤は考え込んでいる。
「...本当にいいのか?食費も馬鹿にならねぇぞ?」
「大丈夫だ。破格のバイトを見つけたんでな。」
「...なら、頼む。礼はいつか必ずする。」
斎藤は頭を下げた。
「そういうのはいいぞ。俺がしたくてするんだ。お前のお母さんの願いも叶ってほしいからな。」
俺は子供たちを見ながら言った。
「斎藤も学校生活、楽しもうぜ。」
「それは無理だ。」
「なんでだ?」
「言ったろ、俺は危険人物だ。」
「大丈夫だ。分かってくれる奴はいる。」
「何?」
「来れば分かる、だから、絶対に来い。」
「......その言葉、信じてやるよ。八舞栄斗。」
「おう、信じろ。えっと...斎藤...なんだ?」
「俺は斎藤雅だ。」
「じゃあ、雅だな。よろしくな、友達としてな。」
「フッ。いいだろう。」
俺たちは拳を合わせた。
「じゃあ、早速飯つくりに行くか。」
「おい!今は客をあげられる状態じゃ__」
「ならなおさら行くぞ。片付けもついでにしよう。」
「おい!八舞!」
俺たちはこうして友人となった。
________________________
俺たちはあるアパートに来た。
「__ここが俺らが住んでるところだ。」
「そうか。いいとこじゃないか。」
「...行くぞ。」
俺たちは雅の家に入った。
「__おーい!帰ったぞ!」
「あ!にーちゃんが帰ってきた!」
「お帰りにーちゃん!」
「おかえりなさい!お兄ちゃん!」
「おう、ただいま。」
奥の居間から、男の子二人と女の子一人が出てきた。
「あれ?その人だれ?」
「あぁ、こいつは。」
「俺は八舞栄斗だよ。君は?」
「私!斎藤真弓!小学校2年生!」
「おー偉いな、ちゃんと自己紹介出来て。」
「えへへ~!」
「おい、お前らも挨拶しろ。」
「「はーい!」」
「俺は和!」
「俺は仁!」
「「よろしく!えいと兄ちゃん!」」
「こいつらは双子なんだ。」
「つまり、同時に小学生になるのか。」
「そうだ。」
自己紹介が終わった後、俺たちは居間に行った。
「__そういえば、えいとお兄ちゃんはなんでお家に来たんですか?」
「今日から、真弓ちゃん達にご飯を作ってあげるんだよ。」
「ご飯、ですか?」
「うん、そうだよ。」
「そういう事だ。」
「あと、和君と仁君の迎えも行くよ。」
「ほんと?!」
「やったー!」
「...おい。」
「いいだろ?」
「...はあ、仕方ないな。」
「それにしても、皆かわいいな。」
「人懐っこいからな。」
和君と仁君が膝に乗ってきた。
「こら!和!仁!降りなさい!」
「いいよ、真弓ちゃん。」
「え?」
俺は二人の頭を撫でた。
気持ちよさそうだ。
「...子供は、好きだから。」
「そうですか?じゃ、じゃあ、真弓も...」
真弓ちゃんも来た。
「いやー、なつかれたな。」
「安心した。」
俺たちは少しの間遊んでた。
「__さて、夕飯を作ろうか。」
「お~!何作るの!」
「作るの?」
「そうだなぁ。」
俺は冷蔵庫の中を確認しに行った
「今日は冷蔵庫の中使うな。」
「あぁ。構わん。」
「「で、で!何作るの?」」
「そうだなー...カレーにしようか。」
「「カレー!」」
「か、カレー...!」
子供たちは嬉しそうだ。
「さーてと、作るか。」
俺はカレーを作った。
「__よそって、ルーをかけて、完成だ。」
「わーい!」
「カレーだ!」
「お、おいしそう、です!」
「...まじで旨そうだな。」
「普通だぞ?...さぁ、食べようか。」
俺たちは夕飯を食べ始めた。
「__うっめー!」
「ほんとだ!うっめー!」
「おい、静かに食べろ。」
「いいじゃないか。ご飯は楽しく食べるもんだ。な?」
「「うん!」」
「まったく...」
「本当に、美味しいです...!」
「そう?良かった。」
皆美味しそうに食べてくれた。
斎藤兄弟は全員お替りした、兄弟だな。
「「ごちそうさまー!」」
「ごちそうさまでした!」
「ごちそうさま。」
「はいはい、お粗末様。」
皆はカレーを食べ終えた。
俺は洗い物を始めた。
「~♪」
「おい、手伝うぞ。」
「斎藤?いいって、下の子たちに構ってやれ。」
「いや、そういう訳には__」
「皆、お前を待ってるぞ?」
下の子たちは皆こっちを見てる。
「...悪いな。」
「いいっていいって。」
雅は皆の方に行った。
居間に行くと皆は雅に飛びついた。
雅は文句を言いながらも皆に構ってる。
「...美しいな。家族愛って。」
俺は美しい家族愛を眺めながら、
洗い物をした。
感想などお願いします!
斎藤君の設定をここで、
斎藤雅(16)
身長;180cm
体重;75kg
好きなもの;家族、友達、紅茶、甘いもの
嫌いなもの;家族、友達を傷つける奴
誕生日;11月11日
花咲川の生徒。見た目はかっこいいヤンキー。
家族思い。喧嘩事件の原因も家族がらみ。
学力は普通。運動神経は抜群。
栄斗への信頼は厚い。
有咲と同じくツンデレ。