俺がアモンを探し始めて、三日。
捜索は難航していた。
「__どこにいるんだ。」
俺が学校の屋上で考え込んでいると。
「あの、八舞君...」
「ん?戸山?どうした?」
「...少し、聞いてほしいことがあって...」
「聞いてほしい事?」
「うん。実は、あっちゃんが最近、様子がおかしくて...」
「明日香が?」
「うん。最近、帰ってきたらずぶ濡れになってたり、物がなくなったってよく言うの...」
「...うむ。」
「事情を聴いても、何もないって話さないし、私、どうしたら...」
「...俺が行ってみようか。」
「え?」
「なんとか聞き出してみる。」
俺は戸山にそう言った。
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”明日香side”
「__また...」
明日香の下駄箱にはゴミが入れられていた。
明日香はそれを片付けた。
「...(なんで、なんで...)」
「__おはよう。明日香ちゃん。」
「ろ、六花?!お、おはよう。」
「どうしたの?こんなところで?」
「いやー、ゴミが落ちてたから、拾ってた。」
「偉いね~!」
「そ、そう?」
「うん!」
「ありがと。(よかった、ばれてない。)」
明日香はそのことに安心した。
二人は一緒に教室に向かった。
「__おっはよー!二人とも!」
「おはよ、あこ。」
「おはよう、あこちゃん!」
「今日も聖なる光が我の...えっと、パワーをシューンってしてるよ!」
「...今日も何言ってるか分からない...」
「私もだよ、六花。」
三人は談笑していた。
「__そう言えば、最近、明日香ちゃん元気ないよね?」
「え?」
あこが急にそんな事を言った。
「そ、そんな事、ないと思うけど。」
「あるよ~!なんか、疲れてるって言うか!」
「だから!そんな事__っ」
「「__明日香ちゃん!」」
明日香が立ち上がろうとすると、倒れた。
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「__ここは?」
明日香は不思議な空間にいた。
『お願い!水泳部に入って!』
『...すいません。勉強がしたいので。」
「あれ?私?」
明日香はその光景に見覚えがあった。
『お願い!戸山さんが入ってくれたら勝てるの!』
『...すいません。』
『あ!戸山さん!』
「(そういえば、最初はこうやって断ってったっけ?でも、急に__)」
「__水泳部に入れ。」
「?!」
明日香の後ろには水泳部の部長がいた。
「入らなきゃイジメるよ?...入るよね?
戸山さんが頷いてくれないと廃部になっちゃうんだよ...?」
近づいてくる。
「入るよね?...入れ...」
「こ、来ないで...!」
「__入るって言うまで、追い込んでやる...!」
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「__ん?夢...?」
明日香は保健室で目覚めた。
時間はもう夕方だ。
「...最近、ちゃんと寝れてなかったからかな?」
明日香はすごい量の汗をかいていた。
「...(誰か、助けて...)」
「__失礼しまーす。」
「え?なんで?ここに?」
入ってきたのは栄斗だった。
「よう、明日香。倒れたらしいじゃないか、どうしたんだ?」
「...テスト勉強で寝不足だっただけです。」
「...」
明日香をじっと見る。
「だから__」
「嘘だな。」
「っ?!」
「負の感情が駄々洩れだぞ、明日香。」
「な、なんで?!」
「見えてるからな。」
明日香は驚いている。
「...話してみろ、明日香。」
「...そこまで、迷惑はかけられません。」
「言っただろ?お前はもっと甘えていいんだよ。迷惑なんて思わない。」
「でも__」
「よしよし。」
俺は明日香の頭を撫でた。
「少しは俺を頼れ、明日香。
そんなに苦しそうな顔をするな。」
「...」
「明日香が話してくれれば、俺が絶対に助けるから」
「...八舞さん...」
明日香は泣いた。
そして、事情を話してくれた。
「...まさか__」
「__あっちゃん!」
「?!お、お姉ちゃん、なんで?!」
戸山が入ってきた
「...悪い、止めれなかった。」
「雅...」
雅も入ってきた
「なんで、お姉ちゃんに言わなかったの!
そんなに、一人で...抱えて...!」
「お姉ちゃん...」
二人は抱き合っている
「__俺たちは出ておくか。」
「そうだな。」
俺たちは一旦、廊下に出た。
「...まさか、明日香がイジメられてたなんて。」
「戸山の妹、だったか。」
「あぁ。」
「どうする?教師に報告すれば解決だと思うが。」
「...それは無い。」
「何?」
「それで解決するなら、賢い明日香ならもうしてる。」
「...脅されてるか教師がグルなのか、だな。」
「その可能性が高いだろうな。」
「__あの...」
「ん?君は?」
「私は、明日香ちゃんのお友達の朝日六花です。」
「明日香の?」
「はい。...お二人は、明日香ちゃんの味方、ですか?」
六花は真面目な顔で聞いてきた。
「そうだ。これから明日香のイジメを止める。」
「...なら、これを見てください。」
六花はカメラを見せてきた。
「これは__っ!!」
「どうした?......これは。」
カメラに映っていたのは、
明日香へのイジメの写真だった。
「...明日香ちゃんの様子がおかしいと思って、後をつけた時に撮った物です。あと__」
何枚かの写真を見せてきた。
「これは、職員室?しかも、同じ教師ばかりに呼び出されてるな。」
「...明日香ちゃんはその先生に毎日呼び出されています。」
「毎日...?」
「はい。そして、その先生は水泳部顧問です。」
「!!...つまり。」
「教師もグルって事か。」
「うっとおしいな。」
俺たちが話していると。
「あの~戸山さんいますか?」
「いるが、何の用だ?」
雅が対応した
「私、戸山さんの友達で、お見舞いに来たんです!」
「そうか。」
その生徒は保健室に入ろうとした。
「__おい、待て。」
「え?」
「おい、八舞。お見舞いに来た奴だぞ?そんないい方は__」
「雅は顔をしっかり見てないのか?
こいつは主犯の奴だ。」
「何?...すまん、もう一回見せてくれ。」
雅はカメラを確認した。
「...マジじゃねぇか。」
「あの、何のことかな?」
「とぼけんなよ。さっきからドス黒い本性が丸見えだぞ。」
「......なんだ、気付いてたんだ。」
「...西園カナ。」
「っ!」
反応した。
間違いない。
「雅、六花、離れとけ。」
「え?」
「どうした、八舞?」
「こいつがアモンだ。」
「何...?!」
「西園の名前に反応した、間違いない。」
俺は警戒心を強めた。
「おい、忠告だ。これ以上、明日香に近寄るな。」
「は?なんで、そんな事あんたなんかに言われなきゃいけないわけ?」
「明日香はお前のイジメに迷惑してる。だからもう近づくな。」
「...そもそも、いじめって人聞き悪いからやめてくれない?あれは躾だから。私たちに協力するように。」
「...弱小水泳部が躾、か。滑稽だな。」
「あ?」
「聞いたぞ、あと4日で部員を見つけないと廃部なんだろ?しかも、部員の条件は他の部活に所属してない経験者だっけか?」
「そう、だから戸山さんしかいないの。邪魔しないでくれる?」
「邪魔?おいおい、邪魔なのはお前らだぞ?」
「は?どこが?」
「明日香の邪魔をしてるじゃないか。認知しろ。」
「?戸山さんは私たちに協力できるんだよ?それは幸せでしょ?私たちは機会をあげてるんだよ?」
思った以上に頭をやられてるらしい。
「それが、明日香の幸せと明日香が言ったのか?」
「え?言ってないけど当然だよね?」
「...」
「もういいよね。入るからね?」
「誰が入れるか、馬鹿が。」
「__もう!邪魔!」
それと同時に明日香が入ってきた。
「あの、何が__っ!」
「あ!戸山さん!水泳部に入るよね?返事をもらいに来たよ!」
「い、いや...」
明日香がふらついた。
「いい加減にしてください!」
「戸山?」
「明日香をこれ以上傷つけないでください!」
「お姉ちゃん...」
戸山は怒りを込めてそう言った、が
「うるさい!!!」
効果はなかった。
「こいつの犠牲で私たちは幸せなの!私たちのために泳げ!私たちの幸せを自分の幸せと思え!!!」
「...」
「...腐ってやがるな。」
「ひ、ひどい...」
「ひどい?何処が?!」
息巻いてる。
そして、
「戸山さん以外にに興味ない!殺す!!」
はさみを取り出した。
そして、戸山の方に行った。
「?!戸山、逃げろ!!」
「え__」
「死ね!!」
はさみが刺さった。
「...ったく、痛いな。」
戸山ではなく、雅に。
「さい君?!」
「こんな危険なはさみ、どこで買ったんだ。」
「雅、大丈夫か?」
「あぁ、問題ない。」
「思いっきり刺さってたが?」
「お姉ちゃん、大丈夫...?」
「うん!大丈夫だよ!あっちゃん!」
「よかった...ありがとうございます。」
「気にするな。それより」
俺たちはそいつに向きなおった。
「邪魔しないでよ!」
「__あれ~?こんなところで何してるの~?」
「日菜さん?」
日菜さんが来た。
「せ、生徒会長?!」
「それで、どうしたの~?」
「な、なんでもな__」
「まぁ、動画撮ってるんだけどね♪」
「?!」
「これは...るんってこないな~」
「消せ!」
「嫌だ~♪」
日菜さんは逃げている。
「__これは没収だ氷川。」
「あ!○○先生!」
例の水泳部顧問が来た。
「え!なんで?!」
「水泳部がなくなるのは俺が困るんだ。
俺が楽しめる場所がなくなる。」
「楽しむ、ね。それはセクハラの事か?」
「...誰だ、お前は?」
「そんな事はいい。質問に答えろ。」
「そうだが?」
そいつは呆気なくそう答えた。
「戸山が入ってくれれば、人形が揃うんだ。だから、戸山、入部しろ。」
「い、嫌です!」
「...」
「まぁ、返事は明日まで待ってやる。○○、今日は帰れ。」
「はーい。」
二人は帰って行った。
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俺たちはその後、俺の家に集まった。
「どうする、八舞?証拠である動画は向こうに握られたぞ。」
「...六花。」
「はい。」
六花はカメラを出した。
「これって...」
「私のカメラだよ、明日香ちゃん。」
「これには明日香へのイジメの証拠が入ってる。」
「「?!」」
「つまり、それがあれば、あいつらをぶっ潰せるってこと~?」
「日菜さん、怖いですよ。」
「だって~!あいつらのせいで携帯没収されたんだもん~!」
「でも、それだけで大丈夫なんでしょうか...?」
明日香が不安そうに聞いてきた。
「そう言うと思って。」
俺は携帯を出した。
「八舞先輩の携帯?」
「こういう事だ。」
俺は録音しておいた音声を流した。
「__これで、十分だ。」
「いいね~!栄君!」
「...日菜さん、協力、お願いできますか?」
「もっちろん!るんってするね!」
「...もう大丈夫だぞ、明日香。」
「八舞、先輩...」
俺は明日香の頭を撫でた。
「__俺が明日香の苦しみを消してやるから。」
俺は優しい声音でそう言った。
これが、作戦前夜だ。
感想などお願いします!
少し質問なんですが、イヴルートみたいなメインヒロイン一筋か紗夜ルートみたいな分岐エンド、どっちがいいですか?