恋愛のブシドー   作:火の車

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千聖ルート9話です!


第9話

 俺がアモンを探し始めて、三日。

 捜索は難航していた。

 

「__どこにいるんだ。」

 

 俺が学校の屋上で考え込んでいると。

 

「あの、八舞君...」

「ん?戸山?どうした?」

「...少し、聞いてほしいことがあって...」

「聞いてほしい事?」

「うん。実は、あっちゃんが最近、様子がおかしくて...」

「明日香が?」

「うん。最近、帰ってきたらずぶ濡れになってたり、物がなくなったってよく言うの...」

「...うむ。」

「事情を聴いても、何もないって話さないし、私、どうしたら...」

「...俺が行ってみようか。」

「え?」

「なんとか聞き出してみる。」

 

 俺は戸山にそう言った。

________________________

 

 ”明日香side”

 

「__また...」

 

 明日香の下駄箱にはゴミが入れられていた。

 明日香はそれを片付けた。

 

「...(なんで、なんで...)」

「__おはよう。明日香ちゃん。」

「ろ、六花?!お、おはよう。」

「どうしたの?こんなところで?」

「いやー、ゴミが落ちてたから、拾ってた。」

「偉いね~!」

「そ、そう?」

「うん!」

「ありがと。(よかった、ばれてない。)」

 

 明日香はそのことに安心した。

 二人は一緒に教室に向かった。

 

「__おっはよー!二人とも!」

「おはよ、あこ。」

「おはよう、あこちゃん!」

「今日も聖なる光が我の...えっと、パワーをシューンってしてるよ!」

「...今日も何言ってるか分からない...」

「私もだよ、六花。」

 

 三人は談笑していた。

 

「__そう言えば、最近、明日香ちゃん元気ないよね?」

「え?」

 

 あこが急にそんな事を言った。

 

「そ、そんな事、ないと思うけど。」

「あるよ~!なんか、疲れてるって言うか!」

「だから!そんな事__っ」

「「__明日香ちゃん!」」

 

 明日香が立ち上がろうとすると、倒れた。

________________________

 

「__ここは?」

 

 明日香は不思議な空間にいた。

 

『お願い!水泳部に入って!』

『...すいません。勉強がしたいので。」

 

「あれ?私?」

 

 明日香はその光景に見覚えがあった。

 

『お願い!戸山さんが入ってくれたら勝てるの!』

『...すいません。』

『あ!戸山さん!』

 

「(そういえば、最初はこうやって断ってったっけ?でも、急に__)」

「__水泳部に入れ。」

「?!」

 

 明日香の後ろには水泳部の部長がいた。

 

「入らなきゃイジメるよ?...入るよね?

 戸山さんが頷いてくれないと廃部になっちゃうんだよ...?」

 

 近づいてくる。

 

「入るよね?...入れ...」

「こ、来ないで...!」

「__入るって言うまで、追い込んでやる...!」

________________________

 

「__ん?夢...?」

 

 明日香は保健室で目覚めた。

 時間はもう夕方だ。

 

「...最近、ちゃんと寝れてなかったからかな?」

 

 明日香はすごい量の汗をかいていた。

 

「...(誰か、助けて...)」

「__失礼しまーす。」

「え?なんで?ここに?」

 

 入ってきたのは栄斗だった。

 

「よう、明日香。倒れたらしいじゃないか、どうしたんだ?」

「...テスト勉強で寝不足だっただけです。」

「...」

 

 明日香をじっと見る。

 

「だから__」

「嘘だな。」

「っ?!」

「負の感情が駄々洩れだぞ、明日香。」

「な、なんで?!」

「見えてるからな。」

 

 明日香は驚いている。

 

「...話してみろ、明日香。」

「...そこまで、迷惑はかけられません。」

「言っただろ?お前はもっと甘えていいんだよ。迷惑なんて思わない。」

「でも__」

「よしよし。」

 

 俺は明日香の頭を撫でた。

 

「少しは俺を頼れ、明日香。

 そんなに苦しそうな顔をするな。」

「...」

「明日香が話してくれれば、俺が絶対に助けるから」

「...八舞さん...」

 

 明日香は泣いた。

 そして、事情を話してくれた。

 

「...まさか__」

「__あっちゃん!」

「?!お、お姉ちゃん、なんで?!」

 

 戸山が入ってきた

 

「...悪い、止めれなかった。」

「雅...」

 

 雅も入ってきた

 

「なんで、お姉ちゃんに言わなかったの!

 そんなに、一人で...抱えて...!」

「お姉ちゃん...」

 

 二人は抱き合っている

 

「__俺たちは出ておくか。」

「そうだな。」

 

 俺たちは一旦、廊下に出た。

 

「...まさか、明日香がイジメられてたなんて。」

「戸山の妹、だったか。」

「あぁ。」

「どうする?教師に報告すれば解決だと思うが。」

「...それは無い。」

「何?」

「それで解決するなら、賢い明日香ならもうしてる。」

「...脅されてるか教師がグルなのか、だな。」

「その可能性が高いだろうな。」

「__あの...」

「ん?君は?」

「私は、明日香ちゃんのお友達の朝日六花です。」

「明日香の?」

「はい。...お二人は、明日香ちゃんの味方、ですか?」

 

 六花は真面目な顔で聞いてきた。

 

「そうだ。これから明日香のイジメを止める。」

「...なら、これを見てください。」

 

 六花はカメラを見せてきた。

 

「これは__っ!!」

「どうした?......これは。」

 

 カメラに映っていたのは、

 明日香へのイジメの写真だった。

 

「...明日香ちゃんの様子がおかしいと思って、後をつけた時に撮った物です。あと__」

 

 何枚かの写真を見せてきた。

 

「これは、職員室?しかも、同じ教師ばかりに呼び出されてるな。」

「...明日香ちゃんはその先生に毎日呼び出されています。」

「毎日...?」

「はい。そして、その先生は水泳部顧問です。」

「!!...つまり。」

「教師もグルって事か。」

「うっとおしいな。」

 

 俺たちが話していると。

 

「あの~戸山さんいますか?」

「いるが、何の用だ?」

 

 雅が対応した

 

「私、戸山さんの友達で、お見舞いに来たんです!」

「そうか。」

 

 その生徒は保健室に入ろうとした。

 

「__おい、待て。」

「え?」

「おい、八舞。お見舞いに来た奴だぞ?そんないい方は__」

「雅は顔をしっかり見てないのか?

 こいつは主犯の奴だ。」

「何?...すまん、もう一回見せてくれ。」

 

 雅はカメラを確認した。

 

「...マジじゃねぇか。」

「あの、何のことかな?」

「とぼけんなよ。さっきからドス黒い本性が丸見えだぞ。」

「......なんだ、気付いてたんだ。」

「...西園カナ。」

「っ!」

 

 反応した。

 間違いない。

 

「雅、六花、離れとけ。」

「え?」

「どうした、八舞?」

「こいつがアモンだ。」

「何...?!」

「西園の名前に反応した、間違いない。」

 

 俺は警戒心を強めた。

 

「おい、忠告だ。これ以上、明日香に近寄るな。」

「は?なんで、そんな事あんたなんかに言われなきゃいけないわけ?」

「明日香はお前のイジメに迷惑してる。だからもう近づくな。」

「...そもそも、いじめって人聞き悪いからやめてくれない?あれは躾だから。私たちに協力するように。」

「...弱小水泳部が躾、か。滑稽だな。」

「あ?」

「聞いたぞ、あと4日で部員を見つけないと廃部なんだろ?しかも、部員の条件は他の部活に所属してない経験者だっけか?」

「そう、だから戸山さんしかいないの。邪魔しないでくれる?」

「邪魔?おいおい、邪魔なのはお前らだぞ?」

「は?どこが?」

「明日香の邪魔をしてるじゃないか。認知しろ。」

「?戸山さんは私たちに協力できるんだよ?それは幸せでしょ?私たちは機会をあげてるんだよ?」

 

 思った以上に頭をやられてるらしい。

 

「それが、明日香の幸せと明日香が言ったのか?」

「え?言ってないけど当然だよね?」

「...」

「もういいよね。入るからね?」

「誰が入れるか、馬鹿が。」

「__もう!邪魔!」

 

 それと同時に明日香が入ってきた。

 

「あの、何が__っ!」

「あ!戸山さん!水泳部に入るよね?返事をもらいに来たよ!」

「い、いや...」

 

 明日香がふらついた。

 

「いい加減にしてください!」

「戸山?」

「明日香をこれ以上傷つけないでください!」

「お姉ちゃん...」

 

 戸山は怒りを込めてそう言った、が

 

「うるさい!!!」

 

 効果はなかった。

 

「こいつの犠牲で私たちは幸せなの!私たちのために泳げ!私たちの幸せを自分の幸せと思え!!!」

「...」

「...腐ってやがるな。」

「ひ、ひどい...」

「ひどい?何処が?!」

 

 息巻いてる。

 そして、

 

「戸山さん以外にに興味ない!殺す!!」

 

 はさみを取り出した。

 そして、戸山の方に行った。

 

「?!戸山、逃げろ!!」

「え__」

「死ね!!」

 

 はさみが刺さった。

 

「...ったく、痛いな。」

 

 戸山ではなく、雅に。

 

「さい君?!」

「こんな危険なはさみ、どこで買ったんだ。」

「雅、大丈夫か?」

「あぁ、問題ない。」

「思いっきり刺さってたが?」

「お姉ちゃん、大丈夫...?」

「うん!大丈夫だよ!あっちゃん!」

「よかった...ありがとうございます。」

「気にするな。それより」

 

 俺たちはそいつに向きなおった。

 

「邪魔しないでよ!」

「__あれ~?こんなところで何してるの~?」

「日菜さん?」

 

 日菜さんが来た。

 

「せ、生徒会長?!」

「それで、どうしたの~?」

「な、なんでもな__」

「まぁ、動画撮ってるんだけどね♪」

「?!」

「これは...るんってこないな~」

「消せ!」

「嫌だ~♪」

 

 日菜さんは逃げている。

 

「__これは没収だ氷川。」

「あ!○○先生!」

 

 例の水泳部顧問が来た。

 

「え!なんで?!」

「水泳部がなくなるのは俺が困るんだ。

 俺が楽しめる場所がなくなる。」

「楽しむ、ね。それはセクハラの事か?」

「...誰だ、お前は?」

「そんな事はいい。質問に答えろ。」

「そうだが?」

 

 そいつは呆気なくそう答えた。

 

「戸山が入ってくれれば、人形が揃うんだ。だから、戸山、入部しろ。」

「い、嫌です!」

「...」

「まぁ、返事は明日まで待ってやる。○○、今日は帰れ。」

「はーい。」

 

 二人は帰って行った。

________________________

 

 俺たちはその後、俺の家に集まった。

 

「どうする、八舞?証拠である動画は向こうに握られたぞ。」

「...六花。」

「はい。」

 

 六花はカメラを出した。

 

「これって...」

「私のカメラだよ、明日香ちゃん。」

「これには明日香へのイジメの証拠が入ってる。」

「「?!」」

「つまり、それがあれば、あいつらをぶっ潰せるってこと~?」

「日菜さん、怖いですよ。」

「だって~!あいつらのせいで携帯没収されたんだもん~!」

「でも、それだけで大丈夫なんでしょうか...?」

 

 明日香が不安そうに聞いてきた。

 

「そう言うと思って。」

 

 俺は携帯を出した。

 

「八舞先輩の携帯?」

「こういう事だ。」

 

 俺は録音しておいた音声を流した。

 

「__これで、十分だ。」

「いいね~!栄君!」

「...日菜さん、協力、お願いできますか?」

「もっちろん!るんってするね!」

「...もう大丈夫だぞ、明日香。」

「八舞、先輩...」

 

 俺は明日香の頭を撫でた。

 

「__俺が明日香の苦しみを消してやるから。」

 

 俺は優しい声音でそう言った。

 

 これが、作戦前夜だ。

 




感想などお願いします!

少し質問なんですが、イヴルートみたいなメインヒロイン一筋か紗夜ルートみたいな分岐エンド、どっちがいいですか?

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