”明日香”
「__おはよう!明日香ちゃん!」
「おはよ、六花。」
明日香は栄斗に何も聞かされないまま、日常を過ごしていた。
「(何をする気なんだろ、八舞先輩。)」
明日香が不安がってると、放送が流れた。
『今日は朝礼です。○○分までに体育館に集まってください。』
「...朝礼?」
「急だね?」
「おっはよー!二人とも!」
「おはよう、あこちゃん!」
「おはよ、あこ。」
「今日朝礼だって!行こ!」
「そうだね。」
明日香たちは体育館に向かった。
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『__おはよう!皆!』
日菜が壇上に上がって、話し始めた。
『今日は特別ゲストが来てるから、しっかり話を聞いてあげてね!』
日菜がそう言うと、スクリーンが下がってきた。
『それじゃ!お願い!』
「はい。」
壇上に現れたのは栄斗だった。
「__え?」
「や、八舞先輩?」
「誰?」
「あ姉ちゃんの、友達。」
「え?じゃあ、なんで羽丘にいるの?」
「わ、わからない。」
明日香と六花は混乱していた。
『__どうも、皆さん。花咲川から来ました、八舞栄斗です。』
栄斗が話し始めた。
『今日は大変悲しいニュースがあって、ここに来ました。まず、こちらをご覧ください。』
俺はスクリーンに六花が撮った写真を写した。
『__これが何かお分かりでしょうか?』
ざわめきが起きた。
『これは俺の友人、戸山明日香さんを水泳部の部員がイジメてる写真です。』
全員の視線が水泳部に集まった。
『これに加えて__』
「やめろ!」
水泳部の顧問が止めに入ってきた。
『...ちょうどいい。日菜さん、お願いします。』
「おっけー!」
日菜さんは俺が昨日録音しておいた音声を流した。
音声が終わると、全員がしんとなった。
『__お聞きの通り、部員どころか顧問の先生までこの様です。部活動の場を己の欲求を満たすために使っています。』
生徒からは「最低。」とか「廃部でしょ。」などの声が聞こえてきた。
「__こんなの嘘っぱちよ!!!」
例の部長が声を上げた。
「これは全部、嘘!加工した音声!!」
などと叫んでいる。
信じるものはいないが。
『まぁ、そう言うと思ってましたよ。
...明日香、こっちにおいで。』
俺は明日香を呼んだ。
「え...?」
「行っておいで、明日香ちゃん。」
「なんだかよく分かんないけど、行っておいで!」
「...うん。」
明日香は壇上に上がってきた。
『それでは、顧問の先生もちょうどいる事ですし。
何よりの証拠を提示してもらいます。
明日香、正直に言えばいい。』
「で、でも...。」
明日香が水泳部の面々を見る。
おそらく怖いのだろう。
「...大丈夫、俺が守るから。」
俺はそう耳打ちした。
「!!」
「だから、勇気を出せ、な?」
「...はい。」
明日香はマイクに向かって話しだした。
『__私は水泳部にイジメられていました。理由は勧誘を断ったことです。
毎朝、下駄箱にゴミを詰められたり、ノートを破られたり、殴られたり、帰り道に待ち伏せされて川に落とされたりしました...。』
明日香の声は震えている。
『そのストレスのせいで、眠れない夜もあります。
顧問の先生も、毎日私を呼び出して、セクハラをさせろと迫ってきて、断ったら、単位を落とすと脅されたりもしました。』
そんなこともしてたのかと驚いた。
『なので__』
「「だまれ!!!」」
水泳部員と顧問が壇上に上がった。
「それ以上喋るな!」
「そうよ!そんなに私たちを貶めたいの?!」
と、あたかも被害者のような態度をとっている。
「...明日香、お前の気持ちを言え。」
「はい...!」
明日香は語気を強めて言った。
『私は、この人たちが大っ嫌い!
こんな強欲で自分勝手な人たちもう近づいてほしくない!!』
明日香は言い切った。
「「この...!!!」」
二人は明日香に向かって走った。
「__止まれ。」
「「っ?!」」
俺は二人も前に立った。
「ついでに補足してやる。
この場で一番の証拠はお前たちなんだぜ?」
「「え...?」」
「やってないってんなら、ここまでムキになるか?」
「あ...」
「お前たちはこの場で私たちは明日香をイジメましたって言ってるようなもんなんだよ。」
これで、証拠は完璧だ。
「__○○先生、これはどういう事かね?」
「こ、校長、これは...」
「言い訳は聞かん!君の処分は追って伝える!」
顧問の方は片付いた。
「__あと、水泳部は今日限りで廃部ね~」
「ちょ、ちょっと待って__」
「えーっと、部員不足だしー、あなた達の代になってから成績も落ちてるよね~?」
「...」
全員黙った
「そんな部活、合っても仕方ないよね~
それと、あなた。」
「な、何よ!」
「あなたの独り言聞いちゃったんだけど~
部活があってほしい理由って、後輩を使えるからなんだよね~!」
「え?!なんでそれを...って、あ...」
「...冗談だったんだけど、ほんとなんだ。」
こっちは勝手に自爆した。
「校則には『部活動において、後輩を使役することを禁ずる。』って書いてあるね~!」
「ま、待って__」
「こーちょーせんせー!これって、水泳部は廃部でいいですよね~?」
「問題ありません。」
水泳部の廃部が決定した。
「__くそ!!!お前のせいで!!!」
「ひっ!!!」
顧問が明日香につかみかかった。
「__そう来ると思った。」
「へぶっ!!!」
俺は顧問を蹴り飛ばした。
「な、なにを__ぐへぇ!!!」
水泳部員の方に蹴り飛ばした。
「ひぃ!!!」
「怖いか?怖いよな?さぞ、お前らにとって都合のいい大人だっただろうな。」
俺は語りかけた。
「まぁ、お前らはどうせ西園の人心掌握にかかってるんだろうな。」
「お、お前ぇぇ!!!」
顧問の奴が殴りかかってきた。
「__もういい。寝とけ。」
「へ?____」
俺は顎を殴って顧問を気絶させた。
「さて、と。汚れ仕事は俺が引き受ける。
明日香は日菜さんの近くにいてくれ。」
「は、はい。」
「日菜さん、お願いします。」
「分かったー!」
俺は水泳部員に向きなおった。
「確か、三年は三人で二年は2人だっけか、
三年しか来ないって、どんなに嫌われてるんだ?」
「!そういえば、あいつら...!」
二年の方を見た
「...あんた、自分の立場分かってる?
この場にあんたらの味方は一人もいない。」
「クソが!!!___」
部長は掴みかかってきた、が。
「__は~い!ストップね~♪」
「?!」
西園が現れた。
それと同時に部長を壇上から突き落とした。
頭から落ちて気絶したみたいだ。
「全く、八舞に触れようとするなんて。
私はそこまで許可してないよ?」
「...何しに来た。」
「あ!八舞!おはよ~!」
「何しに来たと聞いてるんだ!」
「...もう~そんなに焦らないでよ♪」
「今回の件、お前の差し金だろ!」
「え~?私はちょーっとお話ししただけだよ~?」
こう言ってるが、
こいつがしたのは多分、人心掌握だ。
これはカナの才能だ。
人を洗脳し、コントロールする。
「明日香まで巻き込みやがって、この場で叩き潰す。」
俺は構えた。
「ちょっと待ってよ~!今日はお祝いに来たんだから~!」
「あ?」
「私の捨て駒であるアモンたちをあっさり片付けたね~!」
西園は笑いながらそう言った。
「まぁ、八舞なら当然だよね~!
やっぱり、八舞を壊せるのは私だけだよね~♪」
「...」
「まぁ、それはそれとして...
今回のショーはここまでだよ!おめでと!」
「この___」
西園は歩きだした。
「__次は、もうちょっと楽しませてあげる♪」
「逃がすか!」
「いいの?ここで私に手を出して?」
「...」
俺は一歩下がった。
この状況で西園に手を出すのはまずい。
「じゃあ!またね!」
西園は帰って行った。
________________________
あのあと、俺たちは応接室に来た
「__ありがとうございました。八舞先輩。」
「気にするな。もとは俺がまいた種だ。悪いな。」
「...八舞先輩のせいじゃないです。」
「西園を放置してなければ、明日香は...」
「そんなこと、ないです。」
「明日香?」
「八舞先輩は私を助けてくれました、じゃないと、今頃...」
明日香は震えている
「大丈夫だ、明日香。」
俺は明日香を撫でた。
「俺は、どんな時でも明日香を守る。もう、あんな怖い思いはさせない。」
「八舞、先輩...」
「?__!!」
明日香が抱き着いてきた。
「...まったく、やっと甘え方を覚えたな。」
「...八舞先輩のせいです。なので、責任を取ってください。」
「はいはい。」
俺は明日香の言う通りにしてやった。
そして、しばらく時間が、経ってしまっていた
「__しっつれいしまー...す...」
「__邪魔するぞ、八...舞?」
「「あ、」」
二人が花咲川から来たらしく、
今の状況を見られてしまった。
「...お前ら、話を__」
「あっちゃん...」
「お、お姉ちゃん...?」
「お母さんたちへの挨拶、ちゃんとするんだよ...?」
「なんの?!」
「八舞、幸せにしてやれよ。」
「待て、誤解が__」
「「ごゆっくり。」」
二人が出ていった。
「...なぁ、明日香。」
「...はい。」
「これ、やばいよな。」
「はい。かなりやばいです。」
「追いかけた方がよくないか?」
俺がそう言うと
「嫌、です。もう少し、このまま。」
明日香が拒否した。
「いいのか?誤解されたままで?」
「...いいです。だって...いずれ、ほんとになるかも、ですし...」
「ん?今なんて__」
「なんでもないです!」
明日香は俺に胸に顔をうずめた。
「(...安心するな。)」
明日香が顔をあげた。
「ん?どうした?」
「...(好き。私、八舞先輩が好き。優しくて、私を守ってくれる、八舞先輩が。)」
「どうした?もしかして体調が___」
明日香が急に離れた、そして
「...ばーか。///」
「え?なんで?」
明日香がそう言った。
その明日香の表情はとても、晴れやかに見えた。
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