恋愛のブシドー   作:火の車

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千聖ルート12話です!



第12話

 今日はパーティーに行く日だ。

 俺は白鷺さんに呼ばれ、事務所に来ていた。

 

「__スーツって意外と動きやすいな。」

「あら、意外と似合っているじゃない、八舞君。」

 

 俺は用意されてたスーツを着た。

 

「あ!栄君がスーツ着てるー!るんっ♪っとくるね!」

「似合ってますよ!栄斗さん!」

「うん!かっこいいよ!」

「様になってますね~」

「...どうも。」

 

 とりあえず、不自然ではないらしい。

 

「じゃあ、行きましょうか。」

 

 俺たちはパーティー会場に向かった。

________________________

 

「__着いたわ。ここよ。」

「船?」

「えぇ、そうよ。」

「かなり大がかりですね。」

「芸能界の重鎮が多く集まるもの、こんなものよ。

 しかも、今回の会場は弦巻家が提供してるし。」

「弦巻家?...あぁ、金持ちの家か。」

「まぁ、入りましょうか。」

 

 俺たちは船に乗った。

________________________

 

「...中も豪華だな。」

「...ジブン、お腹が痛くなってきました...」

「ダイジョウブです!マヤさん!」

「私も緊張してきた...」

「彩ちゃんも~?こんなのノリでどうにかなるよ!」

「八舞君は大丈夫かしら?」

「俺は大丈夫ですね。仕事と割り切ってるので。」

「頼もしいわ。じゃあ、行きましょうか。」

「はい。」

 

 俺たちはパーティーをしてる場所に行った。

 

「__なるほど。」

 

 会場は一見、賑やかだが、

 人間同士の駆け引きは殺伐としてる。

 

「あなたには、この光景はどう映るかしら?」

「カジノ、ってところでしょうか。」

「いいわね、その例え。

 ここでは、数々の事務所が利益を得るためにアイドルと言う名の手札を切る、まさにカジノよ。」

「...それだけ聞くと、危ない以外の何物でもないですね。」

「そのためのあなたなのよ?」

「護衛、ですね。」

「重鎮じゃなくても、女好きの俳優もいたりするわ。

 あなたも目を光らせておいて。」

「分かりました。」

 

 俺は散らばったメンバーの位置を確認した。

 

「...今のところは問題ないですね。

 あくまで挨拶、言いかえれば様子見ってところでしょう。」

「そうね。私たちも飲み物、貰いに行きましょうか。」

「俺はいらないですが、お供します。」

 

 俺たちは人ごみに入った。

 

「__こんばんは、白鷺さん。」

「あら、あなたは...」

「私は○○事務所の富田と申します。」

「(○○事務所...確か、業界ナンバーワンの事務所か。)」

「__して、そちらの方は?」

 

 富田さんは俺の方を見た。

 

「申し遅れて申し訳ありません。

 ○○事務所、パステルパレットのお付きの

 八舞栄斗です。」

「○○事務所ですか、かなり遠くからいらしてるんですね、

 お疲れでしょう、これでもお飲みのなって...」

 

 飲み物が入ったグラスを渡された。

 

「ありがとうございます。」

 

 俺はグラスを口に近づけた。

 

「(...薬品のにおい。こいつ、黒だな。)」

 

 俺は飲み込まないように少量を口に含んだ。

 そして、口元を拭う振りをして吐き出した。

 

「(チープな罠だ。)」

「__それでは、私はこのあたりで。」

 

 富田は離れていった。

 

「...」

「どうしたのかしら?」

「...あいつ、黒ですね。」

「...やはり、ね。」

「えぇ、さっきの飲み物、薬品のにおいがしました。

 俺が相当邪魔なんでしょう。」

「...皆を集めましょうか。」

 

 白鷺さんは皆に連絡した。

 そして、みんな集まった。

 

「どうしたの、千聖ちゃん~?」

「ここからは皆で行動するわよ。」

「え?なんで?」

「...白鷺さんが皆と一緒にいたいらしいです。」

 

 適当に思いた理由を言った。

 

「そうなんですか?チサトさん?」

「えぇ、そうよ。」

「そういうことなら~」

「千聖ちゃんも素直になったよね!」

「少し照れるっすけど...」

「...八舞君。」

「すいません。ぱっと思いついたもので。」

「まぁいいわ。これでリスクは格段に減ったもの。」

「そうですか。」

 

 俺は周りを見回した。

 

「(...視線が集まってるな。さて、誰が動いてくるか。)」

「__やぁ!白鷺千聖!」

 

 俺が考え事をしてると、一人の男が話しかけてきた。

 

「...誰かしら?」

「この前、共演しただろ?○○事務所の早瀬さ!」

 

 白鷺さんは考え込んでいる。

 

「早瀬さんね。えぇ、覚えてるわよ。」

「「「(嘘だ。絶対に覚えてない。)」」」

 

 とりあえず、丸山さんと大和さんと考えが一致した気がした。

 

「...それで、早瀬さんは何の用で来たのかしら?」

「今日は相談に来たのさ。白鷺千聖、僕のものにならないかい?」

 

 早瀬はそんな事を言い出した。

 

「僕は__」

「お断りよ。」

「な?!」

「あなたは好みじゃないわ。

 その誘い方も好みじゃない。」

「...僕の言う通りにすればパステルパレットも...」

「必要ないわ。」

 

 白鷺さんはバッサリ切り捨てた。

 

「...」

「用は済んだかしら?」

「...くそ!。」

 

 早瀬はどこかに去って行った。

 

「千聖ちゃん、バッサリ言ったね~」

「でも、大丈夫なの?」

「大丈夫よ。どうせ三流俳優よ。」

「チサトさん、恐ろしいです...!」

「...俺もそう思うぞ、若宮。」

「ジブンもっす。」

「失礼ね。」

 

 そうして、パーティーは進行していった。

 

「__白鷺さん、人、多くなってないですか?」

「...そうね__きゃあ!」

「白鷺さん?!」

 

 白鷺さんが人ごみに引っ張られていった。

 

「皆はここにいてください!」

「う、うん。」

 

 俺は白鷺さんが引っ張られた方に走った。

 

「__どこだ。__ん?これは。」

 

 白鷺さんが付けてたネックレスが落ちてた。

 

「...方向的に...あそこか。」

 

 俺はある場所に向かった。

________________________

 

「__見つけた。」

「や、八舞君!?」

「全く、無粋な奴だ。」

「うるさい!」

 

 引っ張っていたのは早瀬だった。

 

「白鷺さんを返してくれないか?」

「なんでお前なんかに?」

「俺も仕事なんでな、白鷺さんに何かあると契約違反なんだ。」

「知ったことじゃない!庶民風情が!」

「__そうだよ、八舞君。」

「...富田か。やっぱ、あんたもグルだよな。」

「気付いていたか。」

「そりゃ、薬盛ってればな。」

「!」

「気付かないと思ったか?

 俺はあまりに分かりやす過ぎて、やる気がないと思ったぞ?」

 

 富田は驚いてる。

 

「さて、白鷺さんを返してくれないか?」

「断る!」

「...(面倒だ、このままじゃ平行線だな。)」

 

 俺は早瀬を睨んだ。

 

「なんだ、その目は?」

「...さっさと返せ、お前の相手も面倒になってきた。」

「お前ら!」

 

 早瀬がそう叫ぶと、何人かのボディガードが出てきた。

 

「__皆?!」

 

 白鷺さんがそう叫んだ。

 パスパレの皆は捕まっていた。

 

「これで手は出せまい!

 さぁ来い!白鷺千聖!」

「嫌!」

「千聖ちゃん!」

 

 白鷺さんが連れていかれそうだ。

 

「...はぁ、仕方ないか。」

 

 俺はネクタイを緩めた。

 そして、皆の方に向かった。

 

「...おい。」

「あ?」

「今から俺は何も考えず戦うぞ、

 死にたくなきゃ、どいてろ。」

「あ?寝言は__がはっ!!」

「何?!__ぐふっ!」

「な、なんだ__がっ!!??」

「え?__げふっ!!!」

「...はい。終わりな。」

 

 正直楽勝過ぎた。

 

「おい、早瀬。次はお前だ。」

「__おっと、待ってもらおうか。」

「なんだ。」

「あれでも、うちのホープなんだ。

 見逃してくれないかい?」

「なぜ?俺がお前の指図を受けないといけない?」

「金ならいくらでも払う。

 白鷺千聖を譲ってくれないかな?」

「人を金で、か。」

「まぁ、そうとも_っ!!!」

 

 俺は富田の足を踏みつけた。

 

「馬鹿にすんなよ。」

「何を...?」

「お前らにもう取引の余地なんてないだよ。」

「何?」

「あっち、見てみ?」

 

 富田は俺が指さした方を見た。

 

「な!」

「撮影されてるな。」

「な!お、お前ら!」

「はい、さようなら。」

「え?__」

 

 俺は富田の顎を殴った。

 富田は気絶した。

 

「俺からのリストラ祝いだ。」

 

 俺は早瀬の方に向かった。

 

「さーて、早瀬。お前のキャリアも終わりだ。」

「そ、そんなわけ...」

「...今です、白鷺さん。」

「!えぇ!」

 

 白鷺さんは早瀬を振り切った。

 

「な!?か、返せ!」

「返せ?日本語を忘れたか?残念な奴だ。」

 

 俺は早瀬に近づいて行った。

 

「千聖ちゃん!」

「大丈夫?!」

「チサトさん!」

「千聖さん~!!」

「ちょっと!皆?!」

 

 皆は白鷺さんに駆け寄った。

 

「__さてと...」

「なんで、なんでだ!

 白鷺千聖がいた時点で僕が優勢だったのに!!!」

「優勢?お前、勘違いしてるぞ?」

「は...?どういうことだ?」

「お前ら程度、相手に俺がいる時点で形成は常にこっち側だ。」

「ば、馬鹿にするな!!!クソが!!!」

 

 殴りかかってきた。

 

「はい、キャリア終了、おめでと。」

「がぁ!!!」

 

 顔面に真っ直ぐ、一発。

 これで充分。

 

「...はい。終わりな。」

 

 俺は携帯を確認した。

 

「救出時間、20分。かかり過ぎだ。

 あと...あった。」

 

 さっき撮ったであろう動画がSNSに上がっていた。

 

「__芸能人の消える瞬間ってとこか?

 もう少し有名なら助かってたのにな。」

 

 俺はスーツを着なおした。

________________________

 

「__八舞君!」

「あ、白鷺さん。」

「大丈夫なの?!怪我とか__」

「大丈夫ですよ。白鷺さんは?」

「私も大丈夫よ。八舞君のお陰ね。」

「ありがとう、八舞君!」

「すごかったね~!」

「エイトさん、ブシドーでした!」

「助かったっす~!」

 

 皆に感謝された。

 

「まぁ、これくらいは、ね。」

「八舞君、やっぱり。」

「西園の相手をするのに、この程度の奴らに手こずってたらダメですから。」

「そう、かもしれないわね。」

「何の話?」

「なんでも、ないですよ。丸山さん。」

 

 これにて、パーティーは終わった。

________________________

 

 ”西園side”

 

「__もう少し、もう少しで。

 八舞と踊る最高の舞台が__うっ!!」

 

 西園は頭を抱えた。

 

「...まだ、生きてるんだね『マナ』...!」

(栄斗を苦しめないで...!)

「うるさいよ。

 私は絶対に止まらない、私は八舞を手に入れる...!」

(でも、あなたにも限界があるよ。今のカナちゃん。)

「...私は、終わらない!!!

 私が本物の西園カナだから!」

 

 西園は絶叫した。

 

「__どうかしたか?西園カナ。」

「...来たの?戒田。」

「あぁ。成功の報告にな。」

「そう言えば、私の言った通り動いてくれたね。ありがと。」

「今のお前には敵わないからな。だから従う。」

「あら?あなたは私の生みの親でしょ?

 今の西園カナの、ね?誘拐犯兼殺人犯さん?」

「...」

「あなたには、もう少し働いてもらうよ。」

「...分かった。」

 

 男は去って行った。

 

「__もうちょっとで...八舞を...!」

 

 西園は月を見た。

 

 その月には雲がかかっていた。

 

 

 

 




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