恋愛のブシドー   作:火の車

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千聖ルート13話です!


第13話

 七月に入った。

 

「__おい!香澄ー!」

「いや~!」

 

 戸山と市ヶ谷は今日も賑やかだ。

 

「た、助けて~!さい君~!」

「...戸山、今回は市ヶ谷の言う事聞いとけ。」

「うぇ~!さい君まで~!?」

「まぁ、今回は仕方ないだろ。

 だって戸山、中間テスト、赤点いくつだっけ?」

「うっ...!」

「それで市ヶ谷に教えてもらってギリギリで追試を乗り切ってたな。」

「そういう事だ。

 な?香澄?」

「は、はぃぃ!」

 

 戸山は市ヶ谷の圧に屈したみたいだ。

 

「俺も手伝ってやろうか、市ヶ谷?」

「え?いいのか?」

「あぁ。バイトも休みだからな。

 何より、戸山を一人は大変だろ。」

「ひどい!そこまでひど__」

「あ?」

「__いです、ごめなさい。」

「...俺も行っていいか?」

「雅?」

「え!さい君、来てくれるの!」

「あぁ。俺も順位が高いとは言えないからな。」

「雅、何位だっけ?」

「前回は103位だ。」

「大体、五分の一くらいか。」

「あぁ。」

「それで、戸山は?」

「...500位、です...」

「...市ヶ谷、これは何人中だ?」

「...520人中、だな。」

「流石にやばいだろ。」

 

 俺たちは頭を抱えた。

 

 ピロリン♪

 その時、誰かからメッセージが来た。

 

「ん?」

 

 俺はメッセージを確認した。

 

「__なるほどな。」

「誰からだ?」

「...戸山には効果抜群のスペシャルゲスト、だな。」

「スペシャルゲスト?」

「じゃあ、放課後、その子も呼んで勉強するぞ。

 分かったか、戸山?」

「はい...」

 

 そうして、朝の時間が過ぎた。

________________________

 

 放課後だ。

 

「__さて、行くか。」

「どこでするんだ?」

「うーん、俺の家でいいだろ。」

「いいんじゃねぇか?...って、八舞の家?!」

「あぁ、そうだが?」

「そうだが、じゃなくて、

 男の家に行くなんて...」

「戸山は来たことあるぞ?」

「何?!」

「後、スペシャルゲストも来たことがあるからな。」

「...まぁいいや。

 それより、スペシャルゲストって誰なんだ?」

「来れば分かる。

 きっと、市ヶ谷も知ってる子だ。」

「私も?」

「まぁ、行くか。」

 

 俺たちは俺の家に向かった。

________________________

 

「__えーっと。」

「こんにちは、八舞先輩。」

「お、来てたか、明日香。」

「はい。今日は急なお願いですみません。」

「いや、大丈夫だ。

 ...ちょうど、姉の方を教える予定だったからな。」

「...本当にすいません。」

「え?!スペシャルゲストってあっちゃんの事だったの?!」

「そうだ。

 どうだ、戸山。効果抜群だろ?」

「でかした、八舞。」

「...これは、効果絶大だろうな。」

「まぁ、入ろう。」

 

 俺たちは家に入った。

________________________

 

「__さて、これから勉強を始めるわけだが。

 担当を決めるぞ。

 戸山は市ヶ谷が担当。

 あとの二人は分からないところがあったら聞いてくれ。」

「分かった。」

「分かりました。」

「さて、香澄やるぞ。」

「うん...」

 

 勉強会が始まった。

 

「__おい!香澄!ここ違う!」

「ひぃ~!ごめんなさい~!」

「お姉ちゃん...」

 

 明日香は遠い目をしてる。

 

「八舞、ここはどうするんだ?」

「あーそこは__」

「__なるほどな。」

 

 こっちはいたって順調だ。

 

「八舞先輩。」

「ん?どうした__?!」

 

 明日香が俺の近くに寄ってきた。

 

「なんか、近くないか?」

「...気のせいです///」

「そうか?まぁ、特に問題ないからいいが。

 それで、どこが分からないんだ?」

「...八舞先輩のバカ...」

「なんで...?」

「...それはいいとして。」

「あ、うん。まぁいいか。

 で、どこだ?」

「ここなんですが__」

 

 こうして、勉強会は進んでいった。

 

「__あれ?もうこんな時間か。

 夕飯作るか。」

「え?八舞先輩、料理できるんですか?」

「あぁ、一人暮らしだからな。

 なんなら皆も食べていくか?」

「...いいのか?」

「雅も皆に持って帰るだろ?

 あ、留守番してるからお菓子もつけてあげよう。」

「悪いな。」

「いいって。」

「私らもいいのか?」

「構わんぞ。」

「じゃあ!私は食べていくー!」

「私も食べたい、です。」

「じゃあ、ちょっと待っててくれ。」

 

 俺は台所に行った。

 

「__さて、始めるか。

 まぁ、出来るだけ手早く...」

「あの、お手伝いしましょうか?」

「明日香?別にいいぞ客に手伝わせるのもあれだし。」

「私が手伝いたいんです、ダメですか?」

「うーむ...じゃあ、手伝ってもらおうか。」

「はい。何をすればいいですか?」

「まずは__」

 

 俺たちは料理を始めた。

 

「__手際がいいな。」

「まぁ、お姉ちゃんがあれなので...」

「あっ...(察し)」

 

 明日香の苦労が見えた気がした。

 

「...戸山も変わる時が来る...と、思うぞ、多分、きっと、な?」

「...来るんでしょうか?」

「ま、まぁ、早く料理を作ろうか。」

「はい。」

 

 そうして、夕飯が完成した。

 

「__出来たぞ、三人とも。」

「あ!来た来た!」

「旨そうだな。」

「いつも思うが、八舞の料理センスはどこから来てるんだ?」

「普通だと思うが?

 今日は明日香も手伝ってくれたしな。」

「いえ、私は本当にちょっとだけです。

 ほとんどいつの間にか終わってました。」

「すっごーい!」

「...まぁ、食べよう。」

 

 俺たちは夕飯を食べ始めた。

 

「__美味しー!」

「これは、ばあちゃんといい勝負だ...」

「すごい...」

「...ほかの反応を見て分かるが、お前って大概、規格外だな。」

「そうか?...」

 

 俺は料理を口に運んだ。

 

「...まだまだ、だな。」

「お前の料理は何が基準なんだ?」

「...さぁな。」

 

 俺は目線をそらした。

 

「これも美味しー!」

「おい、戸山、ほっぺにご飯粒がついてるぞ、まったく...」

「!?///」

 

 雅は戸山からご飯粒を取って、それを口に運んだ。

 

「ちょ!さ、さい君?!!///」

「?...どうした?」

「いや、あの、さっきのは...///」

「...?」

「今の何がおかしかったんだ?」

「八舞先輩...」

「八舞...」

「え?なんだ?」

 

 なぜか明日香と市ヶ谷に憐れむような眼で見られた。

 そんなこんなで皆が帰る時間になった。

 

「じゃあ、帰るわ。夕飯、持ち帰りまで用意してもらって悪いな。お菓子も。」

「いいぞ。みんなによろしくな。」

「あぁ。」

「じゃあね!八舞君!」

「さようなら、八舞先輩。」

「あぁ。あと、戸山は勉強しろよ。」

「は、はい!」

「じゃあな、八舞。」

「あぁ、市ヶ谷、気をつけろよ。」

「わーってるって!」

 

 皆は帰って行った。

________________________

 

 皆が帰った後、俺はベランダにいた。

 

「__料理の基準、か。」

 

 俺は空を見上げた。

 

「イジメで弁当を捨てられる俺に、マナが作ってきてくれてた弁当。

 あれが俺の目指す料理。温度じゃない暖かさ、あれが...」

 

 俺は部屋に戻った。

________________________

 

 今日はテスト当日だ。

 

「__よう、八舞。」

「よう、市ヶ谷と...戸山か?」

「お、おはよ~...」

「...なんて言うか、やつれたな。」

「あはは~、いっぱい勉強したからね~...」

「そ、そうか。」

「__よう。」

「あ、雅。テストは大丈夫そうか?」

「あぁ。...って、そいつは戸山、か?」

「あ、さい君、おはよ~...」

「あ、あぁ。」

 

 戸山の状態が酷過ぎて雅も若干引いてる。

 

「あ、斎藤、ちょっとこい。」

「なんだ、市ヶ谷?」

「えっと、香澄に___て言ってみてくれ。」

「?分かった。

 おい、戸山。」

「うん?何~...?」

「テスト終わったら二人で遊びに行くぞ。」

「え...?ほんと、に...?」

「あ、あぁ?」

「...」

 

 戸山は下を向いたまま黙っている。

 

「...おい、あれでよかったのか?」

「あぁ、大丈夫だ。」

「__やったー!頑張るぞー!!」

「「??!!」」

 

 戸山が叫びだした。

 

「な、なんだ?!」

「ほんとに?!ほんとに一緒に遊びに行ってくれるの?!」

「まぁ、いいぞ。その代わり追試になるなよ。」

「うん!」

「__な?上手くいっただろ?」

「そうだな。」」

 

 こうして、テストが始まった。 

 

__そして、なんやかんやでテストが終わった。

 

「__さて、順位の発表だ。まずは雅から。」

「俺は51位だった。」

「お、やるじゃないか。」

「お前のお陰だ。」

「そうか。まぁ、次は戸山。」

「私は...203位だったー!!」

「お、戸山にすれば上出来だな。」

「うん!さい君のお陰でやる気が出たんだー!」

「俺?」

「うん!...一緒に遊びに行ってくれるんでしょ...?///」

「あぁ。」

「だから!頑張ったよ!」

「そうか...?」

「...私が焚きつけたとは言え、あれは...」

「うん?仲がよさそうでいいじゃないか。」

「...お前は...。てか、八舞は何位だったんだ?」

「え?満点で一位だったが?」

「...いや、すごすぎだろ。」

「普通にできるぞ?」

「...」

 

 そんなこんなでテストは無事、終わった。

________________________

 

 放課後だ。

 

「__あ、そう言えば八舞。」

「ん?なんだ?」

「今度、私らのバンドのライブあんだけど、来るか?」

「ライブ?行ってもいいのか?」

「あぁ。どうせ斎藤には香澄が渡すからな。

 お前も呼ばないとだろ?」

「なら、行くかな。」

「よし、じゃあ、これ。」

 

 市ヶ谷にチケットを渡された。

 

「じゃあ、私は練習あるから行くわー」

「おう、またな。」

 

 市ヶ谷は教室を出た。

 

「俺も帰るか。」

________________________

 

 ”雅&香澄side”

 

「__それで、どこに遊びに行く、戸山?」

「うーん、分かんない!」

「...そうか。」

「でも、少し先になっちゃうかな~」

「何かあるのか?」

「うん!私たち、もう少しでライブなんだよ!」

「ライブ?」

「うん!あ、さい君、見に来ない?」

「いいのか?」

「うん!チケットあるから!」

 

 香澄はチケットを出した。

 

「来てね!さい君!」

「あぁ。」

「じゃあ!またね!」

 

 香澄はそう言って帰って行った。

 

「...ライブか。面白そうだ。」

 

 雅はそう言って家に帰って行った。

 

 

 

 




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