「__ここか。」
「...不気味だな。」
俺たちは西園が待つ廃ビルに来た。
「(すぐに助けます、白鷺さん。)」
俺は廃ビルに入ろうとした。
「__来たか、八舞栄斗。」
「?!お、お前は!」
「久しいな、五年ぶりくらいか?」
「お前はあの時、死んだはずじゃ...」
俺の目の前に殺したはずの誘拐犯がいる。
俺はひどく困惑した。
「...あの時は運がよかった。
刺されたのがもう少し深ければ死んでたからな。」
「...それで、お前は何でここにいる。」
「俺は西園に服従した。」
「何?」
「今のあいつは俺の手に負えない。
まぁ、作ったのは俺だが。」
「なぜ、ここに来た。」
「西園の命令だ。
招かれてない客を止めて来いってな。」
「...つまり、ターゲットは俺たちか。」
「そういうことだ!」
「!」
戒田はナイフを投げた。
「__たく、あぶねぇな。」
「お、割と本気で投げたんだがな。」
「あっそ。...八舞。」
「なんだ?」
「皆を連れて行け。」
「危険だ。俺も__」
「白鷺さんを早く助けてこい。
大丈夫だ、俺は負けねぇ...!」
「...危なかったら逃げろよ。」
雅以外の皆は走った。
「八舞栄斗以外は通せな__!!」
「...俺以外に意識を割くとは、余裕だな。」
「...こいつ。」
「あいつは西園カナと戦うんだ。
お前は俺と遊ぼうぜ?」
「年期の違いを教えてやる。」
「上等。」
雅と戒田は戦いを始めた。
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「__おいてきてよかったの?」
「大丈夫ですよ、丸山さん。
雅なら。」
俺たちは廃ビルの中を進んでいた。
「それで、西園カナはどこにいるの~?」
「...多分ですが、このビルで一番広い空間です。」
「広い空間、ですか?」
「あぁ。西園は閉所恐怖症だからな。」
そう言うと、放送が流れた。
『やっほー!八舞!』
「西園...!」
『お客さんを連れて来たね!
私は三階の会議室にいるよ!
待ってるね!』
そう言って放送が切れた。
「三階の会議室か。」
「早く行こう!」
「はい。」
俺たちは会議室に向かった。
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”雅side”
「__おらぁ!」
「うお!アブね!」
あれから10分、戦いは全く動いていない。
「気に入らねぇな。」
「?」
「さっきから俺のスタミナ切れでも狙ってるのか?
かなり消極的だな。」
「気付いたか。」
「当然だ。だが、浅はかだな。」
「何?」
「俺はそう簡単には折れないぞ。」
「だよな~__」
「!」
戒田はまさに突っ込んだ。
「っ!!」
「今からはまじでやってやるよ。」
戒田はナイフを出した。
「...」
「刺し殺してやるよ!!」
戒田は攻撃を仕掛けた。
が、
「__なんで、なんで当たらない!!」
雅にナイフが届くことはなかった。
「クソが__ぐほっ!!」
「ふん。」
雅は戒田を殴り飛ばした。
「単調な奴だ。」
「何...?」
「今まで俺に刃物を使ってきた奴なんて腐るほどいた。
その中で俺は共通点を見つけたんだ。」
「共通点、だと?」
「あぁ。それは、
刃物を使うやつは刃物しか使わない。」
「っ!」
「体術で戦えば、手と足、攻撃手段が4通りだ。
だが、刃物一本しか使わないなら、簡単だ。
何せ、一通りになるんだからな。」
「こいつ...!」
戒田はまた向かっていった。
「__無駄だ。」
「がふっ!!」
「年期の差、だっけか?
残念だったな、喧嘩の年期は俺のが長いみたいだな。」
「...」
「そろそろ、終わらすか。」
「__仕方ない。...くらえ!!」
戒田は何かを投げてきた。
「!!(手榴弾だと!?)」
「油断したな!!」
「クソ!!」
雅は戒田に突っ込んだ。
「(逃げるのは間に合わない、なら__)
お前も道ずれだ!」
雅は戒田の顎にパンチを入れた。
「__相打ち、だ!」
「__がはっ...!」
戒田はナイフが出してたナイフが雅に刺さった。
そして、手榴弾が爆発した。
「ぐっ!!」
爆風で吹き飛ばされた。
「(__クソ、これ、ガチな奴かよ...)」
雅は立ち上がれない。
「...こいつは倒した。
八舞、あとは頼んだ。」
雅は近くの壁にもたれかかった。
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”香澄side”
「___!!」
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「嫌な予感がする...」
「え?__」
「さい君!」
香澄は走り出した。
「ちょっと!お姉ちゃん!」
「香澄?!」
その場にいたメンバーは香澄を追いかけた
「(確信はない。でも、嫌な予感がする、さい君に何かあったような、気がする...!)」
香澄は廃ビルに向かった。
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”雅side”
「(あークソ。体が動かねぇ。)」
雅はその場を動けずにいた。
「(爆発をくらうのは初めてだったな、まったく、二度とくらいたくねぇ。てか、なんで今生きてんだ?)」
雅はそんな事を考えていた。
「(てか、こんな怪我して帰ったら、下の奴らに心配されるな。
あとは...戸山とかうるさそうだな。たとえば__)」
「__さい君??!!」
「(そう、こんな風に...って、戸山だと?!)」
「だ、大丈夫?!」
「...なんで、ここにいんだ...?」
「だって__」
「__お姉ちゃん!」
「香澄!」
他のみんなも来た。
「...たく、八舞に怒られても知らねぇぞ...っ!!」
「さい君!」
雅は痛みに悶えた。
香澄は雅に駆け寄った。
「...なぜ、俺の心配をする?」
「え?」
雅はそんな事を聞いた。
「俺の兄弟の面倒も見てくれたり、ライブに呼んでくれたり、
なぜ、俺にそんな事をするんだ...?」
「...さい君、私が刺されそうなとき、守ってくれたよね?」
「?あ、あぁ。」
「その時、すごく怖かったんだ、刺されそうになったことじゃなくて、さい君が刺されたことが。
でも、その後、さい君は平気そうにしてたよね?」
「あ、あぁ。」
「...でも、見ちゃったの。さい君が痛そうな顔してるの。」
「!!(見られてたのか...)」
「それで、さい君の事情を聞いた時、私はさい君を支えたいって、思ったの。」
「俺を...支える?」
「うん。...でも、これは理由の一つ。」
「一つ...?」
雅は分からない、と言う顔をしている。
「私、さい君が、好き、大好き!」
「!!!」
「家族思いで、友達思いで、私を守ってくれて...
そんな、誰よりも優しい、さい君が、好き...///」
香澄はそう言った。
「だから、さい君を支えたい。
だから__」
「__戸山。」
「さい君...?」
「...俺といると苦労するぞ?
お前が嫌になるかもしれない。
何より、俺はそう言うのに疎いから、そっちでも苦労するぞ。」
「さい君...」
「それでも、お前は俺が好きと言えるか?」
「当り前だよ!」
雅の問いに香澄は即答した。
「...そうか。」
「うん!」
「(...母さん、俺は出会いに恵まれてたみたいだ...)」
雅は心の中でそう呟いた。
「さい君__」
「俺と付き合ってくれるのか、戸山?」
「さい君?!どうしたの、急に!」
「...戸山といるの、いいなと思ってな。
それで、どうなんだ?」
雅は再度、香澄に聞いた。
「私でいいの...?」
「そうだな、俺は戸山がいい。」
「!...じゃ、じゃあ!付き合お!さい君!」
「あぁ。」
「_う、うぐ...」
戒田が起きた。
「!!戸山、下がってろ。皆も。」
「さい君!」
雅は力を振り絞って立ち上がった。
「これが、俺の最後の...!」
戒田はリモコンのスイッチを押した。
「...約束は守ったぞ。西園...『マナ』!」
そう言って、戒田は気絶した。
「...くっ!」
「さい君!」
「大丈夫だ。それよりも、さっきの聞いたか?」
「え?」
「名前だ、あいつが、叫んだ。」
「西園マナ?__?!」
「気付いたか、西園マナが生きてるなら八舞は...」
「ま、まさか!」
「あいつがもし、西園カナを倒せたら
西園マナが復活するかもしれない。」
雅は...
「(がんばれ、八舞!お前の手で救ってやれ!)」
そう心の中で言った。
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”栄斗side”
「__来たね、八舞♪」
「あぁ。」
「早速始めよっか、私たちの決戦を。」
「いいだろう。」
「じゃあ、この人は返すよ。」
西園は白鷺さんを返した。
「「千聖ちゃん!」」
「チサトさん!」
「千聖さん!」
パスパレの皆は白鷺さんに駆け寄った。
白鷺さんは気絶してるみたいだ。
「これで、私たちはフェア。
邪魔は何もないよ。」
「ここで、過去を全部、終わらせてやる...!」
俺たちの因縁の戦いが今、始まろうとしていた。
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