恋愛のブシドー   作:火の車

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千聖ルート16話です!


第16話

「__ここか。」

「...不気味だな。」

 

 俺たちは西園が待つ廃ビルに来た。

 

「(すぐに助けます、白鷺さん。)」

 

 俺は廃ビルに入ろうとした。

 

「__来たか、八舞栄斗。」

「?!お、お前は!」

「久しいな、五年ぶりくらいか?」

「お前はあの時、死んだはずじゃ...」

 

 俺の目の前に殺したはずの誘拐犯がいる。

 俺はひどく困惑した。

 

「...あの時は運がよかった。

 刺されたのがもう少し深ければ死んでたからな。」

「...それで、お前は何でここにいる。」

「俺は西園に服従した。」

「何?」

「今のあいつは俺の手に負えない。

 まぁ、作ったのは俺だが。」

「なぜ、ここに来た。」

「西園の命令だ。

 招かれてない客を止めて来いってな。」

「...つまり、ターゲットは俺たちか。」

「そういうことだ!」

「!」

 

 戒田はナイフを投げた。

 

「__たく、あぶねぇな。」

「お、割と本気で投げたんだがな。」

「あっそ。...八舞。」

「なんだ?」

「皆を連れて行け。」

「危険だ。俺も__」

「白鷺さんを早く助けてこい。

 大丈夫だ、俺は負けねぇ...!」

「...危なかったら逃げろよ。」

 

 雅以外の皆は走った。

 

「八舞栄斗以外は通せな__!!」

「...俺以外に意識を割くとは、余裕だな。」

「...こいつ。」

「あいつは西園カナと戦うんだ。

 お前は俺と遊ぼうぜ?」

「年期の違いを教えてやる。」

「上等。」

 

 雅と戒田は戦いを始めた。

________________________

 

「__おいてきてよかったの?」

「大丈夫ですよ、丸山さん。

 雅なら。」

 

 俺たちは廃ビルの中を進んでいた。

 

「それで、西園カナはどこにいるの~?」

「...多分ですが、このビルで一番広い空間です。」

「広い空間、ですか?」

「あぁ。西園は閉所恐怖症だからな。」

 

 そう言うと、放送が流れた。

 

『やっほー!八舞!』

「西園...!」

『お客さんを連れて来たね!

 私は三階の会議室にいるよ!

 待ってるね!』

 

 そう言って放送が切れた。

 

「三階の会議室か。」

「早く行こう!」

「はい。」

 

 俺たちは会議室に向かった。

________________________

 

 ”雅side”

 

「__おらぁ!」

「うお!アブね!」

 

 あれから10分、戦いは全く動いていない。

 

「気に入らねぇな。」

「?」

「さっきから俺のスタミナ切れでも狙ってるのか?

 かなり消極的だな。」

「気付いたか。」

「当然だ。だが、浅はかだな。」

「何?」

「俺はそう簡単には折れないぞ。」

「だよな~__」

「!」

 

 戒田はまさに突っ込んだ。

 

「っ!!」

「今からはまじでやってやるよ。」

 

 戒田はナイフを出した。

 

「...」

「刺し殺してやるよ!!」

 

 戒田は攻撃を仕掛けた。

 が、

 

「__なんで、なんで当たらない!!」

 

 雅にナイフが届くことはなかった。

 

「クソが__ぐほっ!!」

「ふん。」

 

 雅は戒田を殴り飛ばした。

 

「単調な奴だ。」

「何...?」

「今まで俺に刃物を使ってきた奴なんて腐るほどいた。

 その中で俺は共通点を見つけたんだ。」

「共通点、だと?」

「あぁ。それは、

 刃物を使うやつは刃物しか使わない。」

「っ!」

「体術で戦えば、手と足、攻撃手段が4通りだ。

 だが、刃物一本しか使わないなら、簡単だ。

 何せ、一通りになるんだからな。」

「こいつ...!」

 

 戒田はまた向かっていった。

 

「__無駄だ。」

「がふっ!!」

「年期の差、だっけか?

 残念だったな、喧嘩の年期は俺のが長いみたいだな。」

「...」

「そろそろ、終わらすか。」

「__仕方ない。...くらえ!!」

 

 戒田は何かを投げてきた。

 

「!!(手榴弾だと!?)」

「油断したな!!」

「クソ!!」

 

 雅は戒田に突っ込んだ。

 

「(逃げるのは間に合わない、なら__)

 お前も道ずれだ!」

 

 雅は戒田の顎にパンチを入れた。

「__相打ち、だ!」

「__がはっ...!」

 

 戒田はナイフが出してたナイフが雅に刺さった。

 そして、手榴弾が爆発した。

 

「ぐっ!!」

 

 爆風で吹き飛ばされた。

 

「(__クソ、これ、ガチな奴かよ...)」

 

 雅は立ち上がれない。

 

「...こいつは倒した。

 八舞、あとは頼んだ。」

 

 雅は近くの壁にもたれかかった。

________________________

 

 ”香澄side”

 

「___!!」

「どうしたの、お姉ちゃん?」

「嫌な予感がする...」

「え?__」

「さい君!」

 

 香澄は走り出した。

 

「ちょっと!お姉ちゃん!」

「香澄?!」

 

 その場にいたメンバーは香澄を追いかけた

 

「(確信はない。でも、嫌な予感がする、さい君に何かあったような、気がする...!)」

 

 香澄は廃ビルに向かった。

 

________________________

 

 ”雅side”

 

「(あークソ。体が動かねぇ。)」

 

 雅はその場を動けずにいた。

 

「(爆発をくらうのは初めてだったな、まったく、二度とくらいたくねぇ。てか、なんで今生きてんだ?)」

 

 雅はそんな事を考えていた。

 

「(てか、こんな怪我して帰ったら、下の奴らに心配されるな。

 あとは...戸山とかうるさそうだな。たとえば__)」

「__さい君??!!」

「(そう、こんな風に...って、戸山だと?!)」

「だ、大丈夫?!」

「...なんで、ここにいんだ...?」

「だって__」

「__お姉ちゃん!」

「香澄!」

 

 他のみんなも来た。

 

「...たく、八舞に怒られても知らねぇぞ...っ!!」

「さい君!」

 

 雅は痛みに悶えた。

 香澄は雅に駆け寄った。

 

「...なぜ、俺の心配をする?」

「え?」

 

 雅はそんな事を聞いた。

 

「俺の兄弟の面倒も見てくれたり、ライブに呼んでくれたり、

 なぜ、俺にそんな事をするんだ...?」

「...さい君、私が刺されそうなとき、守ってくれたよね?」

「?あ、あぁ。」

「その時、すごく怖かったんだ、刺されそうになったことじゃなくて、さい君が刺されたことが。

 でも、その後、さい君は平気そうにしてたよね?」

「あ、あぁ。」

「...でも、見ちゃったの。さい君が痛そうな顔してるの。」

「!!(見られてたのか...)」

「それで、さい君の事情を聞いた時、私はさい君を支えたいって、思ったの。」

「俺を...支える?」

「うん。...でも、これは理由の一つ。」

「一つ...?」

 

 雅は分からない、と言う顔をしている。

 

「私、さい君が、好き、大好き!」

「!!!」

「家族思いで、友達思いで、私を守ってくれて...

 そんな、誰よりも優しい、さい君が、好き...///」

 

 香澄はそう言った。

 

「だから、さい君を支えたい。

 だから__」

「__戸山。」

「さい君...?」

「...俺といると苦労するぞ?

 お前が嫌になるかもしれない。

 何より、俺はそう言うのに疎いから、そっちでも苦労するぞ。」

「さい君...」

「それでも、お前は俺が好きと言えるか?」

「当り前だよ!」

 

 雅の問いに香澄は即答した。

 

「...そうか。」

「うん!」

「(...母さん、俺は出会いに恵まれてたみたいだ...)」

 

 雅は心の中でそう呟いた。

 

「さい君__」

「俺と付き合ってくれるのか、戸山?」

「さい君?!どうしたの、急に!」

「...戸山といるの、いいなと思ってな。

 それで、どうなんだ?」

 

 雅は再度、香澄に聞いた。

 

「私でいいの...?」

「そうだな、俺は戸山がいい。」

「!...じゃ、じゃあ!付き合お!さい君!」

「あぁ。」

 

「_う、うぐ...」

 

 戒田が起きた。

 

「!!戸山、下がってろ。皆も。」

「さい君!」

 

 雅は力を振り絞って立ち上がった。

 

「これが、俺の最後の...!」

 

 戒田はリモコンのスイッチを押した。

 

「...約束は守ったぞ。西園...『マナ』!」

 

 そう言って、戒田は気絶した。

 

「...くっ!」

「さい君!」

「大丈夫だ。それよりも、さっきの聞いたか?」

「え?」

「名前だ、あいつが、叫んだ。」

「西園マナ?__?!」

「気付いたか、西園マナが生きてるなら八舞は...」

「ま、まさか!」

「あいつがもし、西園カナを倒せたら

 西園マナが復活するかもしれない。」

 

 雅は...

 

「(がんばれ、八舞!お前の手で救ってやれ!)」

 

 そう心の中で言った。

________________________

 

 ”栄斗side”

 

「__来たね、八舞♪」

「あぁ。」

「早速始めよっか、私たちの決戦を。」

「いいだろう。」

「じゃあ、この人は返すよ。」

 

 西園は白鷺さんを返した。

 

「「千聖ちゃん!」」

「チサトさん!」

「千聖さん!」

 

 パスパレの皆は白鷺さんに駆け寄った。

 白鷺さんは気絶してるみたいだ。

 

「これで、私たちはフェア。

 邪魔は何もないよ。」

「ここで、過去を全部、終わらせてやる...!」

 

 俺たちの因縁の戦いが今、始まろうとしていた。

 

 




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