「__っ!!」
「あはは!」
「や、八舞君!」
「...」
「どうしたの、八舞?
力が出てないよ?」
戦いは防戦一方だった。
「その動き、いくつの武術を学んだんだ?」
「うーん、あるもの全部、かな!」
「__あ、あるもの全部?!」
「や、やばいよ!あの子!」
「エイトさんは大丈夫なんですか?!」
「わ、分かんないっす...」
「__ねぇ、八舞?」
「...なんだ。」
「なんで、本気を出さないの?」
「...さぁな。」
「もしかして、マナがチラついてるのかな?」
「っ...」
「やっぱりね~。何度も言ったでしょ?マナは__」
「うるさい!」
「わっ!!!」
俺は西園の目の前に蹴りを通過させた。
「...やっぱり、当てないんだね。」
「...(クソ、なんでだ。分かってるのに、なぜか体が拒否してる...)」
「うーん...これじゃ駄目だね。」
西園はそう呟いた。
「いいこと教えてあげるよ。」
「何...?」
「私は今まで、19人殺したんだ!」
「!」
「マナの見た目で、ね。」
「西園...!!」
「その中には、八舞が大好きなマナも含まれてるよ♪」
「...」
「八舞で...20人目!!!」
「!!」
西園が突っ込んできた。
「っ...!」
「そんなのじゃ駄目だよ!八舞!」
「クソ...!」
段々と追い込まれている。
「__これで、終わりだよ。八舞。」
「!!しま__」
ガラガラガラ!!!
端にあった机などが崩れた。
俺はそれの下敷きになった。
________________________
「__ここは...?」
「__久ぶりだね、栄斗。」
「!!」
俺の目の前には、マナがいた。
姿は同じ、でも、マナだと分かった。
「会えてうれしいよ、栄斗。」
「あ、あぁ!俺もだ!」
「何年ぶりだっけ?五年くらい?」
「あぁ。それくらいだ。」
俺はマナに近づこうとした、が
「ダメだよ、栄斗。」
「え?」
「栄人には、しなくちゃいけない事があるでしょ?」
「しなくちゃ、いけない事...?」
「カナちゃんを止めないといけないよ。」
「!」
「栄人なら出来るよね?」
「でも、西園を倒すには...」
「私の身体に攻撃しないといけない?」
「...あぁ。」
俺は頷いた。
「...ねぇ、栄斗?」
「どうした?」
「私がまだ生きてるって言ったら、信じる?」
「マナが?!」
「うん。今、私はカナちゃんに閉じ込められてるんだよ。」
「!」
「だから、私を助けて、栄斗。
やり方は分かるよ、栄斗ならね!」
俺の体が浮いた。
「__いってらっしゃい!栄斗!」
マナは手を振っていた。
________________________
「__呆気なかったな~」
「や、八舞君!!!」
「栄君!」
「エイトさん!」
「八舞さん!」
「...うん?ここは...?」
「ち、千聖ちゃん!」
「彩ちゃん?どうしたのかしら?」
彩は今にも泣きそうな顔をしている。
「八舞君が、八舞君が...」
「え?」
千聖は彩が指さした方を見た
「__え?」
千聖は唖然とした。
普通の人間なら、どう考えても助からない量の机や椅子、彩はそれを指さしていたんだから。
「ど、どういう事、なの、彩ちゃん?」
「八舞君は、あの下に...」
「嘘...?」
千聖は机や椅子の山に駆け寄った。
「嘘よ...八舞君は...」
「__八舞なら、死んだよ?」
西園はそう言った。
「それの下敷きになって普通、助かるわけないでしょ?」
「あなたは...!」
「殺したのは私!西園カナだよ!
最高の気分、私を惨めにした八舞を殺せた!やっと...!」
「!!!」
千聖は西園に近づいた。
「何__!!」
パチン!!
千聖は西園をぶった。
「何するの...?」
「あなたは、分からないでしょう...!
八舞君は変わりかけてた、あなたと言う呪縛を乗り越えようとしてた...!
やっと、心を開きかけてた、なのに...!!__!!」
西園は千聖を蹴り飛ばした。
「千聖ちゃん!」
「そんなに八舞と仲良くしたいなら、あなた達も殺してあげるよ。」
「!!!」
西園は千聖に近づいた。
「まず、あなたから。」
ガラガラガラ!!!
「...?」
「__よう、西園。」
「?!な、なんで?!」
「お前は普通の人間ならって言ってたな。
なら、分かるだろ?俺はお前から見て普通だったか?」
西園は俺がそう言うと落ち着きを取り戻した。
「...そうだった。八舞は普通じゃなかったね。」
「な?」
「だ、大丈夫なの?!八舞君?!」
「大丈夫ですよ、白鷺さん。」
「ほ、本当に...?」
「はい。」
「そう...」
白鷺さんは安心したみたいだ。
「__さてと。」
俺は西園に向きなおった。
「お前を倒す方法が分かったぞ、西園。」
「へぇ...」
「かかってこい。すぐに分からせてやる。」
俺は手招きをした。
「ふん、先に八舞が死ぬかも、ね!!!」
西園は突っ込んできた。
「(__今だ!)」
「!!???」
俺は西園を抱きしめた。
「な、何を...!」
「...」
俺は西園を放さない。
「は、放して...!」
「断る。」
「__あれは、何してるの?」
「あの子を栄君が抱きしめてる...?」
「どういう事なんでしょう...?」
「わかんないっす...」
「あれは...もしかして...」
「千聖ちゃん?」
千聖は何かに気付いた。
「(白鷺さんは気づいたか。
こいつを倒す方法、それはカナとマナを入れ替える事。
そのためには、こいつのストレスを無くすことだ。
こいつの生まれた理由は過度なストレス、つまり...)」
「__は、放し、て...」
「(ストレスを無くせばいい。)」
俺は力を少し強くした。
「な、何、を...?」
「(そろそろだな。)」
俺は西園顔を近づけた。
「な、何__?!///」
俺は西園にキスした。
「んー!んー!」
「(最後はこいつの神経をコントロールすればいい。)」
「__あ、あわわ...!!///」
「栄君だいた~ん!」
「エ、エイトさん...///」
「す、すっごいっすね...///」
「...馬鹿。」
「ち、千聖ちゃん?」
「...何でもないわ。」
俺は作戦を続けていた。
「(早く戻ってこい、マナ...!)」
「(や、やばい!このままじゃ...!)」
(__終わりだよ、カナちゃん。)
「(?!)」
(気付いたかな?カナちゃんのストレスは完全に消えたんだよ。
これでもう、存在できないよ。)
「(ま、まだ!__!!!)」
マナはカナの意識を引きはがした。
(私の...いや、私たちの勝ちだよ。)
(なんで、なんで!!!__)
カナの意識はどこかに消えた。
「(栄斗栄斗。)」
「?」
マナは栄斗の背中を叩いた。
「(まさか。)」
栄斗はマナを放した。
「__ただいま!栄斗!」
「マナ!そうか、カナの人格は__」
「うん、消えたよ!」
「そうか、よかった...」
「__あの、八舞君?」
白鷺さんが近づいてきた。
「どうしました?」
「その子、さっきと雰囲気が違うわ、どうして?」
「あぁ、それは__」
「私がマナだから、ですよ!」
「そう、あなたが。」
「はじめまして!白鷺千聖さん!」
「あれ?なんで私の名前を...?」
「ずっと見てましたから!」
「そう。」
「二人ともー!」
他のみんなも近づいてきた。
「終わったの?」
「はい。もう大丈夫です。」
「そ、そっか~...」
「怖かったね...」
「はい...」
「こわかったっす...」
皆は安心しきった。
「マナ、早くここを出よう。
そして、皆にマナを紹介しないと。」
「...」
「マナ...?」
俺が首をかしげると...
ドォォオオン!
「なんだ!」
どこかで爆発が起こった。
「いや、考えてる暇はない!逃げるぞ!」
「えぇ!」
俺たちは出口に向かった。
________________________
「__多分、爆発したのは隣!もう少しでこっちも...」
「やばい!...あれは!」
出口が見えてきた。
「__た、助かった~!」
「危なかったわ...!」
「そうだね...」
「キキイッパツ、でした...」
「そ、そう、っすね...」
パスパレの皆は外に出た
「皆さん!」
「か、香澄ちゃん?!なんで?!」
「そんな事はいいです!早く逃げないと!」
「ま、まって!まだ中に二人が!」
「八舞先輩!」
「八舞!早く出てこい!」
明日香と有咲は叫んだ。
「__マナ!早く出るぞ!」
「...」
「マナ!」
マナはなぜか動かない。
「...ごめんね、栄斗。」
「え?」
「...私は罪を犯し過ぎたんだよ。
人をたくさん殺して、栄斗を傷つけて。」
「そんなの、全部カナが...」
「一緒だよ。私たちは。」
「そんなこと__!!!」
俺はマナに外に押し出された。
「八舞先輩!!」
「八舞!」
「__マナ!!!」
俺が外に出るのと同時に扉が閉まった。
「マナ!出てこい!今ならまだ!!!」
『__栄斗。』
マナは話し出した。
『最後に栄斗と話せて嬉しかった。』
「最後...そんなわけない!
俺たちはまだ...」
『最後に栄斗に抱きしめてもらって、キスできてうれしかった...///」
マナはガラスに手をついた。
『__何より、栄人が私を好きって事が伝わって、嬉しかった!///』
「マナ!___」
ドォォオオン!!!
マナのいるビルが爆発した。
俺は爆風で吹き飛ばされた。
「八舞先輩!!!」
「大丈夫か!!!」
明日香と市ヶ谷が近づいてきた。
「や、八舞先輩!ガラスが!!」
「__なんで...」
「や、八舞?」
「マナは...マナは、どこだ...」
俺はビルがあった場所に近づいた
「マナ...マナ...」
俺はがれきを漁った。
「や、八舞君...?」
「白鷺さんも...マナを探すの、手伝ってください...あいつなら、どこかに__あ」
「どうしたの?__!?」
俺が見つけたのは、マナが履いてた靴だった。
「...この靴は...」
”回想”
『何見てるんだ?』
『この靴!かわいいなって!』
『確かにそうだな。でも、サイズが大きすぎる、大人用だぞ?』
『う~ん、そうなんだよね~』
『...』
『これは諦めるしかないかな~...』
『マナ。』
『ん~?』
『マナがこの靴、履けるようになったら、プレゼントするよ。』
『え?いいの?!』
『あぁ。いいぞ。』
『なら!楽しみにしてる!すぐに大きくなるね!』
『あぁ!』
『でも、大人用か~』
『時間がかかりそうだな。』
『そうだね。でも、時間かかってもいいかな!』
『なんでだ?』
『だって!これをプレゼントしてくれるんでしょ?
だったら、ずっと一緒でしょ?』
『!!』
『だから、栄斗と一緒にいれるなら、時間がかかってもいいよ!』
『そうか。俺も__』
”回想終了”
「...」
「八舞君...?」
「なんで、なんで、言ってくれないんだよ、マナ...。」
俺は泣いた。
「約束...したじゃないか...履けるようになったらプレゼントするって...。」
俺は靴を拾った。
「八舞君...」
「これじゃ、これじゃ...俺は...」
俺は崩れ落ちた。
「マナ...出てきてくれよ...。
俺は何を失ってもいい...でも、マナは、マナだけは...!!!」
大粒の涙が零れる
「戻って来いよ...マナ...」
俺の声は力なく響いた。
「八舞君...」
「八舞先輩...」
「八舞...」
「...」
栄斗は立ち上がった。
そして、歩きだした
「八舞君...?」
「...帰ります。
皆さんも早くこの場を離れてください。」
「八舞先輩、怪我が...」
「大丈夫だ、明日香。
心配してくれてありがとう。」
「だ、大丈夫か?八舞...?」
「大丈夫だぞ。
市ヶ谷も気を付けて帰れよ。」
雅の方に行った。
「...八舞か。」
「あぁ。...悪いな、雅。」
「俺はいい。お前は__」
「大丈夫だ。全部。」
「八舞...?」
「...またな、雅。」
「おい!八舞!__」
栄斗は歩きだした。
「八舞君...」
その背中は今にも消えそうな、灯のように、弱弱しかった。
その夜、吹いた風は夏に相応しくない、
冷たい、風だった...
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