恋愛のブシドー   作:火の車

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千聖ルート17話です!


第17話

「__っ!!」

「あはは!」

「や、八舞君!」

「...」

「どうしたの、八舞?

 力が出てないよ?」

 

 戦いは防戦一方だった。

 

「その動き、いくつの武術を学んだんだ?」

「うーん、あるもの全部、かな!」

「__あ、あるもの全部?!」

「や、やばいよ!あの子!」

「エイトさんは大丈夫なんですか?!」

「わ、分かんないっす...」

「__ねぇ、八舞?」

「...なんだ。」

「なんで、本気を出さないの?」

「...さぁな。」

「もしかして、マナがチラついてるのかな?」

「っ...」

「やっぱりね~。何度も言ったでしょ?マナは__」

「うるさい!」

「わっ!!!」

 

 俺は西園の目の前に蹴りを通過させた。

 

「...やっぱり、当てないんだね。」

「...(クソ、なんでだ。分かってるのに、なぜか体が拒否してる...)」

「うーん...これじゃ駄目だね。」

 

 西園はそう呟いた。

 

「いいこと教えてあげるよ。」

「何...?」

「私は今まで、19人殺したんだ!」

「!」

「マナの見た目で、ね。」

「西園...!!」

「その中には、八舞が大好きなマナも含まれてるよ♪」

「...」

「八舞で...20人目!!!」

「!!」

 

 西園が突っ込んできた。

 

「っ...!」

「そんなのじゃ駄目だよ!八舞!」

「クソ...!」

 

 段々と追い込まれている。

 

「__これで、終わりだよ。八舞。」

「!!しま__」

 

 ガラガラガラ!!!

 端にあった机などが崩れた。

 俺はそれの下敷きになった。

 

________________________

 

「__ここは...?」

「__久ぶりだね、栄斗。」

「!!」

 

 俺の目の前には、マナがいた。

 姿は同じ、でも、マナだと分かった。

 

「会えてうれしいよ、栄斗。」

「あ、あぁ!俺もだ!」

「何年ぶりだっけ?五年くらい?」

「あぁ。それくらいだ。」

 

 俺はマナに近づこうとした、が

 

「ダメだよ、栄斗。」

「え?」

「栄人には、しなくちゃいけない事があるでしょ?」

「しなくちゃ、いけない事...?」

「カナちゃんを止めないといけないよ。」

「!」

「栄人なら出来るよね?」

「でも、西園を倒すには...」

「私の身体に攻撃しないといけない?」

「...あぁ。」

 

 俺は頷いた。

 

「...ねぇ、栄斗?」

「どうした?」

「私がまだ生きてるって言ったら、信じる?」

「マナが?!」

「うん。今、私はカナちゃんに閉じ込められてるんだよ。」

「!」

「だから、私を助けて、栄斗。

 やり方は分かるよ、栄斗ならね!」

 

 俺の体が浮いた。

 

「__いってらっしゃい!栄斗!」

 

 マナは手を振っていた。

________________________

 

「__呆気なかったな~」

「や、八舞君!!!」

「栄君!」

「エイトさん!」

「八舞さん!」

「...うん?ここは...?」

「ち、千聖ちゃん!」

「彩ちゃん?どうしたのかしら?」

 

 彩は今にも泣きそうな顔をしている。

 

「八舞君が、八舞君が...」

「え?」

 

 千聖は彩が指さした方を見た

 

「__え?」

 

 千聖は唖然とした。

 普通の人間なら、どう考えても助からない量の机や椅子、彩はそれを指さしていたんだから。

 

「ど、どういう事、なの、彩ちゃん?」

「八舞君は、あの下に...」

「嘘...?」

 

 千聖は机や椅子の山に駆け寄った。

 

「嘘よ...八舞君は...」

「__八舞なら、死んだよ?」

 

 西園はそう言った。

 

「それの下敷きになって普通、助かるわけないでしょ?」

「あなたは...!」

「殺したのは私!西園カナだよ!

 最高の気分、私を惨めにした八舞を殺せた!やっと...!」

「!!!」

 

 千聖は西園に近づいた。

 

「何__!!」

 

 パチン!!

 千聖は西園をぶった。

 

「何するの...?」

「あなたは、分からないでしょう...!

 八舞君は変わりかけてた、あなたと言う呪縛を乗り越えようとしてた...!

 やっと、心を開きかけてた、なのに...!!__!!」

 

 西園は千聖を蹴り飛ばした。

 

「千聖ちゃん!」

「そんなに八舞と仲良くしたいなら、あなた達も殺してあげるよ。」

「!!!」

 

 西園は千聖に近づいた。

 

「まず、あなたから。」

 

 ガラガラガラ!!!

 

「...?」

「__よう、西園。」

「?!な、なんで?!」

「お前は普通の人間ならって言ってたな。

 なら、分かるだろ?俺はお前から見て普通だったか?」

 

 西園は俺がそう言うと落ち着きを取り戻した。

 

「...そうだった。八舞は普通じゃなかったね。」

「な?」

「だ、大丈夫なの?!八舞君?!」

「大丈夫ですよ、白鷺さん。」

「ほ、本当に...?」

「はい。」

「そう...」

 

 白鷺さんは安心したみたいだ。

 

「__さてと。」

 

 俺は西園に向きなおった。

 

「お前を倒す方法が分かったぞ、西園。」

「へぇ...」

「かかってこい。すぐに分からせてやる。」

 

 俺は手招きをした。

 

「ふん、先に八舞が死ぬかも、ね!!!」

 

 西園は突っ込んできた。

 

「(__今だ!)」

「!!???」

 

 俺は西園を抱きしめた。

 

「な、何を...!」

「...」

 

 俺は西園を放さない。

 

「は、放して...!」

「断る。」

「__あれは、何してるの?」

「あの子を栄君が抱きしめてる...?」

「どういう事なんでしょう...?」

「わかんないっす...」

「あれは...もしかして...」

「千聖ちゃん?」

 

 千聖は何かに気付いた。

 

「(白鷺さんは気づいたか。

 こいつを倒す方法、それはカナとマナを入れ替える事。

 そのためには、こいつのストレスを無くすことだ。

 こいつの生まれた理由は過度なストレス、つまり...)」

「__は、放し、て...」

「(ストレスを無くせばいい。)」

 

 俺は力を少し強くした。

 

「な、何、を...?」

「(そろそろだな。)」

 

 俺は西園顔を近づけた。

 

「な、何__?!///」

 

 俺は西園にキスした。

 

「んー!んー!」

「(最後はこいつの神経をコントロールすればいい。)」

「__あ、あわわ...!!///」

「栄君だいた~ん!」

「エ、エイトさん...///」

「す、すっごいっすね...///」

「...馬鹿。」

「ち、千聖ちゃん?」

「...何でもないわ。」

 

 俺は作戦を続けていた。

 

「(早く戻ってこい、マナ...!)」

「(や、やばい!このままじゃ...!)」

(__終わりだよ、カナちゃん。)

「(?!)」

(気付いたかな?カナちゃんのストレスは完全に消えたんだよ。

 これでもう、存在できないよ。)

「(ま、まだ!__!!!)」

 

 マナはカナの意識を引きはがした。

 

(私の...いや、私たちの勝ちだよ。)

(なんで、なんで!!!__)

 

 カナの意識はどこかに消えた。

 

「(栄斗栄斗。)」

「?」

 

 マナは栄斗の背中を叩いた。

 

「(まさか。)」

 

 栄斗はマナを放した。

 

「__ただいま!栄斗!」

「マナ!そうか、カナの人格は__」

「うん、消えたよ!」

「そうか、よかった...」

「__あの、八舞君?」

 

 白鷺さんが近づいてきた。

 

「どうしました?」

「その子、さっきと雰囲気が違うわ、どうして?」

「あぁ、それは__」

「私がマナだから、ですよ!」

「そう、あなたが。」

「はじめまして!白鷺千聖さん!」

「あれ?なんで私の名前を...?」

「ずっと見てましたから!」

「そう。」

「二人ともー!」

 

 他のみんなも近づいてきた。

 

「終わったの?」

「はい。もう大丈夫です。」

「そ、そっか~...」

「怖かったね...」

「はい...」

「こわかったっす...」

 

 皆は安心しきった。

 

「マナ、早くここを出よう。

 そして、皆にマナを紹介しないと。」

「...」

「マナ...?」

 

 俺が首をかしげると...

 

 ドォォオオン!

 

「なんだ!」

 

 どこかで爆発が起こった。

 

「いや、考えてる暇はない!逃げるぞ!」

「えぇ!」

 

 俺たちは出口に向かった。

 

 

________________________

 

「__多分、爆発したのは隣!もう少しでこっちも...」

「やばい!...あれは!」

 

 出口が見えてきた。

 

「__た、助かった~!」

「危なかったわ...!」

「そうだね...」

「キキイッパツ、でした...」

「そ、そう、っすね...」

 

 パスパレの皆は外に出た

 

「皆さん!」

「か、香澄ちゃん?!なんで?!」

「そんな事はいいです!早く逃げないと!」

「ま、まって!まだ中に二人が!」

「八舞先輩!」

「八舞!早く出てこい!」

 

 明日香と有咲は叫んだ。

 

「__マナ!早く出るぞ!」

「...」

「マナ!」

 

 マナはなぜか動かない。

 

「...ごめんね、栄斗。」

「え?」

「...私は罪を犯し過ぎたんだよ。

 人をたくさん殺して、栄斗を傷つけて。」

「そんなの、全部カナが...」

「一緒だよ。私たちは。」

「そんなこと__!!!」

 

 俺はマナに外に押し出された。

 

「八舞先輩!!」

「八舞!」

「__マナ!!!」

 

 俺が外に出るのと同時に扉が閉まった。

 

「マナ!出てこい!今ならまだ!!!」

『__栄斗。』

 

 マナは話し出した。

 

『最後に栄斗と話せて嬉しかった。』

「最後...そんなわけない!

 俺たちはまだ...」

『最後に栄斗に抱きしめてもらって、キスできてうれしかった...///」

 

 マナはガラスに手をついた。

 

『__何より、栄人が私を好きって事が伝わって、嬉しかった!///』

「マナ!___」

 

 ドォォオオン!!!

 

 マナのいるビルが爆発した。

 俺は爆風で吹き飛ばされた。

 

「八舞先輩!!!」

「大丈夫か!!!」

 

 明日香と市ヶ谷が近づいてきた。

 

「や、八舞先輩!ガラスが!!」

「__なんで...」

「や、八舞?」

「マナは...マナは、どこだ...」

 

 俺はビルがあった場所に近づいた

 

「マナ...マナ...」

 

 俺はがれきを漁った。

 

「や、八舞君...?」

「白鷺さんも...マナを探すの、手伝ってください...あいつなら、どこかに__あ」

「どうしたの?__!?」

 

 俺が見つけたのは、マナが履いてた靴だった。

 

「...この靴は...」

 

 ”回想”

 

『何見てるんだ?』

『この靴!かわいいなって!』

『確かにそうだな。でも、サイズが大きすぎる、大人用だぞ?』

『う~ん、そうなんだよね~』

『...』

『これは諦めるしかないかな~...』

『マナ。』

『ん~?』

『マナがこの靴、履けるようになったら、プレゼントするよ。』

『え?いいの?!』

『あぁ。いいぞ。』

『なら!楽しみにしてる!すぐに大きくなるね!』

『あぁ!』

『でも、大人用か~』

『時間がかかりそうだな。』

『そうだね。でも、時間かかってもいいかな!』

『なんでだ?』

『だって!これをプレゼントしてくれるんでしょ?

 だったら、ずっと一緒でしょ?』

『!!』

『だから、栄斗と一緒にいれるなら、時間がかかってもいいよ!』

『そうか。俺も__』

 

 ”回想終了”

 

「...」

「八舞君...?」

「なんで、なんで、言ってくれないんだよ、マナ...。」

 

 俺は泣いた。

 

「約束...したじゃないか...履けるようになったらプレゼントするって...。」

 

 俺は靴を拾った。

 

「八舞君...」

「これじゃ、これじゃ...俺は...」

 

 俺は崩れ落ちた。

 

「マナ...出てきてくれよ...。

 俺は何を失ってもいい...でも、マナは、マナだけは...!!!」

 

 大粒の涙が零れる

 

「戻って来いよ...マナ...」

 

 俺の声は力なく響いた。

 

「八舞君...」

「八舞先輩...」

「八舞...」

「...」

 

 栄斗は立ち上がった。

 そして、歩きだした

 

「八舞君...?」

「...帰ります。

 皆さんも早くこの場を離れてください。」

「八舞先輩、怪我が...」

「大丈夫だ、明日香。

 心配してくれてありがとう。」

「だ、大丈夫か?八舞...?」

「大丈夫だぞ。

 市ヶ谷も気を付けて帰れよ。」

 

 雅の方に行った。

 

「...八舞か。」

「あぁ。...悪いな、雅。」

「俺はいい。お前は__」

「大丈夫だ。全部。」

「八舞...?」

「...またな、雅。」

「おい!八舞!__」

 

 栄斗は歩きだした。

 

「八舞君...」

 

 その背中は今にも消えそうな、灯のように、弱弱しかった。

 

 その夜、吹いた風は夏に相応しくない、

 冷たい、風だった...

 

 

 

 

 




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