恋愛のブシドー   作:火の車

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千聖ルート18話です!


第18話

 あの出来事から、はや二週間、夏休みも中盤に差し掛かっていた。

 

「__あれから、八舞君はどうかしら...?」

「...分かりません...」

「電話をしても、メッセージを送っても全く反応がないです...」

 

 あの日から、栄斗は行方不明になっていた。

 

「そう、よね...」

「はい...」

「どこに行ったんでしょうか、八舞先輩...」

「あのバカ...」

「...探してくる。」

「斎藤先輩、私も行きます。」

「私も...」

「さい君が行くなら、私も...!」

「私も行くわ。」

 

 そうして、栄斗探しが始まった。

________________________

 

 ”栄斗side”

 

「...今、何日だ...?」

 

 俺は携帯を確認した

 

「...すごいメッセージだな。」

 

 白鷺さんに明日香、市ヶ谷、雅、戸山、パスパレにポピパ、たくさんの人からメッセージが来ていた。

 

「...外に出て、皆に会わないと。

 心配、かけてるかも。」

 

 俺は外に出た。

________________________

 

「__!」

「おい!あぶねぇよ!!」

「...なんでだ...?」

 

 外に出ると、体に異変が起きた。

 全ての音が雑音に聞こえる、目も...。

 

「...どこに、行けばいいんだ...?」

 

 俺は歩いた。

 

「...どこに__」

 

 ブー!!!

 

「__え?」

 

 車のクラクションの音がする。

 

「__危ない!!!」

「!!!」

 

 俺は誰かに押された。

 

「何やってるの!!」

「...白鷺、さん...?」

 

 俺の目の前には白鷺さんがいた。

 

「あなたまさか、自殺しようとしてたんじゃないでしょうね?!」

「...?」

「どうしたの...?」

「...白鷺さんは今、どんな顔をしてますか?」

「え...?何言って__」

「見えないんです、何も。」

 

 栄斗はそう言った。

________________________

 

「__白鷺先輩!八舞先輩が見つかったって!」

「来たわね、皆...」

「それで、八舞はどこにいるんですか?」

「八舞君は...」

 

 そう言うと診断室の扉があいた。

 

「白鷺さん、お待たせしました。」

「えぇ。」

「八舞先輩!」

「八舞!」

「その声...明日香と市ヶ谷、か?」

「「え...?」」

「...どういう事ですか、白鷺さん。」

「あれ、雅も来てるのか?怪我、大丈夫か?」

「...これは、どう考えても普通じゃないです、どういうことですか。」

「__私から説明しましょう。」

「先生?」

「彼は今、過度なストレスで脳の機能が狂ってます。」

「狂ってる...?」

「はい。目はそれによるものかと。

 何か最近、彼のストレスが強くなる出来事はありましたか?」

「それは...」

「話ずらい事なら、大丈夫です。

 今は彼と一緒にいてください。

 一応、少しだけ入院してもらいます。」

「はい。」

 

 俺は病室に入れられた、らしい。

________________________

 

「__まさか、西園マナの死がここまで傷を残すなんて...」

「ありえない話じゃない。」

「さい君?」

「あいつにとっては一番大切な人だ、特に親のいないあいつにとっては...」

「そんな人が、目の前で...。」

「八舞...」

「取り合えず、話をしてみましょうか...」

 

 皆は栄斗に近づいた。

 

「おい、八舞。」

「なんだ、雅?」

「お前、目が見えなくなったのはいつだ?」

「えーっと、白鷺さんに助けてもらって、目を開けたら見えなくなってたな。」

「あの時...?」

「...他には何かおかしいところはあったか?」

「そうだな、あ、家を出てすぐの時は全部が雑音に聞こえてた。」

「(耳もか...)」

「八舞先輩...」

「八舞...」

 

 明日香と有咲は今にも泣きそうだった。

 

「明日香?市ヶ谷もどうした?」

「...八舞、今日は帰るわ。

 また来る。」

「え?急だな。」

「悪いな。」

「まぁ、またな。」

「またね八舞君。」

 

 皆は病室を出た。

________________________

 

 ”雅たち”

 

「__皆、大丈夫か?」

「え、えぇ...」

「私も...」

「「...」」

「二人は駄目か。」

 

 明日香と有咲はうつ向いていた。

 

「...どんな、気分なんだろうな...?」

「さい君?」

「一番大切な人が目の前で死ぬって、どんなに悲しいんだろうな...?」

 

 雅はそう呟いた。

 

「...あいつにもう、生きる希望はない。」

「「「!!」」」

「そ、そんな!」

「戸山、気付いてないのか。

 あいつの変化に。」

「変化...?」

「あいつ、笑ってたんだよ。」

「そう言えば...」

「...あいつはあんなに笑うやつだったか?」

「っ...!」

「あいつは____かもしれない。」

「!__」

「あっちゃん?!」

 

 突然明日香が走り出した。

 

「(__ダメ!絶対ダメ!!そんなこと...!)」

 

 明日香は必死に走った。

 

『__あいつは死に方を探してるかもしれない。』

 

「(待って!私はまだ、何も、返せてない!)」

________________________

 

 ”栄斗”

 

「__マナ...」

 

 俺は立ち上がった。

 そして、手探りで窓近くに来た。

 ガラスの感触を感じる...

 

『__栄斗が私を好きって伝わって、嬉しかった!///』

「マナ!待ってくれ!マナ!__」

「__八舞先輩!!!」

「?...明日香?」

「...なんで、泣いてるんですか...?」

「泣いてる?俺が?」

 

 俺は自分の頬を触った。

 

「...本当だ、いつの間に...?」

 

 俺は驚いた。

 

「...八舞先輩...」

「どうした、明日香?__!?」

 

 明日香が抱き着いてきた。

 

「あ、明日香...?」

「...私じゃ、ダメなんですか...?」

「え?」

「八舞先輩の悲しみは私じゃ埋められないんですか...?」

「明日香...」

「八舞先輩は死に方を探してる...」

「?!な、なんで...?!」

「...斎藤先輩の言う通りでした。」

「気付いたのか...」

「やめて、ください...」

 

 明日香は消え入りそうな声でそう言った。

 

「私から、離れないで...」

「明日香...?」

 

 明日香の力が強くなった。

 

「好きです...」

「!」

 

 明日香はそう言った。

 

「優しい八舞先輩が好き、私を助けてくれた八舞先輩が好き。」

「明日香...」

「だから、私から、離れないで...

 私を置いて行かないで...!」

「...」

「だから__!!!」

 

 俺は明日香の頬を触った。

 

「明日香は今、泣いてるんだな。」

「八舞、先輩...?」

「俺のせいで泣いてるのか、ごめんな、明日香。」

 

 明日香の頭を撫でた。

 

「...暖かいな、明日香は。」

「私も暖かいです。」

「...もう少し、生きるのも悪くないのかもな。」

「!」

 

 俺はそう言うと、明日香は放れた。

 

「__よかった...よかったよ...!」

「明日香は今、どんな顔してる?」

「そうですね__」

 

 明日香は空気を吸って...

 

「最高の笑顔、でしょうか!」

 

 元気な声でそう言った。

 

「そうか。見てみたいな。」

「なら、早く目を治してくださいね。」

「そうだな。」

「__じゃあ、私は帰りますね。」

「あぁ。ありがとう、明日香。」

「はい。...あと...」

「?」

「返事、待ってますね?」

「...分かった。」

 

 そう言うと病室のドアが閉まった。

 俺はベッドに座った。

 

「__生きる、か...」

 

 そう呟くとドアが開いた。

 

「誰ですか?」

「...私だ。」

「市ヶ谷?明日香を迎えに来たのか?

 ならさっき帰ったぞ?」

「ちげーよ。話に来たんだよ。」

「話?」

「...お前、死にたいのか?」

 

 市ヶ谷は真面目な声でそう聞いてきた。

 

「...さっきまでそう思ってた。」

「やっぱりな...って、さっきまで?」

「あぁ。今は生きてみるのも、いいかなって思ってる。」

「そ、そっか...」

「どうした?」

「いや、私、バカみたいだなって。」

「市ヶ谷は頭いいだろ?」

「そういう事じゃなくて...って、それはいいよ!」

「?」

 

 市ヶ谷は俺に近づいてきた

 

「...ちょっとしゃがめ。」

「?分かった。」

 

 俺はしゃがんだ。

 

「...一回しか言わないから、しっかり聞けよ?」

「あぁ...?」

「ほ、ほんとのほんとに一回だからな!///」

「分かった。」

「そ、そっか...じゃあ__」

 

 市ヶ谷は深呼吸をして...

 

「私、お前が好きだ、八舞。///」

「?!」

「はい!終わり!私帰るからな!」

「ちょ!待て、いつから?!」

「...わかんね。でも、気付いてなかっただけで、結構前から...って何言わせんだ!///馬鹿!///」

 

 そう言って、病室のドアが勢いよくしまった。

 そして、すぐ開いた。

 

「__これ、本気だからな。///

 返事、ちゃんとしろよ...?///」

「あ、あぁ、分かった。」

「...じゃあな、八舞///」

 

 病室のドアが閉まった。

 

「...どうなってんだ?明日香に続いて市ヶ谷まで?」

 

 俺は不思議に思った。けど、

 

「...ありがとな、二人とも俺を好きになってくれて。

 そして、生きる意味を与えてくれて。

 そして、待っててくれ。」

 

 俺は顔を上に向けて。

 

「__俺が乗り越えるのを。」

 

 俺は一人、そう言った。

 

 

 

 

 

 




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