「__そろそろか。」
俺は校門前にいる。
「お待たせしました!」
「そんなに待ってないぞ、六花。」
六花が走ってきた。
「そうですか?じゃあ、行きましょう!」
「あぁ。」
俺は六花について行った。
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「__ここです!」
「...すごいな。」
「は、はい、私もそう思います。」
六花も苦笑いだ。
「なんでこんなでかい建物なんだ?
あれか、資産家でもメンバーにいるのか?」
「ま、まぁ、入りましょう。」
「そうだな。」
俺たちは建物に入った。
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「__こんにちわー」
「来たわね、ロック。」
「お邪魔しまーす。」
「!?だ、誰?」
俺が部屋に入ると、小さな女の子がいた。
「俺は八舞栄斗。六花の先輩です。」
「そ、そう...じゃなくて!」
「?」
「ロック!どうして連れてきたの?!」
「え、えっと、興味があると言っていたので...」
六花が小さく見える。
てか、シュールだな。
「__おーっす...って、何してんだ、チュチュ?」
「マスキング!実は__」
チュチュと呼ばれた女の子は事情を説明した。
「...なるほどな。それで問題の奴が...って、八舞栄斗じゃねぇか。」
「こんにちわ、ますきさん。」
「おう。で、なんでここに来たんだ?」
「聞いた通りです、興味があって。」
「だがな、チュチュが__」
「__こんにちは、皆。」
長い黒髪の人が入ってきた。
「よう、レイ。」
「Hi,レイヤ。」
「こんにちは、レイさん。」
「...えっと、あ、ボーカルの人か。」
「え?君は?...って、八舞栄斗?」
「え?」
向こうは俺に心当たりがあるみたいだ。
「どこかで会いました?」
「覚えてない?小学校の時の音楽の時間。」
「うーん?」
俺は記憶をたどった。
「もしかして、和奏?!」
「そうよ。」
「思い出した。音楽の時となりだった。
あと、歌がめちゃくちゃ上手かった。」
「私はずっと体育を見学してた印象があるかな?」
「っ!...和奏、それは言わないでくれ。」
「え?」
「頼む。」
「うん、分かった。
...で、なんで、ここにいるの?」
「それは__」
俺は事情を説明した。
「__なるほどね。
ねぇチュチュ?」
「...何?」
「彼に演奏を聴いてもらうのいいかもしれないわよ?」
「why?」
「小学校の時の彼の音楽への感想は一線を隔してたの。」
「それが?」
「彼、もしかしたらチュチュの役に立つかもしれないわよ?」
「...面白そうね。...ねぇ、あんた。」
「なんだ?」
「見ていくのは許可するわ、でも、邪魔はしない事ね。」
「分かった。」
なんとか説得できたみたいだ。
「__チュチュ様~!」
「パレオ、遅かったわね?」
「申し訳ありません~、コンビニのジャーキーが売り切れてて...」
「sit!なんで?!」
「分かりません~!」
「あ、忘れてた。」
俺はカバンからあるものを出した。
「チュチュ、だっけ?これ。」
「ジャーキー!じゃなくて、なんで持ってるのかしら?」
「いや、手ぶらで来るのもあれと思って差し入れ的なものを。
あ、ほかの皆にもケーキとかありますよ。後で召し上がってください。」
「ケーキ!」
「あ、ますきさんの好きなケーキはおじさんに聞いていたので買ってますよ。」
「...あの親父、何話してんだ?」
「まぁ、いいじゃない、ますき。
ありがとうね、八舞君。」
「いえ。」
「わ、私より早くなじんでる...」
「そうでもないぞ?あ、六花も食べろよ?」
「は、はい!ありがとうございます!
あ、お代を__」
「いいよ。差し入れだから。
...あ、冷蔵庫とか無い?」
「こちらにありますよ!」
「お、ありがと。」
ケーキを冷蔵庫に入れた。
「__それじゃあ、そろそろ始めるわよ!」
練習が始まった。
「マスキング!また入ってるわよ!」
『...わりぃ。』
「ほう...」
しばらく見たが、練習のレベルがすごく高い。
これをまとめるチュチュの腕もいい、
いいバンドだな。
「...Hey、エイト。」
「ん?」
「この演奏を見てどう思うかしら?」
「いいと思うぞ、レベルも高いし。
でも、言うとするなら。」
「?」
「パレオ、だっけ?
キーボード、ミスってただろ?」
『気づきましたかー』
「Really?」
「あぁ。キーボードの音が良く耳に入ってな。」
「...」
そんなこんなで、練習が終わった。
「__おやつの時間ですよ!チュチュ様!」
「パレオ!落ち着きなさい!」
「...これ、気になってたところのだ。」
「ますきが前に言ってたやつ?」
「あぁ。」
皆はケーキを選んでいる。
「__あれ?」
「どうした?レイ?」
「ケーキ、一個足りてないわ。」
「え?本当ですか?」
「今全員で6人、一人分足りてないわ。」
「?足りてるぞ?
RASの皆は5人、足りてるだろ?」
「...おい、八舞はどうすんだ?」
「俺はいいですよ。皆で食べてください。ますきさん。」
「だがな__」
「見てみてください。」
俺はチュチュとパレオの方を指さした。
「チュチュ様~どれがいいですか?」
「えっと...あ...ショートケーキ!」
「じゃあ、パレオもショートケーキにします~!」
「__あれを見てどう思いますか?」
「...可愛いな。」
「でしょ?俺一人でこの空気を崩すのは野暮ですよ。」
「...今度だ。」
「?」
「礼するから、連絡先教えろ。」
「?気にしなくてもいいですよ?」
「いいから渡せ。」
「あ、はい。」
「あと、同い年だ、敬語はいらねぇ。」
「え?同い年?」
「レイと同い年だろ?私も高2だ。」
「!!!」
驚いた。
かっこよすぎて年上と思ってた。
「まぁ、食べたらどうだ?
これ、連絡先。」
「あ、私も。」
「和奏もか?」
「うん。話したいこともあるし。」
「話したいこと?まぁ、ますきに聞いてくれ。」
「分かった。」
そうして、お茶会が始まった。
「__Hey、エイト?」
「ん?どうした?」
「あなた、このバンドに足りないものが分かるかしら?」
「足りないもの?メンバーの欠員はいないし、設備もいい、メンバー同士の関係も悪くない...なんだ?」
「優秀なマネージャーよ。」
「マネージャー?」
「裏方も出来るのが好ましいわ。」
「それがどうしたんだ?」
「あなたをスカウトしたいわ。」
チュチュはそう言った。
「スカウト?俺を?」
「yes.」
「なんでだ?俺は素人だぞ?」
「洞察力が素人のそれじゃないわ。
大丈夫よ。パソコンとかは出来るかしら?」
「出来るぞ。」
「マネージャー、しないかしら?」
「うーん、時間がある時ならいいが、来れないときもあるかもだぞ?」
「No probrem.」
「なら、いいぞ。」
「Ok。頼りにするわ。」
「おう。」
「栄斗さんがマネージャーですか~。」
「だ、大丈夫なんですか、八舞先輩?」
「大丈夫だぞ。」
「手間が省ける。よろしくな、八舞。」
「よろしくね、八舞君。」
「あぁ、よろしく。」
こうして、RASのマネージャーをすることになった。
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「__今日は解散よ。練習日はまた連絡するわ。」
俺は帰る用意をしていた。
「ねぇ、八舞君。」
「?どうした、和奏?」
「聞きたいことがあるのだけど。」
「なんだ?」
「...さっきから顔色が悪い気がするのだけど、どうしたの?」
「...」
「昔も体育、してなかったし。」
和奏がそう聞いてきた。
「...仕方ない。和奏には隠せなさそうだから教えてやる。」
俺は和奏の耳に口元を寄せて
「俺は___だ。」
「!?」
「じゃあな。」
「ちょ、ちょっと待って!」
「まだ、大丈夫だ。」
俺は建物を出た。
「__まだ、大丈夫。」
俺はそう呟き、帰路についた。
感想などお願いします!
皆さん、RASは好きですか?
私事になりますが、自分は好きです。
特にマスキングこと、ますきさんが。