恋愛のブシドー   作:火の車

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日菜ルート5話です!


第5話

「__来たぞ、チュチュ。」

「Hello,エイト。」

「俺はまず何からすればいい?」

「まずは__」

 

 あれから三日が経った、

 俺はRASの練習に来ていた。

 そして、チュチュに仕事の説明を受けてる。

 

「__以上よ。」

「了解。じゃあ、まずは機材の準備からな。」

「YES」

「じゃあ、行ってくる。」

 

 俺はスタジオに行った。

 

「__えっと、これはここで。

 これは...」

「あ、八舞君。」

「よう、和奏。」

「こんなに早く来て、仕事熱心なのね?」

「普通じゃないか?」

「そうかな?」

「あ!エイトさんにレイさん!」

「パレオ...って、髪の色変わってないか?」

「そこに気付きましたか!」

「いや、気付くに決まってるだろ。」

「これはですね~パスパレのライブの準備なんですよ~!」

「パスパレ?確かアイドルバンドだったか?」

「はい!皆かわいくて__」

「あー、長くなりそうだから後で聞くな。」

「そうですか?」

「...それより、六花は買い出しに行ったからわかるが、

 ますきが来てないな。」

「そういえば...どうしたのかしら?」

 

 俺たちが噂をしてると

 

「__遅れた。」

「ますき?遅かったわね?」

「わりぃな。」

「大丈夫ですよ、まっすーさん!

 練習はまだ始まってません!」

「そうか。」

「よう、ますき。」

「...八舞か。」

「あぁ。それよりも大丈夫か?」

「...大丈夫だ。」

「そうか。(この顔、大丈夫ではないな。)」

「お、お待たせしました!」

「六花。大丈夫だから落ち着け。」

「そうよ?ますきも今来たところだし。」

「そうだぞ。」

「そ、そうなんですか?よかった...」

「全員揃ってるわね?じゃあ、練習をスタートするわよ!」

 

 そうして練習が始まった...が、

 

『__マスキング!また遅れてるわよ!』

「...わりぃ。」

「(やっぱり調子が悪そうだな。いや、これは...)」

 

 俺は考えた。

 

「なぁ、チュチュ。」

「どうしたの?」

「今日の練習はここまでにしよう。

 調子が悪いときは誰にでもある。」

「...そうね。」

 

 チュチュはマイクを持って

 

『今日の練習はここまでよ。

 体調を整えて。』

 

 そう言って、練習が終わった。

 

「__ますき?どうしたの?」

「...何がだ?」

「調子、悪かったでしょ?

 ますきらしく無かったわよ?」

「らしいって、なんなんだ?」

「え?」

「...いや、なんでもねぇ。

 今日は悪かった、帰る。」

「ちょっと!ますき!」

 

 ますきは部屋を出た。

________________________

 

「_はぁ、何やってんだ、私は...」

「ますき。」

「!...八舞か、何か用か?

 言っておくが前の事は__」

「俺と遊びに行かないか?」

「は?」

 

 ますきは呆気にとられた顔をした。

________________________

 

 俺たちは今、ゲームセンターにいる。

 

「おー、うるさいなー」

「いや、なんで来たんだよ。」

「いや、気晴らしするならここって、

 近所のおばあちゃんが言ってたから。」

「...どんな、ばあちゃんだよ。」

「まぁ、遊ぼうぜ!ますき!」

「...仕方ねぇな。」

 

 俺たちは色んなもので遊んだ。

 レースゲーム、メダルゲーム、シューティングゲーム。

 

「__次、あれしないか?」

「モグラたたき?」

「あぁ。したことがなくてな。」

「言っておくが、私、結構強いぞ?」

「楽しみだ。」

 

 俺はモグラたたきを始めた。

 

「__おらぁ!」

 

 ますきが振ったハンマーはモグラに当たらない。

 挙句の果てには、

 

『ざ~んね~ん!』

 

 なんてあおりも加えてくる。

 

「くっそ!むかつくな!」

「ますき、これも使え。」

 

 俺はもう一つのハンマーを渡した。

 

「よし、これでこいつらを__」

 

 それから、モグラたたきは激しさを増した。

 

「__ふぅ。」

「おー。お見事。」

「ふん、当然だ!」

 

 ますきはご満悦みたいだ。

 

「八舞、次は何行く?」

「うーん、あ。」

「?」

「俺の頼みを聞いてくれないか?」

「頼み?」

「ついて来てくれ。」

「?あぁ?」

 

 俺たちはある場所に向かった。

________________________

 

「__ここだ。」

「ライブハウス?」

「あぁ。入ろう。」

「おい!八舞!」

 

 俺たちはライブハウスに入った。

__それから、ある部屋に入った。

 

「__これは...」

 

 入った部屋にはドラムがセットされてた。

 

「俺の頼みは、ますきの演奏を聞かせてほしいんだ。」

「...なんでだ?」

「俺が聞きたいからだ。」

「...嘘だな。」

「?」

 

 ますきはそう言った。

 

「あの時の私を見て、気を使ってんだろ?」

「あれ?ばれた?」

「いや、この状況で気付かない方がおかしいだろ。」

「そうだな。」

「悪いが、私は__」

「でも、俺が聞きたいのは本当だぞ?」

「は?」

「ますきのドラム、一回しか聞いたことないけど好きだからな。」

「...それも__」

「ますきが傷ついてるのは分かるぞ。」

「!」

「狂犬と呼ばれて、色んなバンドから手放されて、孤独を味わってきたんだろ?」

「...」

「だから、RASでは演奏を遠慮してる。」

「!!」

「所謂、入ってるってのが、ますきの純粋な演奏だろ?」

「...あぁ。」

「だから俺はそれを聞きたいんだ。」

 

 ますきはうつ向いてる。

 

「お前に何が...」

「...」

「お前に何が分かるんだよ!」

 

 ますきはそう言った。

 

「私には今まで居場所がなかった、手数が増えちまうからメンバーには煙たがられるし、それが原因で辞めさせられたりもした。」

「...」

「だから、RASが私を拾ってくれた時は嬉しかったんだ!だから、もう、同じ失敗は出来ねぇ...」

 

 ますきは目に涙を浮かべてる。

 分かりずらいが、ますきは繊細なんだろう。

 そのために自分を隠したがる。

 でも

 

「...それで、ますきは楽しいか?」

「っ...」

「周りに合わせるだけのドラム。

 それは、ますきのドラムって言えるのか?」

「...」

「純粋にドラムを楽しむ気持ちはなくなったか?

 ますきにとって、ドラムは仕事にでもなったのか?」

「そんなこと...」

「だったら、聞かせてくれよ。

 佐藤ますきの純粋なドラムってやつを。」

 

 俺はますきを見据えてそう言った。

 

「...いいぜ。やってやるよ。」

「ますき...!」

「ただし!」

「?」

「ついて来れなくなって、倒れるんじゃねぇぞ?」

「!...上等だ。」

「じゃあ、やるぞ!」

 

 そうして、ますきの演奏が始まった。

 

 その演奏はさっき練習で聞いたものとはまるっきり違う、荒々しいく暴力的、まさに狂犬だ。

 でも、この中には確固たる技術がある。理にかなった動き、音。

 何よりも、

 

「(...楽しそうに叩いてるな。)」

 

 ますきの楽しそうな笑顔が一番の違いだ。

 

__そうして、演奏が終わった。

 

「__ふぅ...」

 

 俺は拍手を送った。

 

「すごいな。最高だった。」

「八舞...」

「ますきはこれでいい。」

「!?」

「激しい演奏だった。まるで腹を殴打されてるみたいだった。」

「...」

「でも、聞いてる側には充実感がある。」

「!」

「ますきはますきだ。どこでも自分らしくだラムを叩いたらいいじゃないか。」

「八舞...」

「あと、あの笑顔、最高だったぞ!なんというか...」

「?」

「可愛かったぞ!」

「!?///」

「だから__」

「分かった!もういい!」

「そうか?」

 

 ますきは慌てて俺の発言を止めた。

 

「...ありがとな、八舞。」

「おう。」

 

 ますきは静かにそう言った。

 迷いはなくなったみたいだ。

 

「...それと。」

「?」

「可愛いってのは、本当、なのか?」

「?あぁ。」

「...そうか///」

「どうした?」

「なんでもねぇよ、バカ八舞。」

「?そうか。」

「じゃ、私は帰る。」

 

 ますきは扉の方に行った。

 

「...八舞。」

「ん?」

「次の練習から覚悟しとけよ!」

 

 ますきは飛び切りの笑顔でそう言った。

 

「あぁ...!」

「ふっ、じゃあな。」

 

 そう言って、ますきは部屋を出た。

 

「......そろそろ、いいか。」

 

 俺はせき込んだ。

 

「はぁはぁはぁ、やばい無理しすぎたか。

 動き回るのは控えないとなんだけどな...でも。」

 

 俺は天井を見上げた。

 

「...ますきを救えたから、いいや。」

 

 俺は一人でそう呟いた。

________________________

 

 ”ますきside”

 

「__たく、八舞の奴...」

 

 ますきは言葉とは裏腹にうれしそうに歩いてる。

 

『可愛かったぞ!』

「...たく///」

 

 ますきはため息をついた。

 

「...漫画でしか見たことなかったが...」

 

 ますきは空を見上げて。

 

「(恋って、こう言うもんなんだよな...)」

 

 ますきは夕日を見て。

 

「...覚悟しとけよ、八舞!」

 

 そう叫んだ。

 

 これが『狂犬』佐藤ますきの恋の始まりだ。




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