恋愛のブシドー   作:火の車

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日菜ルート7話です!


第7話

「__ますき?」

「...どうした?」

 

 俺はRASの練習に来るなり、ますきに話しかけた。

 

「この前は悪かった。ますきの気持ちもわからないで...」

「!?」

「確かにパレオだけじゃ嫉妬もするよな。」

「お、お前、まさか気付いて...?///」

「あぁ...だから、俺は責任を取ってきた!」

「!?///」

「これを、受け取ってくれ。」

「や、八舞!?///」

 

 俺が出したものは...サイン色紙だった。

 

「...」

「いやー、まさか、ますきもパスパレのファンと思わなくてな。

 だから、日菜さんに頼んでサイン、貰ってきたぞ!__いてぇ!」

 

 何故かますきに脛を蹴られた。

 

「...はぁ、期待した私がバカだった...」

「なんで...?」

「八舞ってそういうやつだったよな...」

「気に入らなかったのか?

 ますきのために貰って来たんだが、どうしようか。」

「待て、八舞。」

「?」

「それは、私のために貰って来たのか?」

「?あぁ。」

「...なら、貰う。」

「え?うん。」

 

 俺はますきに色紙を渡した。

 

「...♪」

「(機嫌、直ったのか?)」

 

 よく理解できなかったが、ますきの機嫌は直ったみたいだ。

 

「__あ、チュチュ。」

「どうしたの?」

「今日、予定があるから少し先に帰ってもいいか?」

「いいわよ。あなたはいつも、よく働いてくれるし。」

「さんきゅ。」

 

 そうして、時間は過ぎていった。

________________________

 

 俺はRASの練習を早引きし、駅前に来た。

 目的は...

 

「__栄くーん!」

「あ、日菜さん。お疲れ様です。」

「うん!」

 

 天体観測の待ち合わせだ。

 

「じゃあ!行こっか!」

「はい。」

 

 俺たちは電車に乗った。

________________________

 

「__そーいえばさー」

「はい?」

「最近、栄君、私に良くサイン貰いに来るよねーどうしたの?」

「あー、日菜さんの、と言うよりパスパレのファンの子がいまして。」

「へぇ~。どんな子なの?」

「うーん、髪がカラフルな子とかっこいい子ですね。」

「カラフル?...あ!」

「ん?」

「この子、いっつも最前列で見てる子だー!」

「(パレオってそんなに熱狂的なファンだったの?!)」

「ライブに合わせて髪の色変えててね~すごいな~って!」

「...そういえば、またピンクと水色になってたような...」

 

 俺はパレオの髪が少し心配になった。

 俺たちはしばらく電車に揺られながら話した。

 

「そう言えば、日菜さん?」

「ん~?」

「俺以外の部員っていないんですか?」

「いないよ~」

「え?」

 

 俺は驚いた。

 

「部活って人数いないと認められないんじゃ?」

「ふふ~ん!私、生徒会長だから!」

「あ...(察し)」

「良い事思いついた!」

「?」

「栄君も生徒会入りなよ!」

「え?いや、それは流石に無理でしょう。」

「うーん...出来ると思うんだけどな~」

「まぁ、出来るなら考えておきます。」

「そう?じゃあ、やってみるよ!」

「はい。」

 

 そうしてる内に目的地に着いた。

________________________

 

「__夜の山って不気味ですね。」

「そう?私はるん♪ってする!」

「そうですか。」

 

 俺たちは山を登っていた。

 

「そう言えば、なんで山なんですか?

 天体観測なら屋上とかでも出来たでしょうに。」

「うーん、るん♪ってきたからかな!」

「まぁ、山から見る星は綺麗と思うので、

 いいんですけどね。」

「そうだよね!」

 

 俺たちはしばらく歩いた。

 

「...日菜さん、道がなくなったんですが。

 それに、深入りしすぎな気が。」

「そう?」

「こんなに深い場所なら、シーズン的に熊がいたりして。」

「そんなまさかー__」

 

 ガサガサ!

 近くの草が揺れた。

 

「「...」」

 

 俺たちの目には、

 それは巨大なクマが写っていた。

 

「...やばくないですか?」

「うん、やばいね。」

「熊が襲ってくる理由って驚いてるかららしいです。」

「うん、知ってるよ?」

「なので、静かに離れましょう。

 出来るだけ音をたてないように。」

「う、うん...」

 

 俺たちは慎重に歩きだした。

 

「...まだ、こっちには気づいてません。

 多分、食べ物でも探してるんでしょう。」

「うん__」

 

 バキバキ!

 

 日菜さんが枝を踏んづけてしまった。

 この音は静かな山で熊に方向を伝えるのに十分すぎた。

 案の定、熊はこちらに向かってきた。

 

「!__逃げますよ!日菜さん!」

「栄君!」

 

 俺たちは走り出した。

 

「早すぎだろ!」

「お、追いつかれちゃう...!」

「クソ!どこか...あ、あれだ!」

「栄君?」

「日菜さん、何かあったらすいません!」

「え?__きゃ!」

 

 俺たちは近くにあった大きな草の中に隠れた。

 

「__え、栄君...?」

「しっ。静かに。」

「///」

 

 熊は近くにいる。

 

「(ど、どうだ...?)」

 

 熊の足音が離れた。

 

「行ってくれたか...」

「え、栄君?///」

「まだ静かにしててください。

 まだ向こうの視界の中にいるかもしれない。」

「(は、恥ずかしいよ...///)」

「(見えた。こっちには関心はないみたいだ。

 そのまま離れてくれ)」

 

 しばらくすると、熊は森の奥に行った。

 

「...ふぅ、熊はなんとかまけました。」

「う、うん...///」

「日菜さん?どうしたんですか__?!」

 

 俺は今の状況を整理した。

 まず、俺は今、日菜さんを押し倒してる、

 そして、枝か何かに引っかかったのか服が破れてる、

 そして、日菜さんは顔を赤くしてる。

 ここから導き出される答えは...

 

「す、すいませんでした!」

「う、うん///」

 

 俺たちは草から出た。

 

「__ほんとにすいませんでした...

 テンパりすぎて日菜さんへの配慮が足りてませんでした。」

「だ、大丈夫だよ!栄君のお陰で助かったんだからさ!」

「そうですか...」

「(どうしたんだろ、私?さっきからドキドキしてる...

 熊に追いかけられてたから?走ったからかな?)」

「__日菜さん、あそこに開いた場所がありますよ!」

「え?」

「行きましょう。」

 

 俺たちは開けた場所に向かった。

 

「__山頂、みたいです。」

 

 俺たちが着いたのはこの山の山頂だった。

 空には無数の星が輝いてる。

 

「登山のルートがある、よかった。正規のルートに戻れましたね。」

「うん。ごめんね...私のせいで...」

「日菜さん?」

 

 日菜さんは珍しく落ち込んでいる。

 

「...日菜さん、空を見てくださいよ。」

「空...?」

「綺麗な星空が見えるでしょう?」

「うん...」

「この景色が見れるのは誘ってくれた日菜さんのお陰ですよ。

 あのくらいのアクシデント、問題ないですよ。」

「栄君...」

「天体観測するんでしょう?

 しましょう。」

「!...うん!」

 

 俺たちは天体観測を始めた。

 

「__すっごく綺麗だねー!」

「そうですね。」

 

 日菜さんの元気が戻った。

 

「...でも、星って悲しいですよね。」

「悲しい?なんで?」

「今、見えてる星のほとんどは死んでる星ですから。

 こんなに輝いてる星が死んでるなんて、悲しいなと。」

「栄君...?」

「...ほんと、俺と似てる。」

「え?」

「いえ、なんでもないです。」

「う、うん。

 (栄君の今の顔...栄君は何を思ってたの?

 私には分からないよ、でも、今の栄君、

 なんて言うか、消えちゃいそうな、そんな風に見えた...)」

「どうしました?」

「なんでもないよ!それよりも星は綺麗だねー!」

「そうですね。」

 

 日菜さんはまた、はしゃぎだした。

 

「__ねぇ!栄君!」

「はい?__!?」

 

 俺が見た日菜さんは美しかった。

 日菜さんの笑顔はどんな星よりも輝いてる。

 

「星ってさ、どうしてこんなに綺麗なの!」

「...わかりません。」

「私は分かったよ!」

「え?なんですか?」

「それはね~__」

 

 日菜さんは飛び切りの笑顔で...

 

「__栄君と見てるからだよ!」

 

 と、言った。

 その時、俺の心臓は飛び跳ねた。

 

「(なんだ、これは...?)」

 

 動悸が激しい。でも、いつものじゃない。

 俺には理解できなかった。

 

「(私、分かった!私、栄君が好きなんだ。///

 だから、こう思うの!__)」

「日菜さん?」

「また、栄君と、星が見たいな!」

「...いいですよ。」

 

 それから、俺たちは、しばらく星を眺めた。

________________________

 

 俺たちは帰ってきた。

 時刻はもう遅い。

 

「__今日はありがとね!栄君!」

「いいですよ。」

「送ってくれありがと!」

「この時間に一人は危ないですからね。

 それじゃあ。」

「うん!バイバイ、栄君!」

 

 日菜さんは手を振っていた。

 俺は家に帰った。

 

________________________

 

 俺は家に帰ってきた。

 

「__ただいま__?!」

 

 俺は床に倒れた。

 

「う、うぅぅぅ!!!」

 

 俺は床を張って行った。

 

「(や、やばい、薬、飲まねぇと。)」

 

 視界が歪んできた。

 

「も、もう少し...」

 

 俺は何とか薬のある場所にたどり着いた。

 

「__ンぐ...ふぅ...助かった。」

 

 なんとか落ち着いた。

 

「...もう、カウントダウンは始まってるのか。」

 

 俺は椅子に座った。

 

「この心音一つ一つが__

 俺の死へのカウントダウン、か。」

 

 俺はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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