恋愛のブシドー   作:火の車

76 / 125
日菜ルート8話です!


第8話

 天体観測から少し経って、7月になった。

 今は昼休みだ。

 俺は三年のみんなと弁当を食べていた。

 

「__あ!栄君のお弁当、美味しそー!」

「そうですか?何か食べます?」

「え!いいの?」

「いいですよ。なにがいいですか?」

「うーん、じゃあ、卵焼きがいい!」

「はい。」

 

 俺が弁当箱を差し出すと、

 

「栄君が食べさせて!」

「え?」

「ひ、日菜?!」

「日菜さん?!」

「...?」

「儚い...」

 

 周りの皆は驚いてるみたいだ。

 

「じゃあ、箸貸してください、日菜さん。」

「うん!」

 

 日菜さんから箸を受け取った。

 

「じゃあ、どうぞ。」

「あーん!」

 

 日菜さんは卵焼きを食べた。

 

「どうですか?」

「美味しー!」

「そうですか。」

「なんて言うか、バビューンって感じ!」

「わ、私たちにはちょーっと分からないかなー?」

「そ、そうっすね...」

「?どうしたの、二人とも?」

「...ねぇ、日菜と八舞君って付き合ってるの?」

「えぇ?!///な、何言ってるの、リサちー!?///」

「だって、ねぇ?」

「お弁当、食べさせてもらってましたし...」

「何が不思議なの?私もリサに良くしてもらうわ。」

「いや、そうじゃなくてね?」

「まだ付き合ってないよー!///」

「まだ?」

「もう!リサちー!」

「あはは、ごめんごめん!」

「(...付き合うか。俺には縁のない話だな。)」

 

 そして、話が切り替わった。

 

「__そー言えばさ、夏休みとかって皆予定あるの?」

「私たちは練習でしょう?」

「私はまだ分かんなーい。」

「ジブン達はいくつか収録がありますよ!」

「そうだっけ?」

「私は、演劇部かな。」

「俺はRASの練習以外の予定はないですね。」

「え!そうなの?!」

「?はい、日菜さん。」

「じゃあ!遊びに行こうよ!」

「いいですよ。」

「ちょっと待って。」

「今井さん?」

「今、すっごい自然な流れでデートの約束しなかった?」

「デート?遊びに行くだけですよ?」

「いやいやいや!」

「リサ、様子が変よ?どうしたの?」

「え?私がおかしいの?」

「今井さん、ジブンもおかしいと思ってます。」

「儚いね...」

 

 今井さんの常識が守られたらしい。

 こうして、昼休みが終わった。

________________________

 

 少し経ち、夏休みに突入した。

 

「ねぇねぇ!栄君!」

「どうしたんですか?」

「今から遊びに行こうよ!」

「今からですか?まぁ、いいですよ。」

「じゃあ!行こ!」

「はい。」

 

 俺たちは学校を出た。

________________________

 

「__あれ?八舞?」

「あ、ますき。」

「こんにちはー!」

「お前は、氷川日菜だったか?」

「うん!そうだよ!」

「この前はサイン、ありがとな。」

「あ!パスパレのファンの子ってまっすーだったんだ!」

「あぁ。」

「栄君から聞いたんだー!」

「へぇ、八舞は何て言ってたんだ?」

「かっこいい子って言ってたよ!」

「...そうか。」

 

 俺は何の話をしてるかわからなかったが、

 仲良くなったみたいだ。

 

「それで、二人は何してたんだ?」

「今から遊びに行くの!」

「!?...二人で、か?」

「うん!」

「そうだな。」

「...」

 

 ますきは複雑な表情をしてる。

 

「まぁ、俺たちは行くよ。

 また練習でな。」

「あ、おい、八舞!」

「ばいばい!まっすー!」

「...八舞の野郎...」

 

 ますきは家に帰った。

________________________

 

 俺たちは色んな所で遊んだ。

 

「__んー!楽しかったー!」

「満足そうですね。」

「うん!いっぱい遊んだもん!」

 

 俺は日菜さんを家まで送っていた。

 

「__ん?」

 

 日菜さんの家に着くと、家の前でもめ事が起きていた。

 

「そこをなんとか!」

「日菜は今いません!」

「お姉ちゃん?」

「日菜!今は__」

「どうもこんにちは!氷川日菜さん!」

「...誰?」

「私は芸能事務所のものです。

 今回は氷川日菜さんを引き抜きしたく思いまして__」

 

 そいつは話し出した。

 内容はさっき言った通り。

 でも、意味は大きく違う。

 

「(内容は金になるから引き抜きたいってとこか。)」

「__それで、いかがでしょうか?」

「うーん...嫌かな。」

「!ど、どうして?!」

「だって、るんってこないんだもん。」

「い、いや、でも__」

「往生際が悪いぞ。」

 

 俺は話しに入った。

 

「日菜さんが断ったんだ、交渉の余地なんてないだろう。

 帰れ。」

「...また来ます。」

 

 男は帰って行った。

 

「ひっどい交渉だったな。」

「あの、あなたは...?」

「お姉ちゃん!この子が栄君だよ!」

「どうも、八舞栄斗です。」

「あなたが...」

 

 氷川さんはじっ俺を見ている。

 

「?」

「確かに日菜から聞いてた通りの人ですね。」

「そうなんですか?」

「えぇ。」

 

 それから、俺は帰った。

________________________

 

 今日はRASの練習だ。

 

「__ねぇ、八舞君?」

「どうした?和奏。」

「今日、ますきの機嫌が悪いんだけど、何か知らない?」

「うーん、分からんな。」

「そう言えば、氷川日菜ちゃんと一緒にいたって話が...」

「日菜さんと?あ、そういえば、あの時ますきと会ったな。」

「そうなの?」

「あぁ。でも、あの時は普通だったぞ?」

「うーん、あ、」

「どうした?」

「う、ううん!なんでもないよ!(多分、また嫉妬だよね、これ)」

 

 和奏がため息をついた。

 

「そう言えばなんだけど__」

 

 和奏が何かを言おうとした時、俺の携帯が鳴った。

 

「大和さん?」

『や、八舞さんっすか?!』

「どうしました?慌ててるようですが?」

 

大和さんはかなり焦ってるみたいだ。

 

『ひ、日菜さんがいなくなったっす!』

「なんですって?!」

『仕事の電話をかけても出ないんですよ!』

「ど、どういう事だ...?」

「どうしたの?八舞君?」

「日菜さんがいなくなった...」

「え?!」

 

 その時、俺の携帯に一軒のメッセージが来た。

 

「なんだ?...これは!」

『八舞さん?』

「大和さん、犯人が分かりました。」

『えぇ?!』

「多分、○○事務所にいます。」

『○○事務所って...この前、日菜さんの引き抜きに来てた...』

「そうです。...俺が行きます。」

『ちょ、ちょっと__』

 

 俺は電話を切った。

 

「どうした、八舞。」

「栄さんどうしました?」

「八舞先輩?」

「日菜さんが攫われた。助けに行ってくる。」

 

 俺は部屋を飛び出した。

________________________

 

 道に出ると、俺の身体に異変が起きた。

 

「__!!!くそ、なんでこんな時に...!」

 

 発作が起きてしまった。

 

「薬を取りに行く時間はない。

 日菜さんを!」

 

 俺はこの時自覚し、確信した。

 

「__俺は日菜さんが好きだ、そして__」

 

 俺はおおきく呼吸をして...

 

「__これが、俺の最後だ。」

 

 俺はそう覚悟し、走り出した。

 

「待っててください、日菜さん!」

 

 

 




感想などお願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。