恋愛のブシドー   作:火の車

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日菜ルート9話です!


第9話

「__ここか。」

 

 俺は事務所の前に来た。

 

「扉は...まぁ、空いてるわけないか。」

「八舞君!」

「...和奏?ますきもどうした?」

「顔色悪いよ?!大丈夫なの?!」

「...何の、事だ?」

「まさか__」

「和奏、それ異常は言うな。」

「でも、このままじゃ八舞君が...」

「何の話だ、二人とも?」

「ますきには話してもいい?」

「構わんぞ。一緒だ。」

「話すよ、ますき。」

「何をだ?」

「実は__」

 

 和奏はますきに俺の事を話した。

 

「__という訳なの...」

「そ、そんな...八舞はなんで...」

「それは...日菜さんが好きだからだ。」

「?!」

「だから、命を懸けてでも助けたいんだ。」

 

 俺は事務所に近づいた。

 

「...行ってくる。」

 

 俺は扉をこじ開けた。

________________________

 

「__どこだ、日菜さん。」

 

 俺は建物の中を探していた。

 

「それで、二人はなんでついてきた?」

「「...」」

「ここは危険だ。芸能事務所なんて多少の事はかき消せる、特に俺たちを不法侵入と言えば__」

「関係ないよ。私たちは八舞君の助けになりたい。」

「あぁ。(悔しい。八舞が氷川日菜を好きなこともだが、何より、八舞を止められない事が。)」

「ますき?」

「...八舞、頼みがある。」

「頼み?」

「出来るだけ、死なないでくれよ。」

「ますき?」

「私はまだ、お前に何も返せてないんだからな。」

「...運が良ければ。」

 

 俺たちは奥に進んだ。

 

『__やめて!』

「!日菜さんの声だ!」

「八舞君!」

「八舞!」

 

 俺は声のした方に走った。

 

「__ここだ。」

 

 たどり着いたのは、ダンスルーム的なところだ。

 俺は扉を開けた。

 

「__誰だ?!」

「よう、この間ぶりだな。」

「お、お前は!」

「え、栄君!」

「何しに来た!」

「日菜さんを助けに来た。

 大人しく返せ。」

「お断りだ。彼女はうちの社長が気に入っててね。

 このままいけば、俺の評価がうなぎのぼりなんだ!」

 

 欲望にくらんだ眼をしてる。

 日菜さんは顔色が悪い。

 

「お前、日菜さんに何をした?」

「少し...ね?」

 

 日菜さんの方をちらっと見た。

 そう言えば、服が乱れてる。

 

「抵抗されてたんだ。」

「...最低。」

「クズだな。」

「...」

 

 俺はこの時、何かが切れた。

 

「な、なんだ?__が!」

「...もう、喋らなくてもいい。」

 

 俺は男を殴り飛ばした。

 俺はさらに追撃した。

 

「ちょ__やめ__。」

「...耳障りだ。」

「!__ぎゃぁぁ!!」

 

 歯が折れたみたいだ。

 

「喋るなと言ったぞ、ゴミ。」

「お、折れ__ぎゃぁぁぁ!鼻、鼻がぁぁ!!!」

「(やばい...早く終わらせないと...)」

 

 俺は一旦距離を取った。

 

「ひぇ...?」

「これで__」

「__警察だ!」

「警察...?一体だれが?」

「八舞さん!ジブンっす!」

「大和、さん。」

「○○!お前を逮捕する!...って、これは...?」

「ひどい状態だな。」

「これを、あの少年がやったのか...?」

 

 警官は俺の方を見てる。

 

「__栄君!」

「日菜さん。」

「ありがとう...怖かった...」

「大丈夫ですよ。もう、終わりましたから。」

 

 俺は日菜さんを撫でた。

 

「...日菜さん。」

「どうしたの?」

「少し、離れて、くださ__」

「え...?」

 

 栄斗は大量の血を吐いた。

 

「はぁ...はぁ...クソ...」

「栄君!!!」

「八舞!!」

「八舞君!!」

 

 三人が栄斗に駆け寄った。。

 

「__さようなら、皆。」

 

 栄斗は意識を手放した。

________________________

 

 あの事件から2週間経った。

 

「__栄君、来たよ。」

 

 返事は返ってこない。

 

「ほんとに、寝てるみたい...」

 

 日菜は栄斗の頭を撫でた。

 

「寂しいよ...栄君...。

 なんで、こんな...」

 

 日菜は泣いてる。

 

「分かんないよ...栄君はなんで...」

 

 あれから、栄斗は目覚めていない。

 栄斗は進行度が進み過ぎたがんだった。

 ここ最近の出来事で体にかなりの負担がかかっていた。

 

「...お仕事あるから行くね?また来るからね。」

 

 日菜は病室を出た。

________________________

 

 ”日菜side”

 

「__お待たせしました。」

「日菜ちゃん?早いわね__?!」

「ヒナさん?!大丈夫ですか?!」

「うーん?だいじょーぶだよー」

「で、でも、すっごく顔色悪いよ?!」

「(日菜さんはあの出来事から、ずっと笑顔っす。

 八舞さんがいつ帰ってきてもいいように、と。

 でも...)」

 

 麻弥は日菜を見た。

 

「(日菜さん...)」

「?どうしたの、麻弥ちゃん?」

「いえ、なんでも...」

 

 麻弥は目をそらした。

 

「(日菜さん、何度泣きましたか?

 どれだけ、自分を責めたんすか?

 どれだけ...)」

________________________

 

 ”RAS”

 

「...」

 

 RASの雰囲気は殺伐としていた。

 

「...ますき、大丈夫?」

「...あぁ。」

「ますきさん...」

 

 ここ最近、ますきは口数が極端に減った。

 目の下のクマもひどい。

 

「マスキング、今日はもう終わりよ。」

「...あぁ。」

「ますき...」

「じゃあな、レイ。」

 

 ますきはスタジオを出た。

________________________

 

 ”日菜side”

 

 日菜は仕事を終えた後、すぐに栄斗の病室に来た。

 

「__よう、氷川日菜。」

「まっすー...」

「こいつは、まだ寝てるよ。」

「そう、だよね...」

 

 日菜は椅子に座った。

 

「「...」」

「...ほんと、いつまで寝てんだよ...」

「そう、だね。」

 

 二人は栄斗を見ている。

 その時、誰かが病室に入ってきた。

 

「__失礼します。」

「あ、先生。」

「どうも...」

「八舞君は...起きてないか。」

「はい...」

「まずいな...」

「え?」

「どういう事だ?」

「ここから、何もないと...」

「ないと...?」

「彼は1週間以内に、死ぬ。」

「「え...?」」

 

 二人が聞いたのは栄斗の死の宣告だった。

 




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