「__ここか。」
俺は事務所の前に来た。
「扉は...まぁ、空いてるわけないか。」
「八舞君!」
「...和奏?ますきもどうした?」
「顔色悪いよ?!大丈夫なの?!」
「...何の、事だ?」
「まさか__」
「和奏、それ異常は言うな。」
「でも、このままじゃ八舞君が...」
「何の話だ、二人とも?」
「ますきには話してもいい?」
「構わんぞ。一緒だ。」
「話すよ、ますき。」
「何をだ?」
「実は__」
和奏はますきに俺の事を話した。
「__という訳なの...」
「そ、そんな...八舞はなんで...」
「それは...日菜さんが好きだからだ。」
「?!」
「だから、命を懸けてでも助けたいんだ。」
俺は事務所に近づいた。
「...行ってくる。」
俺は扉をこじ開けた。
________________________
「__どこだ、日菜さん。」
俺は建物の中を探していた。
「それで、二人はなんでついてきた?」
「「...」」
「ここは危険だ。芸能事務所なんて多少の事はかき消せる、特に俺たちを不法侵入と言えば__」
「関係ないよ。私たちは八舞君の助けになりたい。」
「あぁ。(悔しい。八舞が氷川日菜を好きなこともだが、何より、八舞を止められない事が。)」
「ますき?」
「...八舞、頼みがある。」
「頼み?」
「出来るだけ、死なないでくれよ。」
「ますき?」
「私はまだ、お前に何も返せてないんだからな。」
「...運が良ければ。」
俺たちは奥に進んだ。
『__やめて!』
「!日菜さんの声だ!」
「八舞君!」
「八舞!」
俺は声のした方に走った。
「__ここだ。」
たどり着いたのは、ダンスルーム的なところだ。
俺は扉を開けた。
「__誰だ?!」
「よう、この間ぶりだな。」
「お、お前は!」
「え、栄君!」
「何しに来た!」
「日菜さんを助けに来た。
大人しく返せ。」
「お断りだ。彼女はうちの社長が気に入っててね。
このままいけば、俺の評価がうなぎのぼりなんだ!」
欲望にくらんだ眼をしてる。
日菜さんは顔色が悪い。
「お前、日菜さんに何をした?」
「少し...ね?」
日菜さんの方をちらっと見た。
そう言えば、服が乱れてる。
「抵抗されてたんだ。」
「...最低。」
「クズだな。」
「...」
俺はこの時、何かが切れた。
「な、なんだ?__が!」
「...もう、喋らなくてもいい。」
俺は男を殴り飛ばした。
俺はさらに追撃した。
「ちょ__やめ__。」
「...耳障りだ。」
「!__ぎゃぁぁ!!」
歯が折れたみたいだ。
「喋るなと言ったぞ、ゴミ。」
「お、折れ__ぎゃぁぁぁ!鼻、鼻がぁぁ!!!」
「(やばい...早く終わらせないと...)」
俺は一旦距離を取った。
「ひぇ...?」
「これで__」
「__警察だ!」
「警察...?一体だれが?」
「八舞さん!ジブンっす!」
「大和、さん。」
「○○!お前を逮捕する!...って、これは...?」
「ひどい状態だな。」
「これを、あの少年がやったのか...?」
警官は俺の方を見てる。
「__栄君!」
「日菜さん。」
「ありがとう...怖かった...」
「大丈夫ですよ。もう、終わりましたから。」
俺は日菜さんを撫でた。
「...日菜さん。」
「どうしたの?」
「少し、離れて、くださ__」
「え...?」
栄斗は大量の血を吐いた。
「はぁ...はぁ...クソ...」
「栄君!!!」
「八舞!!」
「八舞君!!」
三人が栄斗に駆け寄った。。
「__さようなら、皆。」
栄斗は意識を手放した。
________________________
あの事件から2週間経った。
「__栄君、来たよ。」
返事は返ってこない。
「ほんとに、寝てるみたい...」
日菜は栄斗の頭を撫でた。
「寂しいよ...栄君...。
なんで、こんな...」
日菜は泣いてる。
「分かんないよ...栄君はなんで...」
あれから、栄斗は目覚めていない。
栄斗は進行度が進み過ぎたがんだった。
ここ最近の出来事で体にかなりの負担がかかっていた。
「...お仕事あるから行くね?また来るからね。」
日菜は病室を出た。
________________________
”日菜side”
「__お待たせしました。」
「日菜ちゃん?早いわね__?!」
「ヒナさん?!大丈夫ですか?!」
「うーん?だいじょーぶだよー」
「で、でも、すっごく顔色悪いよ?!」
「(日菜さんはあの出来事から、ずっと笑顔っす。
八舞さんがいつ帰ってきてもいいように、と。
でも...)」
麻弥は日菜を見た。
「(日菜さん...)」
「?どうしたの、麻弥ちゃん?」
「いえ、なんでも...」
麻弥は目をそらした。
「(日菜さん、何度泣きましたか?
どれだけ、自分を責めたんすか?
どれだけ...)」
________________________
”RAS”
「...」
RASの雰囲気は殺伐としていた。
「...ますき、大丈夫?」
「...あぁ。」
「ますきさん...」
ここ最近、ますきは口数が極端に減った。
目の下のクマもひどい。
「マスキング、今日はもう終わりよ。」
「...あぁ。」
「ますき...」
「じゃあな、レイ。」
ますきはスタジオを出た。
________________________
”日菜side”
日菜は仕事を終えた後、すぐに栄斗の病室に来た。
「__よう、氷川日菜。」
「まっすー...」
「こいつは、まだ寝てるよ。」
「そう、だよね...」
日菜は椅子に座った。
「「...」」
「...ほんと、いつまで寝てんだよ...」
「そう、だね。」
二人は栄斗を見ている。
その時、誰かが病室に入ってきた。
「__失礼します。」
「あ、先生。」
「どうも...」
「八舞君は...起きてないか。」
「はい...」
「まずいな...」
「え?」
「どういう事だ?」
「ここから、何もないと...」
「ないと...?」
「彼は1週間以内に、死ぬ。」
「「え...?」」
二人が聞いたのは栄斗の死の宣告だった。
感想などお願いします!