恋愛のブシドー   作:火の車

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日菜ルート10話です!


第10話

「__手術をします。」

「手術...?」

「はい。成功率は限りなく低いですが、

 最善を尽くします。」

「はい。」

「(八舞...)」

________________________

 

 ”日菜side”

 

「栄君...」

『日菜?いるの?』

「お姉ちゃん...?」

『入るわよ。』

 

 紗夜は日菜の部屋に入った。

 

「...全く、なんて顔してるの?」

「私、どんな顔してるの...?」

「そうね...ひどい顔、かしら?」

「そっか...」

「隣、座るわよ?」

「うん」

 

 紗夜は日菜の隣に座った。

 

「話は聞いたわよ、日菜。

 この前の彼、入院したらしいわね。」

「...うん。」

 

 日菜は元気がない。

 

「日菜?」

「なに?お姉ちゃん?__?!」

 

 紗夜は日菜を抱き寄せた。

 

「...悲しいのを我慢なんてしないで、

 私に話して。」

「お姉ちゃん...?」

「あなたには私がついてるわよ。」

 

 紗夜は優しくそう言った。

 

「...栄君が入院したのは私のせいなの...」

「...」

「私が攫われたとき、体は限界だったのに...助けに来てくれて...。

 他にも、いっぱい、栄君を振り回して...。」

「そんな事、彼は思ってないわよ。」

「お姉ちゃん...?」

「彼は日菜にずっとついて来てくれてたでしょう?」

「うん。」

「彼が振り回されてると思ってたら、ついて来てなんかくれないわ。」

 

 紗夜はそっと日菜の頭を撫でた。

 

「...私、栄君が好き。」

「そう。」

「だから、生きててほしい。」

「だったら、祈りなさい。

 そして、彼の近くにいてあげなさい。」

「...うん!」

「(八舞栄斗君、出来れば、日菜とこの先も...)」

 

 手術の日近づいてくる。

________________________

 

 手術の日になった。

 この日は今まで栄斗に関わった全員が来ていた。

 

「栄君...皆、来てくれたよ?」

「__そろそろ、お時間です。」

 

 栄斗の手術が始まった。

 

「栄君...」

「八舞...」

「ノープロブレム。」

「チュチュ?」

「エイトは期待に応えるわ。

 私の中では期待に応える天才よ。」

「ですよね~!チュチュ様!」

「八舞先輩はすごいんですよ!」

「そうだよ、日菜!」

「彼は日菜に並ぶ天才なのよ、大丈夫に決まってるわ。」

「儚い...」

「いや、儚かったらダメなんすよ!」

「(...神様、お願い...! 

 何でもするから、栄君を、助けて...!)」

 

 手術室のランプが点灯した。

________________________

 

 ”夢”

 

「んあ?ここは?」

「ここは夢だ。」

「あれ?俺?」

「あぁ。初めまして。」

「初めまして。それで、何の用で来たんだ?」

「お前、今、手術中だぞ?」

「え?なんで?」

「助かる可能性があるらしい。」

「え、マジか。俺めちゃくちゃかっこ悪いじゃん。」

「そうだな。喜べ。」

「まぁ、助かったら嬉しいよな。」

「氷川日菜の事か?」

「そうだ。」

「まぁ、それはいいとして。」

「?」

「お前は生きたいか?」

「生きたいよ。」

「なら、向こうに歩いていけ。」

「向こうに?」

「そっちが出口だ。

 さっさと行け。」

「そうか。じゃあ、行く。」

 

 俺は歩きだした。

 

「じゃあな、俺。」

「あぁ。」

 

 俺は光のほうに歩いた。

________________________

 

 ”日菜side”

 

 手術が始まってから、3時間が経過した。

 

「__手術が終了しました。」

「ど、どうでしたか...?」

「手術自体は成功しました。

 後は本人の気力次第です。」

「は、はい...」

「八舞君は病室に運んであります。」

 

 全員、栄斗の病室に向かった。

________________________

 

「__入ったら、分かるんだよね...?」

「あぁ...」

「お、起きてなかったりしたら...」

 

 無言になった。

 

「考えても仕方ないから、開けるよ...!」

 

 日菜は扉を開けた。

 

「__あれ?皆?どうしたんですか?」

「え、栄君...?」

「え?はい、俺ですけど?__って、うわ!」

 

 日菜は栄斗に抱き着いた。

 

「どうしたんですか?怖い夢でも見ましたか?」

「...うん。」

「そうですか。」

 

 日菜さんの頭を撫でた。

 

「どんな夢でしたか?」

「...栄君がいなくなる夢。」

「...すごい不吉な夢ですね。」

「よかった、よかったよ...」

 

 日菜は栄斗の胸に顔をうずめたままだ。

 

「俺はいなくなりませんよ、日菜さん。」

「うん、うん...!」

「だから、泣かなくてもいいですよ。

 日菜さんに涙は似合いませんよ?」

「...うん!」

 

 日菜は輝くような、笑顔になった。

 

「...」

「ますき?どこ行くの?」

「...帰る。」

「ますき...泣いてるの?」

「泣いてぇ...」

「八舞君に話しかけないの?」

「...いい。」

「なんで?」

「...あの二人の間に入る余地、ないからな。」

「まさか...」

「...八舞は氷川日菜のものだよ。」

「ますき!」

 

 ますきは出口の方に歩いて行った。

 その姿は狂犬と呼ばれたドラマーではなく、

 報われない恋をした、女の子、だった。

 

「...第二の人生、幸せにな。八舞。」

________________________

 

 少し、時が経ち、秋になった。

 

「__栄くーん!!」

「日菜さん...って、また抱き着いて来て。」

「だって...心配なんだもん。」

「はいはい。」

「安心するー...」

「あ!日菜いた!やっぱりここかー」

「あ、リサちーだ。どうしたの?」

「つぐみが探してたよー。早く行ってあげないと。」

「あ、生徒会の仕事!忘れてた!」

「早く行きなよー」

「むぅー。」

「羽沢が困りますよ?

 早く行かないと。」

「うーん、仕方ないかー。

 じゃあ、行ってくるよ!」

「はい。行ってらっしゃい。」

「また、来るからね!」

 

 日菜さんはそう言って走って行った。

 

「いやー、日菜は相変わらずだねー。」

「そうですねー。」

「そういえばさ!二人って付き合ってるの?」

「え?付き合ってませんよ?」

「へ?」

「?」

「あのやり取りしてたのに?」

「?いつも通りですよ?」

「...待って、頭痛くなってきた。」

「保健室、行きますか?

 お連れしますよ?」

「いや、いいよ。」

「そうですか。」

「(最近、日菜は八舞君に依存してるからねー。

 これからどうなるんだろ?)」

「どうしました?」

「なんでもないよ。」

 

 今井さんは頭を抱えている。

 

「じゃあ、友希那のとこ行くよ!」

「はい。」

「じゃあね!」

 

 今井さんは歩いて行った。

 

「...体軽いな。」

 

 俺はがんを乗り越えた。

 今は健康そのものだ。

 これからが俺の第二の人生だ。

 

 世の病気になった人も、最後まで自分を諦めずに戦って、打ち勝ってほしいな。

 乗り越えた先には、きっと、幸せがあるから。

 少なくとも、俺の世界は輝いてるよ。

 日菜さんって言う光があるから。

 

 

 

 

 

 

 




感想などお願いします!

この作品の本編が完結したら、メタ回的なものをしたんですが、
メタ回に使えそうな質問などないですか?
番外編のリクエストも募集しますので是非!
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