"友希那”
「...栄斗。」
友希那は家で一人、ネックレスを眺めていた。
「寂しいわ。私を一人にするなんて...。
帰ってきて...栄斗...」
それから一時間後
「__ただいまー。」
「栄斗!」
「うお!...って、友希那。
どうしたんだ?」
「寂しかったわ。帰ってくるのが遅いんだもの。」
「いや、まだ7時だからな?」
「寂しかったわ...」
「...はいはい。」
俺は友希那の頭を撫でた。
「寂しい思いさせた悪かった。」
「ん♪」
「まぁ、夕飯にしようか。」
「あ、その事なのだけれど。」
「ん?」
「今日は私が作ってみたわ!」
「な、何?!」
俺とした。
だって、あの友希那が、
歌以外はポンコツの友希那が!
「...なぜ、泣いてるの?」
「いや...感動してな...。(リサさんとお義父さんに教えてあげよう...!明日はお祝いパーティだ!)」
俺のこの感動は数分後に無残に砕け散る。
「__あの、友希那...?」
「?」
「うん、首をかしげるのは凄くかわいい。
じゃなくて、これは何を作ったんだ...?」
「分からないの?カレーよ!」
友希那がカレーと呼ぶものは、
野菜が切られず入っており、肉は赤みが目立つ、
ルーも所々溶け切ってない。
一言で言うと...やばい、だ。
「...食べないの...?」
と、友希那が不安そうに聞いてきた。
「い、いや!食べるよ!楽しみだな!
(そうだ!これは友希那が頑張って作ったんだ!肉は牛肉だからセーフだし、野菜も多分、大丈夫だ!多分!!ルーだって溶けてないのが何だ!食えば一緒だ!)」
俺は自分を暗示した。
「いただきます。」
「えぇ。」
「それじゃあ...」
俺はカレーを口に運んだ。
「!!!」
「栄斗?」
「(お、落ち着け。まだ、慌てる時間じゃない。)
な、なぁ、友希那?」
「?」
「これ、隠し味とか入れた?」
「隠し味?えぇ、入れたわ!」
「そ、それは何かな?」
「私の栄斗への愛...///」
「(あ、めっちゃ可愛い。)」
「と、タバスコとスーパーに売ってた辛いソースとそこにあったぬか?ってやつね。」
「愛で止めて?!」
俺は愕然とした。
そう、俺事、八舞栄斗は辛い物が苦手だ。
今までいう事はなかったが。
「食べないの...?」
「い、いや、その...」
辛いに加えてカレーとぬかという奇跡の共演で俺の身体は限界だった。
「やっぱり、美味しくないかしら...」
「!?」
「ごめんなさい、これは__」
「い、いや!美味いぞ!」
「!!」
「いやー、美味しすぎて感動してしまった。
すぐに食べるよ!」
俺は勢いに任せてカレーを食べ始めた。
「(俺の限界が何だ!友希那のためならいくらでも超える!!!)
おかわりだ!友希那!」
俺はカレーを食べ終え、意識を失った。
________________________
「__ん...ここは?」
「...起きたかしら?」
「あ、友希那、おはよう。」
俺は友希那に膝枕をされてる。
「あれ?俺は何をしてたんだ?」
「夕飯を食べ終わってすぐに寝たわ。」
「そうなのか。ごめんな。」
「いいわ、私のせいだもの...」
「え?」
「私のカレー食べてみたけどひどい物だったわ...
あんなのを栄斗に食べさせてたなんて...」
「...」
「自分が恥ずかしいわ...」
「いや、それは違うぞ。」
「え?」
「友希那が愛を込めた料理がまずいわけないだろ?」
「でも...」
「俺はいいと思ったぞ、友希那のカレー。」
「栄斗...」
「なんたって、友希那の愛が詰まってたからな!」
俺は笑顔でそう言った
「~!♡///」
「友希那?」
「栄斗...」
「ん?__って、うわ!」
俺は友希那にソファに押し倒された。
「あ、あのー、友希那さん?
これはどういう状況でしょうか?」
「...そろそろ...」
「ん?」
「そろそろ、私たちも子供が欲しいわ♡」
「ふぁ?!」
「今夜は寝かせないわよ♡」
「...仕方ないか。」
これが、今の俺たち。
________________________
”リサ”
「__ただいま。」
「あ!おかえり!栄斗!」
「あぁ、リサ。」
「ご飯にする?お風呂にする?それとも...私にしちゃう?///」
「」
開いた口がふさがらず、目が飛び出しそうだ。
たしか、あこがれのシチュエーションでこんなのあったような...
俺がそんな事を考えてると。
「...///」
「あ。」
リサがプルプルし始めた。
「...リサ?」
「な、何かな?///」
「恥ずかしいなら、無理しない方がいいぞ。」
「うん...///」
「ご飯にしようか。」
俺たちはリビングに行った。
「__それにしても、リサの料理は美味しい。」
「ふふ、ありがと!でも、栄斗のが美味しいじゃん~」
「そうか?俺はリサの料理の方が好きだがな。」
「そ、そう?」
俺たちがそんな話をしてると
「う~ん、あ、パパ!」
「お!陽和!起きて来たか!」
「うん~!」
陽和はこっちに手を伸ばしてきた。
「お!だっこか?」
「うん!」
「おし!任せとけ!」
「わー!高いー!」
「ははは!そうかそうか!」
「いいね~陽和~!」
「うん!あ!ママもしてもらう?」
「う~ん、私はいいかな~...」
「あ!ママこの前またふと__」
「よ~し!陽和!お風呂入ろっか~!」
「?はーい!」
「あの、リサ?」
「ん?どうしたの~?」
「...いえ、なんでもございません。」
「そう?じゃあ!お風呂入ってくるね~☆」
「は、はい。」
リサからヤバいオーラが見えた。
そんな中、あの発言をするわが娘...。
4歳児恐るべし。
俺はそう思った。
________________________
俺は風呂に入り、リビングでくつろいでいた。
「__栄斗。」
「あ、リサ。陽和は寝たのか?」
「うん!ぐっすりだよ!」
「そうか。」
「隣、いい?」
「もちろん。」
「じゃあ。」
リサは俺の隣にかけた。
「今日もお疲れ、栄斗!」
「ありがと。リサもお疲れ。」
「うん!」
俺はリサにお酒を注いだ。
「う~ん!美味しー!」
「うん、悪くない。買ってよかった。」
「栄斗は相変わらずセンスがいいねー!」
「偶然なんだがな。」
俺たちはしばらく話しながらお酒を飲んでいた。
「ねぇねぇ~栄斗~」
「ん?」
「今日、陽和がね~弟か妹が欲しいって~」
「へぇ。陽和もそういう事言う年になったのかー」
「それでさ、明日休みじゃん?」
「そうだな?」
「だからさ、しない?」
「え?」
「しばらく、ご無沙汰じゃん?」
「いや、でも、陽和が起きたら...」
「...もう、私じゃ魅力ない...?」
リサは寂しそうに言った。
「そんな事はありえない。...仕方ないな。」
「!ちょ!」
俺はリサを抱きかかえた。
「お、重いでしょ?おろした方が__」
「いや?軽いぞ。」
「そ、そう?」
「あぁ。」
俺は頷いた。
「じゃあ、行こうか。リサには魅力があふれてるって、証明してやるよ。」
「う、うん///」
その先はご想像にお任せしよう。
そして、陽和に妹が出来るのは、間もなくの、未来だ。
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