恋愛のブシドー   作:火の車

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なんか千聖さんが万能キャラかしてるような?


第9話

 俺はいつも通り、屋上にいる。

 

「あら?今日もいるのね、人気者さん?」

「...もう、何となくわかってた。」

 

 案の定、白鷺さんが来た。

 

「あなたはなんで、いつも屋上にいるのかしら?」

「簡単なことっすよ、校則が発布されるまでは、 

 ギャラリーが集まるんで、ここにきてんすよ。」

「人気者も大変ね♪」

「...なんでちょっと嬉しそうなんすか?」

 

 白鷺さんは嬉しそうに笑っている。

 

「まぁ、それはそうとして。」

「いや、俺にとっては死活問題なんすけど。」

「...あなたは、なんで『演技』をしているのかしら?」

 

 と、真面目な顔で聞いてきた。

 

「...それを知ってどうする気で?」

「なにもないわよ? 

 ただ、単純な興味。」

 

 ...どうだかね。

 

「じゃあ、答えなくてもいいですね。」

 

 俺は突き放すように答えた。

 

「...イヴちゃんにも、そうやって隠すのかしら?」

「...えぇ、隠しますよ。

 むしろ、若宮には一番知ってほしくない。」

 

 俺は一応、本心で答えた。

 

「そんなにイヴちゃんが大事かしら?」

「...茶化さないでください。」

 

 そう言って、俺は屋上を去った。

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 ”千聖Side”

 

(...彼は間違いなく、何かを抱えてる。

 けど、それが何か想像がつかない。それほどに、彼の闇は深すぎる。)

 

 千聖は少し、間を置いた。

 

(...彼にはいったい何が?)

 

 千聖は出るはずのない答えを考え続けるのだった。

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「あ!栄斗ー!!」

「あ?」

 

 真波が近づいてきた。

 

「なんだ朝から、騒々しい。」

「一緒に学校行こうって言ったじゃんか!!」

「...そうだったか?」

「そうだよ!置いていきやがって!」

「アァ、ワルイワルイ、ワスレテタワー」

「嘘だよね?めっちゃ棒読みだし!?」

 

 あぁ、うるさい。だから教室は嫌なんだ。

そんなことを思ってると、若宮が来た。

 

 

「おはようございます!栄斗さん!」

「あぁ、おはよう、若宮。」

   

 普通に挨拶をした。

 体調は崩してないみたいだ。

 

「...土日はしっかり休めたか?」

「はい!栄斗さんのアドバスのおかげで、元気いっぱいです!」

「...役に立ったならよかった。」

 

 寝るときの注意をしただけなんだが。

 

「あ、あの、栄斗さん?」

「どうした?若宮?」

「えっと、お昼一緒に食べませんか?」

「え?なんで?」

「だめ...でしょうか?」

「いや、構わないが、

 俺でいいのか?」

「はい!栄斗さんがいいです!」

「...そうか。 

 じゃあ、一緒に食べるか。」

「はい!」 

 

 若宮はご機嫌なようだ。

 と、思っていると、真波がこっちを見ていた。

 

「どうした?真波?」 

「いやー、あの...」

「お前も一緒に食べたいのか?」

「...いや、それは、遠慮しとく。」

 

 なんか様子がおかしいな。

 

「...どうした真波、言いたいことがあるなら言え。」

「いやー、若宮ちゃんと仲いいんだなって」

「まぁ、友達だしな。」

 

 真波は頭お抑えて肩を落としている。 

 なんなんだ?

 

「...まぁいい。」

 

 そんなこんなで担任が来てホームルームがはじまった。

 

「えー今日は朝礼があるので、体育館に移動してください。」

 

 というわけで、体育館に移動した。

 

「なんのお話なんでしょう?」

「...さぁな。」

 

 俺は大体、想像がついていた。

 

『皆さん、おはようございます。 

 ...生徒会長の...白金燐子...です。』

 

 ...やっぱりか。

『今日は八舞栄斗君のファンクラブについてです。』

 

 会場がざわめき出した。

 氷川さんが壇上がった。

 

『静粛に。ここからは私のほうから説明します。』

 

 静かになったな。流石、風紀委員。

 

『この度、八舞栄斗君のファンクラブが、

 校則の管轄となりました。詳細については、後程、

 プリントを配布します、しっかりと確認をし、違反のないようにしてください。』

 

 以上です、と、白金さんと氷川さんは壇上を降りた。

 

「...校則になるって、 

 すっごい恥ずかしいんだけど。」

「まぁまぁ、いいじゃねぇか! 

 いいねぇ、人気者は!」

「そうです!栄斗さんは人気者です!」

「...やめてくれ。

 あと、真波は変わるか?」

「それは勘弁。」

 

 即答しやがったこいつ。

 

「まぁ、教室に戻るか。」

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 __昼休みになった。

 授業?ずっと、寝てたよ。

 

「栄斗さん!お弁当を食べましょう!」

「あぁ、でも、屋上にしないか?」

「はい、構いませんが。 

 なんでですか?」

「あぁ、屋上の気分なんだ。(ほんとは周りの視線がやばいからだけど)」

「そうですか!では、行きましょう!」

 

 そうして、俺と若宮は屋上に向かった。

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 この学校の屋上は人気がないらしく、周りには誰もいなかった。

 

「うーん!春の風が気持ちいですね!」

「あぁ、そうだな。」

「では!さっそく、お弁当を食べましょう!」

「そうだな。」

 

 俺たちはて適当なところに座って、弁当を広げた。

 

「...和食なんだな。」

「はい!和食は日本人の心...

 まさしくブシドーです!」

「そ、そうか。」

「そういう栄斗さんも和食なんですね!」

「まぁ、気分だったからな。」

「...栄斗さんの肉じゃが、おいしそうです...」

 

 若宮が物欲しそうな目で見てる。

 

「...食うか?」

「え!?いいんですか!?」

「別にいいぞ?ほれっ。」

 

 俺は若宮に弁当箱を差し出した。 

 

「では...いただきます!」

 

 若宮は肉じゃがを口に運んだ。

 

「こ、これは...!!」

「ど、どうしたんだ?」

「とってもおいしいです!

 どうやって作ってるんですか?」

「まぁ、普通に。」

 

 若宮は肉じゃがをお気に召したようだ。 

 

「もうちょい食うか?」

「ほんとですか!?...いえ、貰いっぱなしは、

 ブシドーじゃありません!」

 

 と、言って若宮は弁当のおかずを差し出してきた。

 

「あーん!」

「!?ちょ、若宮!?」

「...食べて...くれないんですか?」

 

 若宮は悲しそうな顔をする。

 

「...あーん。」

 

 結局食べた、はずい。

 

「どうですか?」

「うん、うまいぞ。」

「よかったです!」

 

 若宮、料理できるんだな。

 

「あの、栄斗さん...?」

「?どうした、若宮?」

「よろしければ、私に料理を教えてもらえないでしょうか?」

 

 若宮がそんなことを聞いてきた。

 

「なんでだ?十分、うまいと思うが?」

「ダメ...でしょうか?」

「...いいぞ。」

「ほんとうですか!?」

「あぁ。」

 

 若宮よ...あの顔は反則だ。

 

「いつがいいんだ?」

「栄斗さんは、いつがあいてますか?」

「いつでもいいぞ。

 なんなら、今日にするか?」

「はい!ぜひ!」

 

 俺たちは、そんな会話をしながら、弁当を食べるのだった。

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 放課後だ。

 若宮に料理を教える約束があるので、まず、商店街に向かった。

 

「そういえば、栄斗さん?」

「どうしたんだ?」

「今日はどこで、お料理をするんですか?」

「うーん、俺の家でいいだろ、近いし。」

「え!?///」

 

 若宮は驚いている。

 

「どうしたんだ?」

「い、いえ!なんでもないです!///」

「?そ、そうか。」

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 なんやかんや買い物を終えて、俺の家についた。

 

「ここが俺の家だ。

 適当に座っててくれ。」

「は、はい!///]

 

...なんだか落ち着きがないな。

と、思いつつ、料理の準備をしに行った。

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「じゃあ、料理をはじめるか。」

「はい!ご指導!よろしくお願いします!」

 

 若宮はいつも通りに戻っていた。

 

(栄斗さんは真面目にお料理を教えてくれるんです!

 私が心を乱してはいけません!)

「じゃあ、最初は_『ピンポーン』」

 

 インターホンが鳴った。

 

「誰だ全く__!?」

 

 来たのは俺の親だった。

 

「...若宮。」

「栄斗さん!どなただったんですか?」

「悪い、少し隠れててくれ。」

「え?は、はい。」

 

 俺は若宮を隣の部屋に隠し。

 若宮の靴を靴箱に入れ扉を開けた。

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 ”イヴside"

 

イヴはリビングの隣の部屋にいた。

 

(栄斗さんなぜ私を隠したんでしょう?

 来ているのはご両親のようですし、ご挨拶したほうが...)

 

 イヴは疑問に思っていた。

  

「ここに、生活費と学費が入っている。

 これで私たちと縁を切れ、栄斗。」

「...わかった。

 それにサインすればいいんだな。」

 

__「え?」

 

 イヴが聞いたのは、紛れもない、

 自分の大好きな人物への、絶縁宣言だった。

 

 

 

 

 




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