恋愛のブシドー   作:火の車

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イヴルート紗夜の話です!
時系列的には栄斗とイヴが付き合い始めて1週間以内の話です!


新しい目標(イヴルート紗夜)

 夏直前、

 ロゼリアはいつも通り、練習をしていた。

 

友希那「__紗夜、また外れてるわ。」

紗夜「ご、ごめんなさい...」

あこ「最近ずっとですけど、風邪でもひきました?」

燐子「季節の変わり目ですし...。」

紗夜「いえ、そんな事は...」

友希那「ないとしてもおかしいわ。今日は練習は終わるわ。

皆も体調管理はしっかりして。」

 

 ロゼリアの練習が終わった。

 

紗夜「(...私は何をしてるんでしょうか...)」

リサ「さーよ!」

紗夜「今井さん...」

リサ「最近元気ないけどどうしたのー?」

紗夜「いえ、なんでも__」

リサ「ないわけないよね?」

紗夜「!」

リサ「話してみなよ!楽になるかもよ!」

紗夜「でも...」

リサ「取り合えず、カフェでも行こ!」

紗夜「ちょっと、今井さん!」

 

 紗夜はリサに引っ張られていった。

________________________

 

 二人は近くのカフェに来た。

 

リサ「__それで、何がったの?」

紗夜「...あまり、人に話せるようなことでは...」

リサ「紗夜。」

紗夜「は、はい?」

リサ「紗夜はもっと周りを頼らないとだよ?

紗夜には力になってくれる仲間がいるんだから。

勿論、あたしもね☆」

紗夜「今井さん......。分かりました、お話しします。」

リサ「うん!話して話して!」

紗夜「では、お話しします。あれはおよそ二か月前の事です。」

 

 紗夜は全てを話した。

 栄斗に告白したこと、フラれたこと、

 未だに栄斗が心に引っかかってる事。

 

リサ「(__紗夜を振るなんて、どんな大物なの...?)」

紗夜「今井さん...?」

リサ「でさ、紗夜はどうしたいの?」

紗夜「どうしたい、ですか...」

リサ「?」

 

 紗夜は口ごもった。

 

紗夜「...私は彼を諦めたいです。」

リサ「!?」

紗夜「彼には好きな人がいて、その人と付き合ってます。」

リサ「え?そうなの?」

紗夜「はい。だから、彼を諦めたいんです。」

リサ「...ねぇ、紗夜?」

紗夜「はい?」

リサ「そのさ、八舞栄斗君、だっけ?会える?」

紗夜「え?な、なんでですか?」

リサ「すこーし、聞く事があってねー」

紗夜「で、でも...」

リサ「紗夜、携帯貸して。呼び出すから。」

紗夜「!だ、ダメです!」

リサ「いいから、早く。」

紗夜「......はい。」

 

 いつものリサからは考えられない圧力に、

 紗夜は負けた。

 

リサ「えっと、『少し会えないでしょうか?』っと。

こんなものかなー?」

紗夜「...」

リサ「じゃ!少しお茶してよかー☆」

紗夜「...はい。」

 

 二人はしばらくお茶をした。

 返信はだいたい20分後来た。

 

リサ「あ!きたきたー!何々?『大丈夫ですよ。いつですか?』

だってー!」

紗夜「まぁ、八舞君ならそう言うでしょうけど。」

リサ「じゃー、『今からで大丈夫ですか?』っと。」

紗夜「え?急すぎるでしょう。」

リサ「大丈夫大丈夫!...あ、来た!早いねー!」

紗夜「あの、八舞君はなんと?」

リサ「んー?大丈夫だってー!」

紗夜「そ、そうですか。」

リサ「じゃ!行ってくるー☆」

紗夜「ちょ!今井さ__行ってしまいました...」

 

 紗夜は頭を抱えた。

________________________

 

栄斗「__えーっと、待ち合わせはこの辺りだよな?」

 

 栄斗は待ち合わせ場所に来ていた。

 

リサ「君が八舞栄斗君かな?」

栄斗「?はい、そうですが。」

リサ「あたしは今井リサ!紗夜の友達だよ☆」

栄斗「氷川さんの?」

リサ「うん!そして、君を呼び出したのはあたしだよ!」

栄斗「なんで今井さんが?」

リサ「うーん、色々かな!少し話そうよ!」

栄斗「分かりました。」

 

 二人は近くのベンチに移動した。

 

栄斗「__それで、今日は何の目的で俺の所に?」

リサ「目的って...ただ話に来ただけだよ?」

栄斗「嘘ですね。」

リサ「!」

栄斗「嘘をつくとき、今井さんは髪をいじる。」

リサ「う、嘘!」

栄斗「はい、嘘ですよ。」

リサ「な!」

栄斗「まぁ、悪意はないのでいいんですがね。」

 

 俺はベンチに座った。

 

栄斗「目的は話。ただし普通ではないですよね?

聞きましょう。」

リサ「...ほんとにすごい人みたいだね。」

栄斗「普通ですよ?」

リサ「...ま、いいや。私が聞きたいことは紗夜の事だよ。」

栄斗「...やっぱり。」

リサ「紗夜は八舞君にフラれてから調子を崩してるの。」

栄斗「...」

リサ「なんで、紗夜を振ったの。」

 

 リサの面持ちは真面目だ。

 

栄斗「好き...いや、愛してる子がいるからです。」

リサ「(紗夜の言った通り。)

その時は付き合ってなかったんだよね?

なんで、紗夜じゃ駄目だったの?」

栄斗「...俺の心を救ってくれてたのが、その子、イヴだったんです。

紗夜さんがダメなんじゃなく、俺がイヴじゃないといけなかった。」

リサ「...え?ちょっと待って、イヴ?」

栄斗「?はい。」

リサ「イヴってあの、若宮イヴで間違いないよね?」

栄斗「はい、そうですが。」

リサ「(え?八舞君の彼女ってイヴだったの!?

予想外過ぎて驚いたんだけど!?)」

栄斗「どうしました?」

リサ「い、いや、なんでもないよ。」

栄斗「話は終わりですか?なら俺は失礼します。」

リサ「待って、最後に一つ。」

栄斗「...」

リサ「もう、絶対に紗夜の気持ちに答えられないの...?」

紗夜「__やめてください!今井さん!」

リサ「!さ、紗夜。」

栄斗「...氷川さん。」

紗夜「彼に、八舞君にそんな事を聞かないでください!」

リサ「でも、それじゃ紗夜が...」

紗夜「私はもういいんです!彼には若宮さんがいるんですから!

だから!__」

 

 紗夜は走って行った。

 

栄斗「......」

リサ「...私のしたことって、ただのお節介だったのかな。

紗夜にとっては余計なことだったのかな...」

 

 リサは泣いてる。

 

栄斗「...これ、どうぞ。」

リサ「え...?」

栄斗「使ってください。」

 

 栄斗はリサにハンカチを渡した。

 

栄斗「それじゃあ、俺は氷川さんの所に行ってきます。」

リサ「!なんで...?」

栄斗「...今井さんの行動がただのお節介じゃないようにするために。」

リサ「!」

栄斗「じゃあ、雨が降りそうなので早めに帰っておいてくださいね。」

 

 栄斗はそう言って公園を出た。

________________________

 

 暫くすると、雨が降ってきた。

 

栄斗「(雨が降る前に氷川さんを見つけるつもりだったのに。

どこだ、氷川さん。)」

 

 栄斗は紗夜を探し回った。

 

栄斗「(!あれは...)」

 

________________________

 

紗夜「__(まさか雨が降るなんて...)」

 

 紗夜は雨に打たれていた。

 

紗夜「(ですが、今の私にはピッタリなのかもしれませんね。

この雨はまるで、今の私を表してるようだもの...)」

 

 紗夜はそんな事を考えていた。

 

紗夜「(この悲しみは罰なのかもしれない。

フラれたのにすぐに八舞君を諦めなかった私への...罰。)」

 

 紗夜は涙を流した。

 

紗夜「(...いっそ、私もこの雨に流されたい。

そうすれば、この悲しみも消えてくれるのかしら...)」

栄斗「__何、してるんですか?」

紗夜「!や、八舞君...?」

栄斗「そんなに雨に濡れると、風邪ひきますよ。」

紗夜「...もう、私なんて放っておいてください。」

栄斗「...」

紗夜「私は、罰を受けているんです。

すぐにあなたを諦められなかったことへの。」

栄斗「...ないですよ、そんな罰は。」

紗夜「え...?」

 

 栄斗は紗夜に上着を羽織らせた。

 

栄斗「確かに、俺はイヴを愛してます。」

紗夜「...」

栄斗「でも、俺は皆も好きなんです。」

紗夜「!」

栄斗「パスパレの皆も、ハロハピの皆も。

勿論、氷川さんも。

皆が皆、俺に何かを与えてくれる。」

紗夜「何かを...与える...?」

栄斗「はい。楽しい時間や充実感、思い出。

今まで俺になかったものをたくさん与えてくれます。」

紗夜「八舞君...」

栄斗「俺は皆が好きです。だから、氷川さんが悲しんでるのが嫌なんです。」

 

 俺は氷川さんに目線を合わせた。

 

栄斗「俺は氷川さんにも幸せになってほしい。

俺にできる事ならなんだってします。だから__」

紗夜「もう、いいですよ。」

栄斗「!」

紗夜「八舞君の気持ちは分かりました。

本当にお優しいんですね。」

栄斗「普通ですよ。」

紗夜「そうですよね、八舞君はこれが普通ですよね。」

栄斗「?はい。」

 

 紗夜さんは笑っている。

 

紗夜「なんだか、気持ちが晴れた気がしますね。」

栄斗「そうですか?空はまだ雨のようですが?」

紗夜「それでは、流されたのでしょうか?」

栄斗「ははは、それはありそうですね。」

紗夜「...ありがとうございました、八舞君。」

栄斗「...いえ、俺は何もしてないですよ。

今井さんが動いてくれたから俺も動けたんです。」

紗夜「そう、ですか。なら、今井さんにもお礼を言わないとですね。」

 

 栄斗と紗夜がそんな会話をしてると。

 

日菜「お姉ちゃーん!」

イヴ「エイトさーん!」

栄斗「あれ?イヴ?」

紗夜「日菜まで、どうしたの?」

日菜「どうしたもないよー!

リサちーから電話きて二人雨なのに傘持ってないって言うから来たんだよ!」

イヴ「そうです!このままじゃ風邪をひいてしまいます!」

栄斗「まぁ、そうかもな。」

紗夜「ごめんなさい、日菜。」

日菜「ううん!別にいいよ!早く帰ろ!

はい!傘!」

イヴ「私達も帰りましょう、エイトさん!」

栄斗「あぁ。」

 

 各々、家に帰ることになった。

 

紗夜「あ、八舞君。」

栄斗「はい?」

紗夜「私はもう、次の目標を見つけました。」

栄斗「そうですか。よかったです。」

紗夜「はい!だから、覚悟しててくださいね?」

栄斗「え?」

紗夜「それでは♪」

栄斗「ちょ!氷川さん!?」

 

 紗夜は日菜と帰って行った。

 

イヴ「何の話をしていたんですか?」

栄斗「...俺にも分からん。」

 

 

紗夜「(私は八舞君の一番の友人を目指します!

だから、覚悟しててくださいね!八舞君!)」

 

 紗夜の気持ちの変化に反応するように、雨は止んだ。

 

 栄斗が紗夜の目標を知るのは、もう間もなくの事だ。

 

 

 

 

 




感想などお願いします!

覚醒天才の王国のトップバッターが意見割れしてるので、
もう少し待ちます。今のところはロゼリアの誰かか千聖ですね。

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