灼熱炎吐ける至高の存在に転生しちゃいました   作:こまるん

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遅くなってしまいました。

思わぬ高評価とお気に入りの数、大きなモチベになっております。お陰様でこの作品はもうちょっと続きそうです。




第3話

 

 探索を初めてどれ位たったかな。ここまで遭遇したモンスターは、おおきづち2匹に、ドラキー3匹。

 おおきづちは一撃必殺級だし、ドラキーは飛んでるしで中々大変だったけど、なんとか倒すことが出来ている。

 

 おいもちゃんは一撃がとにかく重いんだけど、まぁその分超大振りで……あと3回に2回くらいは勝手にすっ転んでくれるので、落ち着けば案外簡単に勝ててしまう。

 

 蝙蝠くんはなんだろう。確かに空を飛んでいるのはひっじょーに厄介なんだけども……なんというか、気まぐれなのよ。

 てきとーに飛んでいるだけだし、たまに噛みつきに来るんだけど……逆にそれが隙と言うかなんというか。

 

 まあともかく、この2種は何とかなりそうってわけ。そろそろ別の魔物とエンカウントしても良いころ…………おっと。噂をすれば、かな?

 

 地面がボコッと盛り上がり、そこから何かが出てくる。

 巨大なセミの幼虫のような姿のそいつは、極端に大きなハサミのようになっている前足を振りかざすと真っ直ぐにこちらに襲いかかってきた。

 

 おっと。当たらないよ、そんなもの。

 ぽよんっと避けて、着地。避けられたと見るや、魔物は地面を掘り進めながら近寄ってくる。

 このちょっと気持ち悪いような、それでいてほんの僅かに愛嬌もあるような、よく分からないフォルム。こいつは確か、せみもぐらだ。

 

 おおきづち、ドラキー。そしてせみもぐらが同じ地点に出てくる作品で、スライムである私がこの色……うん。そろそろ期待しても良いんじゃないだろうか。

 もちろん、似ているだけでナンバリングとは関係ない世界である可能性もあるが……そろそろ、言っちゃっても良いだろう。

 

「ピキー!ピキキー!」

(もしかして、ドラクエ5の世界に来ちゃった!?)

 

 ……コホン。ま、まぁともかく、この世界について大きな手がかりが得られたのはとても大きい。

 そして、この世界がドラクエ5と仮定するなら…………うわっ!?危なっ!

 

 考えに耽っているうちに動きが単調になっていたのか、身体のすぐ横を掠めるようにしてハサミが振り下ろされた。

 危ない危ない。今の私はスライムに過ぎないんだから、もっと気をつけなきゃ。

 

 考えるのは後にして、まずはこいつをやっつけてしまおうか。

 こいつの動きは早くない。それに、ハサミで攻撃する時は必ず──

 

 そこっ!

 両手を振り上げたことによりがら空きになっていた懐へと、渾身の体当たりをぶちかます。

 お腹の部分はそこまできっちり守られているわけではないらしく、悪くない手応えを感じた。

 

 大きくよろめいたせみもぐらは、反撃に出てくるかと思いきや、地面に伏せる。

 そして、大きな前脚で頭を覆うようにして閉じこもってしまった。

 

 厄介だな。パッと見ただけでも全身がガッチガチに固められちゃってる。

 試しに体当たりをしてみたけども、あっさりと弾かれた。

 

 参った。

 これはゲームでいうところの【ぼうぎょ】なんだろう。何時もなら鈍い音がなるところを、謎にカキン!という音が鳴るやつ。

 ……ごめん。伝わりにくいかな。要するに、攻撃が通りにくいモードってわけ。

 

 こうなれば、私にできることはただ一つ。

 

 そう、待つ。

 

 え?打開策を探すんじゃないのかって?だから言ってんじゃん。待つって。

 仕方ないでしょう。元々低火力なんだから、硬い鱗で護られちゃったらもう突破できないよ。

 幸い、近くの敵はこいつだけだから……大人しく待つ。

 

 そうして時間が経った。

 1分、2分……初めはじっと構えていたせみもぐらも、いつまでも攻撃が来ないことを訝しんだのか、徐々に緩んできているのがわかる。

 それでも私は根気強く待ち続け…………

 

 いまっ!!

 痺れを切らしたアイツが防御を解き、腕を上げた瞬間──突っ込んだ。

 会心の手応えが伝わってくる。手じゃないけど。

 反動で少し跳ね飛ばされながらもなんとか前を見ると、せみもぐらがくるくると回りながら跳ね飛ばされていくのが見えた。

 

 ……え、いや……そこまで飛ぶ……?

 呆然としているうちに地面に叩きつけられたあいつはそのまま動かなくなり、その場から消える。

 

 無事、勝利というわけだ。

 ちょっと釈然としないけれど、探索を再開しよう。私は強くならないといけないからね。

 

 そう思って振り返ろうとした時、不意に身体が軽くなったのを感じた。

 なんだろう。身体に力が湧いてくるような感じ……そうか、これがレベルアップ。

 

 ゲームと違って明確にステータスを確認できるわけじゃないけども、たしかに今、わたしはレベルが上がったんだ。

 いいね、なんというか、高揚感がある。

 

 この時点で、(たぶん)野生の魔物である私でも、経験値を貯めてレベルを上げるということが可能であることが実証された。

 

 いやー正直不安だったんだよね。だってほら、ドラクエだとモンスターズシリーズ抜けば皆仲間になる時レベル1じゃん?出てくる魔物の強さは均一だし……いや、ステータスに乱数入る作品もあったか?

 逆に言えば、ここが本当にドラクエ5とするならば、キメラ35とかオーク20みたいな露骨なレベル表記の敵も出てくるわけで……私はどういう扱いなんだろうって思ってたんだよね。

 

 そもそも、魔物って仲間になった瞬間から経験値が溜まり始めるわけだけど……そこからして謎なんだ。野生の時に戦闘しないわけでもあるまいに、何故レベル1固定なんだろう。

 やっぱりあれかな。魔王の魔力みたいなもので操られているから経験値は入らない……みたいな感じなんだろうか。

 ……待てよ?野生として人間に襲いかかってくる魔物が同士討ちをしているというのは今作ではまず無い……もしかして、本当に魔王に操られている、もしくはそもそも魔王の魔力で生成されている……とか?

 そうなれば、倒した魔物が消えるのもちょっとわかりやすい。でも、その場合は仲間になる魔物はどうだとか、仲間になった魔物は死んでも棺桶とか色々謎が生えてくるわけだけど……

 

 そもそも私はなんやねんってね。

 

 

 まあ、それは今はいいや。今考察を深めることは出来るけど、どうせ正解かどうかは分からない。

 何だかんだで未知のところにいきなり放り出されたせいか、色々と考えこんじゃってるけど……結局、私自身が動かないと始まらない。そもそも、強くならないと生き残ることすらできなさそうだしね。

 

 さーて。ここらの魔物は私でもなんとかなる。それに、レベルアップもできるとわかったんだ。

 今は私に出来ること……魔物とたたかってレベリングして行こうか。

 

 いつか、主人公達に会える日を祈って!!

 

 

 

 

 

 

 







最初に必要なものはたぶん撒き終えたので、次くらいから物語にはいれたらなとおもってる。




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